x - 埼玉大学理学部物理学科

download report

Transcript x - 埼玉大学理学部物理学科

「現代物理学の展開」
重い電子系の物理
これは,講義で見せた物から,著作権法に触れる他人の資料や,余
分なところを削除したものです。レポートの参考にしてください。有名
物理学者の写真は,アメリカ物理学会が教育目的に限り使用を許可
しているものを使用しています。
埼玉大学理工学研究科物質科学部門教授
佐宗 哲郎 (サソウ テツロウ)
http://www.phy.saitama-u.ac.jp/~saso.html
e-mail: [email protected]
1
講義の展開
4/16
4/23
5/7
5/14
5/21
5/28
6/4
6/11
6/18
6/25
7/2
7/9
ガイダンス
佐藤一彦教授:低温における量子力学の世界
谷口弘三准教授:電気を流す有機物
小坂昌史准教授:磁性の世界
片野進教授:物質が示す多彩な性質‐中性子散乱による探求
今井剛樹助教:強相関電子系と量子多体問題
飛田和男教授:低次元の物理学
佐宗哲郎教授:重い電子系の物理
谷井義彰教授:素粒子と相互作用
佐藤丈准教授:ニュートリノ物理学
田代信教授:超高エネルギー宇宙線と宇宙ガンマ線
井上直也教授:最高エネルギー宇宙線起源の謎と解明に向けての
次世代実験
7/23 吉永尚孝教授:剛体の回転と原子核
7/30 山口貴之准教授:多価イオン状態の原子核のベータ崩壊
8/6 鈴木健教授:重イオン加速器と原子核物理学
3
今日の講義の予定
•第1部 物理学とは・・・
•第2部 物性物理学とは・・・
•第3部 重い電子系の物理とは・・・
•第4部 21世紀の物理学・・・
4
第1部
物理学とは
5
物理学科というところ
E  mc
2
 2 2


