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第14回大阪府市統合本部会議資料
資料3-1
地下鉄事業について
(最終報告)
2012年6月19日
地下鉄民営化・成長戦略PT
【PTリーダー】
大阪市都市制度改革室 府市再編担当部長 堀
秀司
【PTサブリーダー】大阪市交通局 経営企画担当部長 岡橋 和成
【アドバイザー】大阪府・大阪市特別顧問 上山 信一、余語 邦彦
大阪府・大阪市特別参与 太田 薫正、佐々木 潤
1
目 次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 地下鉄事業の現状
Ⅲ 民営化の効果について
Ⅲ-1 前提条件とまとめ
Ⅲ-2 改善方策
Ⅲ-3 現状の運営体制の問題点
Ⅳ 安全とサービスの向上
Ⅳ-1 安全の確保
Ⅳ-2 サービス向上
Ⅴ 事業運営のあるべき姿
Ⅴ-1
Ⅴ-2
Ⅴ-2
Ⅴ-3
組織設計
子会社(外郭団体)の戦略的活用
システム構築
私鉄との共通化
Ⅵ その他課題
(1) 資産・資本政策(B/S)
(2) 広域化の検討
(3) 制度面の課題
Ⅶ 民営化スケジュールの概略
2
Ⅰ はじめに
•地下鉄事業者の中では東京メトロに次ぐ事業規模である大阪市の地下鉄事業は、2003年度以降黒
字を計上し(2010年度:239億円) 、累積欠損金についても、 2010年度に公営地下鉄事業者としては
全国ではじめて累積欠損金を解消するなど、近年経営の健全性が高まってきている。
•しかしながら、乗車人員については1990年以降減少傾向が続くとともに、依然として高コスト体質や安全
性についての課題も残されていることから、将来に向けた持続可能な交通機能の確保、都市の成長戦略
への貢献、府市の財政再建への寄与を目的として、府市統合本部のもとプロジェクトチームを設置し、地
下鉄の民営化および成長戦略を検討してきたところである。
•具体的には、
 独占的かつ自治体直営の経営形態に由来する非効率
 公共目的による会計規律の歪み
 自律的な成長、改善メカニズムが働いていないのではないか
といった課題を設定し、民間鉄道事業者(民鉄)の専門家による評価と交通局による自助努力により課
題解決に向けた検討を行った。
•本報告書は、これらの検討から浮かびあがってきた課題・期待成果を「見える化」して、地下鉄事業の民
営化に向けた基本的な方向性案を示すものである。
3
Ⅱ 地下鉄事業の現状
(1)路線
都心を中心にほぼ市域全体に路線が広がっており、高密度(特に中心部)
吹
田
市
井高野
守
口
市
江坂
【路 線 名】
【区
間】
【営業キロ】
【集電方式】*
大日
門
真
市
門真南
天神橋筋
六丁目
梅田
西梅田
野田阪神
本町
大正
江坂~中百舌鳥
24.5km
サードレール方式
第2号線 谷町線
大日~八尾南
28.1km
サードレール方式
第3号線 四つ橋線
西梅田~住之江公園
11.4km
サードレール方式
第4号線 中央線
コスモスクエア~長田
17.9km
サードレール方式
第5号線 千日前線
野田阪神~南巽
12.6km
サードレール方式
第6号線 堺筋線
天神橋筋六丁目~天下茶屋
第7号線 長堀鶴見緑地線
長田
難波
東
大
阪
市
今里
天王寺
コスモスクエア
第1号線 御堂筋線
南巽
天下茶屋
八
尾
市
住之江公園
8.5km
架空線方式
大正~門真南
15.0km
架空線方式
第8号線 今里筋線
井高野~今里
11.9km
架空線方式
ニュートラム 南港ポートタウン線
コスモスクエア~住之江公園
7.9km
側面接触式
八尾南
堺
市
中百舌鳥
*【サードレール方式】線路の脇又は中央に集電用のレールを設置し、台車に取り付けられた集電靴(コレクターシュー)から電気を取り入れる方式
【架空線方式】線路の上空に裸電線を架設し、電車の屋根上に取付けられたパンタグラフに接触させて電気を取り入れる方式
【側面接触式】走行軌道桁に剛体構造とした給電用及び帰線用の導電レールを設備した方式
4
Ⅱ
(2) 事業の変遷
路線キロの延長とともに乗車人員は増加していたが、1990年をピークに減少
2,813
乗車人員のピーク
250
2,738
敬老パスIC化
2,469
2,422
2,350
2,293
2,422
200
2,074
京橋~鶴見緑地間
が開業し、地下鉄網
が100kmを超える
1,908
150
137.8
122.2
105.7
ニュートラム開業
乗車人員(一日平均)
単位:千人
18
5
100
64.2
67.1
70.2
42.8
40
7
75.6
50
路線キロ
単位:km
35.4
19.8
14.2
11.9
8.8
97.5 100.7
1,022
63
4
28
4
110.9
112.4
0
1945
50
1933年5月営業開始
(梅田~心斎橋間)
1951年
1区 10円
55
60
65
70
75
緊急整備(地下鉄建設)5ヵ年計画
(1963~69)
1960年
1972年
1区 20円
1区 40円
80
1978年
1区 100円
85
90
95
2000
05
10
経営健全化計画 経営改革計画 中期経営計画
(1995~99) (2002~06) (2007~11)
1989年
1997年
1区 160円
1区 200円
1984年
2001年
1995年
全駅で自動改札化完了 ・御堂筋線で
全駅で冷房化
10両編成運転開始
2006年
・車両冷房化100%達成 PiTaPa導入
5
Ⅱ
(3) 地下鉄事業者での比較
大阪市営地下鉄は、全国の公営地下鉄事業者中で最大級の事業規模
なお、地下鉄事業者では東京メトロに次ぐ事業規模
営業キロ
(㎞)
駅数
在籍車両数
(両)
1
0
31.5
1
0
31.8
9
大阪市 (8)
1
0
東京都(4)
9
名古屋市(6)
8
横浜市(3)
7
53.4
7
札幌市(3)
6
48.0
6
京都市(2)
5
31.2
5
32
5
5.7
5
神戸市(3)
4
30.6
4
26
4
5.3
福岡市(3)
3
29.8
3
3
5.1
仙台市(1)
2
東京メトロ(9)
1
129.9
109.0
93.3
1
0
走行キロ
(万㎞/日)
9
106
9
8
100
8
2
14.8
195.1
123
1
40
49
36
179
1,094
8
18.3
782
職員数
(人)
1
0
222
1
0
9
233
9
8
116
5,366
3,390
8
2,540
7
8.9
7
282
7
58
7
745
6
9.5
6
378
6
56
6
543
222
5
33
5
549
4
208
4
29
4
590
3
212
3
35
3
544
2
15
2
311
2
17
1,270
輸送人員
(万人/日)
2
1.8
1
76.7
1
84
2,707 1
631 1
8,482
*2010年度末現在。都市・会社名のあとの(数字)は路線数
*数字は全て概数。職員数は、公営は損益勘定のみ。東京メトロは全従業員数
*大阪市はニュートラムを除く。
出典:2010年度 公営交通事業決算調、東京メトロハンドブック2011
6
1000
1000
1000
800
800
Ⅱ
1000
(4) 収支 (2010年度、単位:億円)
800
600
600
600
400
800
600
運賃収入で費用の約99%をまかない、雑収入、補助金等を含めると239億円の黒字
400
400
費用では人件費が最大だが、減価償却、支払利息の割合も大きく支出の3大項目
400
200
97
200
200
1600
53
200
1600
0
101
1403
0
1400
*2
その他
1200
支払利息
133
194
動力費 59
1000
修繕費 84
800
減価償却費
1400
一般会計より
約100億円
0
0
1200
239
広告料 46
賃貸料 25
その他 30
1000
*4
386
600
800
1391
運賃と雑収入で
費用の106%
600
委託費 41
400
400
人件費 *3
運輸部門 314
200
保守部門 148
管理部門 43
506
0
200
0
費用
運賃
雑収入
特別乗車料
繰入金 *1
一般会計
補助金
黒字
人件費、資本費(減価償却費、
支払利息)で約8割
*1
*2
*3
*4
本市福祉行政の観点から、 70歳以上の市民の市営地下鉄利用に対する乗車料金の減免(敬老優待パス)等に対して、一般会計から繰入れ
乗車券販売手数料、除却費、光熱水費、一般会計分担金、受託工事費等
運輸部門:運転費・運輸費、保守部門:線路保存費・電路保存費・車両保存費・建物保存費、管理部門:運輸管理費・住宅施設費・研修所費・一般管理費
雑収益13億円、受取利息等10億円、駅共同使用料2億円、その他5億円
当年度損益ベースで、数値については、個々に四捨五入しているため、合計数値と合わないことがある。
7
1,581
Ⅱ
1,642
1,482
1,502
(5) 収支トレンド(単位:億円)
1,540
1,469
1,436
百
2,000
1,400
1,660
1,597
1,587
1,600
1,650
1,628
1,628
1,424
1,406
1,423
1,462
1,442
1,464
1,401
1,468
1,397
1,422
1,391
1,368
2003年度に総費用が総収入を下回って以降、継続的に黒字を確保
総費用
1,696
1,678
1,650
1,628
1,628
1,600
1,000
結 果
要 素
1,753
1,695
運輸収益
1,662
1,660
補助金
1,642
350
295
273
総収入
1,597
1,587
百
1,800
1,200
246
運転費用
総収入
1,581
1,540
1,482
1,469
1,400
800
1,436
1,424
運輸収入
1,406
1,423
整備費用
1,502
1,462
1,442
1,464
管理費用
1,401
1,468
減価償却費
1,397
198
黒
字
191
1,368
170
1,391
148
46
57
109
収支
〔補助金を除く〕
97
68
1,200
600
527
1,000
400
194
169
総費用
1,422
384
運輸収益
509
374
489
358
474
355
428
362
425
423
