Check - Shared Questionnaire System

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Transcript Check - Shared Questionnaire System

2008/08/23@CUCサマーセミナー
Shared Questionnaire System
ハンズオン・セミナー
「社会調査2.0を実践するソフトウェアの導入と利用」
久保 裕也 [email protected]
千葉商科大学 政策情報学部 専任講師
http://sqs-xml.sourceforge.jp/
1
自己紹介:久保裕也(くぼひろや)
35歳。東京出身。
ソフトウェアエンジニア。
 坂本龍一さんのプログラマを務め、
自分で学費を稼ぎ、
ITベンチャー起業に参画。
 起業準備中
大学教員。

現在、千葉商科大学
•
政策情報学部 専任講師
「ITビジネス論」「コラボレーション技法」「人工言語入門」 を担当
コミュニティ研究者。
 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 後期博士課程
単位取得退学
 慶應義塾大学「21世紀COE」 研究員を経て、
• 慶應義塾大学SFC研究所 上席研究員
 「ITと社会の関係」についての研究
 国や自治体からの依頼を受けて、全国の学校教育機関の
IT化・データ経営概念の導入を支援
2
情報処理学会など3学会主催による
「情報社会のデザイン」シンポジウム
優秀論文賞(2006.12)
情報処理推進機構(IPA)
未踏ソフトウェア創造事業
天才プログラマー/スーパークリエータ認定
(2008.05)
3
著書:「学校評価」(ちくま新書)
慶應義塾大学 金子郁容教授と,
その門下である若手研究者三名
(私を含む)によるグループの,
最新の研究と社会実践の成果を,
一冊にまとめたもの.
学校と地域コミュニティの
「情報共有」を切り口に、
社会サービスの多元的な担い方を、
実証的・具体的に提案
4
問題提起
調査・評価を「形式知」化して、
社会で共有しよう。
5
「学校行政」とは
文部科学省
都道府県教育委員会
高等学校
5,385校
47都道府県
市町村教育委員会 約3300市町村
教職員24万人
中学校
1万992校
教職員24万人
小学校
2万2878校
教職員41万人
全国6万校・132万人の教職員がマネジメント対象
(大学・各種学校等を含めた数・本務教員の数)
※文部科学省:平成18年5月学校基本調査より
6
「学校評価」の義務化
平成14年 学校設置基準の改定
各教育委員会・文部科学省によるガイドラインの策定
「学校関係者へのアンケート調査とその分析」
設置者・教育委員会
管理職教員
一般教員・職員
児童生徒・保護者
地域住民など
•自己評価
•第三者評価
情報公開
(支援者・将来の顧客)
客観的な評価基準を用いた、
PDCAでの学校改善をめざす
7
突然ですが、質問です:
問1:「子供の学力低下が心配である」
⇒はい/いいえ
問2:「学校週5日制は、良い制度だと思う」
⇒はい/いいえ
8
調査結果から、意味を読み取る
※「日本PTA全国協議会」による全国のPTA会員6千人を対象とした調査の結果、2005/5/17 読売新聞
小中学生の保護者:
76%が
「学力低下が心配」
学力低下が
心配である
その他
大多数が
同意見である
学校週5日制度:
3割が「よい」
4割が「よくない」
よい
よくない
その他
意見が
2分されている
9
問題:「子供たちの成績を良くしたい」
仮説を立てる:
統計的な
「相関関係」
「因果関係」を推測する
•
•
•
•
•
•
•
教員による講義内容の品質の問題?
教科書の品質の問題?
教室内の子どもの人数の問題?
子どもの動機付けの問題?
子どもの学習習慣の有無の問題?
子どもの栄養状態の問題?
など….
★学校の先生の、教室内での努力は、もう、限界!
様々な物事の間の因果関係を推測し、相関関係を調べつつ、
対策を講じていく必要がある
10
実際の統計データ:朝食と学力の相関
•必ず朝食を取る:
• 514.8点
•全く、または、ほとんどとらない:
• 456.5点
※高3生、H16.1 「国語I」
11
問題状況の「客観的な改善」に向けた
仮説検証型マーケティング
1. クラスの中で、
「朝ご飯を食べてこない子どもの割合」と
「テストの成績」を調査
