Transcript Project-5-1
塩害促進条件の違いがRC床版 の材料劣化に及ぼす影響 161114 高洲 勇太 161208 渡部 愛美 背景 コンクリート構造物の早期 劣化が社会問題 道路橋RC床版 融雪剤の大量散布により しかし、道路橋RC床版に対 塩害劣化が深刻化し、今 して塩害劣化を評価する塩 後塩害劣化の加速が予想 害促進試験はあまり行われ される ていない 写真-2 写真-1 塩害を受けた道路橋 融雪剤散布 写真1 ㈱北海道ロードサービスH.P 写真2 ショーボンド建設㈱H.P より 研究目的 道路橋RC床版を模擬した供試体に対し て3条件で塩害促進試験を考案 ① 目視による劣化状況と、自然電位測定による 内部鉄筋の腐食度合いの調査・検討を試みる ② それぞれの塩分浸透状況を詳しく調査する これらの試験方法が塩害の進行に及ぼす 影響について検討を行った 実験概要 塩害促進試験方法 1. 比較的小型の供試体に用 いられる促進方法 浸漬 2. 上部からの融雪剤の散布 が行われている床版を想定 散布 3. すでに塩分が浸透してい る床版を想定 内在 塩害促進試験状況 内在供試体 散布供試体 浸漬供試体 コンクリート練混ぜ時、外割りで 溶液を7日に一度供試体上面に満遍なく散布 溶液に3.5日全面浸漬の後3.5日の全面乾燥 10kg/m3のNaCl添加 供試体概要 単位量(kg/m3) 30mm AE剤 30mm 174 264 857 996 172 250mm 100mm 2.64 320 815 1005 3.20 1000mm 53.9% 46.0 30mm 30mm 浸漬‐2 G S SD295A D16 1200mm 50mm 160mm 1200mm 浸漬‐1・内在・散布 66.0% 47.6 C SD295A D16 50mm W 50mm s/a 160mm W/C 調査項目~塩害促進試験~ ①自然電位の測定 ③電位差滴定試験 ②目視による鉄筋腐食状況の確認 実験結果 鉄筋腐食判定 ~自然電位測定~ 浸漬供試体-1 1 初回測定時:31日目 -550--500 -500--450 -450--400 -400--350 -350--300 -300--250 表 鉄筋腐食判定基準(ASTM C 876) 供試体全面で腐食 の可能性を示した 自然電位 E (mV CSE) 鉄筋腐食の可能性 -200<E 90%以上の確率で腐食なし -350<E≦-200 不確定 E≦-350 90%以上の確率で腐食あり 鉄筋腐食判定 ~自然電位測定~ 散布供試体 1 測定2回目:80日目 初回測定時:31日目 -550--500 -500--450 -450--400 -400--350 -350--300 -300--250 表 鉄筋腐食判定基準(ASTM C 876) 供試体全面で腐食 供試体中央部で腐 の可能性を示した 食不確定を示した 自然電位 E (mV CSE) 鉄筋腐食の可能性 -200<E 90%以上の確率で腐食なし -350<E≦-200 不確定 E≦-350 90%以上の確率で腐食あり 鉄筋腐食判定 ~自然電位測定~ 内在供試体 1 初回測定時:62日目 -550--500 -500--450 -450--400 -400--350 -350--300 -300--250 表 鉄筋腐食判定基準(ASTM C 876) 供試体全面で腐食 の可能性を示した 自然電位 E (mV CSE) 鉄筋腐食の可能性 -200<E 90%以上の確率で腐食なし -350<E≦-200 不確定 E≦-350 90%以上の確率で腐食あり ひび割れ進行状況 ~内在供試体~ 材齢81日目 材齢170日目 配力筋方向にひび割れ 主筋方向のひび割れが顕著:0.20~0.30mm 主筋方向にひび割れが広がる 塩化物イオン濃度分布 ~浸漬供試体-1・浸漬供試体-2~ 浸漬供試体-1(促進期間135日) 浸漬供試体-2(促進期間323日) 鋼材腐食発生限界濃度 塩化物イオン濃度(kg/m 3 ) 14.00 12.00 打設面で濃度高の傾向 鉄筋位置 10.00 高 拡散作用により外部から内 部へ塩分が浸透 8.00 低 浸透時の重力による影響 鉄筋位置 6.00 浸漬供試体‐1ほどではないが 打設時の振動による底面組織の緻密化 鋼材腐食発生限界濃度を超え 約6.0~7.0kg/㎥ る結果一般的な鋼材腐食発生 4.00 限界濃度 1.2㎏/m3 2.00 0.00 0 打設面 20 40 60 80 100 120 構造物表面からの距離(mm) 140 160 底面 塩化物イオン濃度(kg/m3) 塩化物イオン濃度分布 ~散布供試体~ 14.00 散布供試体(促進期間135日) 12.00 鋼材腐食発生限界濃度 10.00 拡散作用により外部か ら内部に向かって塩分 が浸透 鋼材腐食発生限界濃度の 2倍以上 90mm付近で ほぼ0kg/㎥ 8.00 6.00 4.00 2.00 0.00 0 打設面 20 40 60 80 100 120 構造物表面からの距離(mm) 140 160 底面 塩化物イオン濃度分布 ~内在供試体~ 塩化物イオン濃度(kg/m 3 ) 14.00 内在供試体(材齢200日) 5mm 鋼材腐食発生限界濃度 12.00 高 10.00 低 打設面 8.00 6.00 塩化物イオン濃度分布は 打設面側での風雨による洗い流し 初期の塩化物イオン濃 打設面で低く、内部で高い 度 中性化による影響 6.0kg/㎥ 傾向 4.00 2.00 0.00 0 底面打設面 20 40 60 80 100 120 構造物表面からの距離(mm) 140 160 底面 見かけの拡散係数の比較 促進方法が異なる浸漬供試体-1 同一促進方法の浸漬供試体-1 と散布供試体の比較 と浸漬供試体-2の比較 拡散係数に大きな差はない 2 見かけの拡散係数(cm /年) 10 拡散係数に大きな差が見られた 9 8 7 6 浸漬供試体-2は浸漬供試 体-1より水セメント比が低 5 く、より組織が緻密である 4 ため塩分の拡散が抑制さ 3 れたと考えられる 2 1 0 散布供試体 W/C=66.0% 打設面 底面 それぞれ同一配合で あるため、強制的な乾 湿を与えている浸漬供 試体-1で多少拡散係 W/C=53.9% 数が高くなる傾向を示 した 浸漬供試体-1 浸漬供試体-2 鉄筋腐食状況 ~浸漬供試体‐2~ 鉄筋位置での塩化物イオン濃度 130mm : 1.8kg/㎥ 供試体全面で部分的 な腐食が見られた 鋼材自体に大きな欠 損はほとんど見られ ない まとめ ・すべての供試体で鉄筋が腐食想定される塩分 今後の予定 量が見られたが、鉄筋腐食を顕著に発生させる 今回促進試験を行った供試体を用い、輪荷 には内在供試体以外は不十分であった。 重走行試験を行い塩害劣化度合いの異な (内在供試体のみ腐食ひび割れが確認された) るRC床版の疲労耐久性の調査検討を行う 予定 ・塩分供給条件が異なっても、見かけの拡散係 数には大きな影響を及ぼさず、配合(水セメント 比)が支配的要因となる。