407
381
330
413
394
418
386
管理費用
304
291
291
277
268
整備費用
総費用
254
244
38
126
整備費用
減価償却費
減価償却費
800
200
91
運転費用
運転費用
338
収支
〔補助金を除
15
総収入
422
最終収支
00
補助金
450
最終収支
赤
字
123
159
259
139
101
33
600
0
400
527
2001
384
32
509
02
374
94
99
101
89
98
103
104
98
91
85
85
84
73
86
94
95
03
489
04
474
05
06
07
08
09
10
428
425
422
413
418
補助金
管理費用
-350
358
355
450
362
423
407
*経常損益ベースで、数値については、個々に四捨五入しているため、合計数値と合わないことがある。
394
386
381
330
338
304
2001
02
03
04
05
06
07
08
09
10
2005年度以降、補助金を除く収支においても黒字を
確保
8
Ⅱ
(6)累積欠損金の推移(単位:億円)
累積欠損金については、2003年度以降、単年度黒字を継続的に確保することで減少し、2010年度に累積欠損金を解消
2002年度
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
特別損失 ▲150億円
(フェスティバルゲート売却損)
純損益
196億円
▲89億円
48億円
211億円
225億円
289億円
239億円
▲53億円
186億円
124億円
39億円
▲342億円
▲466億円
▲691億円
~
▲902億円
▲1,098億円
▲1,137億円
欠損金処理
※
累積欠損金
1,748億円
※総務省からの指導により、特例債元金償還補助金相当額について、 議会の議決を経て取り崩し、欠損金処理を実施
▲2,933億円
9
Ⅱ
(7)企業債残高の推移
路線の建設により企業債残高は増加したが、今里筋線開業後は減少
(億円)
14,000
12,000
【堺筋線】
動物園前~天下茶
屋開通(1.5km)
【長堀鶴見緑地線】
心斎橋~京橋
開通(5.7km)
【長堀鶴見緑地線】
大正~心斎橋、
鶴見緑地~門真南
開通(4.1km)
【今里筋線】
井高野~今里
開通(11.9km)
【中央線・ニュートラム】
OTS区間を一元的
に運営(3.7km)
公的資金補償金免除
繰上償還を実施
2007年度 218億円
2008年度 123億円
2010年度 157億円
8,000
112.4
7,873
7,732 7,771 7,785 7,804
140
125.9
118.1
110.9
160
137.8
122.2
10,000
(km)
8,152
120
100
8,396 8,314
8,172 8,141 8,140 8,086
7,985 7,969 7,968 8,144 8,070
7,543
7,142
6,875
6,502
80
6,000
60
4,000
40
2,000
20
0
0
1990
95
2000
05
10
10
Ⅱ
(8) 資産・負債/資本の状況
資 産
負債・資本
(単位:億円)
退職給付債務
780億円*
約6,500億円の負債
企業債
6,120
特例債 382
固定資産
13,091
・運賃収入(1,444億円)の 約4.5倍
出資金
・償却前損益(660億円)の 約9.9倍
3,389
剰余金
3,518
*:2010年度大阪市交通局
アニュアルレポートより
流動資産 774
繰延勘定 1
流動負債 324
その他
133
11
Ⅱ
(9)民間鉄道事業者との財務比較※1
(単位:億円)
※2
大 阪 市
(概算)
東京メトロ
JR西日本
阪急阪神HD
京 阪
近 鉄
南 海
営 業 利 益
302
825
960
647
163
399
199
減 価 償 却 費
386
750
1,509
597
177
474
226
EBITDA
(営業利益+減価償却費)
688
1,575
2,469
1,244
340
873
425
6,502
7,138
11,199
12,454
3,011
13,422
4,936
9.5
4.5
4.5
10.0
8.9
15.4
11.6
有利子負債の合計
有利子負債/EBITDA倍率
※1 大阪市を除く各社は、有価証券報告書(2010年度連結)から作成
※2 大阪市は、地方公営企業会計の高速鉄道事業会計に簡易な民間企業会計へ置換、固定資産税の支出(▲64億円)を加えた試算
有利子負債/EBITDA倍率
18.0
15.4倍
16.0
14.0
12.0
10.0
10.0倍
9.5倍
11.6倍
8.9倍
8.0
6.0
4.5倍
4.5倍
4.0
2.0
0.0
大 阪 市
東京メトロ
JR西日本
阪急阪神HD
京
阪
近
鉄
南
海
12
Ⅱ
(10) 生産性の比較(地下鉄事業者比較)
17.4
【営業キロあたり総収益・総費用】 (億円/㎞)
14.3
・他都市に比べると、運輸収入が多い
12.8 12.0
11.9 10.1
8.6 11.4
9.4 8.5
9.6 7.9
・運輸収入に対する支払利息や減価償却費な
9.0 9.2
8.2 7.9 8.5 8.0
どの資本費の割合が低い
7.3 7.5
運 人
輸 件
収 費
入
利
息
経常損益の黒字
償
却
大阪市
札幌市 仙台市 東京都 横浜市 名古屋市 京都市 神戸市 福岡市 東京メトロ
【営業キロあたり職員数】 (人/㎞)
43
40
・他都市に比べ、職員数が多い
31
27
21
11
14
18
19
18
生産性が低い
大阪市
札幌市 仙台市 東京都 横浜市 名古屋市 京都市 神戸市 福岡市 東京メトロ
*2010年度末現在
東京メトロは全事業の総収益・総費用。職員数は、公営は損益勘定のみ、東京メトロは全従業員数
出典:2010年度 公営交通事業決算調、東京メトロハンドブック2011
13
Ⅱ
(11)安全性
事故発生率は他社と遜色ないものの、重大インシデントや輸送障害が発生
事故の頻度
事故の内容
インシデント
 2010年3月 長堀鶴見緑地線重大インシデント
・ 影響
⑴ 長堀鶴見緑地線の運転見合わせ
全線の運転再開まで5時間16分
影響人員 約57,000人
大阪市
輸送障害
 2012年2月 梅田駅 駅構内火災
・ 被害状況
⑴ 人的被害
軽症17名(地下鉄運転士1名、車掌1名、駅職員15名)
⑵ 物的被害
F階段下倉庫(約22平方メートル)内を焼損
・ 影響
⑴ 駅職員により約3,000名のお客さまを避難誘導
(内訳:ホーム上約1,000名、地下鉄乗車(上下)各約1,000名)
⑵ 地下鉄御堂筋線の運転見合わせ
運転見合わせの時間 9時01分~10時40分
影響人員 約118,000人
大阪市
 2012年4月 本町駅 喫煙による輸送障害
・ 影響
⑴ 四つ橋線の運転見合わせ
列車4本が最大1分遅れ
14
Ⅱ
1.
(12)地下鉄事業の現状評価と今後の課題
肯定的側面

高い収益力




2.
今後の課題

安全性の確保



乗車人員は毎年約1%減少(ピーク時1990年度に比して約18%の減、今里筋線開業(2006年)以降と比較しても
約4%の減)
生産性(高コスト体質)の改善


⇒

輸送障害・運転事故件数はいずれも地下鉄である(踏切がない)ことを考慮しても関西5私鉄並みかそれ以下である
が、最近、長堀鶴見緑地線の重大インシデントや梅田駅構内の火災などの重大な事案が発生
利用者の漸減傾向

他都市との生産性の比較で見ると、職員数が多い
資本費(減価償却費・支払利息)の割合(経常経費の約4割)は相対的に低い
地下トンネルの比率が多く、建設コストがかかる地下鉄事業の性質に鑑みれば、今後、(防災上の観点も含め)更新
投資の負担が順次重くのしかかってくる可能性は否定できない。
自立性の追求


⇒
3.
地下鉄事業は、全国の公営地下鉄事業者中で最大級の事業規模
他都市に比べて、営業キロあたりの運賃収入が多い
この間の合理化努力もあり、2002年度に約2,933億円に達していた累積欠損金を、2010年度決算において、公営地
下鉄の中ではじめて解消
企業債残高は着実に減少
EBITDA(営業利益+減価償却費+民間企業会計への置換(簡易)=約688億円)の約9.5倍の企業債残高(約
6500億円)
東京メトロの有利子負債/EBITDA倍率(4.5倍:2010年度連結決算ベース)と比較すれば約2倍
厳しい財政状況のもとで、行政から継続的な財政支援を前提とする枠組みからの自立をめざす意味でも、自己の信
用力で市場等から資金調達ができるような経営体質の強化が望まれる。
可能性の追求

⇒
他私鉄のターミナル駅とつながっている利便性をはじめ、地下鉄を核に大阪全体への展開の可能性を追求
都市の成長戦略への貢献が期待できる。
15
Ⅲ 民営化の効果について
現在の市営地下鉄を民間会計に置き直すと、経常利益50億円前後の企業体となる。また、民営化により、約180億
円の経常利益改善が見込まれる。
 現在の地下鉄事業は補助金の受入れ、固定資産税・法人税の免除などの恩恵により、170億円前後の経
常利益を生んでいるが、民間企業の会計基準に置き直すと、50億円前後となる。
 大胆な業務の見直し、組織運営体制の見直しを通じて人員が718人、経費が63億円削減可能、また、投
資も年間35億円抑制が可能と試算
民営化に向けた改善提案を策定するにあたり、WGにより民間企業の視点から事業運営を見直し
 総務WGでは、間接部門と調達金利を検討
 運輸WGでは、乗務員の実働時間、駅務員の配置基準、休出補充率、管理単位の統廃合を中心に検討
 電気WGでは、保守拠点の集約、夜間の保守体制を中心に検討
 車両WGでは、車両・機器更新周期や定期検査などの業務内容を中心に検討
 工務WGでは、保守体制、発注形態を中心に検討
現状の地下鉄事業は真の鉄道事業体とは言いがたく、民営化前に取組む必要のあることも多い。現行業務のプロセス
の見直しなど、交通局が自前で現在、取組んでいる内容を深掘りするとともに、民営化をにらみ運営の枠組みを見直す
ことで円滑な民営化が可能となる。
 共通の本質的課題として、大阪市地下鉄事業は自律した意思決定ができる真の鉄道事業体になっておら