i   
  V 
t
 2m

6
物理学の展望
ブラックホール
大
宇宙物理学
天体物理学
地球物理学
固体物理学
分子物理学 →
原子物理学
原子核物理学
素粒子物理学
物性物理学
超伝導体
半導体
磁性体
液晶
高分子物理学
化学
コンピュータ,携帯電話,
DVD
カオス・フラクタル
複雑さ
→
生物物理学
→ 生命
→
脳,意識,
精神,社会
生物学
小
ニュートリノ
物理学
7
最先端科学におけるキーワード
•宇宙
•物質
Physics
=物理学
•生命
•情報
•環境
•エネルギー
8
科学と技術の体系
宇宙開発,
バイオ,
etc.
宇宙,物質,生命,情報,
環境,エネルギー
IT,ナノ,
etc.
化学,生物学,地学
物理学
数学
Cf:高校では 数学,物理,化学,生物,地学
9
物理学の体系
宇宙,物質,生命,情報,環境,エネルギー
21世紀
宇宙物理学
素粒子物理学
物性物理学
etc.
20世紀後半
現代物理学
場の理論
20世紀前半
量子力学
量子電磁気学
相対論
量子統計力学
統計力学
1900年頃
古典物理学
力学
電磁気学
熱力学
19世紀以
10
前に完成
多様な20世紀の物理学
「20世紀の物理学」(英国・米国物理学会編,丸善,1999)
第1章 1900年当時の物理学
第2章 原子と原子核の導入
第3章 量子と量子力学
第4章 相対性理論の歴史
第5章 核力,中間子,アイソスピン
第6章 固体の構造解析
第7章 熱力学および統計力学
第8章 非平衡統計力学
第9章 20世紀後半の素粒子物理
第10章 流体力学
第11章 超流動と超伝導
第12章 結晶中の格子波とスピン波
第13章 原子分子物理
第14章 磁性
第15章 原子核の力学
第16章
第17章
第18章
第19章
第20章
第21章
第22章
第23章
第24章
第25章
第26章
第27章
第28章
(第X章
測定の単位,標準,物理定数
固体電子
光学・量子光学・光学物性
材料の物理
電子線装置
ソフトな物質:概念の誕生と成長
プラズマ物理
天体物理と宇宙論
カオスの物理と計算機
生物物理
医学物理
地球物理
20世紀の物理学
21世紀の物理学 ?)
11
ノーベル賞(1901-)
物理学賞
化学賞
生理学・医学賞
文学賞
平和賞
物理学の分野で最も重要な発見または発明
をした人物に
最も重要な化学上の発見または改良をなした
人物に
生理学または医学の領域で最も重要な発見
をなした人物に
文学の分野で理想主義的な傾向の最も優れ
た作品を創作した人物に
国家間の有効,軍隊の廃止または削減,およ
び平和会議の開催や推進のために最大も
しくは最善の仕事をした人物に
ノーベル記念経済科学賞(1969-)
(正しくは,アルフレッド・ノーベルを記念したスウェーデン銀行
による経済科学賞)
12
件数
3
2
1
0
2001-2010
1991-2000
1981-1990
1971-1980
1961-1970
1951-1960
1941-1950
1931-1940
1921-1930
1911-1920
1901-1910
ノーベル賞(2)
ノーベル物理学賞の受賞分野の変遷
7
6
5
4
放射線・X線
気体
光学
応用
量子論
物性
素粒子
原子核
宇宙
地球物理
年代
13
日本人のノーベル賞受賞者
湯川秀樹(1907-1981)
朝永振一郎(1906-1979)
川端康成(1899-1972)
江崎玲於奈(1925-)
佐藤栄作(1901-1975)
福井謙一(1918-1998)
利根川進(1939-)
大江健三郎(1935-)
白川英樹(1936-)
野依良治(1938-)
田中耕一(1959-)
小柴昌俊(1926-)
1949年度ノーベル物理学賞
1965年度ノーベル物理学賞
1968年度ノーベル文学賞
1973年度ノーベル物理学賞
1974年度ノーベル平和賞
1981年度ノーベル化学賞
1987年度ノーベル生理学・医学賞
1994年度ノーベル文学賞
2000年度ノーベル化学賞
2001年度ノーベル化学賞
2002年度ノーベル化学賞
2002年度ノーベル物理学賞
2006, 2007年はTomonaga,Yukawa Year !(生誕100年)
14
物理学の2大潮流
物理学
• 素粒子・原子核・
宇宙物理学
原爆開発(マンハッタン
計画)
巨大科学(KEK,カミオカ
ンデ)
• 物性物理学
トランジスターの発明,
磁性体,誘電体,超LSI,
レーザー,超伝導, NMR,
etc.
パソコン,携帯電話,
DVD,MRI,etc.
•プラズマ物理学,生物物理学,Etc
15
物性物理学の特徴
素粒子・原子核・宇宙
相対論+量子論
高エネルギー
物性物理
量子論+相対論
低エネルギー
人間生活(人間的スケール)と
はかけ離れている
人間生活に深い関わり
一見わかりやすい
一見シロウト向け
一見わかりにくい
一見クロウト向け
巨大科学
小さな科学
16
400
300
200
講演数
日本物理学会年次大会(2005春)講演数
600
物性
素・核・宇
500
100
0
素粒子論
素粒子実験
理論核物理
実験核物理
宇宙線・宇宙物理
領域1(原子・分子,
領域2(プラズマ
領域3(磁性,
領域4(半導体,
領域5(光物性,
領域6(金属,
領域7(分子性固体,
領域8(強相関
領域9(表面
領域10(誘電体
領域11(統計力学
領域12(高分子,
領域13(物理教育,
新領域(ビーム物理)
17
相対論より量子論
• 現代物理学はアインシュタインの相対論より,
プランクの量子論
• 相対論はわかりやすいが,量子論は難しい
• 相対論は古典論の完成だが,量子論は全く
新しい
•現代社会に寄与しているのは,圧倒的に,
量子論(ケータイ,コンピュータ,DVD,超伝
導,原子力,・・・)
18
2005年は世界物理年
• 世界物理年=World Year of Physics
• 2005=1905+100
• 1905年=Einsteinの「驚異の年」
– 特殊相対論
– 光量子論
– ブラウン運動 (統計力学の基礎)
•
•
•
•
2006年1月27日
2006年3月31日
2006年5月5-6日
2007年1月23日
モーツァルト 生誕250年
朝永振一郎 生誕100年
L. Boltzmann 没後100年
湯川秀樹 生誕100年
2006, 2007年はTomonaga,Yukawa Year !(生誕100年)
19
第2部
• 物性物理学とは・・・
20
物性では・・・電子が主役
電子の発見(1897)
J. J. Thomson(1884-1919)
ノーベル物理学賞(1906)
• 電子
me=9.10939×10-31kg
ee=‐e= ‐1.60218×10-19C
me=‐2.00231923mB
• 陽子
mp=1.6726×10-27kg, ep=+e
• 中性子 mn=1.6749×10-27kg, en=0
mp/me=1836, e=1.60218×10-19C
S=1/2
ee=‐e
21
電子の発見の歴史
1874 G.J.Stoneyが電気素量の存在を主張(水素イオンの
電荷を最小単位とする)
1892 Lorentzの電子論,場と粒子の分離,ローレンツ力の
発見
1897 J.J.Thomson電子の発見(陰極線粒子corpuscle)
1891 G.J.Stoneyが電荷の最小単位をelectronと名づける
1899 H.A. Lorentzが陰極線粒子を”electron”と名づける
1909 H.A. Lorentz「電子論」(“The Theory of Electrons”)
電子の電荷が負なのはなぜ?
そう決めたから。(電池の極の名前を決めたときに決
まってしまった。)よって,電子の流れと電流の向きは逆。
22
原子と電子
• 原子の性質は(最外殻の)電子が決めている
23
11
Na12
:[Ne 1s22s22p6]3s1
3s
原子核:
Z=11,N=12,A=23
(11p+12n)
23
原子はなぜ安定か?
• 電子はなぜ原子核に落ち込まないのか?
• 落ち込まないために回っていれば,回転す
る電荷は電磁波を放射し,エネルギーを
失ってしまう!
電磁波
-e
+e
24
量子仮説とボーアの原子模型
•
•
•
•
•
Planck(1900)
e=hn輻射公式
Einstein(1905)
e=hn光量子論,固体の比熱
Bohr(1913)
原子模型
de Broglie(1924)
p=mv=h/l 物質波の理論
シュレディンガーの波動方程式(1926)
 2 2 2 

