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肝臓の検査とは
肝臓の位置と形
肝臓は右上腹部にあり,
約1~1.5kgある.
胃腸からの血液が集まり,
門脈となり,肝臓に至る.
肝臓の働き
さまざまな代謝作用を行う.
糖
たんぱく
糖分の貯留と放出を調節
アルブミン,血液の凝固たんぱくなど
合成アンモニアの代謝
脂肪
コレステロールの代謝,脂肪酸の代謝
ビリルビン 壊れた赤血球からビリルビン合成
解毒や排泄
薬物の解毒,アルコールの代謝
細菌や異物,毒素を処理する.
ホルモンの代謝
肝臓病の進行
感染後1~30カ月
感染後20~30年
急性肝炎
約80%
肝硬変
約70~80%
約30~40%
感染後10~20年
慢性肝炎
感染後25~35年
肝癌
慢性肝臓病の行路
肝不全
腹水 ・ 黄疸 ・ 脳症 ・ 食道静脈瘤
非代償期
肝がん
肝硬変
肝がん
肝がん
代償期
代償期
インターフェロン
慢性肝炎
検査異常
症状
By Kaorin
急性肝炎
劇症肝炎
肝臓病の経過
肝臓病の検査で何がわかるか
血液検査
生化学的検査(GOT, GPT など)
血算(血小板,赤血球数,など)
ウイルス,血清学的(ウイルスや抗体など)
画像検査
超音波,CT, MRI
血管造影
内視鏡
組織検査
肝生検
血液検査(その1)
生化学検査
GOT(AST), GPT(ALT)
肝細胞のこわされ度
γGTP
飲酒のマーカー
アルブミン,PT,コリンエステ
ラーゼ,総コレステロール
肝臓での合成能
免疫グロブリン(IgG, M, A)
ビリルビン,ALP, γGPT
炎症の強さ
アンモニア
代謝能,脳症
BTR, アミノ酸
栄養状態
PⅢP,Ⅳ型コラーゲン,ラミニン
線維化のマーカー
ICG15
色素の排泄能
血小板数
肝硬変の進展度
胆道系,ビリルビン代謝
肝機能検査
肝細胞が傷つくと細胞内
のGOT, GPTが漏れ出して,
血管内に移行する。
GOT, GPT(特にGPT)は他
の臓器にあまり含まれて
いないため,その血液中
の高さは肝障害を反映.
細胞膜の障害程度を反映
する.
GOT, GPT
肝機能検査
胆道系の酵素とよばれ,
胆汁の流れが妨げられ
ると血液中で増加する.
胆道の閉塞,胆石,
胆のう炎
肝炎
肝腫瘍
飲酒
ALP, γGTP
肝硬変は血液検査で診断がつくか?
血小板
線維化マーカー
Child Pugh の分類の項目
TBil、アルブミン、 PT、 脳症(アンモニア)、
腹水
食道静脈瘤
血小板
肝硬変の診断と血小板
肝硬変の診断と線維化マーカー
血液検査(その2)
血清検査
A型肝炎ウイルス(HA IgM抗体)
B型肝炎ウイルス(HBs抗原, HBs抗体, e抗原, e抗体,HBV)
C型肝炎ウイルス(HCV抗体,HCVRNA; 量とタイプ)
その他のウイルス
自己抗体(抗核抗体,抗平滑筋抗体,抗ミトコンドリア抗体)
腫瘍マーカー
αフェトプロテイン(αFP),L3分画
PIVKAⅡ
CEA,CA19-9(転移性のものなど)
画像診断
超音波検査(エコー)
CTスキャン
MRI(核磁気共鳴)
肝シンチグラム
最も頻回に行う.
エコーを補う.
腫瘍の性質
胆管がよく見える.
肝臓への取り込みをみる.
何をみているか.
