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体外循環中の静脈血酸素飽和度
予測システムの検討
仙台循環器病センター 臨床工学科
前田寿 早坂啓 鈴木信司
Sendai cardio vascular center
目的
体外循環施行時の静脈血酸素飽和度(以下、SvO2)は、
酸素運搬量の過不足を把握する上で重要な指標となる。
特に高度希釈、復温時あるいは予定した灌流量が維持
できない場合その重要性は増す。
SvO2の変動を予測するには、SvO2測定値および灌流
量や体温などの諸条件を考慮しなければならず、予測
の精度は操作者の経験量に大きく左右される。
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目的
山梨大学付属病院の樋口らは、経験量に依存しない
予測を行うために、Fickの式と臨床データからSvO2予測
式を作成した。
式は、灌流量、膀胱温、ヘモグロビン量(以下、Hb)が
それぞれ異なる条件でのSvO2を予測するものだが
通常行われると考える体外循環の範囲だけでも予測数
は数百通りにも及ぶため、式を利用するには自動計算
システムが必要となる。
今回、樋口らが作成した式を基にSvO2予測システムを
作成しその有用性の検討と予測式の追試を行った。
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対象
●人工心肺を使用した開心術12症例(2006年1月~6
月)
年齢
66±7
性別
冠動脈バイパス術
弁置換術
弁形成術
♂8 ♀4
6例 T-CABG(5), D-CABG(1)
5例 AVR(3), MVR(1), MVR+TAP(1)
1例 MVP+TAP(1)
●分析対象の臨床データ(総数57)
動脈血酸素飽和度(以下、SaO2)、SvO2、灌流量、膀胱温
送血温、脱血温、Hb
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方法 SvO2予測システムの作成
Fickの原理に基づく計算式
F=(W×R)÷[H×1.39×(A-V)]
SvO2算出式(樋口らが作成)
SvO2=A-(W×R×Ox)÷(F×H×1.39)×100
A:SaO2(%) V:SvO2 (%) W:体重(kg) F:灌流量(mL/min)
H:Hb (g/dL)
Ox:低体温時酸素消費量計算式(32.394×W^-0.625 )
R:常温時酸素消費量計算式(4×10^-5×膀胱温^4.0777/100)
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方法 実際の画面
入力(身長・体重)
初期設定値
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方法 SvO2予測式の追試
臨床データ
算出システム
灌流量
Hb
SaO2
膀胱温
送血温
脱血温
SvO2
●膀胱温を当てはめたSvO2
●送血温を当てはめたSvO2
●脱血温を当てはめたSvO2
比較
●送脱血,膀胱温が等しいデータ
の膀胱温を当てはめたSvO2
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結果 予測SvO2算出画面
PI別一覧
膀胱温
PIとFlow
SvO2
Hb
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結果 実測値と予測値の相関
100.0
100.0
R 2 = 0.16
2
R = 0.69
n = 57
90.0
80.0
80.0
70.0
70.0
60.0
60.0
60.0
70.0
n = 57
90.0
80.0
膀胱温
90.0
100.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
送血温
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結果 実測値と予測値の相関
100.0
100.0
R2 = 0.60
n = 57
90.0
90.0
80.0
80.0
70.0
70.0
60.0
60.0
60.0
70.0
R2 = 0.73
n = 22
80.0
脱血温
90.0
100.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
送脱血、膀胱温が
ほぼ等しいデータの膀胱温
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考察
●Fickの原理を利用した式は酸素消費量を表す項目が
重要である。通常この部分は、Clarkが基礎代謝から換
算した常温時体重別酸素消費量が用いられる。
●樋口らの式は、自施設の体外循環データから導き出し
た体外循環中の酸素消費量を使用している。
これは、常温時体重別酸素消費量と低体温時酸素消
費量表す式で構成されている。
実際の体外循環に即した値が算出できる
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考察
●酸素消費量は麻酔深度や患者年齢などによっても変
化する。
システムは各施設が蓄積した体外循環データから
酸素消費量の係数を求め適用させることにより変
化に対応する。
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考察
●SvO2の予測値と実測値の相関は、送脱血温、膀胱温
がほぼ等しくなったデータのみを適用させると相関係数
は0.73と満足できる結果が得られる。
膀胱温を的確に把握することが重要
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結論
山梨大学付属病院の樋口らが作成したSvO2予測式を基
にSvO2予測システムを作成し、その有用性を検討すると
ともに予測式の追試を行った。システムは以下の機能を
有することから有用であると考えられた。
●インターネット上で利用可能である。
●身長、体重の入力により、灌流量、膀胱温、Hbが
それぞれ異なる条件別にSvO2を一覧表示する。
●各施設の臨床データを反映させること可能であり
予測精度の維持、向上が望める。
●予測値と実測値の相関係数はr=0.73であった。
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