 2  2  2  n (r )  V n (r )  En n (r )
2m  x y z 
2
m 2
e2
En   2 2 ,  
, n  1,2,3,
2 n
4e 0
-e
+e
プランク定数 h=6.6x10-34 J・s
25
Einsteinによる比熱の量子論
• 古典物理学
C=3R,R=気体定数
• Planckの量子仮説によるEinsteinの比熱の理論
「輻射に関するプランクの理論と比熱の理論」
E. Einstein, Annalen der Physik 22 (1907) pp.180-190.
絶縁体の比熱
3R
=原子の振動子の集合体
2
 hn 
ehn / kBT
C  3R 
 hn / k T
2
B
k
T
 B  e
1


diamond
T 

3R
e  hn
:エネルギー量子
x  kBT / 
26
量子論の建設者たち
M. Planck
A. Einstein
N. Bohr
W. Heisenberg
E. Schroedinger
P. A. M. Dirac
L. de Brogli
27
量子の世界の不思議
ニュートンの力学
粒子の位置x(t)と速度v(t)
がわかる。 ma = F
vs.
量子の世界
ハイゼンベルクの不確定性原理 粒子の位置xと速
度vは,同時には確定できない。(1927) 運動量 p=mv
Δx・Δp > h/2π
粒子は波,光は粒子
λ=h/mv,
プランク定数
h=6.6x10-34J・s
(粒子性と波動性の2重性)
p=h/λ, ε=hν
28
量子力学における波動関数
x(t)の代わりに・・
波動関数 ψ(x)
|Ψ(x)|2
•Ψ(x)は複素数の波。
•|Ψ(x)|2
が,粒子がxに存在する確率を与える。
x
(コペンハーゲン解釈: 観測すれば,確率|Ψ(x)|2で
場所xに粒子が見つかる。)
29
シュレディンガーの猫
•シュレディンガーの猫のパラドックス?

