Transcript 16_Beam10

ビーム物理研究会 2010
東北大 t-ACTS 計画での加速管中の
Velocity Bunching を用いた超短バンチ生成
東北大学電子光理学研究センター(旧核理研)
宮原房史、柏木茂、河合正之、田中佑、南部健一、
日出富士雄、武藤俊哉、李相坤、浜広幸
1. t-ACTS 計画の概要
2. 加速管中での Velocity Bunching
3. 熱陰極高周波電子銃から放出される
電子ビームの特性
4. 3次元シミュレーションコードを用いた
Velocity Bunching による超短バンチ電子
ビーム生成の評価
5. ショートレンジの縦方向 wakefield が
バンチ圧縮に与える影響
t-ACTS Project
test Accelerator as Coherent THz Source
15 m
加速器を用いたコヒーレントテラヘルツ光源の開発
アンジュレータを用いた光源
・コヒーレント放射光
・共振器型の prebunched-FEL
アイソクロナスリングからのコヒーレント放射光
コヒーレント放射光
コヒーレント放射の強度
W ( )  W0 ( )( N e  N e ( N e  1) | F ( ) |2 )
1THz
W0 :電子1個からの放射
2
F :電子ビームの形状因子
N e :バンチに含まれる電子の数
THz領域のコヒーレント放射光を生成
するために十分な形状因子を得るため
には 100 フェムト秒以下の超短バンチ電
子ビームが必要
バンチ圧縮が必要
圧縮方法は?
バンチ長がそれぞれ s=100, 200,
300 fs の電子ビームの形状因子
(ガウス分布)
・アンジュレータからのコヒーレントTHz放射光
低エネルギー(Ee≒17 MeV)のビームを短距離で圧縮したい
Velocity Bunching
・アイソクロナスリングからのコヒーレントTHz放射光
Magnetic Compression
Velocity Bunching
L. Serafini and M. Ferrario, Proc. Of ICFA Workshop on the
Physics of, and Science with, The X-Ray Free-Electron Laser, Sept 2000.
・β< 1 の電子バンチを加速管入り口付近でバンチをゼロクロス付近の
オフクレスト位相に乗せる
・バンチの位相は加速管中でクレストへ移動していく
シンプルな定式化
RF Field:
Ez   E0 sin(t  kz  0 )

phase velocity:  r c
Hamiltonian:
H     r  2  1   cos 

eE0
mc 2 k
加速管入口での位相を 0 に選び、Hamiltonian
が不変であることを利用すると
Compression factor C は十分加速された後では
C
2 0 | sin  ex |
 :入口での平均のエネルギー
0
 0:入口でのバンチ長(位相)
 1  0 
4
 0  

