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作図ツールとインターネットで
数学の授業を変えよう
愛知教育大学 数学教育講座
飯島康之
[email protected]
目次
1.はじめに
2.図形を動かしてオープンな発問をしよう
3.アバウトから次第に精密に
4.ある問題で実行できた考え方を別の問題にも適用し
てみる。
5.GCの基本機能
6.複素数と作図ツール
7.作図ツールとインターネットの連携
1.はじめに:作図ツール
作図ツール = 作図・測定・変形等ができる
GCは 飯島が 1989年から開発・公開しているフ
リーソフト。多くの中学校などで使われている
ここで使う GC/Win 以外にもいろいろある
私の楽しみ方
数学を変える
授業を変える
カリキュラムを開発する
それらを多くの人が楽しんでもらえる道具を作る
背景としての「教育の情報化」
2005年までに大きく変わる
詳細は文部省:ミレニアムプロジェクト「教育の情報
化」
普通教室で「コンピュータ+プロジェクタ」
ネットワークの充実
コンテンツの整備
(作図ツールに関するコンテンツ開発も行う)
本講座は数学で何ができるかの一例
アクセスしてください
本講座は,「実際に使っていただくための入り口」
Forum of Geometric Constructor
http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/teacher/iijima/
本講座のテキスト,データ,ソフト
関連する資料のほとんど
作図ツールコンソーシアム(文部省委嘱事業)
http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/dgs/
中学校の教科書に準拠したデータ(開発中)
2.図形を動かして
オープンな発問をしよう
問題1
図のように,四角形ABCDの4つの辺の中点をそれ
ぞれE,F,G,Hとし,それを結んで四角形EFGHを
作る。このとき,四角形EFGHは平行四辺形になる
ことを証明せよ。
図形を動かして調べられるなら,どういう授業展開が
適切なのだろうか。
オープンな発問例
問題2:上の図のように,四角形ABCDの4つの辺
の中点をそれぞれE,F,G,Hとし,それを結んで四
角形EFGHを作りたい。いろいろな形の四角形AB
CDをかいてみよう。四角形EFGHについてどんな
ことが成り立つか。
問題3:この図は,四角形ABCDの4つの辺の中点
E,F,G,Hを結んでいる図である。この図形をいろ
いろと変形してみよう。何か気づくことはないか。
外が長方形, 外がひし形, さらに詳しいこと
発問をオープンにするねらい
「証明すべきこと」の提示 → 「自分の予想」の証明
予想は玉石混淆。「証明に値すること」を見分ける
オープンにする度合いに応じて授業は変わる
生徒が何に気づいてくれるかに応じて授業は変わる
一つの気づきを突破口にどんな授業を組み立てるか
その図が持っている本来のおもしろさを引き出す
3.アバウトから次第に精密に
コンピュータ利用の一つの落とし穴
「だからなんなんだ」
例としての「円周角の定理」
図形1と図形2と図形3
「この図だったら何を感じるか」の分析が不可欠
教材研究の例(シムソンの定
理)
1999年,愛教大附属高等学校での公開授業に向けて
シムソン線を生徒に発見させるための教材化
問題をいろいろと変えると発見することも変わる
不自然な問題と自然な問題
教材研究の中から自分自身も問題を発見
正しいと思われる命題が見つかった証明できず
メーリングリストの中でいろいろな議論ができた
4.ある問題で実行できた考え方を
他の問題にも適用してみる
「4角中点」と同じことをいろいろな問題で行おう
「4つの辺の中点を結んで」を変えると…
問題5:四角形の4つの角の二等分線で四角形を作る。
外が長方形, さらにくわしいこと
問題6:四角形の4つの辺の垂直二等分線で四角形
を作る。
さらにくわしいこと
ツール型のソフトを授業で使う
ツール型のソフトにはいろいろな機能がある
一つのソフトでいろいろな教材が作れる
ある考え方をいろいろな問題に適用できる
「使えるためには準備が必要」という批判
全機能を学習するには時間がかかる
しかし,「この授業」に不可欠なものにしぼれば,
「5分程度の準備」で十分にできる
5.GCの基本機能
変形
軌跡
作図(補助線の追加, 最初からの作図)
それぞれ5分程度の準備をするとしたら…
GCの基本機能(1):変形
図形を読み込む
画面をクリックすると変形モード
変形する点を選ぶ
変形
標準モードに戻る(Escキーか右クリック)
例(4角中点)
GCの基本機能(2):軌跡
設定がしてあれば,「軌」のon/off
(通常は,事前に先生が設定をしておく)
軌跡の設定は「編集」で
例1(外心)
例2(重心と外心)
例3(線分の垂直二等分線)
例4(長方形の周りを転がる円)
GCの基本機能(3):作図(追加)
何を追加するのか(点/線/円/変数)
どんな手続きで追加するのか
どの対象(点/線/変数)を使うのか
例(三角形の内心)
GCの基本機能(3):作図(最初から)
図形を関数と見よう
いくつかの点を独立変数と見る
それらをまず作る
できているものを元に従属変数としての点/線/円な
どを順次追加
例:三角形の外心
6.複素数と作図ツール
作図ツールは初等幾何だけではない
複素数平面の定義域と値域が重なっていると考え
る。
問題7:w=1/zにおいて,zが直線 y = 1 の上を
動くとき,wの軌跡を求めよ。
方程式 z2+z+1=0 の解
問題8:右の図では,z,z2,z3,...,z20 がある。
zの位置をいろいろと変えてみよう。
7.作図ツールとインターネット
との連携
ブラウザで図形をクリックすると自動的にソフトが起
動して図を動かせる
ネットワークを通じていろいろな資料(教材)を使える
[ソフトのインストールと設定(アプリケーションの関連
づけ)が必要]
単独のソフトとネット上にデータのあるソフトは違う
教科書準拠のデータ集を「授業」で使う
教材集や研究成果から「教材研究」を行う
メール/メーリングリスト等によるコミュニケーション
おわりに
http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/teacher/iijima/
GC/Win などを無料でダウンロード可能
様々な教材やより詳しい情報がある。
様々な試みをインターネットを通じて行っている。
これらをサンプルとして, インターネットを通じていろ
いろな試みをしてほしい。
ネットワークは「人と人」を直接つなげてくれる
それらによって「教育の情報化」は新たな段階に