毒薬
• 多世界理論?
238U
30
アインシュタインの箱
仕切り板
ψ(x)
パリ
粒子
ψ(x)
粒子
東京
パリに粒子が見つかれば,
東京の箱は,空
確率1/2
確率1/2
31
量子力学は非決定論(確率論)的か?
• 量子論も決定論である。 Ψ(x,t)は完全に決まる。
• 観測は確率的?(観測の問題) 観測自身は量子力学
で記述できないのか?
• 観測しなかったら?観測者(人間)がいなくても,量子
論は成り立つのか?
• 人間の存在を離れて、客観的な自然法則というものは
あるのか?そもそも、事物は存在するのか?
• 宇宙全体の波動関数はあるのか?
• 人間中心主義?
宇宙は,自然法則は、どうしてこのようになっているのか?
それは,そうでなければ,人間が存在できなかったからだ・・。
32
物性物理学の歴史
1900
1911
1912
1913
1924
1925
1926
1928
1933
1938
1941
1945
1947
1954
1957
1961
1962
1962
1964
1980
1986
Drudeの金属電子論: L=k/sT=3(k/e)2
Onnes, Hgの超伝導を発見
Laue,X線回折を発見,Braggが説明
Bohrの原子模型
ボース-アインシュタイン統計
ボース-アインシュタイン凝縮の理論,Pauliの排他原理
フェルミ-ディラック統計
Diracの電子論,Sommerfeldの金属自由電子論: 金属の比熱 Cel=gT
Sommerfeld-Betheの「固体電子論」
液体ヘリウムの超流動の発見 (Kapitzaら)
Landauの量子流体理論
Bloch, Purcell,核磁気共鳴法(NMR)の開発
トランジスターの発明(Bardeen, Schockley, Brattain)
初めてのメーザー発振(Townes)
超伝導のBCS理論,久保の線形応答理論,江崎のトンネルダイオード
レーザーの発明
ジョゼフソン効果の予言(Josephson)
半導体レーザー(Hall)
近藤効果の発見(J. Kondo)
量子ホール効果の発見(Klitzing)
高温超伝導体の発見(Bednorz, Mueller)
33
物性関係のノーベル賞(1)
1913
1920
1926
1928
1930
1937
1946
1952
1953
1956
1961
1962
1964
1970
1972
Onnes
Guillaume
Perrin
Richardson
Raman
Davisson, Thomson
Bridgman
Bloch, Purcell
Zernike
Schockley, Bardeen, Brattain
Moessbauer
Landau
Townes, Basov, Prokhorov
Neel
Bardeen, Cooper, Schrieffer
Heの液化(Hgの超伝導)
Invar合金
ブラウン運動
熱電子放射
ラマン散乱
電子線回折
超高圧
核磁気共鳴
位相差顕微鏡
トランジスタの発明
メスバウアー効果
液体ヘリウムの理論
レーザーとメーザー
反強磁性とフェリ磁性
超伝導の理論
34
物性関係のノーベル賞(2)
1973
1977
1978
1981
1982
1985
1986
1987
1991
1994
1996
1997
1998
2001
2003
Esaki, Giaever, Josephson
トンネル効果
Anderson, Mott, Van Vleck
磁性と無秩序系
Kapitza
液体ヘリウム
Bloembergen, Schawlow, Siegbahn
レーザー分光
Wilson
相転移の理論
Von Klitzing,
量子ホール効果
Ruska, Binnig, Rohrer
電子顕微鏡
Bednorz, Mueller
高温超伝導体の発見
De Gennes
複雑な系,柔らかな系
Shull, Brockhouse
中性子回折
Lee, Osheroff, Richardson
He3の超流動
Chu, Tannoudji, Phillips
原子のレーザー冷却トラップ
Laughlin, Strormer, Tsui
分数量子ホール効果
Cornell, Ketterle, Wieman
分子のボース-アインシュタイン凝縮
Abrikosov, Ginzberg, Leggett 第2種超伝導と超流動の理論
35
物性関係のノーベル化学賞
1908
1909
1935
1936
1968
1977
1998
2001
A. Rutherford
原子の放射性
M. Curie
ラジウムとポロニウムの発見
F. とI. Joliot-Curie
放射性元素の生成
P. Debye
双極子モーメントなど
L. Onsager
非平衡熱力学,相反定理
I. Prigogine
非平衡熱力学,散逸構造
W. Kohn
密度汎関数法
Heeger, MacDiamid, Shirakawa
有機導体,ポリアセチレン
36
物性物理学の特徴