ず、権限と責任が一体化した体制を確立する事が急務。個別の課題として人事、財政規律等を検討。
 交通局の円滑な民営化のためには、従来の「大阪市ルールの呪縛」から直ちに脱却し、本来保有すべき自社
の運営権限の奪回が必要
16
Ⅲ-1 前提条件とまとめ
⑴ 検討のフレームワーク
民鉄からの特別参与をメンバーとするワーキンググループ(WG)を設置し、民間経営の視点で改善点の発見や改善
方策の検討を実施。検討課題のグループ分けとして「新基準」と「民営化」のカテゴリを設定し、それぞれの改善効果
を算定
総務
WG
共通課題の取りまとめ
運転
WG
駅務
WG
電気
WG
車両
WG
工務
WG
運営体制のあり方
人件費
改善点
改善方策
↓
民営化効果
経費(含む償却)
フィードバック
投資
財務
検討課題のカテゴリー
現状
・ 比較の基準として現在値を設定
新基準
・ 現在の公営のままでも取り組める内容を民間の
視点で洗出し
民営化
・公営企業の枠組みでは限界があり、民営化し
なければ実現しない改善点を洗出し
17
Ⅲ-1
⑵ 地下鉄民営化・成長戦略PTにおける民鉄からの特別参与
WG
総務WG
運輸WG
(運転・駅務)
電気WG
車両WG
工務WG
氏
名
役
職
横江 友則
㈱スルッと KANSAI 代表取締役副社長
和田 真治
南海電気鉄道㈱ 経営政策室 事業戦略部長
奥村
南海電気鉄道㈱ 鉄道営業本部 統括部長
透
中西 基之
京阪電気鉄道㈱ 経営統括室 経営政策担当部長
竹川
勉
京阪電気鉄道㈱ 鉄道営業部 部長
溝渕
貴
阪神電気鉄道㈱ 都市交通事業本部 電気部長
坂上 一男
阪神電気鉄道㈱ 都市交通事業本部 電気部 技術課長
加藤 千明
近畿日本鉄道㈱ 執行役員 鉄道事業本部企画統括部長
深井 滋雄
近畿日本鉄道㈱ 鉄道事業本部企画統括部技術管理部部長
岡本 真和
近畿日本鉄道㈱ 鉄道事業本部大阪輸送統括部工機部検車課長
中野 雅文
阪急電鉄㈱ 都市交通事業本部 技術部部長
越智
阪急電鉄㈱ 都市交通事業本部 技術部調査役
厚
18
Ⅲ-1
⑶ 本プロジェクト検討に際しての前提
地下鉄事業を5つのワーキンググループを通じて検討
組織体制と人員(現状)
WG名
部門
主な
業務範囲
総務
総務
職員
総務、企画
経理、人事
労務管理
運転
本局人員
(人)
現場人員
(人)
経費
(億円)
354
―
運転
57
1,513
駅務
駅務
65
1,801
電気
電気
電気設備
信号・通信設備
駅務機器
81
車両
車両
車両
保線
建築
投資
(億円)
194.6
―
34.6
0
510
44.1
101.5
59
614
32.6
50.3
保線、土木
(トンネル、高架等)
63
312
19.5
37.3
建築
(駅構内設備、建物)
64
80
14.0
43.1
743
4,830
339.4
232.2
運輸
工務
計
※職員数は、2012年5月1日現在
※経費・投資は2010年度決算(税抜)、総務WGの経費は支払利息のみ
※「運転」:管理課、運転課、輸送指令所、乗務運輸で構成
※「駅務」:駅務課、お客さまサービス担当、駅務運輸で構成
―
19
Ⅲ-1
⑷ 地下鉄事業民営化収支の要因分析
民営化にあたっては、収支に影響するアップサイドとダウンサイドのファクターが存在
その他課題の
要因分析
民営化による収支影響要因
経常利益
(億円)
① 2011年度
収益的収支
経常利益
の補助金
(公営会計決算見
込 速報値)
※1
※2
※3
※4
※5
※6
租税公課※1
② ①を民間企業
会計に置換えた
経常利益
(簡易)※2
人件費
経費
業務改善
(新基準による効果額)
③ ②に新基準
による業務改善
効果を加味し
経常利益
人件費
経費
支払利息※3
民営化した場合 敬老パス制度の
投資
(減価償却費※4) の経常利益※5 改正による影響
人口減少※6
法人税
業務改善
(民営化による効果額)
固定資産税、都市計画税、事業所税、事業税
民間企業会計置換時に退職給与引当金(過去分)が別途発生(2012年3月試算841億円)
2010年度企業債残高6,502億(平均金利2.7%)を長期2.0%短期1.0%に借換えたと仮定
投資額に占める改善余地の比率を減価償却費に掛けて試算
別途、当年度利益に法人税がかかる
2020年度までの乗車人員減推計による運輸収益減少の影響
☞合理化によるコスト削減だけでなく、民営化による持続的な収益向上のための施策に早急に着手することが重要
20
Ⅲ-2 改善方策
⑴ 全部門総括
検討の結果、人員718人(13%)、経費(支払利息含む)63億円(19%)、投資35億円(15%)の改善余地が導き出された
インパクト
部門
分類
人
総務
現 状※1
件
354人
▲100人
▲28%
経 費 ( 支 払 利 息 )
19,455百万円
▲5,527百万円
▲28%
資
-
運
転
1,570人
▲123人
▲8%
駅
務
1,866人
▲222人
▲12%
▲56人
▲3%
費
3,460百万円
務
-
費
591人
▲16人及び▲46百万円
▲3%
▲14人
▲2%
経
費
4,410百万円
▲15百万円
▲0.3%
▲234百万円
▲5%
投
資
10,150百万円
▲74百万円
▲1%
▲928百万円
▲9%
費
673人
▲138人
▲21%
経
費
3,260百万円
▲332百万円
▲10%
投
資
5,030百万円
▲881百万円
▲18%
▲491百万円
▲10%
費
519人
▲8人
▲2%
▲41人
▲8%
経
費
3,350百万円
▲265百万円
▲8%
投
資
8,040百万円
▲1,076百万円
▲13%
数
5,573人
▲211人
▲4%
人
電気
件
投
資
人
件
駅
件
人
工務
費
経
人
車両
民営化
費
投
運輸
新基準
件
人
人
件
※2
▲507人
※3
費
効 果 額
合計
+約800百万円
▲9%
▲3,813百万円
▲46百万円
合計 ▲3,859百万円
▲1,899百万円
経
費
33,935百万円
▲347百万円
▲1%
投
資
23,220百万円
▲955百万円
+800百万円
▲4%
※1 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在、 経費・投資は2010年度決算(税抜)
※2 遠隔制御システム(+800百万円)については、実施年度のみの増要素
※3 合計人件費効果額については1人当たり9百万円で試算、なお、運輸部門での出勤率の見直しによる人件費増分+750百万円(150人×5百万円)を見込む
▲6,026百万円
▲18%
▲2,495百万円
▲11%
21
Ⅲ-2
⑵ 部門別施策:総務部門
総務部門では、主に間接部門と調達金利を検討
インパクト
課題と内容
改善の方向性
コメント
分類
間接部門が多い
・業務見直しで
70人(20%)削減
・アウトソーシングでさらに
30人(10%)削減
資金調達に改善の余地
・リファイナンスや短期借
入を活用することで支払
利息削減
(短期2.7→1.0%)
(長期2.7→2.0%)
現状
人件費
新基準
民営化
▲100人
・総負債額6,502億円
にて試算
経
費
人件費
▲5,527百万円
354人
▲100人
(▲28%)
19,455百万円
▲5,527百万円
(▲28%)
合 計
経
費
※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
経費は、2010年度決算(税抜)支払利息
22
Ⅲ-2
⑶ 総務部門(間接部門の見直し)
総務部門内においては、地下鉄の事業特性、内部ヒアリングおよび民鉄との比較を通じて
間接部門人員を30%程度の削減可能性
2
現業部門の削減余地
‒ 交通局内でのヒアリングを通
じた感触
1
民鉄との比較におけるPTの
評価
大阪市交通局の事業特性
‒民間会社にない業務の削減余地
(議会対応、契約手続等)
‒公営企業にない業務の追加(IR等)
‒経理、情報システム部門のアウトソーシン
グ余地※1
考慮要因
‒ 民鉄各社はバス事業を子会社化
3
民営化時の削減効果
削減人員(2割程度)⇒
▲70名
アウトソーシング(1割程度)
⇒
▲30名
▲100名
「各社のアウトソーシング、グループ会社戦
略、多角化の状況には違いがあるが、民
鉄と比較して交通局は付帯事業がほとん
どないことに鑑みると、間接部門について2
~3割の削減余地がある」
‒ 民鉄各社は運輸業以外の事業が比
較的大きい
※1 民間各社では既に実施
23
Ⅲ-2
⑷ 総務部門(資金調達の見直し)
民営化後、調達期間(借入金利)を見直すことで55億円の削減可能性
現在
借入金利の見直し
社債発行時
平均金利 1.85%
平均金利 1.575%
短期
長期
(企業債)
金利
2.7%
※1
(100%)
長期
※2
金利
2.7%→1.0%
(15%)
短期
(金利1.0%)
(7.5%)
【民間参考水準】
-直間調達比率
社債:借入金=50:50
-借入金長短比率 長期:短期=85:15
-社債含めた調達比率 長:社:短=42.5:50:7.5
社債
(7年)
(金利1.3%)
(50%)
長期
(10年)
(金利2.0%)
(42.5%)
-金利
金利
2.7%→2.0%
(85%)
55億円の支払利息の削減※3
企業債(10~35年)=2.7%
…公営
長期 (10年)=2.0%
社債 (7年)=1.3%
短期
=1.0%
さらに18億円の支払利息の削減※3
※1 2010年度企業債残高の平均金利
※2 社債発行可能時期までは借入で対応
※3 2010年度末残高(6,502億円)をベースに試算
24
Ⅲ-2
⑸ 運輸部門(運転)
運転部門では、主に乗務員の実働時間、乗務所等の管理単位を検討
課題と内容
インパクト
改善の方向性
分類
1日平均作業時間が短い
•現在1日平均350分の作
業時間の延長に加えて、
ハンドル時分の極端に短
い勤務の見直し等
多めの要員確保
・有休消化率を100%として出
勤率を定め、その補充を全て見
込んだ定員を算定
・民間では一定の補充率分以
外は公休出勤者での補充を見
込み要員規模を抑制
•有休取得者の補充につ
いて、民間基準を参考に
公休出勤を見込んだ出勤
率を設定し定員を算定
間接部門が大きい
・乗務所の細分化により、管理
職、庶務等の非乗務人員を配
置
•小規模乗務所を統合(
分室化等)し、また全体
的に副所長クラス以上の
管理職人員を削減
出入庫業務が非効率
