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STENT留置時における拡張時間と拡張率の検討 仙台循環器病センター 臨床工学科 前田寿 早坂啓 鈴木信司 Sendai Cardiovascular Center 目的 STENT留置時において、拡張圧と拡張径の関係はコンプライアン スチャートから得られるが、拡張時間との関係については不明瞭で ある。今回、STENT留置時における拡張時間と拡張率の関係を検 証した。 Sendai Cardiovascular Center 対象および方法 2006年1月からこれまでにdirect stentingを実施した37症例。 年齢(歳)68±10 身長(cm)161±9 体重(kg)61±12 ♂29♀8 ステント留置直後のMSAとコンプライアンスチャートから求めた CSAを比較し拡張率を算出。 拡張率 = MSA / CSA (IVUS: Atlantis SR Pro2 40MHz) 病変形態(type A.B1/B2.C)、石灰化の有無、STENT type (open/closed)、各社STENT別に拡張時間と拡張率の関係を 検証した Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間/圧と拡張率の関係 ~ 全症例対象 ~ ●全症例を対象とした平均拡張率63% MSA/CSA 100% 100% y = 0.0022x + 0.5313 R2 = 0.1454 80% 80% p=0.02 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 y = 0.0101x + 0.4691 R2 = 0.1537 40 50 拡張時間と拡張率の関係 60 70 sec p=0.02 6 10 14 18 拡張圧と拡張率の関係 22 atm ●拡張時間と拡張率に相関は無かった。拡張圧と拡張率についても相関は 無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間と拡張率の関係 ~ 病変形態別 ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.0039x + 0.427 R2 = 0.4251 80% 80% p=0.03 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 y = 0.0017x + 0.5655 R2 = 0.0819 40 50 leasion type A.B1 60 70 sec p=0.16 10 20 30 40 50 60 70 sec leasion type B2.C ●病変形態別では、A,B1群において相関傾向があった。 ●B2,C群について相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張圧と拡張率の関係 ~ 病変形態別 ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.019x + 0.3059 R2 = 0.2746 80% 80% p=0.10 60% 60% 40% 40% 20% 20% 6 10 y = 0.0087x + 0.5 R2 = 0.1505 14 leasion type A.B1 18 22 atm p=0.05 6 10 14 18 22 atm leasion type B2.C ●病変形態別の拡張圧と拡張率については両群とも相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間と拡張率の関係 ~ 石灰化、非石灰化病変 ~ MSA/CSA 100% 80% 100% y = 0.0033x + 0.4644 R2 = 0.5032 80% p=0.02 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 y = 0.0015x + 0.5724 R2 = 0.0577 30 40 石灰化病変 50 60 70 sec p=0.24 10 20 30 40 50 60 70 sec 非石灰化病変 ●石灰化・非石灰化病変別では、石灰化病変群において弱い相関があった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張圧と拡張率の関係 ~ 石灰化、非石灰化病変 ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.0133x + 0.3778 R2 = 0.2317 80% 80% p=0.13 60% 60% 40% 40% 20% 20% 6 10 y = 0.0125x + 0.4507 R2 = 0.2348 14 石灰化病変 18 22 atm p=0.01 6 10 14 18 22 atm 非石灰化病変 ●石灰化・非石灰化病変別の拡張圧と拡張率では両群とも相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間と拡張率の関係 ~ STENT type別 ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.0009x + 0.5877 R2 = 0.0295 80% 80% p=0.45 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 40 y = 0.0042x + 0.438 R2 = 0.4285 50 open type 60 70 sec p=0.01 10 20 30 40 50 60 70 sec closed type ●stent type別(open/closed)では、closed type群において弱い相関があった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張圧と拡張率の関係 ~ STENT type別 ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.0093x + 0.4911 R2 = 0.1703 80% 80% p=0.06 60% 60% 40% 40% 20% 20% 6 10 y = 0.0202x + 0.2864 R2 = 0.2494 14 open type 18 22 atm p=0.06 6 10 14 18 22 atm closed type ●stent type別(open/closed)の拡張圧と拡張率では両群とも相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間/圧と拡張率の関係 ~ DRIVER STENT ~ MSA/CSA 100% 100% y = -0.0016x + 0.6793 R2 = 0.063 80% 80% p=0.43 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 40 y = 0.0067x + 0.5291 R2 = 0.1111 50 60 拡張時間と拡張率の関係 70 sec p=0.29 6 10 14 18 22 atm 拡張圧と拡張率の関係 ●driver stentでは、拡張時間・圧どちらも拡張率との相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間/圧と拡張率の関係 ~ TAXUS STENT ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.003x + 0.5057 R2 = 0.2446 80% 80% p=0.21 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 y = 0.016x + 0.384 R2 = 0.2638 40 50 60 拡張時間と拡張率の関係 70 sec p=0.19 6 10 14 18 22 atm 拡張圧と拡張率の関係 ●taxus stentでは、拡張時間・圧どちらも拡張率との相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間/圧と拡張率の関係 ~ DURAFLEX STENT ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.0025x + 0.5171 R2 = 0.0902 80% 80% p=0.62 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 40 y = 0.0216x + 0.2777 R2 = 0.1523 50 60 70 p=0.52 6 10 14 18 sec 拡張時間と拡張率の関係 22 atm 拡張圧と拡張率の関係 ●duraflex stentでは、拡張時間・圧どちらも拡張率との相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 結果 拡張時間/圧と拡張率の関係 ~ CYPHER STENT ~ MSA/CSA 100% 100% y = 0.0049x + 0.411 R2 = 0.7432 80% 80% p=0.001 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 40 y = 0.0199x + 0.2851 R2 = 0.3404 50 拡張時間と拡張率の関係 60 70 sec p=0.15 6 10 14 18 22 atm 拡張圧と拡張率の関係 ●cypher stentでは、拡張時間と拡張率について相関が認められた。 ●拡張圧と拡張率について相関は無かった。 Sendai Cardiovascular Center 考察 拡張時間と拡張率の相関が最も高かったのはcypher使用群であり、正の相関 を示している(R2=0.74) 。次いで相関率が高い項目は石灰化病変群であるが、 (R2=0.50)、この群ではcypher使用率が高く(45%)、cypherの使用が相関係数 を高めている可能性がある。 原因が石灰化なのかdevice typeであるのかを確認するため、open type stent のみで石灰化・非石灰化病変について拡張時間と拡張率の関係を検証すると、 非石灰化病変では相関は無く、石灰化病変で正の相関傾向がある。 100% 100% y = 0.0026x + 0.4829 R2 = 0.3221 80% y = 5E-05x + 0.6396 R2 = 9E-05 80% 60% 60% 40% 40% 20% 20% 10 20 30 40 50 石灰化病変 60 70 sec 10 20 30 40 50 60 70 sec 非石灰化病変 Sendai Cardiovascular Center 考察 結果で示した石灰化病変の相関係数0.50はcypherの影響を受けた値と 考えられるが、拡張時間が影響することも完全に否定できないことから、 石灰化病変においても拡張時間は考慮すべきと考える。 全症例の平均拡張率は63%だが、石灰化病変に対するSTENT留置と、 cypher使用時において、この値をクリアする拡張時間は回帰式から約50秒 となる。 オーバーサイズとなる拡張圧でMSAを確保することも一方法だが、これらの 症例においては拡張時間も考慮すべきと考える。 Sendai Cardiovascular Center 結論 direct stentingにおける拡張時間と拡張率の関係を検証した。 ●石灰化病変に対するSTENT留置とcypher STENT使用時に おいて、拡張率は拡張時間と正の相関があり、今回の対象 症例の平均拡張率63%を確保するには、約50秒の拡張時間 が必要である。 Sendai Cardiovascular Center