• 具体的(豊富な実験データ,人工物質の創
出,・・・)
• 多彩な自然(ときには,人工物質)を,精密で洗練さ
れた理論によりモデル化
• 量子力学のもっとも顕著な実例を提供
• 粒子は,電子と原子核だけ。相互作用はクーロン
相互作用だけ。(一部で特殊相対論が必要)
• N=1023個の粒子が織り成す多彩な現象を,量子力
学を駆使して解き明かす。
• 時には,人類に役立つものを生み出す。
37
物性物理学とは・・・
• 舞台は物質・・・
固体
液体
結晶
非結晶(アモルファ
ス)
準結晶(5回対称)
常流体
超流体(超流動)
液晶
超イオン伝導体
気体
ボース-アインシュタイン
凝縮
高分子,細胞,神経ネットワーク,脳
絶縁体―半導体―導体―超伝導体
(金属)
常磁性体-強磁性体-反強磁性体
誘電体,強誘電体(圧電素子)
1次元物質,2次元物質,3次元物質
38
舞台で演じられる劇は・・・
•
•
•
•
•
•
•
•
超伝導,超流動,マクロな量子効果,・・・(高温超伝導,
有機超伝導体,・・・)
強磁性,強誘電性,・・・
量子ホール効果,アハロノフ-ボーム効果,・・・
超LSI,量子デバイス,超格子,量子ドットなどでのメソ
スコピック現象
量子コンピュータ
レーザー,STM,SQUID,・・・
ソリトン,カオスなどの非線形現象
核磁気共鳴(NMR),電子スピン共鳴(ESR),メスバウ
アー効果,・・・
人工物質の世界
物質設計
1次元,2次元物質
39
物性物理学の目指すもの
• N~1023個の原子の集合体(電子と原子核の集合
体)が,どんな状態をとるのか,どんな現象を示す
のか
• すぐに役に立つことだけでなく,原理の追求が大
事(長い目で見れば,それが人類に役立つ。)
強磁性,超伝導,アモルファス,準結晶,スピン・グラス,
各種半導体デバイス,1電子トランジスター,量子コン
ピュータ,熱電冷却,レーザー,核磁気共鳴,・・・
Cf. 素粒子:N=1~数個,原子核:N=1~数100個
40
原子の波動関数
 0,
z
0
:角運動量, z :そのz成分
 1,
 2,
 3,
z
z
z
 0,1
 0,1,2
 0,1,2,3
41
結晶構造
Simple
cubic
ZnS型
面心立方格子
(fcc)
NaCl型
体心立方格子
(bcc)
CsCl型
diamond
CaF2型
42
結晶構造と群論
• 群論(Group theory):「対称性」を扱う数学
• ある変換(回転,併進など)に関して,どの
ような性質を持つかを扱う。
• 量子力学と密接に関係(Gruppenpest)
「物理数学IV」(3年次後期)
• 分子の形点群
• 結晶の形空間群
43
結晶中の電子の波動関数
• 立方対称結晶場中のs,p,d,f電子
px
py
pz
s
d3z2-r2
dx2-y2
dxy
dzx
dyz
2.0-
2.0
0
2.0
2.0
0
2.0
0
0
2.0-
2.02.0-
2.0
2.0
2.0
0
0
0
2.0-
2.02.0-
2.02.0-
0
0
2.0
z(5z2-3r2)
y(5y2-3r2)
x(5x2-3r2)
z(x2-y2)
2.0
x(y2-z2)
y(z2-x2)
xyz
44
結晶中の希土類元素の波動関数
• 立方対称結晶場中のCe3+イオン(スピン軌道相互作用)
4f電子
G7
G8
45
金属の自由電子論
• Lorentzの電子論(1872~)
• Drudeの電子論(1900) L=k/sT=3(kB/e)2
• Sommerfeldの自由電子論(1928~)
金属の比熱 Cel=gT
A.Sommerfeld and H.Bethe, “Elektronentheorie
der Metalle” in Handbuch der Physik (1933)
• アルカリ金属の性質はよく説明できる。
46
電子波のブラッグ反射と
エネルギー・バンド
• Braggの反射条件
2d sinq=nl
q
q
d
d sinq
•結晶中での電子波のブラッグ反射
定在波
波長l運動量p=h/l波数 k  2 p, p 
•エネルギー分散関係
2
l
E(k)
47
金属と絶縁体(1)
自由電子
金属
絶縁体
(バンド絶縁体)
E(k)
E(k)
E(k)
エネルギー・
ギャップ
EF
EF
EF
0
k
- /a
0
/a
k
- /a
0
/a
k
EF: フェルミ・エネルギー E<EFの状態に電子が詰まっている
48
金属と絶縁体(2)
金属
絶縁体
r(T)
rT
~ eEgap/kBT
電気抵抗
T
T
C(T)
C(T)
3R
C(T)=gT+AT3
g ∝ m-1
比熱
T 3
T
T
49
金属の基本的性質
電気抵抗
rT
r0
C(T)/T
電子-電子散乱
電子-フォノン散乱
c(T)
g
T
r(T)=r0AT2+BT5+CT
残留抵抗(不純物散乱)
帯磁率
比熱
T
T2
C(T)/T=g+AT2
c(T)~一定
g2/3kB2D(EF)
Pauli帯磁率
1 N
D(E)  2 2 , kF  2 e

