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人工心肺回路圧力損失予測システムの試作
仙台循環器病センター 臨床工学科
前田寿 早坂啓 鈴木信司
Sendai Cardiovascular Center
目的
人工心肺回路は、回路充填量の低減や術野視野の確保などを
目的に細径化が求められるが、回路の細径化は圧力損失の増大
を招き、体外循環の安全性に深く関与するため、変更にあたって
は十分な検討が必要となる。
今回、こうした場合における具体的な指標を得るために、使用さ
れる導管の長さや径、使用部材などから送・脱血回路の圧力損失
を求めるシステムを試作した。
Sendai Cardiovascular Center
方法 システムの構成(演算式)
ρu
⊿Pf
= 4f ・
2
f=
f=
2
・
L
D
(Fanningの式)
導管壁の粗さを考慮する
16
Re
Re < 3000(Hagen-Poiseuilleの式) 層流に対応
0.0626
[ log((e/3.7D)+(5.74/Re 0.9 )) ] 2
3000 < Re < 3000000(Karmanの近似式) 乱流に対応
3000 < Re < 100000(Blasiusの近似式) 乱流に対応
f = 0.0791・Re -0.25
⊿Pf:摩擦圧力損失
h :摩擦圧損水頭
f :摩擦係数
h = λ・
L
u2
・
(Darcy-Weisbachの式)
D
2g
64
λ=
Re
λ= 0.3164・Re -0.25
λ=
導管壁の粗さが不明でも圧力損失を求められ
る
0.0032+0.221
Re 0.237
Re < 3000(Hagen-Poiseuilleの式) 層流に対応
3000 < Re < 100000(Blasiusの近似式) 乱流に対応
3000 < Re < 1000000(Blasiusの近似式) 乱流に対応
λ:摩擦係数
D[m]:内径
L[m]:管長
Q[m3/s]:流量
ρ[kg/m]:流体密度
η[Pa・s]:粘性係数
u[m3/s]:管内平均流速
e’[mm]:管壁の粗さ
予備式
u=
Q
(πD 2/4)
Re =
ρuD
η
g[m/s2]:重力加速度
管壁の粗度= e/D(注意:e[m]/D[m])
Re:レイノルズ数
システムは6通りの演算を同時に行うが、流れの条件や入力された値によって適応外と
なるものが生じるため、これらを自動的に判断し適応する結果のみを表示する仕組みとした
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方法 システムの構成(入力画面)
流量、導管内径、導管長の入力で計算可能
入力作業簡略化のため初期値を設定
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方法 算出値の精度確認
圧損(システム算出値)
水柱メータ
入口圧
水柱メータ
比較
比較
汲み上げ用
ポンプ
水面
圧損
圧損
(入口-出口圧)
(落差)
出口圧
水面
導管内径6~12 長さ800~3300mm
タイゴンチューブ
ポンプ送水試験
落差送水試験
同じチューブにて落差試験を行い、ポンプ送水と同じ
流量を確保できる落差を求め算出値と比較した。
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結果 圧力損失算出画面
システムは導管内の流れや入力された値などが、算出条件に適応した演算結果を表示した。
流量4.5L/min
カニューレの圧損
カニューレからリザーバーまでの回路の圧損
リザーバーの圧損
回路全体の圧損
層流
乱流
乱流
層流
乱流
乱流
管内の流れは中度の乱流であったため、層流と高度な乱流
に対応する項目は空白となる
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結果 圧力損失算出画面
回路全体の圧損
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結果 実測値と算出値の比較
~ ポンプ送水試験 ~
50
50
y = 1.0447x
R2 = 0.9695
p<0.001
n=63
40
30
算出値
算出値
40
20
30
20
10
10
0
0
0
10
20
y = 0.9911x
R2 = 0.9719
p<0.001
n=63
30
40
実測値
導管壁の粗さを考慮する式
(Fanning式)
50
0
10
20
30
40
50
実測値
導管壁の粗さが不明でも圧力損失を求められる式
(Darcy-Weisbach式)
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結果 実測値と算出値の比較
~ 落差送水試験 ~
チューブ規格
(mm)
実測内径
(mm)
実測全長
(mm)
流量
(L/min)
落差
(cm)
算出値
(cmH2O)
落差 / 算出値
12 × 800
12.58
800
7.23
17.8
9.4
約 1.9倍
12 × 800
12.44
800
6.99
17.3
9.3
約 1.9倍
10 × 800
9.43
800
4.64
27.0
17.2
約 1.6倍
10 × 800
9.28
800
4.64
26.0
18.6
約 1.4倍
6 × 800
6.15
800
1.80
27.1
25.5
約 1.1倍
6 × 1980
6.29
1980
1.12
27.4
25.0
約 1.1倍
6 × 1700(肉厚)
6.07
1700
1.26
28.2
31.1
約 1.0倍
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考察 問題点
落差試験において大口径の管になるほど算出値と
実測値が乖離する。
チューブ規格
(mm)
落差
(cm)
算出値
(cmH2O)
落差 / 算出値
12 × 800
17.8
9.4
約 1.9倍
12 × 800
17.3
9.3
約 1.9倍
10 × 800
27.0
17.2
約 1.6倍
10 × 800
26.0
18.6
約 1.4倍
6 × 800
27.1
25.5
約 1.1倍
6 × 1980
27.4
25.0
約 1.1倍
6 × 1700(肉厚)
28.2
31.1
約 1.0倍
大口径
小口径
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考察 流れの助走区間の影響
助走区間とは、静止した液体を導管に流入させた場合に、十分
に発達した流れに達するまでの区間のことであり、その長さは管
径のおよそ65倍とされ、この区間では圧力損失が余分に生じる。
助走区間
十分に発達した流れ
圧力損失が余分に生じる
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考察 各チューブの助走区間
チューブ規格
(mm)
落差 / 算出値
チューブ長
(mm)
助走区間
(mm)
12 × 800
約 1.9倍
800
818
12 × 800
約 1.9倍
800
809
10 × 800
約 1.6倍
800
613
10 × 800
約 1.4倍
800
603
6 × 800
約 1.1倍
800
400
6 × 1980
約 1.1倍
1980
409
6 × 1700(肉厚)
約 1.0倍
1700
395
助走区間が長い
助走区間が短い
12mmチューブは6mmチューブに比べ、全長に対する助走区間
の割合が多いため、計算値との乖離が大きいと考えられる。
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考察 実測値と算出値の比較
~ ポンプ送水試験 ~
50
y = 1.0447x
R2 = 0.9695
p<0.001
n=63
算出値
40
30
20
10
0
0
10
20
30
40
50
実測値
ポンプ送水による試験で、導管径に関係なく測定値と計算値が
一致するのは、流れが始めから十分に発達しており助走区間が
ないためと考える。
Sendai Cardiovascular Center
考察 脱血回路の圧力損失(必要落差)
脱血回路の圧力損失を正確に求めることは難しいと考えられる。
しかし、今回行った落差試験の回路条件は、実際に使用する回路
と同程度の長さであることから、求められた比率を利用することに
より、圧力損失(落差)の把握は可能と考える。
口径別のシステム算出値に対する補正値
チューブ規格(mm)
補正値
12
1.9倍
10
1.5倍
6
1.1倍
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結論
人工心肺送脱血回路の圧力損失予測システムを試作した。
●送血回路は正確な圧力損失値を算出した。
●脱血回路は誤差が大きいが規則性があるため、補正を行う
ことにより圧力損失値の把握は可能と考えられた。
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