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国際比較法制論A 第6回授業 2006 年5月25日 阿川尚之

奴隷制度と憲法

     奴隷の歴史 ジェームズタウンへの奴隷船来訪 アメリカ大陸における プランテーション農業の発達と奴隷貿易 独立当時の奴隷制衰退傾向 アメリカ南部における綿花栽培と 奴隷への需要増大 (イーライ・ホイットニーによるコットン・ジンの 発明)

コットン・ジンとは??  コットン・ジンの写真

憲法上の奴隷の地位

憲法上の奴隷の地位 ( 1/3 ) 奴隷制度をめぐる南北の対立  奴隷制度をめぐる制憲会議での 南北の対立  奴隷制度維持をめざす勢力  奴隷制度は早晩消滅すると考える勢力  奴隷制度廃止をめざす勢力  連邦成立を優先

憲法上の奴隷の地位 ( 2/3 ) 奴隷制度維持 奴隷制度維持をめざした条項  3/5 条項(黒人人口を下院議員数の配分に用い る)   逃亡奴隷条項(第 4 条 2 節) 内乱鎮圧義務(第 4 条 3 節)   連邦政府の権限列挙 (奴隷制度改変はできない)(第 1 条 8 節) 輸出税の禁止 (奴隷労働による物品輸出制限の禁止)(第 1 条 9 節)

憲法上の奴隷の地位 ( 3/3 ) 奴隷制度廃止  奴隷制度廃止を目指した条項  奴隷輸入の 1808 年までの継続(第 1 条9節)  北西条例(連合議会が可決)による北西領土 における奴隷制度の禁止

奴隷制度に関する 南北の法律制度

奴隷制度に関する 南北の法律制度 ( 1/2 )  北部の法律  奴隷制度の廃止  黒人も市民・自由人であるとの推定  公民権の一部保障  人身保護令などによる奴隷の解放、 拘束の禁止

奴隷制度に関する 南北の法律制度 ( 2/2 )  南部の法律  奴隷制度の州法による確定  黒人は奴隷であるとの推定  逃亡奴隷捕獲の権利  奴隷は所有権の対象・ある程度の権利尊重

北部法と南部法の対立

北部法と南部法の対立 ( 1/1 )  1)北部に移住した奴隷の地位  2)北部に滞在した奴隷の地位  3)北部を通過した奴隷の地位  4)北部へ逃亡した奴隷の地位  5)北部で解放され南部へ戻った 元奴隷の地位

奴隷をめぐる南北対立の変遷

奴隷をめぐる南北対立の変遷 1790 年~ 1830 年 ( 1/2 )  礼譲(コミティー)原則にもとづく問題の解 決  北部は2と3について 奴隷の地位継続を認める  北部は4について奴隷の捕獲を認める  南部は5について元奴隷の自由を認める

奴隷をめぐる南北対立の変遷 1830 年~ 1860 年 ( 2/2 )  奴隷をめぐる対立の激化  奴隷解放運動の激化  奴隷反乱の増加  礼譲精神の衰退  北部における誘拐禁止法の制定  北部における奴隷の強制解放  南部における自由黒人の監禁

合衆国西部領土における 奴隷制度

合衆国西部領土における 奴隷制度 ( 1/1 )  北西条例に基く自由州の誕生    西部領土の憲法上の地位 ルイジアナ購入とミズーリの妥協( 1820 年) メキシコ戦争と 1850 年の妥協

Dred Scott v. Sandford (1856)

Dred Scott v. Sandford (1856) ①原因 ②判決 ( 1/3 )  トーニー最高裁首席判事の判決  北部の自由州と自由領土で数年生活した 奴隷による自由を求めての訴訟  合衆国最高裁は、奴隷は北部での生活に よって自由にならないと判断 → 本判決によって、 南北対立が一層激しさを増す!!

Dred Scott v. Sandford (1856) ③理由 ( 2/3 ) 『理由』  黒人は白人より本質的に劣っている  ので、憲法上市民にはなれない 新しい領土で奴隷制度を禁止する法律 は、奴隷所有者の財産権を侵害するた め修正第 5 条のデュープロセス条項に 違反し、無効である。よって奴隷は自由 になれない。

Dred Scott v. Sandford (1856) ③理由 ( 3/3 )   修正第五条 「何人も、大陪審の告発または起訴によるのでなければ、 死刑または自由刑を科せられる犯罪の責を負わされるこ とはない。ただし、陸海軍または戦時あるいは公共の危 険に際し、現役の民兵の問に起こった事件については、 この限りでない。何人も同一の犯罪について、再度生命 身体の危険に臨まされることはない。また何人も刑事事 件において、自己に不利な供述を強制されない。また正 当な法の手続きによらないで、生命、自由または財産を 奪われることはない。また正当な賠償なしに、私有財産 を公共の用途のために徴収されることはない。」

南北戦争の勃発

南北戦争の勃発 ( 1/1 )  カンザス・ネブラスカ法とカンザスの流血  奴隷州をめぐる民主党の分裂と リンカーン大統領選出。  南部諸州の連邦離脱と サムター砦攻撃される。  戦争のはじまり

南北戦争と奴隷制度

南北戦争と奴隷制度 ( 1/2 )  戦争目的の変化: 連邦統一の維持から奴隷制度廃止へ   ゲティスバーグ演説 「 And that government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth.

南北戦争と奴隷制度 ( 2/2 )  奴隷解放宣言  修正第 13 条の制定と奴隷制度の禁止 「修正第十三条」 第一節 奴隷および本人の意に反する労役は、当 事者が犯罪に対する刑罰として正当に有罪の宣 告を受けた場合以外は、合衆国内またはその管 轄に属するいかなる地域内にも存在してはなら ない。 第二節 連邦議会は、適当な法律の制定によって、 本条の規定を施行する権限を有する。