3 V
mkF
3
c(T)=mB2D(EF)
50
超伝導体
1911年,OnnesがHgの超伝導を発見 (Tc=4.13K)
rT
C
 1.42
C(Tc )
C(T)
Tc
Meissner効果
T
磁場B
Tc
T
クーパー対
T>Tc
T<Tc
51
高温超伝導の歴史
•1911年,OnnesがHgの超伝導
を発見
•1957年,Bardeen,Cooper,
Schriefferが超伝導を解明(BCS
理論,1972年ノーベル賞)
•1986年,BednorzとMuellerが
銅酸化物高温超伝導体を発見(1
987年ノーベル賞)
•1987年,超伝導転移温度が液
体窒素温度を超える
•2000年1月に秋光純氏らが
MgB2の超伝導を発見
•2003年,Abrikosov,Ginzberg,
Leggettが第2種超伝導体の理論
などでノーベル賞
52
強相関電子系の物理
• 高温超伝導体では,電子の有効質量mが,
裸の質量m0よりも重くなる。
• 希土類化合物の”重い電子系”では,裸の質
量m0の1000倍にもなる。
•近藤効果
電子間の強いクーロン斥力
e2
F 2
r
電子e-
伝導電子
局在スピン
53
電子相関の役割
遍歴性と局在性
波動関数の
広がり ↓
U
アルカリ金属
s電子
大
小
遷移金属
d電子
中
中
アクチナイド金属
5f電子
中
中
希土類金属
4f電子
小
大
磁気モーメントの発生
磁性は量子力学+電子相関から生じる
磁気モーメント
U=0の時
EF
Ed
U>0
Ed+U
EF
Ed
or
54
近藤効果
希薄磁性合金における電気抵抗
極小の現象
R(T )  R0  AT 5  cJ log(T / TK )
TK:近藤温度, c:不純物濃度
T
s-d模型
H sd  e k cks cks  J
ks

S

s
c
 ss ' ks ck 's '
kk 'ss '
J. Kondo (近藤淳)(1964)
伝導電子
局在スピン
3次摂動によるスピン反転散乱過程
近藤温度
TK  De1/ rJ
2004年は,近藤効果40周年
55
日本の磁性研究の伝統
•本多光太郎(1870-1954 )
•曾禰武
•広根徳太郎
•彦坂忠義
•茅誠司
•永宮健夫(-2006)
•芳田奎
•吉森明夫
•糟谷忠雄(1925-)
•金森順次郎(1927-)
•守谷亨
•近藤淳
•望月和子(-2006)
etc.
56
酸素の超伝導
Superconductivity in oxygen: K. Shimizu, K. Suhara, M.
Ikumo, M. I. Eremets, K. Amaya, Nature 393, 767-769 (25 Jun
1998)
57
ダイヤモンドの超伝導
Superconductivity in diamond: E. A. Ekimov, V. A. Sidorov, E. D. Bauer, N. N. Mel'nik, N.
J. Curro, J. D. Thompson, S. M. Stishov, Nature 428, 542-545 (01 Apr 2004)
58
鉄の超伝導
Superconductivity in the non-magnetic state of iron under pressure:
Katsuya Shimizu, Tomohiro Kimura, Shigeyuki Furomoto, Keiki
Takeda, Kazuyoshi Kontani, Yoshichika Onuki, Kiichi Amaya, Nature
412, 316-318 (19 Jul 2001)
59
リチウムの超伝導
Superconductivity in compressed lithium at 20 K: Katsuya Shimizu, Hiroto
Ishikawa, Daigoroh Takao, Takehiko Yagi, Kiichi Amaya, Nature 419, 597599 (10 Oct 2002)
60
Caの超伝導
• 単体では最高
Tc=25K
T. Yabuuchi, et al.:J. Phys. Soc.
Jpn. 75 (2006) 083703
61
各種元素の超伝導
Superconductivity: Putting the squeeze on lithium: N. W. Ashcroft,
Nature 419, 569-572 (10 Oct 2002)
62
固体水素
水素ガス固体水素金属水素超伝導?
超高圧
Energy
木製や土製は固体水素?
2s
m
1s
metal?
a0
Lattice
constant
63
Mott-Hubbard絶縁体
•電子間クーロン斥力Uによる絶縁体 (U>W=バンド幅)
•電子(正孔)を注入すると金属になる。(高温超伝導体)
Energy
Mott-Hubbard insulators
U>0
1s
1s
metal
クーロン
斥力U
U
insulator
a0
Lattice
constant
Pauliの排他律:1つの軌道には,1電子しか入ることが出来ない。(スピンの向
きが異なれば,可能。)
64
第3部 重い電子系
• 重い電子系とは・・・
• 希土類化合物,アクチナイド化合物で見られる。
• 近藤効果を起こす磁性イオンが周期的に並んで
いる。
• 電子の有効質量が,裸の質量m0の100~1000倍
にもなる。(CeCu6)
• 質量が重いのに,超伝導になるものさえある。
(CeCu2Si2,UPt3)
• 磁性と超伝導が協調または共存することがある。
• 強磁性と超伝導が共存するものさえある。(UGe2)
65
希土類原子の波動関数元素
s
p
d
f
66
重い電子系のイメージ
• 洗濯板ポテンシャル中をトンネル効果で走り抜ける。
• 周りの電子を跳ね飛ばしながら走る。
重くなる。
m aF
*
m*=100m0~1000m0
67
重い電子系の基本的性質
電気抵抗
rT
r0
帯磁率
比熱
C(T)/T
g
c(T)
c0
T
r(T)=r0AT2
+近藤効果
A∝(m*)2
T2
C(T)/T=g* ∝m*
g*2/3kB2D*(EF)
D(E) 
m * kF
2
2
, kF 3 
1 Ne
3 2 V
T
C
c (T ) 
T T *
C
c (0)   m*
T*
m*~
100m0~1000m0 68
重い電子系の電気抵抗
電気抵抗
近藤効果
rT
r0
r(T)=r0+cB logT
T
フェルミ液体
r(T)=r0AT2
A∝(m*)2
69
CeCu6の電気抵抗
• Y.Onuki and T. Komatsubara, J.Mag.Magn.Mater.63&64(1987)281.
70
重い電子系超伝導体(1)
• CeCu2Si2の超伝導の発見
F. Steglich, et al.: Phys. Rev. Lett. 43, 1892-1896 (1979)
“Superconductivity in the Presence of Strong Pauli Paramagnetism: CeCu2Si2”
71
重い電子系超伝導体(2)
C
 1.42
C(Tc )
C(T)
Tc
T
C(T)=gT+AT3, g ∝ m*-1
m*=有効質量~1000m0
● Ce
● Cu
・ Si
72
UBe13
UBe13: An Unconventional Actinide Superconductor
H. R. Ott, H. Rudigier, Z. Fisk, and J. L. Smith: Phys.
Rev. Lett. 50, 1595-1598 (1983)
p-Wave(?) Superconductivity in
UBe13, H. R. Ott, et al.:Phys. Rev.
Lett. 52, 1915-1918 (1984)
73
p波(f波)超伝導体:UPt3
Possibility of Coexistence of Bulk Superconductivity and Spin Fluctuations in
UPt3
G. R. Stewart, Z. Fisk, J. O. Willis, and J. L. Smith:
Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico 87545
Phys. Rev. Lett. 52, 679–682 (1984)
74
近藤絶縁体
• 近藤効果は,スピンの量子性が不可欠。
• 近藤効果は金属でのみ起こる。
• なのに,ある種の絶縁体でも,近藤効果が起こる。
(近藤絶縁体)
・帯磁率
YbB12
χ
高温でCurie-Weiss則
低温で非磁性
FeSi
・比熱
T
C/T
Egap<T<TKで
C=gT+AT3, g>>g0
g
・電気抵抗
ρ
T2
Egap
低温で絶縁体
~ e Egap/T
T
75
近藤絶縁体YbB12
K. Sugiyama, et al., JPSP 57 (1988) 3946.
F. Iga, et al., JMMM 76&77 (1988) 156.
Yb2.9+
76
2004/03/15 11:13:27 YbB12Band5.wpl
近藤絶縁体YbB12
最近の研究から: 典型的な近藤絶縁体YbB12の結晶構造とバンド構造
Energy(Ryd)
1.1
1
0.9
K X
W
L
X
T. Saso(2003,2004)
77
動的分子場理論(d=∞理論)

