Transcript 発表資料
組み合わせ商品の有効性 専修大学非耐久財班 榊 玉島 崇光 小林 雅大 大地 南雲 亮佑 福田 佳緒理 2009/12/05 1 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の限界 7:参考文献・URL 2 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の限界 7:参考文献・URL 3 Senshu Univ. Okuse Seminer 研究動機 市場の多くは成熟期を迎えている・・・ 4 DI(ディフュージョン・インデックス) 景気が回復しているのか後退しているのか 判断し、景気の山や谷といった転換点を把 握する。 景気動向指数DI(00'~09') 一致指数 先行指数 100.0 90.0 80.0 70.0 このままでは リーマン ショック 衰退期に移行してしまう・・・・ 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 IT不況 10.0 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 0.0 出所:内閣府「国民経済統計資料」 5 5 研究目的 「成熟市場における 新しい価値の提案」 6 研究対象 我々の興味や関心の対象であった ビール業界に注目!! 7 研究対象 ビール業界 ビール 発泡酒 Ex:キリンラガービール Ex:麒麟淡麗〈生〉 新ジャンル Ex:のどごし〈生〉 利益率が最も高い 8 Senshu Univ. Okuse Seminer 出所:キリンビールHP ニーズの可能性 キリンビール荒蒔社長・・・ 「低価格だけに終わらない価値を 持 つ新商品を消費者が受け入れてくれる 可能性は大いにある」 (出所:日経流通新聞2001/05/29) 9 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の限界 7:参考文献・URL 10 Senshu Univ. Okuse Seminer 現状分析 課税数量の推移(大手5社計) 800 700 600 (万kℓ) 500 新ジャンル 発泡酒 ビール 400 300 200 100 0 1999 2000 2001 2002 Senshu Univ. Okuse Seminer 2003 2004 (年) 2005 2006 2007 2008 KIRIN DATE BOOK2008 http://tools.euroland.jp/arinhtml/jp11 krn/2008/ar_eng_2008_2/ 参照 ロングセラー商品 「辛口」という新しい 価値を創造した 「1987年:これまで苦味が強いというこれまでのビールと異なった 「辛口」という独自のコンセプトを打ち出し、販売初年度には計画の 10倍以上の売り上げである1350万ケースを達成した。 2008年には20年連続で1億ケースを達成した。」 出所:アサヒビールHP 12 Senshu Univ. Okuse Seminer 定義 先発商品・・・新しい価値を創造したもの 後発商品・・・先発商品を模倣したもの 13 Senshu Univ. Okuse Seminer ドライ戦争 「辛口」という新しい 価値を創造した 模倣 キリンドライ サッポロWドライ サントリードライ 14 Senshu Univ. Okuse Seminer ドライ戦争 「辛口」という新しい 価値を創造した 先発商品は 模倣 有効 キリンドライ サッポロWドライ サントリードライ 15 Senshu Univ. Okuse Seminer 先行研究 梅澤(2001) 市場シェア№1の比率 先発商品を 開発した方が 圧倒的有利 先発商品 後発商品 日経市場占有率 52.30% 47.70% 109の大市場 『矢野経済・日本マーケットシェア辞典』 55.30% 44.70% 114の中小市場 53.80% 46.20% 223の大中小市場 合計 市場数 2つの成功率(№1率)比較 見かけの成功率比較 (現在シェア№1がベース) 先発商品が10年以上シェア №1を保つ率 後発商品が№1になれる率 かくれた真実の成功率比較 (発売数がベース) 53.80% 53.80% 46.20% 0.50% 16 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の課題 7:参考文献・URL 17 Senshu Univ. Okuse Seminer 先発商品が少ない理由 ①企業としては先発商品を創ることができていない ②企業としては先発商品を創りたがらない ③企業としては先発商品を創りづらい 18 Senshu Univ. Okuse Seminer ①企業としては先発商品を 創ることができていない 柳田(1997) 「今までと違った商品を市場投入したと各企業が 考えても、消費者から見ると、それらは新市場にお いて競合しているひとつの商品に過ぎない。」 出所:『中身新商品「スーパードライ」の衝撃』 19 Senshu Univ. Okuse Seminer ①企業としては先発商品を 創ることができていない 食い違い 企業 消費者に先発商品として見られていない 消費者 「先発商品」 として提供 「後発商品」 として捉える 商品 Senshu Univ. Okuse Seminer 20 ②企業としては先発商品を創りたがらない 先発商品には需要の不確実性が存在 企業はリスクを冒したくない ジョン・A・クウェルチ&キャサリン・E・ジョック(2009) 企業は不況期において「コストを切り詰め 価格を下げ、新規投資を控える」 21 Senshu Univ. Okuse Seminer ③企業としては先発商品を創りづらい 成熟市場 H E A 新しい価値を見出せない C う B G D F 22 Senshu Univ. Okuse Seminer 他業界を見てみると・・・ 23 この商品を知っていますか? 