 ex:出口での平均の位相


 0 0 
で与えられ、バンチ長は 1/C となる
2
現実には加速管に入るバンチの位相空間分布に依存
電子銃から放出されるビームの特性
独立二空胴型熱陰極高周波電子銃
Independently Tunable Cells (ITC) RF-Gun
独立した二つの空胴を持ち、各
空胴に入力する電力と位相を変
える事ができる
放出される電子ビームの縦方向
位相空間分布をコントロールする
事が可能
General Particle Tracer (GPT)
縦方向位相空間分布で非常に細いビーム
LaB6 熱陰極カソード
電子銃出口での縦方向位相空間分布
GPT simulation
・Top energy から 0 MeV
までの連続的な分布
・バンチ先頭の高エネルギー
部分に電荷が集中
全体で約 200 pC
ITC RF-gun: E1=25 MV/m, E2=70 MV/m
等ポテンシャルの線に沿う形で
加速管に乗せられればバンチ長
を非常に短くできる
ビーム電流 1.2 A (50 A/cm2)
エネルギー選択と縦方向位相空間分布の回転が必要
アルファ磁石を用いた縦方向位相空間分布の回転
縦方向:
横方向:
出口
入口
水平方向
鉛直方向
・行路差により縦方向位相空間分布
の回転が可能
・スリットを用いてエネルギー選択
(Dp/p < 2% → 20 pC)
加速管入口での縦方向位相空間分布が
バンチ圧縮に最適となるように磁場勾配を
調整して縦方向位相空間分布の回転の
角度を変える事ができる
・実際には6次元位相空間の転送に
結合項がある
・空間電荷効果
解析的な評価は非常に困難
数値計算による確認(Velocity Bunching)
計算条件
Linac
・3m の 2/3 p モード進行波型加速管
・E0 =7 MV/m
Beam
・平均エネルギー 0 = 4.3 (T=1.69 MeV)
・エネルギー広がり(RMS): D/ =0.012
・バンチ長(RMS): 0.58 mm (= 2 psec)
・縦方向位相空間に一様な分布
バンチ前方が高エネルギー
バンチ後方が高エネルギー
の2種類
加速管入口での縦方向位相空間分布
2つの分布について加速管入口での入射位相を変えながら
加速後のバンチ長が最少となる位相を探す
(解析的に近似解を求める事も可能)
入射位相とバンチ長
・GPT を用いて計算
・空間電荷効果、beam loading は考慮しない
バンチ前方が高エネルギー
バンチ後方が高エネルギー
どちらの位相分布を選んでもバンチ長
は 100 fsec 以下となる。
反対側の場合
この移動の分だけ遅れる
最短となる初期位相
バンチ前方が高エネルギー
⇒ -11°(クレストから遠い位相)
エネルギーは約 16.5 MeV
バンチ後方が高エネルギー
⇒ +9°(クレストに近い位相)
エネルギーは約 17.5 MeV
加速管中での縦方向位相空間分布
加速管入口付近での変化
縦方向位相空間分布でバンチ前方の
エネルギーが高い場合、低エネルギー
の状態が長いため、空間電荷効果の影響
を多く受ける
バンチ前方が低エネルギーの方が
望ましい
加速管中での位相の変化
t-ACTS のシステムで現実的なシミュレーションを行い評価
全体を通したシミュレーション
熱陰極 RF電子銃 → アルファ磁石 → 加速管
GPT を用いた 3 次元の数値シミュレーション
条件
空間電荷効果:Spacecharge3D
ITC RF-gun: E1=25 MV/m, E2=70 MV/m
ビーム電流 1.2 A (50 A/cm2)
マクロ粒子数 68000
Alpha Magnet: 加速管入口でバンチ前方のエネルギーが小さくなる形で
縦方向位相空間分布を傾ける
磁場勾配 3 T/m
エネルギースリットで先頭の 20pC を選択( T > 1.66 MeV)
Linac: Constant gradient 2/3 p traveling wave linac with beam loading
E0 =8 MV/m
加速管入口での初期位相 +5 °(クレストを +90°としたとき)
加速管入口、出口での位相空間分布とバンチ長
1.7 MeV
17 MeV
加速管中でのバンチ長とエネルギー
95fsec
拡
大
加速管入口、出口での
縦方向位相空間分布
横方向位相空間分布
加速管出口での
横方向位相空間分布
加速管出口でのビームサイズ
加速管出口で最小となる様にアルファ磁石の前後に
設置した四極磁石の位置・磁場勾配を調整した場合
sx =2.5 mm
sy =2.8 mm
normalized RMS emittance
α磁石出口 enx=0. 7p mm mrad
加速管入口 enx=2.8 p mm mrad
加速管出口 enx=2.9 p mm mrad
enx=0.7 p mm mrad
eny=2.3 p mm mrad
eny=2.7 p mm mrad
加速管中の wakefield がバンチ圧縮に与える影響
バンチ長が非常に短いため、ショートレンジの wakefield がバンチ圧縮、バンチ形状に
与える影響を調べた。 (GPT ではショートレンジの wakefield は考慮されていない)
加速管中のショートレンジの縦方向の wake function
SLAC-PUB-9663 (2003), Karl L.F Bane

Z 0c
s 
WL ( s ) 
 ( s ) exp  

2
pa
 s00 

g
a
S00  

8   ( g / L) L 
2
 ( x)  1  1 x  (1  21 ) x, 1  0.4648
Z0 = 120 pW
a: アイリス半径
g: ギャップ長
L: 周期長
t
E (t ) 
( 12mm)
(29.99 mm)
(34.99 mm)
 W (t   ) I ( )d

バンチの電荷 20 pC 、ガウス分布のときの
縦方向の wake potential
ショートレンジの wakefield によるバンチ長の変化
縦方向の wakefield を入れた1次元シミュレーションによる評価(空間電荷効果無し)
・E0 =8 MV/m
・加速管入口の縦方向位相空間分布は GPT から得た分布
・加速管の初期位相 4°(バンチ長が最短となる位相)
加速管中( 0 ≦ z < 3 mm)でのバンチ長の
増加は 20%
電荷 20 pC の場合、 wakefield がバンチ長
に与える影響は十分小さい
加速管中でのバンチ長の変化
まとめ
t-ACTS 計画で は100 fsec 以下の超短バンチ電子ビームが必要
β < 1 の低エネルギー領域でコンパクトなバンチ圧縮システムとして
Velocity Bunching の手法を検討
・熱陰極 RF-gun からの電子ビームの縦方向位相空間分布を
アルファ磁石を用いて回転
・初期位相がゼロクロス付近のオフクレストで加速
1. 数値シミュレーション(GPT)を用いた評価
・縦横行位相空間の傾きに依らず 100 fsec 以下となる
・バンチ前方のエネルギーが低い方が良い
2. Alpha Magnet と加速管に現実的なパラメータを与え、
実現可能かどうか調べた
初期位相に +5°を選び、バンチ長 95 fsec の
超短バンチ電子ビーム生成を確認
3. ショートレンジの wakefield の影響を評価
バンチ圧縮には影響は無さそう