八角シンチレータ偏光計の性能

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八角シンチレータ偏光計の性能
散乱型X線偏光計は、構造が単純で、モジュレーションパラメタの大きい偏光計である。
八角シンチレータ偏光計を試作し、性能が設計通りになるか確かめた。
2003.1.9 第3回宇宙科学シンポ
三原建弘、宮本八太郎 (理研、宇宙放射線)
性能実験
~八角シンチレータとは~
X線
真ん中にプラスチックシンチレータを置き散乱体とし、周囲に8本のNaIシンチレータを配置した。
散乱体を突き抜けたX線がフォトマルに入るのを防ぐため、ストッパーとしてBaF2を配置した。
フォトマルに位置検出型フォトマルを用い、8本のNaIイベントとプラスチック/BaF2イベントを
発光位置で区別する。プラスチックシンチイベントとBaF2イベントは信号の速さで区別する。
八角シンチレータ
鉛板
結果
X線発生装置
50keV X線
50keVの偏光X線ビームを、鉄のフィルタを介し、
さらに鉛板によって0.6mmφにコリメートしたものを
八角シンチレータの中心散乱体のみに当てた。
鉄フィルタ
No.2
Y
No.4
X
Bottom view
Top view
No.0
Side view
各NaIにおけるイベントの数
八角シンチレータに用いられている結晶の性質
密度(g/cm3)
屈折率
光量
Decay (ns) トムソン長(cm)
NaI
3.67
1.85
100
230
1.59
BaF2
4.89
1.49
5
16
0.6
620
1.21
29
2.1
4.24
プラスチック
1.032
1.581
偏光の検出に成功
No.6
X線による発光の起きた位置
コンプトン散乱の放出異方性によって
カウントの少ない方向が偏光方向となる。
X線発生装置の印加電圧直下のX線を
0.6mmφにコリメートして入射した結果、
モジュレーション因子0.15のカーブが得られた。
カ
ウ
ン
ト
検出器の構成
プラスチック
でのイベント
八角シンチレータ
fast
位置検出型PMT (R8520-00-C12)
ブリーダー&プリアンプ回路
NaIでのイベント
BaF2でのイベント
各結晶での信号の遅い成分のスペクトル
NaI8本の光量はよくそろっている。
slow
各結晶でのイベントを信号の速い/遅い成分に分けたプロット
検出しきい値はNaIイベントで5keV、BaF2イベントで20keV、プラスチックイベント
で20keVであった。
x
信号読み出し系
位
置
検
出
Y
NaIイベントにおけるプラスチックでのコンプトンロスは8keV程度が期待されるが、そ
のプラスチックシンチの信号を検出することはできていない。NaIの信号のほうが圧倒
的に大きく、その揺らぎの中に埋もれてしまっている。また、単独で8keVの信号が来
ても正しく受からないであろう。
35-50keVにおける
イベントの分岐比の測定
イベントの分岐比はだいたい計算値通りであった
ので、正しくイベントを受けていることが分かる。