・検車場内の出入庫業務を車
両部門が担当しており両部門
で重複して泊り勤務が発生等
・引継点を変更し運輸部
門が出入庫全体を担当
合 計
※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
現状
人件費
▲101人
▲60人
人件費
人件費
▲12人
人件費
人件費
新基準
+50人
1,570人
▲123人
(▲8%)
コメント
民営化
・1日平均作業時間30
分の延長▲90人
・入換、予備作業の見
直し▲11人
・有休20日分の出勤
率向上を図った場合
▲60人
・付随して、時間外手
当の増がある
・管理単位の統廃合
による減、一時的移行
費用、管理単位の統
廃合による施設関係
投資増があるが算定し
ない
・車両部門では▲60
人
・運転部門の合理化
では173人の減
25
Ⅲ-2
⑹ 運輸部門(駅務)
駅務部門では、主に駅員の配置、駅の管理単位を検討
課題と内容
改善の方向性
多めの要員確保
・有休消化率を100%として出
勤率を定め、その補充を全て
見込んだ定員を算定
・民間では一定の補充率分以
外は公休出勤者での補充を
見込み要員規模を抑制
有休取得者の補充につい
て、民間基準を参考に公
休出勤を見込んだ出勤
率を設定し定員を算定
原則全ての改札口に駅員を
配置
・乗降客の少ない駅でも泊まり
の駅員を配置
・遠隔システムや交代要員の
他駅巡回等が活用されていな
い
・車椅子介助要員が必要
・閑散駅等、個別駅の状
況に応じて必要ポストを
算定する方式に変更する
・改札口の省人化:IT投
資を伴い、改札や駅長室
の無人化を進める等
間接部門が大きい
・管理単位が重層化され規模
的にも細分化
・管理者単位の職員数が少な
く非効率
・小規模の管区駅を再編
統合し、副駅長クラス以
上の管理職を削減
インパクト
分類
※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
新基準
人件費
▲90人
人件費
▲135人
+30人
投
人件費
投
資
民営化
▲56人
▲222人(▲12%)
・サービスマネージャーを
増強し駅巡回や車椅
子対応等を担当+30
人
・民営化後は福祉的
対応を市に移管等
・管理単位の統廃合に
よる減、一時的移行
費用、管理単位の統
廃合による施設関係
投資増があるが算定し
ない
▲27人
1,866人
コメント
・有休20日分の出勤
率向上を図った場合
▲90人
・付随して、時間外手
当の増がある
遠隔制御システム
導入による増(約
800百万円)
資
人件費
合 計
現状
▲56人(▲3%)
遠隔制御システム
導入による増(約
800百万円)
26
Ⅲ-2
⑺ 電気部門
電気部門では、主に保守拠点の集約、夜間の保守体制を検討
インパクト
課題と内容
改善の方向性
コメント
分類
保守区の数が多い
・保守拠点が沿線に分散配
置され管理経費が大
・現在の10拠点を半数ま
でに統合
夜間の保守体制が手厚い
・同時に4件の緊急トラブルに
対応可等
設備数・メーカー数が多く点検
量が多い
・調達方法の制約により、同じ
設備でも複数メーカーの機種
がある
費
経
費
投
資
※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
経費・投資は2010年度決算(税抜)
民営化
・保守拠点集約▲16
人に加え、夜間体制の
見直し▲46百万円(
人件費削減)
・事務所経費▲15百
万円
▲15百万円
人件費
人件費
合 計
新基準
▲16人
及び▲46百万円
人件費
経
・民間事業者における調
達方法の実施(メーカー
指定、価格交渉、契約の
大型化等)
現状
▲14人
▲234百万円
591人
▲74百万円
▲928百万円
▲16人(▲3%)
及び▲46百万円
▲14人
(▲2%)
経
費
4,410百万円
▲15百万円
(▲0.3%)
▲234百万円
(▲5%)
投
資
10,150百万円
▲74百万円
(▲1%)
▲928百万円
(▲9%)
27
Ⅲ-2
⑻ 車両部門
車両部門では、主に車両・機器更新周期や定期検査などの業務内容を検討
課題と内容
インパクト
改善の方向性
分類
工場が複数あり関連経費が多い
・2工場体制で一元化が可能
・工場一元化、委託業務
の内製化
人
件
経
部品数が多い
・予備品を多く保有
・調達の手間、検査工数の増大等
・調達方法を変更できる民
営化後にメーカー数を順次
削減
車両部門で出入庫業務を実施
・出入庫を車両部門で行っており、泊
まり等の要員配置が発生
・運転部門に検車場内の
運転・指令乗務を移管
間接部門が多い
・職員を採用区分別に重複配置等に
より間接部門の要員が多い
・重複的なポストを廃止
業務内容の不効率
・天下茶屋駅での故障対応要員
・月検査の検査内容
・検査の基準を変えずに実
施方法を簡素化
車両・機器更新周期
・民間より短い車両の40年更新の他、
各種機器の更新周期も短いものあり
・車両の更新周期を60年に
する等、各々見直し
投
現状
コメント
新基準
民営化
費
▲51人
費
▲320百万円
資
※▲146百万円
人
件
費
▲60人
人
件
費
▲13人
人
件
費
費
▲12百万円
投
資
▲881百万円
※889百万円
件
▲9百万円
費
673人
▲138人(▲21%)
経
費
3,260百万円
▲332百万円(▲10%)
投
資
5,030百万円
▲881百万円(▲18%)
※889百万円
・※投資の▲146百
万円は次回新形式
車両導入時
(時期未定)
・運転部門では+50
人
・天下茶屋8人
・検査場要員6人
▲14人
経
人
・工場一元化は2015
年度(▲51人、経費
▲127百万円)
・委託業務の内製化
(▲193百万円)
▲482百万円
・※車両更新につい
ては2030年からの効
果のため、合計未算
入
合 計
※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
経費・投資は2010年度決算(税抜)
▲491百万円
(▲10%)
28
Ⅲ-2
⑼ 工務部門
工務部門では、主に保守体制、発注形態を検討
課題と内容
インパクト
改善の方向性
分類
保守拠点の分散
・御堂筋線と谷町線は路線延
長が長いことから1路線を2分
割等
・左記の線の保守体制の
統合
契約の細分化により業者が多
様化
・分割発注による費用増
・発注単位をまとめ、契約
数を減少する
契約管理の工務が大
・現行の発注形態においては、
仔細な積算や監督業務を行う
ために専門分野ごとに分かれた
組織体制となっている
・調達方法により経験の少な
い業者が多く指導等に負担
・契約管理の工数削減と
あわせ、業務・組織を再
編
人件費
※ 現状:人件費の職員数は、2012年5月1日現在
経費・投資は2010年度決算(税抜)
新基準
民営化
▲8人
経
費
▲265百万円
投
資
▲1,076百万円
人件費
▲41人
人件費
合 計
現状
コメント
519人
▲8人(▲2%)
▲41人(▲8%)
経
費
3,350百万円
▲265百万円
(▲8%)
投
資
8,040百万円
▲1,076百万円
(▲13%)
29
Ⅲ-3 現状の運営体制
⑴ 課題整理
真の鉄道事業体に変革するための課題を検討
課題
根本的解決策
効果
• 自立した意思決定の出来る真の鉄道事業体になってない
共通課題 • 権限と責任が一致する体制が確立されていない
人事
いびつな年齢構成、社員の採用決定権の欠如
• 職場活力減退、今後深刻な人材不足と技術継承の断絶
財政規律
経営/執行/ガバナンスの役割権限が曖昧
• 長期的な視点に立った事業の優先順位や全体的な投資計
画の経営判断が不明確である
契約
鉄道事業者に合わない調達ルールによる制約
• オール大阪のルールに従わざるを得ず、鉄道事業者としての
有効的な発注業務が出来ない
• 結果、駅が「ショウルーム」化、車両は多数メーカー混在
○鉄道事業体としての、ある
べき経営権限の回復
交通局の円滑な民営化のた
め、従来の「大阪市ルールの呪
縛」 から脱却し、本来自社が
持つべき権限を奪回
• 人事(社員採用)権
組織
お客さまを向いた組織の確立と民営化に向けた機能強化
• お客さま第一主義を意識した風土を実現する組織になって
いない
• 組織の改廃、ポスト数も本庁に管理されており、経営方針に
即した機能的な組織編成が実現できていない。
ベースの確立
付帯事業 • 人材、ノウハウ、スキルがなく、事業の成長を描きづらい。
民営化に向けた風土改革とCIの強化
意識改革 • めざすべき企業イメージが明確でない。
※1 Ⅴ 事業運営にて詳述
• 予算権
• 安定した事業運営と技術継承
• 現場と本社一体の人事管理
• 現場管理部門の経営参画の明確化
• コストに対する個人の意識向上、職場
風土改善
• 生産性の改善
• 調達コスト・保守コストの縮減
• 発注期間の短縮、工期短縮
• 職員の経営意識の改善
• 契約、調達
• 経営判断権
○鉄道事業体としての、責任
を明確化する組織設計
• お客さまを頂点に、交通
局現場職員を最前線に
配した逆ピラミッド型組織
形態の採用
• 自ら考え、自らの責任のも
と実行する、民間企業とし
ての経営意識を備えた人
材の育成
• あるべき組織を検討※1
• 専門スタッフによる機動的事業展開※1
• 子会社の戦略的活用を推進※1
• 統一された意識下での経営
• 職員のモチベーションアップ
• お客さま第一主義の徹底
各WGへの波及効果
30
Ⅲ-3
⑵ 人事
課題
 年齢構成がいびつなため、人事が停滞し職場の活力も減退。今後、深刻な人材不足と技術継承の断絶を招く
 幹部候補に運転士等の現場業務を経験させておらず、現場・本社が一体となる人材育成・人事管理ができていない
 その他、給与・人事評価制度等の見直し、現場管理・指導体制の強化などが必要
原因・背景
 事業拡大期の大量採用、昭和40年代及び近年の採用抑制によるいびつな人事構成
・ 平成29年からの10年で43.8%、次の10年で43.4%(20年間で9割)の職員が定年退職
・ 社員の採用数を交通局自らが決定できない(大阪市の厳しい関与)
 採用形態の二重構造 (人事委員会採用(事務・技術職)と交通局採用(現業職))
・ 幹部候補職員(人事委員会採用者)は大阪市の行政職として募集・採用され、総務局が交通局に配属
・ 職員の意識・ジョブローテーション等において、現場と本社との一体感が不足