自己エネルギーが局所的: ij (e) d
(e)ij
~
G(e ) 
1
G(e )1  (e )
を無摂動Green関数とする1不純物問題に帰着
~
G(e ) : 中心サイト以外の効果を取り入れた(cavity) Green関数
  
 U 
  

  
  
  
d=3≒∞,
1/d=1/3≒0と
見なす理論
•局所電子相関がfullに考慮されている。
•電子系に対する最良の1サイト理論。
有効不純物問題の解法:
厳密対角化法,数値繰り込み群,量子モンテカ
ルロ法, NCA, slave boson,改良反復摂動論
(mIPT)
78
近藤絶縁体YbB12の理論
EG(H).SMP 3-17-1999 19:54
Magnetization curves
Gap closing
0.3
0.8
SCSOPT
DMFT
0.2
0.6
0.4
U/=2
Rigid Band
Eg(0)-2h
0.1
U/=4
SCSOPT
(U=2)
0.2
0
0
U=0
(Scaled at h=0)
Eg
M(H)/M()
1
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
0
H/TK
•最近,異方性の説明にも成功!
0.1
h
0.2
79
スクッテルダイト化合物とは
• ノルウェーのSkutterud
村の鉱山でnon-filled
のCoAs3が採掘された
(1845)。
• ヨーロッパのマイセン
の陶磁器の美しい青
色の原料。
• (TX3)4=T4X12のX12の
カゴに,R(希土類)が
fillされたものが,
filled-skutterudite
RT4X12
•新しい熱電材料としても注目されている。 80
充填スクッテルダイト化合物
RM4X12, R=Rare Earth, M=Fe, Ru, Os, X=P, As, Sb
PGEC (=Phonon Glass, Electron Crystal)
Rattling of R
Figure of Merit Z= S2/rk
Phonon Glass:
k小,
Electron Crystal: r小
R
M
X
81
RX12 cluster
RX12 cluster in Filled Skutterudite
82
充填スクッテルダイト型化合物一覧
磁性体
MI転移
超伝導体
半導体
RM4X12, R=La,Ce,Pr,…, M=Fe,Ru,Os, X=P,As,Sb
X=P
La
Ce
Pr
Nd
Sm
Eu
Gd
Tb
Fe
LaFe4P12
CeFe4P12
PrFe4P12
NdFe4P12
SmFe4P12
EuFe4P12
Ru
LaRu4P12
CeRu4P12
PrRu4P12
NdRu4P12
SmRu4P12
Os
LaOs4P12
CeOs4P12
PrOs4P12
NdOs4P12
SmOs4P12
La
Ce
Pr
Nd
Sm
Fe
LaFe4As12
CeFe4As12
PrFe4As12
Ru
LaRu4As12
CeRu4As12
PrRu4As12
Os
LaOs4As12
CeOs4As12
PrOs4As12
NdOs4As12
SmOs4As12
La
Ce
Pr
Nd
Fe
LaFe4Sb12
CeFe4Sb12
PrFe4Sb12
Ru
LaRu4Sb12
CeRu4Sb12
Os
LaOs4Sb12
CeOs4Sb12
Yb
EuRu4P12
GdRu4P12
TbRu4P12
Eu
Gd
Tb
Yb
Sm
Eu
Gd
Tb
Yb
NdFe4Sb12
SmFe4Sb12
EuFe4Sb12
PrRu4Sb12
NdRu4Sb12
SmRu4Sb12
EuRu4Sb12
PrOs4Sb12
NdOs4Sb12
SmOs4Sb12
EuOs4Sb12
X = As
X = Sb
YbFe4Sb12
YbOs4Sb1283
熱電効果
Thermoelectric Power (TEP)
A. Seebeck, Pogg. Ann. 6 (1826) 133.
(温度勾配による起電力)
発熱
吸熱
(a)
(b)
熱流a
T
T+T
電流I
B
A
金属a
金属a
熱流b
A
Seebeck係数 S:
V
B
金属b
V  ST
電流I
金属b
Peltier係数 P:
温度勾配による起電力
Q  PI
保冷庫
電流による接合部での吸熱・発熱
Thomson係数 :
Q  IT
電流と温度差による吸熱・発熱
84
熱電冷却と熱電発電
-
電子流 I
+
+
+ T+T
T
T
電流 I
T
ポータブル温冷庫 9,800円
吸熱
85
熱電半導体はクール
熱電冷却・・・
86
スクッテルダイトの熱電効果
LaFe3CoSb12
ZT~1 at 800K
87
2004/06/22 12:43:33 band.wpl
スクッテルダイト化合物のバンド構造
Skutterudite化合物CeRu4Sb12(近藤絶縁体的)の結晶構造とバンド構造
CeRu4Sb12
Energy
0.9
0.8
N
P
H
P
T. Mutou and T. Saso(2004)
N
H
88
半金属的バンド模型を用いて,
輸送現象を理論的に説明した。
EF
0
T.Saso: JPSJ 75(2006)No.4,043705
t1=1, t2=0.1, =0.02, Ef=0.3, V=0.1
光学伝導度
-1
N
P
H
P
N
H
300K
電気抵抗とゼーベック係数
200
100
0
0
100
●○ Exp.
― --- Calc.
100
200
T [K]
Exp.
10K
Re s
200
80K
S [mV/cm]
rCe(T)-rLa(T) [mcm]
Energy(Ry)
スクッテルダイト化合物
CeRu4Sb12の輸送現象の解明
300K
Calc.
80K
0
300
40K
0.001
0.01
0.1
 (eV)
1
89
スクッテルダイト化合物
CeOs4Sb12 の特異なSDW相
磁場でSWD相が広がるのは,遍歴電
子系では特異。半金属的バンド模
型を用いて,理論的説明に成功。
Y. Imai, K. Sakurazawa and T. Saso, JPSJ 75
(2006)No.3,033706
t1=1, t2=0.07, =0.03, Ef=0.3, V=0.15
帯磁率
SDW相
Exp.: H. Sugawara, et al:PRB 71, 125127 (2005) 90
第4部
• 21世紀の物理学・・・
91
ナノテクと量子力学
カーボン・ナノチューブ
原子で作った運動場
フラレンC60
92
量子ドット
ドットに2個電子が
入ると,クーロン
斥力が生じる。
Quantum Dots
e-
dot
•電子は粒子でもあり,波で
もある。(粒子性と波動性)
•量子コンピュータの部品と
なる。bit(0か1)qbit(0と1
の任意の重ね合わせ)
93
量子電流の非局所性
磁場B
~100Å
V
I
I
V
抵抗R=V/IがBで変化する!?
