輸血の歴史

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緊急輸血・大量輸血
山形大学輸血部
田嶋克史
緊急輸血
【緊急時輸血の定義】
•緊急に赤血球の輸血が必要な出血性ショック状態にある患
者に対する輸血
①出血による生体変化
循環血液量
血圧、脈拍
症状
対処
-10%
正常
なし
なし
-20%
低下、頻脈
冷汗、悪心:VVR
輸液、昇圧薬
-30%
低下、頻脈
ショック
輸液、、昇圧薬、輸血
②輸血開始基準
•明確な基準なし
•貧血による酸素供給不足で死亡する事は殆どなし
•貧血で死亡するのではなく、出血のコントロールがつかない事に
よる長時間の低血圧が死亡原因の大多数
※参考値:Hb 8 g/dl, Ht 25%, 心疾患では10 g/dl前後か
緊急輸血・大量輸血
緊急輸血(つづき)
③緊急出血患者の治療手順
•救急心肺蘇生のABC
④緊急時の輸血検査
•緊急度により病院毎の標準検査から検査を省略することにな
る、病院毎に基準は異なり対応については取り決め事項となる
(例:O型赤血球、ABO同型、交差適合性試験の省略、等)
•最終的にどの製剤をいつ使用するかは担当医の判断かつ責
任であることが前提である、担当医の責任を証拠として残す
•必須事項:検査を省略せざる得ない事由等を説明し、記録とし
て残す、後日レビューが出来る様に初回時の検体(血液、採取
出来ない時は血液の付着した衣類等)を保存しておく
•検体の取り違い等が発生し易いので、可及的に回避すべき事
項である
緊急輸血・大量輸血
大量輸血
【定義】
24時間以内に患者の循環血液量と同等以上の輸血をすること
①大量輸血に使用される製剤
•5%アルブミン製剤
•赤血球MAP製剤
•新鮮凍結血漿
•血小板
②大量輸血時にみられる異常
•凝固障害・出血傾向:希釈性<消耗性
•高カリウム血症:新生児、腎障害では可能性
•クエン酸中毒:クエン酸代謝が低下(新生児、肝障害)で可能性
•代謝性アシドーシス:循環障害による組織酸素不足
•低体温:100 ml/m以上の速度では心筋低温による不整脈
•肺機能障害:肺水腫、微少凝集塊
緊急輸血・大量輸血
③大量輸血時にみられる異常に対する検査と対処
異常
検査
対処開始基準
対処法
凝固・出血
血小板
5万以下
血小板濃厚液
1単位で3,000 / μl上昇
PT, APTT
PT:1.5倍以上
APTT:30%以下
新鮮凍結血漿
10 ml / kgで20-30%上昇
フィブリノーゲン
100 mg/dl以下
高カリウム血症
血清カリウム
5.0 mEq/l以上
グルコン酸カルシウム
重曹、グルコース/インスリン
低カルシウム血症
血清カルシウム
8.0 mg/dl以下
グルコン酸カルシウム
塩化カルシウム
アシドーシス
PH
7.35未満
過換気(人口呼吸管理)、重曹
低体温
体温、心電図
不整脈、30℃以下
血液製剤の37℃加温
肺機能障害
動脈血ガス分析
異常値
人口呼吸管理
緊急輸血・大量輸血