 その他
・ 上位職種との賃金カーブの重なりが大きい。成績不振者に対する厳しい対処ができていない
・ 評価制度は市と同一の制度を導入、運用も画一的。職員の資質・意欲向上に十分に機能していない
・ 駅長への昇任希望者が少ない。運輸助役が窓口業務も担っており、指導監督に専念できていない
対 策
効 果
 長期スパンの計画採用実施(平成25年4月から毎年120名採用)
 市採用枠に交通局総合職を創設(平成26年4月から)
 その他
・ 職能別賃金制導入、評価制度の見直しと厳正運用
・ 評価の給与反映方法の見直し、表彰制度の充実・活用
・ 駅長職・運輸助役職等の見直し(配置数・権限等)
 安定した事業運営・技術継承
 現場・本社が一体となった人事管理・組織運営が可能となり、安全風
土、サービス・業務改善、不祥事防止の礎となる
 給与・評価制度への信頼向上、怠慢を許さない職場風土。やる気のあ
る者がさらに頑張り、お客さまサービスが向上
 上位職の魅力向上、職員の上昇志向の喚起
31
Ⅲ-3
⑶ 財政規律
課題
 事業者としての長期的な視点に立った各事業の優先順位や、それに基づく全体的な投資計画に対する経営判断が不明確
 生産性が民間に比べ劣る
原因・背景
 部門別収支の意識が薄く、管理会計の考え方も薄い
 年度の予算編成を行う仕組みはあるが、民間の取締役会に相当する経営会議において、全体的・長期的視点に立った投資計画やそれを前提
とした経営収支に対する明確な意思決定や議論がなされていない
 個々の部署においてはそれぞれ安全確保を前提とした更新投資等の考え方を 持っているが、考え方の根拠(法令、メーカーの基準等)は各部
署まかせになっているなど、事業者としての生産性をチェックする機能が不明確
 一例として、現在コンクリート構造物については最も古いもので75年が経過しているとともに、40年以上を経過している区間も全体の約半分を占
め、老朽化によるコンクリートの剥落事象が生じているが、現時点では第三者被害を防止するために適宜補修を実施するという事後保全的な対
応となっており、事業者としての計画的な予防保全に対する経営判断ができていない
対 策
効 果
(民営化まで)
 部門別収支や長期収支の全職員への共有、管理会計の導入
 安全の確保を前提とした更新投資の整理・見直しや契約手法の
見直しによる生産性の向上
 計画的な予防保全を含んだ投資計画の優先順位(費用対効果
を含む)に対する経営判断(収入に見合う範囲でコントロールされた
長期投資計画決定)
 上記を行うための権限と責任の一体化を含んだ組織としての仕組
みの構築(経営会議の活性化等)
(民営化後)
 上記事項の継続的実施
 民営化後の企業形態にあわせ、組織としての仕組みを改善
(民営化まで)
 事業者としてのチェック機能の向上
 現場管理部門の経営参画の明確化
 コストに対する個々人の意識向上、職場風土改革
 コスト削減等による生産性の改善
 計画的な予防保全を行うことによる継続的な安全確保とそれによ
る企業価値の向上
(民営化後)
 上記効果が継続
 民間事業者としての利潤の確保
32
Ⅲ-3
⑷ 契約
課題
 鉄道事業者に合わない調達ルールによる制約(鉄道事業体としての合理的な発注ができない)
原因・背景
 オール大阪で定められた画一的な契約基準 によらなければ、発注ができない
・大阪市全部局への画一的適用が優先され、個別局の事情 は考慮されない
・入札機会増を目的に分離 ・ 分割発注 が求められ、鉄道事業者には不合理な契約単位での発注
・案件内容に関係なく、契約事務手続きに画一的な期間を要する (入札は 3か月、比較見積なら1か月)
・契約方法として、「 比較見積 」(数社による簡易入札)が合理的な場合も採用できない
・これらの制約が、自発的な契約コストの縮減意欲を阻害
 その結果、交通局契約案件で不合理な契約事例が多数発生
・例1:同じ駅で駅務機器メーカーを統一できず、「ショウルーム」 と揶揄されるほど、多数の機種が並ぶ
→ 入札の結果、最大で同一駅に5社の機器を設置(メーカー別の保守管理費、予備品保管、ソフト改修費等が必要となり、コスト増
を招いている)
・例2:新造車両は、発注のたびに、製作メーカーが異なっている
→ 発注のたびに新たに設計業務が必要となり、工期 ・コスト ・人件費の増となっている
・例3:駅防災盤工事を、わざわざ建築工事と電気工事に分離して発注している
→ 分離発注で保守区分が分かれると、 総合動作確認が不十分となる危険が高まる
対 策
効 果
 交通局事業にかかわる全ての契約は、交通局長が自らの責任と
権限 で執行できるよう改める
 交通局内部に、外部監査を含む適正契約担保の仕組みを整備
する (民営化までは、大阪市入札等監視委員会へ報告も実
施)
 民営化後は、比較見積中心の契約方式とする




調達コスト・保守コストの削減
発注期間の短縮、全体工期の短縮、事業の円滑化
職員の経営意識の改善 (責任と成果の明確化)
民営化後は、比較見積を中心とすることで、さらにコストを削減
33
Ⅲ-3
⑸ 組織
課題
 鉄道事業体として、経営方針に即した機能的な組織編成が実現できていない
 担当部長や担当課長が多く、(責任の所在が)わかりにくい組織になっている
原因・背景
 大阪市の一部局の位置づけで、ALL大阪市のルールに拘束されている
(企業としてのあるべき論に関係なく市政改革の方針に従わざるをえない)
 組織の改廃は本庁に管理されており、交通局長が企業管理者の権限を発揮できていない(ポスト数が定数管理されている)
対 策
効 果
 交通局における組織の改廃は、企業管理者である交通局長に
権限を回復し、自らの責任で組織設計を行えるようにする






お客さま第一主義を念頭においた組織づくり
現場と本局の垣根解消(現場への権限移譲)
間接部門の削減
法務、コンプライアンスセクションの設置
経理部門の育成、強化
IRセクションの設置
34
Ⅲ-3
⑹ 付帯事業
課題
 付帯事業収益が伸びず、収益全体に占める割合が低い
(経常収益に占める賃貸料と広告料の割合は約4%(2010年度))
原因・背景




鉄道事業が中心であり、付帯事業を含めたグランドデザインが描けていない
鉄道事業と付帯事業の収益性を総合的に検討する組織、人材、ノウハウ、スキルがない
お客さまや事業者のニーズをスピーディに把握できていない
付帯事業に必要な機動性、スピード感がない
対 策
効 果
(民営化まで)
付帯事業部門を検討・実施する部署を鉄道事業本部に配置し、
駅施設を最適開発
既存の駅施設で対応できる事業(小規模な商品)の開発
他事業者との連携によるノウハウの獲得
(民営化後)
戦略子会社の設立
(ハウスエージェンシー、リテール、メンテナンス等)
戦略子会社での専門スタッフ採用育成
グループ事業経営の推進
(民営化まで)
 魅力ある駅づくりと付帯事業強化
 小規模事業の積み上げによる収益力向上
(民営化後)
 スピード感のある機動的事業展開
 専門スタッフによるニーズをとらえた商品開発
 グループ全体としての増収
35
Ⅲ-3
⑺ 意識改革(CI・コンプライアンス・風土)
課題
 民間化までの移行期間におこる公営と民営の実務的・意識的(風土の違い)ギャップがある。・・・風土
 繰り返される不祥事や事故・トラブルが繰り返されている。・・・コンプライアンス
 めざす企業イメージが明確になっていない。・・・CI
原因・背景
 新局長の元すでに民営化に向けての意識改革が求められている中、既存の役所ルールを乗り越える問題解決が求められているが、まだ意識的
についていけていないので、移行期間中は、公営のままどこまで緩和できるかの検討がなされていない
 変革の中、従来の意識から脱せられず、身分保障や給与の面で不満を持つ者や退職者などから内部告発が相次いでいる
 トップ(局長)の持つ経営イメージと経営方針をしっかり把握できていない
対 策
効 果
(民営化まで)
民営化移行チームを作って、公営と民営のギャップを調整
コンプライアンスチームの強化と行動指針の策定
民営化された時の企業イメージに向けてCIワーキングの実施
(民営化まで)
交通局の新しいイメージ作りにより、社員のモチベーションアップ、利
用者のイメージ刷新
企業内浄化
お客さま第一主義の意識
(民営化後)
統一された企業イメージや経営理念・コンセプトの明確に打ち出し
た企業活動の展開
お客さま第一主義が徹底され、不祥事のない企業
(民営化後)
CIに沿った企業活動の展開
法務部、コンプライアンス統括委員会の設置
36
Ⅳ 安全とサービス
•安全に関する現況としては、事故等の発生率は他社とさほど変わらないものの、内容面において重大イン
シデントが発生しており、改善が望まれる。従来の対応策は公営企業の発想で「人海戦術」であり「物量投
入」であったが、コストを意識した経営が求められるなか、民間企業と同じく「個人のスキルや問題意識の向
上」、また「組織としての安全管理体制の構築」によって改善すべきである。こういったことからも、意識の促進
と浸透のために民営化が求められる。
•サービスを検討するにあたり、「お客さまの声」と「民鉄の目」を通じて向上策を検討
お客さまの声を分析するにあたり、運輸部実施の「お客様満足度調査」を活用
改めて分析の結果、「トイレ」「料金」「終電時間」に対する満足度が低く、「接遇」についても規範となる
サービスマネージャーに比べ、一般の職員の改善余地が大きいことが判明
民鉄の目を通じて、ハード面・ソフト面で多くの改善事項をあぶり出し、具体的な改善の方向性を提示
プロジェクト前よりあらかじめ検討対象として設定していた料金施策については、民営化によるインパクト
が判明したことから、一定の方針検討が可能
終電は、他社に比べ現状30分~40分程度早いことから、第一段階として終発後に運行している回送
列車の営業化等による延長を早期実施。第一段階の実施後に状況等を踏まえ、第二段階以降の
実施の可能性について検討
37
Ⅳ-1 安全の確保
(安全の要素と民営化の影響)
民営化のいかんにかかわらず、コスト意識がより一層求められるこれからの地下鉄事業では、安全に対する従来のパラ
ダイムを大きく変える必要がある
現状
従来の対応
◎
設備
(輸送)安全
△
 発生率は他社と遜
色ない
 ただし一つ一つの事
故が大きく、世間的
に目立っている
◎
×
?
スキル
×
相互作用
体制/取組
?
