(やっぱり?)分かってないと思われる事項についてのレクチャーシリーズ
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Transcript (やっぱり?)分かってないと思われる事項についてのレクチャーシリーズ
胸腔ドレンの仕組みについて
頻用している割に理解は乏しい??
胸腔ドレンのしくみを知ってま
すか?
• 過去何百人かの研修医(1~4年目)および
医学生にこの質問をしましたが、
• まともに答えられた方は一人もいません
でした
• おそらく繁用されている割に以外に分
かってないものの一つ・・なのでしょう。
気胸の人がいたので胸腔チューブを入れました
何か文句ありますか?
このままでは開放性気胸なので空気を吸引してし
まいます。
空気を吸引しないためにはどうしたらいいですか?
“弁”を付けたらよいのではないか?
尖端を水につけてみました。どーだ!
でも今度は水を吸い込みそうな気がする・・・
水も吸引せずに中の空気を追い出すにはどーした
ら?
胸腔内圧は-5~-15cmH2O なので・・・
ボトルの位置を胸よりも15cm 以上低くすれば!!
こーすれば・・
• 水は吸気時の陰圧でも15cmしか上がらないが
呼気時に胸郭が縮小し胸腔内は瞬間的に陽圧にな
るため胸腔内の空気は脱気される!!
水と重力で一方向弁をつくったわけだ!
• これが Water Seal (水封)である。
• つまり、チューブと水を入れる容器さ
えあれば気胸の治療はどこでもできる。
• ここまでの仕組を正しく理解できれば、
胸腔ドレンはマスターしたも同然であ
る。
ここからはおまけの話!
•
•
•
•
あれ?いつも陰圧で吸引しているが?
と思う向きがいると思われますが、、
実は「陰圧吸引」は「おまけ」です。
胸腔内の空気が脱気されるのは、呼気時に胸腔容積が減
少する際の瞬間的な陽圧で押し出されるためであり、陰
圧で吸引しているからではありません。(リークのある気
胸の患者さんを観察すれば洩れているのは呼気の間だけに気付くは
ず)
• また持続的なAir leak がなければ胸腔内のエアーは引か
なくても自然吸収されます。
• 吸引はあくまで補助として行っているにすぎず、
• 場合によっては吸引してはいけないこともあります。
(外傷性気胸の初期など)
こんな仕組みを考えてみました
外気に通じてる
密封空間
水
この仕組みで吸引してみると・・
・まず5cmH2Oで吸引すると、水柱内の液面は5cm下がり
・ボトル内の圧は-5cnH2Oとなる。胸腔内にかかる圧も-5cmH2O
・吸引圧をだんだん上げて行くと水柱内の液面はどんどんさがり
・圧が-10cmH2Oをこえた時点で外気が吸引される。その結果、圧がどんなに高くても
ボトル内の圧は-10cmH2Oで一定となる。
即ち外気が吸引されている限り圧は常に-10cmH2O!!
これが 1Bottle system!!
• しかし、このタイプの吸引ボトルは現
在使われていない。
• ということは・・何か問題があるは
ず?
問題その1:出てくるのは空気とは限らな
い!
・右図のように胸水(血胸)の排液がある場合液面は上昇してしまう。
・吸引圧を超えてボトル内の液面が上昇すると、胸腔にかかる圧はだんだん
高くなってしまう。
・場合によっては陽圧がかかってしまうこともあり得る!!
問題2:吸引圧の調節は?
• この仕組みでは、ボトルの水柱の位置(深さ)を変えな
い限り水の量を変えても胸腔にかかる圧を変えることが
できない!?
吸引圧のボトルを別にしてみまし
た!
• 右のボトルの水の量を変えれば吸引圧は調節可能です。
• しかし、排液が増えると圧が変わってしまいます・
排液のボトルを別にしてみました!
• 排液が増えても吸引圧が変化することはありません。
• しかし、吸引圧の調節が出来ません。
これらが、2 Bottle System です!
• おわかりのように、いずれも利点欠点があ
ります。
• さてここまで話をすると・・
• 胸腔ドレンの吸引ボトルは要素が3つ必要
ということにお気づきでしょう!!
Water Seal
排液
吸引圧
ならばこの3つを独立させれば良いので
は!
排液
Water Seal
吸引圧
• これが 3 Bottle System !!!
• いつも見ているのは3つ目のボトルが機械化されたものに
すぎません。
以上が胸腔ドレンの全てです。
• Water Seal の原理を理解して下さい。
• 1 Bottle System・ 2 Bottle System・ 3 Bottle
System を絵で描いて説明できるようにして
下さい。
• この2つが出来れば胸腔ドレンに関するい
かなるトラブルにも対処可能です!!
さらにおまけ
• Water Seal 以外の一方向弁もあります。
• それが「Heimlich valve!」
• 胸水が無いと確信できる場合で、持続
する Air leak が無いかあっても極軽度と
判断した場合には使用可能です。