出所:ロイズHP 24 組み合わせ商品の例(製菓市場) ROYCE ポテトチップチョコレート これをビール市場に しょっぱさ 甘さ 応用できないだろうか? 出所:ロイズHP 甘じょっぱさ という新しい価値を提供 25 Senshu Univ. Okuse Seminer ①企業としては先発商品を 創ることができていない 企業 「組み合わせ商品」 を提供 消費者 「先発商品」 として捉える 26 Senshu Univ. Okuse Seminer ②企業としては先発商品を創りたがらない 既存属性 × 既存属性 → 組み合わせ商品 (EX:ドライビール) (EX:黒ビール) 既に消費者に受け入れられている (EX:黒ドライビール) 興味を喚起 ? リスクを低減できる!! 27 Senshu Univ. Okuse Seminer ③企業としては先発商品を創りづらい H E A 既存属性を組み合わせることで ED C AB う G 新しい属性を創造できる D B F 28 仮説 仮説① 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者の興味を喚起できる。 仮説② 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者に新しいものと認知される。 29 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の課題 7:参考文献・URL 30 Senshu Univ. Okuse Seminer 仮説 仮説① 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者の興味を喚起できる。 仮説② 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者に新しいものと認知される。 31 Senshu Univ. Okuse Seminer アンケート概要 実施期間:2009年11月6日~12日 対象:ビールを月1回以上飲用する20~82歳の男女 実施方法:質問紙調査 回答数:111人(有効回答数:104人/各グループ:26人) 実施目的:既存の先発商品の属性を組み合わせたものが、「興味を 喚起できるのか」「新しいものとして認知されるのか」を調査する。 32 Senshu Univ. Okuse Seminer 実証方法 仮説を実証するために、SPSSによる二元配置分散分 析を行う。 二元配置分散分析とは・・・2つの変数の影響(主効果) に加え、2変数の組み合わせの影響(交互効果)も検討 することが可能な分析方法である。 33 Senshu Univ. Okuse Seminer 実証方法 今回の分析では、従属変数「気になる」「新しい」 を用いて、独立変数には黒ビール属性とドライビ ール属性について、2要因×2水準で4つの商品 に分類し、独立変数の相違について検証した。 黒ビール ドライ ビール あり なし あり シンハー黒ドライ スーパードライ なし 黒生 シンハーラガー 34 仮説①実証 仮説① 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者の興味を喚起できる。 実証方法:アンケートの「気になる」という項目に関して、 先発商品(スーパードライ・黒生) 後発商品(シンハーラガー) 組み合わせ商品(シンハー黒ドライ) で7件法(全くそう思う~全くそう思わない)で回答を求めた ものを従属変数として分析を行う。 Senshu Univ. Okuse Seminer 35 仮説①実証 0.009<0.01 有意 0.042<0.05 有意 非有意 36 Senshu Univ. Okuse Seminer 仮説①実証 黒ビール属性、ドライビール属性は共に主効果がある 黒ビール属性とドライビール属性には交互効果はない 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者の興味を喚起するのには有効ではない 37 Senshu Univ. Okuse Seminer 仮説②実証 仮説② 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者に新しいものと認知される。 実証方法:アンケート「新しい」という項目に関して、 先発商品(スーパードライ・黒生) 後発商品(シンハーラガー) 組み合わせ商品(シンハー黒ドライ) で7件法(全くそう思う~全くそう思わない)で回答を求めたもの を従属変数として分析を行う。 38 Senshu Univ. Okuse Seminer 仮説②実証 非有意 0.004<0.01 有意 0.012<0.05 有意 黒なし 黒あり Senshu Univ. Okuse Seminer 39 仮説②実証 黒ビール属性とドライビール属性には交互効果はある 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者に新しいものと認知された 40 Senshu Univ. Okuse Seminer 仮説 仮説① 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者の興味を喚起できる。 仮説② 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は 消費者に新しいものと認知される。 