これからの地下鉄
 民鉄と比べ充実
+
人員数
民鉄の対応
 平均2.6倍の
人員
※1営業キロ
当たり
 不明(ベンチ
マーク見当たら
ず)
 表面上は取組
内容は民鉄と
遜色なし
 コスト意識の求め
られる事業運営
では、従来の対
応は望めない
物量投入
&
人海戦術
重心の
シフト
意識と工夫
組織的取組
 新組織の設計
にあたっては、民
鉄のノウハウを
吸収する必要あ
り
(参考)
38
Ⅳ-2 サービス向上
⑴ お客様満足度調査
トイレ、料金、終電への満足度が低く、接遇の改善余地が大きい
質問項目
カテゴリ
全体の印象
• 地下鉄は安全な乗り物である
• 地下鉄は時間に正確な乗り物である
• 地下鉄の料金は適切だと思う
満足度(%)
□・・・注力項目
※
問題点
74.7
82.9
32.8
地下鉄は「安全」、「時間に正確」であるが、料金
が高い。
案内
•
•
•
•
•
【駅職員】説明のわかりやすさ
【サービスマネージャー】説明のわかりやすさ
【案内コーナー・アクセスガイド】案内や説明のわかりやすさ
【案内コーナー・アクセスガイド】言葉づかいや態度
駅構内の案内表示満足度
47.9
88.2
81.7
75.6
57.0
各種施策は有効であるが、「駅職員の説明」、
「駅構内の案内表示」には不満足。
改札
•
•
•
•
券売機の使いやすさ
精算機の使いやすさ
改札機の使いやすさ
【定期券発売所】定期券発売時間
63.9
57.5
72.3
23.9
概ね良好であるが、「定期券発売所の発売時
間」には不満足。
駅施設・トイレ
•
•
•
•
トイレの安全度
トイレの清潔度
車いす対応トイレ充実度
エレベーター・エスカレーター充実度
26.0
16.6
20.2
32.2
トイレは飛び抜けて評判がよくない。
•
•
•
•
•
車内放送の音量
車内放送の頻度
肉声放送について
車内温度(冷房)
車内温度(暖房)
61.6
72.6
27.3
31.9
59.6
冷房と肉声放送について、意見あり。
ホーム
車内
商品・サービス
接客
運行ダイヤ
• サービスに力を入れているか)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
【駅職員】駅職員の接客全体の印象
【駅職員】身だしなみ(制服の乱れなど)
【駅職員】言葉づかい
【駅職員】駅職員の挨拶・表情(笑顔)
【乗務員】乗務員の接客全体の印象
【乗務員】接客態度
【乗務員】身だしなみ(制服の乱れなど)
【乗務員】言葉づかい
【サービスマネージャー】サービスマネージャー全体の印象
【サービスマネージャー】接客態度
【サービスマネージャー】身だしなみ(制服の乱れなど)
【サービスマネージャー】言葉づかい
【サービスマネージャー】表情や笑顔
【サービスマネージャー】挨拶やお声がけのタイミング
【サービスマネージャー】案内時間(9:30~16:00)
【定期券発売所】職員の対応
• 他線への乗り継ぎ
• ラッシュ時の運行本数
• 終電時間
28.8
44.5
58.6
51.8
37.1
47.3
45.8
54.7
48.2
82.4
82.4
92.2
82.4
74.5
74.5
54.9
23.7
31.7
51.0
29.3
駅職員に関して、「挨拶・表情」に引っ張られ、全
体の印象がさほど高くない。
サービスマネージャーは概ね良好。
「他線への乗り継ぎ」、「終電時間」がウィークポ
イント。
1
※ グラフの網掛けは、「満足計」の数値(「満足(適当)」「やや満 足」の数値 合計。
39
Ⅳ-2
⑵ 民鉄の目から見た地下鉄サービス
民鉄の目を通じて導き出された項目は満足度調査と大きく変わるものではなく、改善事項の提示まで踏み込
んだ内容は示唆に富む
分野
改善すべき事項
トイレ
案内表示
投資有無
• 老朽化したトイレが多く、清掃頻度が少ない(利用者割合)
• 百貨店並みのレベルをめざすべき
有
• 汚れや欠損が目立ち、美観が損なわれている
• デザイン性も含め、サインの一新が必要
有
• 旧態依然とした改札口であり、お客さまが近づきにくく、オープンカウンター方式への
変更が必要
有
ハード
改札口
構内
接遇
ソフト
• 壁、天井が工事中である期間が長すぎる。お客さまに廃墟にいるような印象を与
えている
• 工事期間の圧縮を図るとともに、工事中もお客さまから見た美観を意識した対応
が必要
• 一部において改善は見られるが、全体としてサービス業である自覚が未だ希薄。お
客さま第一主義を具現化する接遇レベルの向上が必要
• サービス業としてふさわしくない身なりをしている職員が散見される。お客さまの視線
を絶えず意識したサービスマネージャーレベルの身だしなみ、接客態度を全ての職
員に期待
無
無
清掃
• 駅全体として、暗く汚れた印象がある。天井や通路に埃だまりがあり、一定期間ご
との特別清掃が必要
• 車両の外装の汚れが目立つ
無
放送
• 駅放送、車両放送ともマイクの使い方が全体的に悪く、声が割れる。適度な音声
での情報のクリアな伝達が必要
無
40
Ⅳ-2
⑶ 運賃値下げの収支への影響
値下げ時の額、区割、消費税の変更を含む数パターンを分析、影響額は▲14億~▲60億円
km
現行
4~7
8~13
14~19
20~
影響額
200
230
270
310
360
―
―
370
(370.28)
±0
―
380
(377.14)
±0
―
20~
影響額 ※
370
(370.28)
△14億円
現行運賃
200
(205.71)
240
(236.57)
280
(277.71)
210
(209.52)
240
(240.95)
280
(282.86)
km
10円値下げ
消費税8%
(H26.4~)
消費税8%
(H26.4~)
消費税10%
(H27.10~)
14~19
320
(318.86)
240
(236.57)
280
(277.71)
200
(209.52)
240
(240.95)
280
(282.86)
330
(324.76)
380
(377.14)
△14億円
1~3
4~7
8~13
14~19
20~
影響額 ※
370
(370.28)
△31億円
380
(377.14)
△31億円
+10
+10
+10
180
(205.71)
240
(236.57)
280
(277.71)
190
(209.52)
240
(240.95)
280
(282.86)
320
(318.86)
+10
+10
+10
留意点
+10
+10
+10
+10
▲20
留意点
+10
+10
+10
+10
190
(205.71)
km
20円値下げ
+10
330
(324.76)
8~13
4~7
1~3
▲10円
消費税10%
(H27.10~)
320
(318.86)
+10
+10
消費税10%
(H27.10~)
+10
+10
+10
+10
消費税8%
(H26.4~)
留意点
1~3
330
(324.76)
※影響額は1区特別回数券を廃止の前提で試算(+4億円)
【参考】
20円値下げ
+
区割り変更
km
消費税8%
+6区制運賃
(H26.4~)
消費税10%
+6区制運賃
(H27.10~)
1~3
4~7
8~13
▲20
▲30 +10
▲30 +10
180
200
240
280
(236.57)
(277.71)
(205.71) (205.71)
+10
+10
190
210
240
280
(240.95)
(282.86)
(209.52) (209.52)
14~19
+10
20~
影響額 ※
370
(370.28)
△60億円
380
(377.14)
△60億円
+10
320
(318.86)
+10
+10
330
(324.76)
留意点
区割変更には多大な
システム改修費用が
必要であり、他社へ
の影響が極めて大き
い
41
Ⅳ-2
⑷ 料金施策
地下鉄PTで検討した合理化インパクトを踏まえ、以下の3つの事項を考慮したうえで、値下げの
実行可能性を検討
料金値下げの収支 初乗り190円で約14億円/年の影響(減収)
への影響
初乗り180円で約31億円/年の影響(減収)
料金改定等に伴う
機器の改修
敬老パスの影響
交通局及び民鉄各社で事務調整、機器の改修が必要(1年~1年半)
料金値下げ、消費税改定、敬老パス制度変更のたびに民鉄各社にお
いても機器の改修が生じる
⇒同時実施が望ましい
上限制、有料化により、一定のレベルの逸走が考えられる
制度変更による影響額は最大39.1億円/年(減収)
42
Ⅳ-2
⑸ 終発延長①
現在の地下鉄は他社と比べ30~40分程度早く、大阪を世界と戦える都市とするための第一歩として終発延長を検討
状況
民鉄や首都圏の地下
鉄と比べて終発が30~
40分程度早い
• 地下鉄御堂筋線は、現状で新幹線や民鉄の終発と連携で
きている(参考2-1、2-2)
• 民鉄と比べて、主要ターミナルにおける地下鉄の終発が30~
40分程度早い(参考1)
• 首都圏の地下鉄と比べて、終着から始発までの営業休止時
間が40分程度長い(参考3)
必要性
終発延長は世界と戦え
る都市にするための第
一歩
• “都市の格”、“働きやすさ”など都市機能の根幹に関わる話
で、採算性だけの問題ではない
• 大阪の成長戦略として、地下鉄の終発延長は世界と戦える
都市にするための第一歩
まずは都心から郊外へ
向かう終発を民鉄並み
に
• まずは、民鉄並みを目途に、早期実施可能な終発延長プラ
ンの検討
• 利用実態・利用ニーズを踏まえて、利用者の視点から終発延
長プランの検討
• 深夜時間帯の需要創出に関わる成長戦略等の施策と連携
した終発延長プランの検討
考え方
43
Ⅳ-2
⑹ 終発延長②
参考1
都心ターミナルから郊外方向への終発状況(民鉄・地下鉄)
44
Ⅳ-2
⑺ 終発延長③
終発延長は3つのステップで推進検討
【地下鉄の終発延長の具体案】 回送列車の営業化による終発延長の可能性
・第一段階 : 終発後に運行している回送列車の営業化等による延長を早期実施に向けて検討
《回送列車の状況》
御堂筋線
・なかもず23:34発 梅田行0:05着後 中津まで回送 ⇒ 中津行0:07着に営業化
・なかもず23:49発 梅田行0:20着後 新大阪まで回送 ⇒ 新大阪行0:25着に営業化
谷町線
・八尾南23:28発 文の里行回送 ⇒ 大日行0:24着に区間延長営業化
・大日23:32発 八尾南行回送 ⇒ 八尾南行0:26着に営業化
四つ橋線
・住之江公園23:37発 北加賀屋行回送 ⇒ 西梅田行0:03着に区間延長営業化
中央線
・コスモスクエア23:44発、23:51発 森ノ宮行回送 ⇒ 森ノ宮行0:08着、0:18着に営業化
千日前線
・南巽23:40発 今里行回送 ⇒ 野田阪神行0:09着に区間延長営業化
長堀鶴見緑地線
・門真南0:06発 大正行回送 ⇒ 大正行0:30着に営業化
・大正0:07発 鶴見緑地行回送 ⇒ 横堤行0:27着に営業化
今里筋線
・井高野23:46発、23:56発、0:06発 清水行回送 ⇒ 今里行0:13着に、清水行0:10、0:20着
に営業化
南港ポートタウン線
・住之江公園23:26発 中ふ頭行23:40着後 コスモスクエアまで回送 ⇒ コスモスクエア行23:44着に営業
化
・住之江公園23:36発 中ふ頭行23:50着後 コスモスクエアまで回送 ⇒コスモスクエア行23:54着に営業
化
・第一段階の実施後に状況等を踏まえ、第二段階以降の実施の可能性について検討
第二段階 : 相互直通各社とのダイヤ調整を踏まえた終発延長の検討(堺筋線等)
第三段階 : 都市魅力の創造やまちづくりなど、深夜時間帯の需要創出に関わる成長戦略の策定や
実施等と連携して、さらに踏み込んだ終発延長の検討
45
Ⅳ-2
⑻ 終発延長④
参考2-1
46
Ⅳ-2
⑼ 終発延長⑤
参考2-2
47
Ⅳ-2
参考3
⑽ 終発延長⑥
地下鉄各社局の始終発時刻等の現状
終着時刻
終発時刻
御
堂
筋
線
上り (あびこ北端) 23:58 梅田
江坂~
(あびこ北端) 下り 江坂
23:57 (あびこ北端)
あびこ
~なかもず
谷町線
四つ橋線
大
阪
市
交
(1)
中央線
千日前線
堺筋線
鶴見緑地線
今里筋線
市横
ブルーライン
交浜
メ 銀座線
東
ト
京
ロ 丸ノ内線
上り なかもず
23:49
0:31
上り 八尾南
23:21
下り 大日
23:22
上り 住之江公園 23:33
下り 西梅田
23:41
上り 長田
23:35
下り コスモスクエア 23:37
上り 南巽
23:34
下り 野田阪神 23:40
上り 天下茶屋 23:36
