マクロ経済学II_7

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マクロ経済学 II

第 11 章 久松佳彰

国際金融と国際マクロ経済学

• • • • 海外経済を明示的に考える。 これを開放 (open) マクロ経済学と呼ぶ。 為替レートの働きを学ぶ。 マンデル=フレミング・モデルの基本を学ぶ。

為替レートの決定

• • 為替レートとは、各国通貨間の交換比率のこ とである。 • • 1 ドル= 108 円 為替レートは外国為替市場で決まる。外貨を 買いたい(円を売りたい)銀行と、外貨を売り たい(円を買いたい)銀行が、直接もしくはブ ローカー(短資会社)を通じて、取引を行なう。 政府・中央銀行は外貨準備を持っている。

多様な為替レート指標

• 実効 (effective) 為替レート: 円と他の個々の 通貨との為替レートの動きを、その通貨の ウェイト(加重)で平均したものである。 • どのくらい円高に振れているか、円安に振れ ているかという指数の形で表す。

名目為替レートと実質為替レート

• • • • • 市場で決まる為替レートは名目為替レート。 マクロ経済で重要なのは、実質為替レート。 物価が変化しないなかでの円高は、日本の 商品の海外での価格を高くし、海外製品の日 本での価格を安くする。 アメリカの物価が上がっているなかでの円高 は、両国の財・サービスの価格差を変化させ ない。影響がない。 両国の物価を含めて為替レートを考える必要

実質為替レート

• • 名目為替レート×(日本の物価)/(アメリカの物 価) 指数で表すので、実際には 現在の為替レート 基準年の為替レート  日本の物価指数 アメリカの物価指数 • 実質実効為替レートも考えることができる

60 40 20 0 140 120 100 80 為替レート 実効為替レート 実質実効為替レート

資産と為替レート

• • • 外国為替市場では大規模な取引が行なわれ ている。 貿易の実需とは関係ない、投機・投資が取引 目的の実態。 儲けるのは大変よ。

長期的な為替レートの動きと購買力 平価理論

• • 購買力平価 – 2 通貨間の為替レートは、両国の物価の動きに よって決まるという考え方 一物一価の考え方 – ある商品の輸出入が可能であれば、貿易によっ て二カ国間で価格の均一化があるはず。

購買力平価理論

p

1 

ep

1 * 物価で考えると、

P

eP

* 変化率をとると、 

P P

 

e

e

P

*

P

* 順番を入れ替えて、 

e

e

P P

 

P

*

P

* • すなわち、円ドルの為 替レートは、日本の物 価上昇率とアメリカの 物価上昇率の差に等し く動いていくことになる。

購買力平価レート

• 購買力平価レートは、その時点の為替レート のある種の理論値と考えることができる。現 実の為替レートがこの購買力平価レートをあ まりにも乖離している場合には、現実の為替 レートが本来あるべき水準にないことを意味 すると解釈できる。 • 物価指数はどれを使うか?基準年をいつに するか?

為替レートと貿易

• • 為替レート以外の要因でおきた輸出入の変 化は為替レートに影響を及ぼす。 米国が景気拡大すると、米国の輸入増=日 本の輸出増。その影響で、ドル供給量は増加 し、ドル安=円高の方向に為替レートを動か す。

為替介入と通貨制度

• 中央銀行のドル売りは、外国為替市場でのド ル売りですから、他の条件に変化がなければ、 為替レートを円高に持っていく。

変動為替レート制

• • • 海外で起こったマクロ変動をある程度遮断す る特徴がある。変動為替レート制の(インフ レ)隔離効果と呼ぶ。 米国でインフレ → 米国製品割高 → 日本から の輸出増加・日本の輸入減少 → ドル供給増 加 → ドル安・円高 ⇒ 円高はちょうどインフレを 打ち消す 変動為替レートは海外のインフレを隔離する

マンデル=フレミング理論

• • 金融政策 金融緩和 → 利子率下落 → 投資増大 → 有効需要増大 • • 有効需要増大 → 海外からの輸入増大 → ドル需要増大 為替レートはドル高・円安へ → 為替レートは円安 → 輸出増 大・輸入減少 → 有効需要増大

マンデル・フレミング理論

• • 財政政策 財政拡大 → 有効需要増大 • → 利子率上昇 → 投資減少 → 有効需要減少 • 利子率上昇 → 資本流入 → 為替レート円高へ → 輸出 減少・輸入増大 → 有効需要減少 • 財政政策による輸出のクラウディングアウト効果