肝実質の変化(線維化、脂肪化)
腫瘍(造影剤も用いて血流や性質をみる)
脾臓の腫れ、腹水
その他の臓器
内視鏡検査
上部消化管内視鏡(胃カメラ)
食道静脈瘤の有無やその程度
胃炎,胃潰瘍,胃癌,十二指腸潰瘍
腹腔鏡検査
肝硬変の診断(特に特殊なタイプのもの)
慢性肝炎など
血管造影
大腿動脈からカテーテルを
入れて,肝臓への血管の
走行を見る.
血流状態をみる.
CTと組み合わせで
最も腫瘍の鋭敏な検査
治療にも応用
・TAE,TAI
・ステント
肝生検
慢性肝炎の活動性の診断
炎症の強さ
進展する速さ
線維化の状態
進展した程度
腫瘍の生検
良性か悪性か,
同じ種類のものか(複数ある時)
特殊な肝炎や肝硬変
自己免疫性肝炎
原発性胆汁性肝硬変
鑑別診断など
脂肪肝と脂肪肝炎
肝硬変と慢性肝炎
アルコール性肝障害患者
42歳 男性
2ヶ月前より食欲不振となり、倦怠感も強く
なったため受診した。
以前はかなりアルコールを飲んでいたが最近
はあまり飲まなくなっていたという。
経営者でもあり、ストレスもかなり多い。
アルコール性肝障害 42歳 男性
TBil
DBil
TP
Alb
γglob
6.8
4.3
4.7
2.6
19.3%
PT
NH3
54%
17
AST
ALT499
GGTP
ALP
CHE
290
880
616
132
RBC
331万
PLT13.6万
肝硬変の重症度
肝硬変の重症度は,肝臓の残された機能で見る.
チャイルド ピューの分類
1点
2点
3点
血清ビリルビン
血清アルブミン
1-2
3.5以上
2-3
2.8–3.5
3以上
2.8未満
腹水
脳症
プロトロンビン時間%
なし
なし
80以上
軽度
1-2
50-80
中等度
3-4
50以下
A; 5-6点,B; 7-9点,C; 10-15点
アルコール性肝障害 入院後の経過
05/16
05/26
07/08
08/05
TP
ALB
TB
AST
4.7
2.6
6.8
290
6.6
3.6
1.6
46
7.6
4.7
0.8
29
7.2
4.8
0.8
22
ALT
GGTP
PT
499
880
54%
78
381
100
20
145
100
15
49
100
ChE
RBC
132
331
185
365
267
433
264
431
肝硬変患者における運動療法とBCAA療法
62 才, 男性, HCV 陽性
腹水 3L
94/8 EVL
96/4 TAI
96/10 TAE (4cm)
2002/7 開腹手術 S1
運動
BCAA granule
ED with BCAA
オリゴ糖
4
ALB
3.5
3.5
3
3.0
2.5
2.5
2
2.0
1.5
1.5
1
1.0
TB
0.5
0
90
80
70
50
50
40
30
30
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
27
29
31
33
35
37
PT
NH3
70
60
93
20
10
0
96
93
96
1
3
5
97
7
97
9
11
13
98
15
98
99
17
19
21
99
2000
2000 2001 2002
23
25
27
29
31
33
35
参考図書
池見酉次郎 ヘルスアート入門 創元社 1995年
森津洋子 家族が「がん」になったとき真っ先に読む本 誰も教えてくれ
なかった介護法と心のケア ベストセラ-ズ 1998
坪野吉孝 食べ物とがん予防 文春新書 健康情報をどう読むか 文藝
春秋 2002
米国対がん協会 坪野吉孝訳:「がん」になってからの食事療法 ー米
国対がん協会の最新ガイドー、 法研
フランク・オスキー 牛乳には危険がいっぱい 東洋経済新聞社
2003
加藤眞三 肝臓病教室のすすめ メディカルレビュー 2002
ウォルターC.ウィレット 前田和久訳 太らない、病気にならない、おい
しいダイエット ハーバード・メディカル・スクール公式ガイド 光文社、
加藤眞三: 肝臓病生活指導テキスト 南江堂
加藤眞三: 患者学のすすめ 春秋社