下り 天神橋筋六丁目 23:37
上り 門真南
23:42
下り 大正
23:48
上り 今里
0:00
下り 井高野
23:40
上り 新横浜
0:38
下り あざみ野
0:49
上り 渋谷
0:13
下り 浅草
0:05
上り 荻窪
23:50
下り 池袋
0:04
下り あびこ
あびこ
なかもず
大日
八尾南
西梅田
住之江公園
コスモスクエア
長田
野田阪神
南巽
天神橋筋六丁目
天下茶屋
大正
門真南
井高野
今里
あざみ野
新横浜
上野
渋谷
池袋
新宿
送電停止 送電開始
(2)
0:20
0:30
23:57
0:39
0:12
0:13
23:54
0:02
0:04
0:06
23:58
0:04
23:52
23:54
0:12
0:19
0:23
0:03
1:01
1:06
0:39
0:37
0:40
0:39
始発時刻
(3)
0:40
~
4:20
0:50
~
4:20
0:40
~
4:20
0:40
~
4:20
0:40
~
4:20
0:40
~
4:20
0:40
~
4:20
0:40
~
4:20
0:40
~
4:20
1:15
~
4:45
0:55
~
4:40
0:55
~
4:40
営業休止
時間
(4)
5:06
5:05
5:09
5:37
5:01
5:00
5:08
5:13
5:06
5:07
5:09
5:15
5:08
5:12
5:12
5:09
5:10
5:00
5:14
5:14
5:01
5:01
5:00
5:00
停電時間
(保守時間)
(A)
(B)
[(4)-(1)]
[(3)-(2)]
天王寺
江坂
なかもず
あびこ
八尾南
大日
住之江公園
西梅田
長田
コスモスクエア
南巽
野田阪神
天下茶屋
天神橋筋六丁目
門真南
大正
今里
井高野
上永谷
あざみ野
渋谷
浅草
新宿
池袋
4:46
4:35
5:12
4:58
4:49
4:47
5:14
5:11
5:02
5:01
5:11
5:11
5:16
5:18
5:00
4:50
4:47
4:57
4:13
4:08
4:22
4:24
4:20
4:21
(A)-(B)
1:06
0:55
1:42
1:28
1:09
1:07
1:34
1:31
1:22
1:21
1:31
1:31
1:36
1:38
1:20
1:10
1:07
1:17
0:43
0:38
0:37
0:39
0:35
0:36
3:40
3:30
3:40
3:40
3:40
3:40
3:40
3:40
3:40
3:30
3:45
3:45
第3軌条路線
大阪市地下鉄 首都圏地下鉄
(第3軌条方式)
(A) 営業休止時間
4時間35分~5時間18分
概ね5時間00分
4時間08分~4時間21分
概ね4時間20分
(B) 送電停止時間
3時間40分
一部、3時間30分
3時間30分~3時間45分
(A)- (B)
概ね1時間20分
概ね40分
48
Ⅴ 事業運営
組織設計においてはお客さま第一主義の浸透、お客さまの利便性向上、市部局モデルからの脱却と民
営化をにらんだ機能強化が求められる。
 お客さま第一主義の理念浸透
– 逆ピラミッド組織型組織図の採用
– 日常業務において「お客さま第一主義」が常に職員の最優先事項となる組織風土の刷
新
 駅舎運営とお客さま利便性向上をにらんだ組織改編
– 駅のトータルコーディネートを行なう組織として、「鉄道企画室」の創設
– 鉄道事業本部内の組織改編により、お客さまの利便性向上を第一に考える組織風土
の確立
 大阪市部局(組織)モデルからの脱却および民営化をにらんだ機能強化
– 法務部を独立させ、同時にコンプライアンス推進体制も強化する
– お客さま第一主義のもと、総務部に企画部門を創設し、IR、CI、広報活動を強化
新会社の成長戦略を措くにあたり次の観点が有効に活用が求められる
- ノウハウ確保:不足分を補う為、技術継承の為
- ローコストオペレーション:既存賃金体系からの解放、アウトソーシング
- 増収策/危機対応
民間企業として事業を運営する上で、現存システムの修正のみで対応可能
49
Ⅴ-1 組織設計
「お客さま第一主義」を目に見える形で浸透させるため「逆ピラミッド」型の組織図に改めると共に、「お客さま第一主
義」の価値基準に基づき判断し行動する組織風土を作ることが必要
機能強化のポイント
駅の一元管理によるトータル
コーディネイト力強化
営業力、お客さま対応力の
強化
用地不動産管理業務の強
化
– 本部内において駅運
営との一元管理
IR,CI、広報活動の強化
旧部署
 総務部(事業開発担当)
駅構内事業担当
 鉄道事業本部(事業監理担当)
事業監理課
 鉄道事業本部 運輸部 駅務課
 鉄道事業本部(事業監理担当)
バリアフリー企画担当
 鉄道事業本部 運輸部 駅務課
 鉄道事業本部 運輸部
お客さまサービス担当
 総務部(経営企画担当)
営業企画担当
 総務部(事業開発担当)
事業開発課(管財)
 IR---該当なし
[総務部(経営企画担当) 企画課]
新部署
 鉄道事業本部 鉄道企画室
事業計画課
 鉄道事業本部 運輸部 施設課
 経営企画部 企画課
監査業務の強化
 総務部 監査・監理団体担当
 鉄道事業本部 安全監査担当
 総務部 経理課
現業部門
事
業
計
画
課
 鉄道事業本部 鉄道企画室
用地管理課
 総務部 総務課(庶務、文書の一部) 法務部 法務課
 法務部 コンプライアンス推進課
財務機能の強化
お客さま
 鉄道事業本部 運輸部 営業課
コンプライアンスの強化
グループ事業経営の推進
• 監理団体業務担当を
整理統合
 総務部 監査・監理団体担当
• 成長戦略におけるグ
ループ会社の育成
新組織と主な改編部門
 監査室 監査課
 監査室 安全監査課
 経営企画部 グループ事業課
 経営企画部 財務課
本局部門
用
地 施 営
管 設 業
理 課 課
課
鉄
道
企
画
室
運
輸
部
管 法
財 務
課 課
電
気
部
車
両
部
工
務
部
総
務
部
コ
ン
推プ
進ラ
課イ
ア
ン
ス
法
務
部
企
画
課
グ
ル
ー
プ
事
業
課
経
営
企
画
部
財
務
課
人
事
部
安
監 全
査 監
課 査
課
監
査
室
鉄道事業本部
社長
50
Ⅴ-2 子会社(外郭団体)の戦略的活用 ⑴ 活用方法
新会社の成長戦略を描くにあたり、付帯事業を拡大させ増収することと、コスト削減による効率的な
運営体制の構築が必要である。その手法として、戦略的に子会社を活用
活用方法
想定される業務
• 専門会社を買収する等、新会社に不足
する人材、ノウハウ、専門性等を確保す
る。
• 技術の継承のために、子会社に出向、転
籍、再就職を実施
一般
業務
・清掃業務
ローコスト
オペレーション
• 新会社と異なる賃金体系によるローコスト
体制を構築
• コストダウンのために、新会社の業務につい
てアウトソーシングを実施
専門
業務
・ハウスエージェンシー業務
増収/他
• 付帯事業の拡大による新会社の成長
• 増収のために、子会社が、他社のインソー
シング、業務を受託
ノウハウ
確保
• 事故等緊急時の円滑な対応・調達
・人材派遣業務
・鉄道技術支援業務
・駅の補助業務
鉄道
業務
危機対応
・メンテナンス業務
- 乗車券の販売業務
- 拠点駅でのお客さま案内業務
- 遺留品取扱業務
- 乗車券調製業務
等
51
Ⅴ-2
⑵ 各種業務の分類(発注方法の検討)
WGより、自社保有すべき業務と外出しすべき業務を検討
分類
(a)
自社保有すべき業務
(1)自社直営維持業務
【目的】
(自社直営により輸送の安全
を確保する)
輸送の安全に直接関係する
事項は、技術継承、人材確
保、責任の明確化、非常時
対応力の維持を目的として
直営を維持する。
【自社直営とは】
新規設計、保守計画、部品調達、作
業実施、検査履行に至るまで、自社内
組織で実施すること。ただし、自社内組
織にはグループ企業・子会社を含む。
(2)自社技術管理、委託する業務
【自社での技術管理とは】
整備作業は委託するものの、技術管理
(設計、保守計画、主要部品調達)は
自社で行うこと。ただし、委託先はグルー
プ企業・子会社に限定せず、実施能力
のある企業の競争によって決定する。
(b)
業務委託する業務
【目的】業務委託(アウトソーシングによる効率化及び品質の向上)
・作業及び技術管理をすべて委託業者に任せる。
(c)
自由競争により調達する業務
業務名
【運輸】
・ 列車運転業務
・ 駅業務
・ 遺留品取扱業務
【電気】
・ 電気設備の設計業務
・ 電気設備の保守業務
・ 電気設備の故障対応業務
・ 電気設備の新設・改造工事に伴う施
工監理業務
・ 電気設備新設・改造工事に伴う竣
功検査
・ 駅務機器の設計施工監理業務
【車両】
・車両保守業務
【工務】
・ 法定検査・施工監理業務
・ 軌道保守業務
・ 企画業務
・ 基本設計業務
・ 安全管理業務
【運輸】
・ 車椅子介助業務
【電気】
・ 電気設備の保守業務
・ 電気設備設計委託業務
・ 電気関係請負工事
・ 調査研究業務
【工務】
・ 改造・構築補修工事
・ 設計業務
・ 調査業務
・ 実施設計業務
・ 建設、改良工事
・ 保守点検業務(輸送の安全に
直接かかわる施設)
【運輸】
・ 定期券発売所運営業務
・ 地下鉄駅清掃業務
・ 廃棄物処理
【電気】
・ 駅務機器の維持管理業務
・ 駅務機器の故障受付
・ 照明設備の保守整備業務
【工務】
・ 保守点検業務(輸送の安全に
直接かかわる施設以外)
備考
【車両】
・ 車両清掃業務
【目的】(競争入札によるコストダウン)
・特殊な技術管理は不要で、すべて委託業者に任せる。
52
Ⅴ-3 システム構築
民間企業への移行に際しては、現存システムの修正のみで対応可能
財務会計システム概要
開発スケジュール
※公営企業会計制度改正⇒2014年度予算編成より実施
・・・(A)
※企業会計への移行
⇒2015年度から運用を開始すると想定・・・(B)
予算編成/
予算管理
収納管理
購買管理
支出管理
物品管理
(貯蔵品管理)
資金管理
備品管理
一般会計
(決算処理)
固定資産管理
全体の修正
・税務管理の強化
・管理会計の導入
個別の修正
固定資産管理
・圧縮記帳への対応
・棚卸資産の時価評価
への対応
・リース会計への対応
マスタ
起債管理
費用
全サブシステムに対
してマスタ・決裁情報
を連携
電子決裁
一般会計(決算処理)
・退職給付引当金への
対応 など
2012年度
公営企業会
計制度改正
(A)
・4億円(財務会計システム)
・1億円+α(その他)
影響部署への負荷
18ヵ月
開発期間
★2014年度予算編
成を先行して運
用開始
企業会計
への対応
(B)
コスト
期間
2013年度
開発期間
2014年度
★運用開始
※各課におい
て伝票入力
開発期間
2015年度
★改正後の公営
企業会計制度に
基づく決算処理
★運用開始
※各課において
伝票入力
(A) 現行→
公営企業会計制度改正
(B) 現行→
企業会計
7,500万円(改造費)
(2012年度予算 1.5億円)
4億円(改造費)
1年間←2012年9月~開発
1年半←2013年当初~開発
(コンサルも含む)
現状体制で対応可能
53
Ⅴ-4 民鉄との共通化
民鉄とは、モノ、ヒト、ソフトの三分野での共通化の可能性を見出した。多くの投資を必要としない。
分野
取組内容
投資有無
鉄道資機材の共同調達
• 調達コストを下げるために、鉄道固有の資材・機材を民鉄と共
同購入
無
発電所
• 電力不足により間引き運転等のサービス低下を防ぐため、関西
の鉄道会社共同で発電所を所有し、電力を供給
有
• 重複業務をなくすために、駅務機器・保線・検車・架線保守等
のメンテナンス業務を共同で実施
(例)堺筋線の検車業務を阪急に委託、北急の検車業務
を交通局が受託
無
モノ
メンテナンス業務の共同化
ヒト
人材活用
仕様統一
ソフト
• 各社により不足している人材、余剰がある人材が異なるので、
互いに出向の形で補完し合い、鉄道全体で人員の過不足に
対応
• 更なるローコスト化をめざすために、車両・駅務機器・各種部材
の仕様を統一
無
無
鉄道技術
• 関西の鉄道技術レベルを維持・向上のために、業界全体で保
有・伝承すべき技術を共有
無
増収策
• 全体の収入を増やすために、共同宣伝、相互送客、共同イン
バウンド誘致を実施
無
54
Ⅵ その他の課題
⑴ 資産・資本政策(B/S)
バランスシートにおける三つの課題は資産の把握、資金の調達、出資の形態
バランスシート
ToDo: 資産の把握
• デューデリジェンスにより資
産を確定
• 資産の切り分け
– 何が誰のモノ?