Iを流して,Vが発生す
る!?
94
ニュートンの力学的世界像と人間の自由意思
ニュートンの力学的世界像=決定論(量子力学も,決定論)
人間に自由意思はあるか?(ラプラス)
脳も物理法則に従う!しかし,脳は複雑系!
cf. 武田暁「脳はいかに物理学を創るのか」(岩波)
物理法則の階層性:
素粒子の法則がわかっても,脳の法則がわかるとは限らない。それぞ
れの階層ごとに,最も適当な変数がある。脳には脳の変数がある。人間
は、物理法則に従いながらも、あたかも自由意志があるかのごとくに振る
舞い得る。
95
われわれは何を知っているのか?
•知ること → 観測(測定)すること
•われわれが測定するのは,測定器のメータの針だけ。
針の位置は古典的現象。
•われわれは、古典的人間である。古典的現象しか知
ることはできない。
•知ること  脳の物理状態の変化
•「言い得ることはすべて明瞭に言い得る。言い得な
いことについては,沈黙しなければならない。」(ウィト
ゲンシュタイン「論理哲学論考」1922年)
96
物理学はすべてを解明できるか?
1.すべてを解明できる。
2.すべては解明できない。
3.誰も興味を持たなくなって,進歩が止まる。
われわれはすべてを知ることができるか?
もちろん,できない。
97
物理学には終わりがあるか?
1.物理学には終わりがない(無限に進歩する)。
2.すべてが解明されて,終わりが来る。
3.誰も興味を持たなくなって,終わりが来る。
4.物理学はすべての科学と融合して進化する。
物理学の方法論が必要とされる新しい問題は,
次々と出現してくる。
98
21世紀の物理学
•
•
•
•
•
•
21世紀の物理学は,どう変わるか?
どんどん変化してゆく?
学問の境界の消滅?
未知の物=新しいサイエンス
物理学=根本から考える態度
未知のものがある限り,科学も,物理学も終
わらない。
• 21世紀の課題:「持続可能な社会」「均衡あ
る発展」
99
物性物理学の特徴
• 多様な物質(ときには,人工物質) ,多彩な現象,
豊富な実験データ
• 多彩な自然を,精密で洗練された理論によりモデ
ル化
• 精妙な概念の宝庫(他分野へも輸出)
• 量子力学のもっとも顕著な実例を提供
• 粒子は,電子と原子核だけ。相互作用はクーロン
相互作用だけ。(一部で特殊相対論が必要)
• N=1023個の粒子が織り成す多彩な現象を,量子力
学を駆使して解き明かす。
• 時には,人類に役立つものを生み出す。
100
他分野への概念の輸出
• 相転移,長距離秩序
• 超伝導(素粒子のヒッグズ機構),超流動
• スピングラスニューラルネット(脳の神経回路網
のモデル)
• 解析力学近代経済学(均衡モデル)
• カオス・フラクタル株価の変動モデル(経済物理
学)
• 道路の交通渋滞モデル
• 基礎原理から説明しようとする態度
• 数理的な模型を作って定量的に理解しようとする
態度
101
More is different
P.W. Anderson (Nobel prize in
1977):
Broken symmetry
Adiabatic Conctinuity
More is different
自然の階層構造:
T.Saso, P.W.Anderson, E.Abraham, B.
Kramer at PTB(Germany)
クォークの理論がわかっても,生命の仕組みがわ
かるわけではない。それぞれの分野には,それぞ
れの階層に応じたふさわしい記述の仕方がある。
102
More is different
P.W.Anderson: “More is Different”, Science 177 (1972)
p.393-396
103
物性物理をやろう!
• そうすれば,ある程度の努力で,研究成果
も上がるし,学会で発表も出来る。論文も
書ける。物理学者にもなれる(かもしれな
い)。
スモール・サイエンスのよいところ
• ビッグ・プロジェクトは派手だが,個人は歯
車のひとつにしかなれない!
104
基本法則の発見の歴史
法則の発見の数
複雑系,生命,マイクロマシン,etc.
大
量子物性,ナ
ノサイエンス
人間の認知上限
素粒子,
宇宙
古典物理
人
間
の
ス
ケ
ー
ル
宇宙のスケール
新たな
発展
素粒子のスケール
人間の認知下限
1600 1700 1800 1900 2000 年 1600 1700 1800 1900 2000
年
小
105
[email protected]
• 1877年「東京数学会社雑誌」から,現在ま
での,すべての物理学会ジャーナルをオン
ライン化!
http://www.ipap.jp/jpsj/index.htm
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/
108
数物学会と数物学会誌
の変遷
数物学会の変遷
1877~
1946~
1884~
東京数学会社
1919~
東京数学物理学会
数物学会誌の変遷
1877~
・・・
日本物理学会
・・・
日本数学物理学会
1891年より欧文誌化!(Phys.Rev.より2年早い!)
1948~
1885~1909
東京数学会社雑誌
日本数学会
東京数学物理
学会記事
報告 1901~
→
JMSJ
1919~
・・・
1946~
PPMSJ
記事概要
JPSJ
・・・
PTP
・・・
1903~
→
2
記事第2期
1907~
=和文誌
日本数学物理
学会誌
1927~
数学
日本物理学会誌
1947~
・・・
・・・
109
湯川の中間子論文(1935)
I. Proc. Phys.-Math. Soc.
Jpn. 17 (1935) 48
II. Proc. Phys.-Math. Soc.
Japan 19 (1937) 319,
III.Proc. Phys.-Math. Soc.
Japan 20(1938) 319,
IV.Proc. Phys.-Math.
Soc. Japan 20(1938)
720.
(II,III,IVは坂田,武谷,
小林と共著)
110
湯川の中間子論
光子
電子
中間子
電子
クーロン力の発生
陽子
中性子
核力の発生
111
長岡の土星型原子模
型論文(1904)
•
•
•
•
Tokyo Sugaku-Butsurigakkwai
Kiji-Gaiyo Vol.2(1904)92107;140-141;240-247
Nature, 69(1904) 392393;70(1904)124-125
Phil. Mag.7(1904)445-455
Phys. Zeit. 5(1904)517-521.
112
レポート課題
• 出席点+ミニ・レポート
• この講義の感想(テーマ自由:「物性物理学はい
かに社会に役に立っているか」「重い電子系とは
何か」「物理学はこれからどうなる」,etc.)
• A4レポート紙1枚程度。学部・学科・学籍番号・氏
名は必須
• 締め切り:6月18日(月)17:00
• 提出先:理学部物理学科事務室(理学部棟5F)
「佐宗」郵便受へ
113