41 Senshu Univ. Okuse Seminer まとめ 仮説Ⅰ・Ⅱより 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品は、 消費者の興味を喚起することはできないが 新しいものとして認知される 42 Senshu Univ. Okuse Seminer 「シンハー」の影響 実証結果に、「シンハー」というブランドの効果が 影響していないかを検証するために、SPSSによ る一元配置分散分析を用いる。 実証方法:グループA・B・C・Dに「シンハー」ブランドの商品を入れ、 「新しい」という項目で一元配置分散分析にかける。 このとき、ブランド間に差がある場合、「シンハー」というブラン ドの効果による影響がなかったと仮定する。 43 Senshu Univ. Okuse Seminer マニュピュレーションチェック 非有意 飲用頻度・ブランド知識 の平均値に差はない Senshu Univ. Okuse Seminer グループA・B・C・Dは 飲用頻度・ブランド知識 において差がない 44 「シンハー」の影響 0.065<0.1 有意 平均値に差がある グループ間に差がある → 「シンハー」のブランド 効果は回答に影響していない 45 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の限界 7:参考文献・URL 46 Senshu Univ. Okuse Seminer 分析結果より 「シンハー黒ドライ」が「新しい」と思われたのは 「シンハー」というブランドが新しいというわけではなく 「黒ドライビール」というものが新しいと思われた 既存の先発商品の属性を組み合わせた商品 によって、「新しい属性」を創造できる 「黒ドライビール」という属性が 新しい属性と消費者に認知された 47 Senshu Univ. Okuse Seminer インプリケーション 他業界にも応用できるのではないだろうか? Ex:緑茶業界 渋い 高品質 甘渋い 甘い 甘い 濃い 苦い すっきり すっきり苦い 48 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6:本研究の限界 7:参考文献・URL 49 Senshu Univ. Okuse Seminer 本研究の限界 アンケートのサンプル数 実現可能性 他業界への汎用性の実証 50 Senshu Univ. Okuse Seminer アウトライン 1:研究動機・目的 2:現状分析 3:問題意識 4:仮説検証 5:まとめ 6: 7:参考文献・URL 51 Senshu Univ. Okuse Seminer 参考文献 1:恩蔵直人(2007) 『コモディティ化市場のマーケティング論理』有斐閣 2:梅澤伸嘉(2001) 『長期ナンバーワン商品の法則』ダイヤモンド社 (2001) 『ヒット商品の法則』 ダイヤモンド社 3:杉本徹雄(1997) 『消費者理解のための心理学』 福村出版 4:日本経済新聞記事(2001/5/29) 5:杉田善弘(2001)「新製品開発と先発の優位:米国における研究成果」(池尾恭一編 『マーケティン グレビュー』同文舘出版 第2章 [11~20貢]) 6:Kotler,Philip(2001),”MarketingManagement:Millennium Edition, Tenth Edition”(月谷真紀訳『コ トラーのマーケティング・マネジメト ミレニアム版』ピアゾン・エデュケーション) 7:柳田卓爾(1997)「中身商品「スーパードライ」の衝撃」『商品研究』日本商品学会 第48巻・第2 号・[30~44貢] 8:永井隆(2002) 『ビール15年戦争』 日本経済新聞社 9:松井康雄(2005) 『たかがビール されどビール -スーパードライ、18年目の真実-』 日本工業新聞社 10:和田充夫(2005) 『マーケティング用語辞典』 (日本マーケティング協会編) 日本経済新聞社 11:Quelch,John,A.and Jocz,Katherine,E.(2009) “How to market in a downturn” (ダイヤモンド社編 関美和訳『ハーバードビジネスレビュー』ダイヤモンド社 第34巻・第2 号・[106~120項]) 52 Senshu Univ. Okuse Seminer 参考URL 1:キリンビールHP http://www.kirin.co.jp/(2009/11/4アクセス) 2:サッポロビールHP http://www.sapporobeer.jp/ (2009/11/4アクセス) 3:サントリーHP http://www.suntory.co.jp/ (2009/11/4アクセス) 4:アサヒビールHP http://www.asahibeer.co.jp/ (2009/11/4アクセス) 5:ビール酒造組合 http://www.brewers.or.jp/ (2009/11/10アクセス) 6:ロイズHP http://www.e-royce.com/(2009/12/4アクセス) 53 Senshu Univ. Okuse Seminer ご静聴ありがとうございました 54 Senshu Univ. Okuse Seminer 質問対策 55 DI(ディフュージョン・インデックス) 景気が回復しているのか後退しているのか 判断し、景気の山や谷といった転換点を把 握する。 景気動向指数DI(00'~09') 一致指数 先行指数 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 リーマン ショック 50.0 40.0 30.0 20.0 IT不況 10.0 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 0.0 出所:内閣府「国民経済統計資料」 56 56 ビールの減税の可能性 「民主党政権では、アルコール度数に比例して 課税を検討」 ⇒ビール類は主に5% よって、差がなくなる 出所:ロイター(2009/8/31) 57