ToDo:資金調達
• 調達方法の検討
• 適正調達額と事業へ
の意味合い
③
①
相互作用あり
課題:
• 毀損資産の把握(民間企
業と異なり、償却による節
税効果が無いため)
②
ToDo:資本構成の検討
• 資金的制約
• 事業連携をにらんだ
資本戦略
• 出資形態とガバナン
スへの意味合い
課題:
• 適正な負債・資本の比率
で、BSをバランスさせる
• バランスさせる指標:自己
資本比率、DEレシオ等
55
Ⅵ
⑵ 広域化の検討 なにわ筋線
なにわ筋線について
【なにわ筋線の事業化に向けた課題】 事業費の確保策
•
•
(2011年度国土交通省調査)
JR難波、南海難波ルートの場合の事業費
 中間駅なしの場合 : 約1,800億円(需要=約15万人、費用便益比=1.90)
 中間駅ありの場合 : 約2,500億円(需要=約21万人、費用便益比=1.74)
なにわ筋線整備には“東海道線支線の地下化”が前提となるため、その事業費も別
途必要 : 約690億円(新駅設置費を含む)
[区画整理事業を前提とした従前のスキームによるものであり、用地費等は含まない]
•
合わせると約2,490~3,190億円の事業費が必要
【なにわ筋線による地下鉄事業への影響】 最大約95億円/年の減収
•
(2011年度国土交通省調査)
JR難波、南海難波ルートの場合の影響額
 なにわ筋線内中間駅ノンストップ(=中間駅なし)の場合=▲67億円/年
 なにわ筋線内全駅停車・中間駅ノンストップ複合の場合=▲95億円/年
関西空港~新大阪間の最短所要時間※ : JR難波ルート 約46分
南海難波ルート 約50分
※既存路線区間は現行ダイヤの最速時分を適用
56
Ⅵ
⑵ 広域化の検討 四つ橋線①
南海線の地下鉄四つ橋線への乗り入れについて
【路線の目的】 地下鉄四つ橋線の有効活用策を検討
• 低迷が続く四つ橋筋沿線(御堂筋の西側エリア)の活性化
• 西梅田で行き止まりの四つ橋線の有効活用(新大阪との結節)
• なにわ筋線以外の新大阪~関西空港のアクセス機能確保の可能性
【路線のイメージ】 難波付近で南海線を四つ橋線に乗り入れ
•
新今宮~難波間で南海線から分岐、なんば~四ツ橋間で四つ橋線に合
流して乗り入れ、西梅田へ。さらに新線で“うめきた”、“十三”を経由して
新大阪へ
(関西空港~新大阪間の最短所要時間 : 約53分)
【路線の課題】 南海線と地下鉄四つ橋線の車両規格が違う
項目
車両の大きさ
地下鉄車両
幅
高さ
長さ
2,890㎜
3,745㎜
18,900㎜
南海車両
幅
2,744~2,850㎜
高さ
4,140㎜
長さ
20,765㎜
車両編成
6両
4~8両
集電方式
第三軌条
架空線
使用電圧
750V
1500V
軌間(レールの幅)
標準軌(1,435㎜)
狭軌(1,067㎜)
対応策
⇒小型車両の開発
⇒ハイブリッド車両の開発
⇒四つ橋線の4線軌条化
57
Ⅵ
⑵ 広域化の検討 四つ橋線②
【車両規格の違いへの対応策】 小型ハイブリッド車両開発と四つ橋線4線軌条化が不可欠
•
トンネル断面の拡大は不可能⇒小型ハイブリッド車両の開発が不可欠
 西梅田付近で堂島地下街(上部)とJR東西線(下部)が支障
•
前例がないので検討要
フリーゲージ車導入は検討しない⇒線路の4線軌条化が不可欠
 新幹線での導入を検討されているが、まだ開発途上で都市鉄道への適用は検証されていない。
【路線の事業費(超概算)】 南海線分岐部から地下鉄四つ橋線合流部まで約910億円
•
•
本路線の事業費:約910億円(車両の開発・新造費、四つ橋線の4線軌条化費を含まず)
西梅田~新大阪間の新線の事業費:1,300~1,350億円(車両費、4線軌条化費を含まず)
•
合わせると約2,210~2,260億円+α(車両費、4線軌条化費)の事業費が必要
【事業化に向けた課題】 技術的課題、事業スキームなど更なる検討の深度化が必要
•
•
小型ハイブリッド車両開発や4線軌条化など技術的課題について、更なる検討の深度化が必要
事業主体、運行形態をはじめ、事業スキーム、資金調達などについて、国、地方(府、市)、事業者
等を含めた関係者間の合意形成が必要
58
Ⅵ
⑶ 制度面の課題
現行法上の課題等
企業債の取り扱い
(地方財政法)
地方公営企業法
職員の身分
解決策
• 地方財政法では、公営企業については、地方債をもって
その財源とすることができるとされているが、企業債は地方
公営企業を有する自治体の債務であり、公営企業が廃
止された場合は、当該自治体が債務を負担
• 繰上償還額:約6,502億円※1
• 繰上償還に伴う補償金額:最大約1,456億円※1
• 事務を引き継ぐ新会社が
債務を引き継ぐことができ、
また、企業債の繰上償還
を必要とする場合は、償還
財源を可能な限り低利で
調達できるようにすることが
望ましい
• 新会社の従業員は公務員でなくなることから、市を退職し
て転籍が必要(退職手当、年金などの処理が必要)
• 退職手当:約780億円※2
• 新会社設立と同時に新会
社従業員とみなせるように
することが望ましい
• 地下鉄建設やノンステップバス購入にあたっての国からの
補助金について、返還が必要となる可能性あり
• 返還すべき補助金額:約2,687億円※1
• 新会社が営業する路線や
サービスと公営企業のそれ
らの実態を比較して、基本
的に変化がない場合は、
補助金の返還を必要とし
ないことが望ましい
地方公務員法
補助金の取り扱い
補助金適正化法
※1 2010年度決算ベースで試算
※2 2010年度末想定
• 公営事業の民営化に
関する特別法(承継
法)の整備が望ましい
• (参考)東京地下鉄株
式会社法
59
Ⅶ 民営化スケジュールの概略
取り組むべき課題
基本的方向性の検討
戦
略
・
財
務
組
織
シ
ス
テ
ム
に民
で営
き化
るを
こ待
とた
ず
・投資計画の策定
・資産切り分け方針検討
・出資子会社・外郭団体見直し
・資産評価(デューデリジェンス)
・企業債の扱い・債務借替
・持株形式の検討
-広域交通インフラとの整合性
-民間出資の可能性
・法制面の整備(特別法等)
・賃金引き下げ・労使交渉
・局として残す機能の検討
・民営化に向けての組織づくり
-組織設計
-経理・人事などの機能強化
6月 2012
4月
4月
2013
2015
民営化事業
計画骨子
民
営
化
プ
ラ
ン
方針決定
問題点
洗い出し
関係機関との調整
*
関係各社との調整
問題点
洗い出し
賃金引き下げ
金融機関
との交渉
関係者
との調整
退職金・年金等
組
織
骨
格
新規採用再開
新
会
社
骨
子
確
定
関交
す通
る事
条業
例の
の設
廃置
止等
なに
ど
移
行
準
備
民
営
化
移
行
民間出向による人材育成など
・システムスペック検討
・事業者選定
・システム構築
テストラン
実行準備
・終発延長
・料金値下げ
・その他サービス向上策
2014
方針決定
第一次終発延長
民鉄との調整
民鉄との調整・システム準備
できることから順次実行
*地下街、モノレール、空港ビル、北大阪急行電鉄、泉北高速鉄道など
第二次終発延長
料金値下げ
60