2. 「朝ご飯を食べよう!」キャンペーン
• 教員・児童生徒・保護者それぞれが
自発的に改善の取組みを計画・実施することを支援
3. クラスの中で、
「朝ご飯を食べてこない子どもの割合」と
「テストの成績」を調査
4. 改善のために…次は何をする?
12
PDCAの中の「評価」
Plan
計画
Do
実施
Check 評価
Action 改善
とりわけ「評価(調査)」の段階が重要!
13
Plan: 「目的を定める」
 目的の達成度合いを、数値化する方法を定める
• 客観評価が可能な指標をつくる
 目的の達成度合いの数値目標を定める
• マニフェストを打ち立て、目標達成の責任の所在を意識させる
Do: 「行動する」
 行動しながら、目的の達成度を調べ、記録する
• ベンチマークを取る
Check: 「目標とその達成度合いを比べる」
 目的は、どの程度達成されたのか?
Act:
「以上の全体を、改善する」
14
PDCA は、繰り返してこそ。
Plan
Act
Do
Plan
Do
Check
Action
Plan
Check
Action
Do
Check
「評価を次のステップでの改善に活かす」
目的の達成度合いを数値化する方法を、
次のステップでもなるべく同じように使うと、
「改善のスピード」が分かる。
15
実施主体による評価の種別
(例:学校評価)
同じ立場
利
害
あ
り
・
主
観
的
「自己評価」
利
害
な
し
・
客
観
的
「相互評価」
学校教職員の
自分自身による評価
同様の他の学校の
教職員が評価
異なる立場
「関係者評価」
その学校の
保護者・児童生徒・
地域住民などによる
評価
「第三者評価」
外部の専門的な
評価機関や学識経験者
による評価
16
学校全体の改善
• 学習
• 生活
• 進路
• etc.
Plan
Do
Action
Check
Plan
Act
Plan
Do
Check
Action
Do
Act
Plan
Do
Do
Do
Plan
Check
Action
Do
Plan
Check
Action
Check
児童生徒・保護者
Act
Plan
Check
Action
Plan
Check
Action
Plan
Chec
Actio
Do
Check
学校教職員
地域住民など
学校関係者のそれぞれの現場でのカイゼン
17
地域全体の改善
改善アイデアの流通
「真似したくなっちゃう学校」
Plan
Do
Action
Check
Plan
Act
Plan
Do
Check
Action
Do
Act
Plan
Do
Do
地域A
Plan
Check
Action
Do
Plan
Check
Action
Check
Do
Act
Plan
Check
Action
Plan
Check
Action
Plan
Chec
Actio
Do
Check
地域B
地域C
地域間で競争・真似し合うことでのカイゼン
18
PDCAは、
くらべ合い・学び合ってこそ
Plan
Act
Check
Action
Plan
Act
Act
Do
Plan
Check
Action
Do
Plan
Check
Action
Plan
Do
Plan
Do
Plan
Check
Action
Check
Do
Act
Do
Plan
Do
Check
Do
Plan
Check
Action
Check
Action
Plan
Check
Do
Plan
Check
Action
「他の成功事例に学ぶ」
Do
Do
Plan
Check
Action
Do
Check
目的の達成度合いを数値化・向上させる方法を、
地域・組織を超えて「真似」できる。
19
目的・評価指標を「共有」し、
達成度の調査票を「再利用」する。
過去の優れた調査票の再利用を進める
 調査票の共有・再利用は、調査技術の向上や
調査結果の有効化に大きく貢献することになる
2種類の共有・再利用
 「時間軸上での再利用」
• 調査対象の経年変化を追うことができる
 「空間を超えての再利用」
• 異なる地域や組織で横断的に利用することで、
調査対象間での比較や対照を行うことができる
20
「暗黙知」と「形式知」の種別
人間が「読んで学べる」知識
×
機械が
暗黙知
「自動処理 × (個人や組織の
経験の中にある、
することが
まだ表現されていない知)
できる」
形式知
知識
○ (バイナリファイル)
○
形式知
(テキストファイル)
形式知
(構造化テキスト
ファイル)
21
解決すべき課題(1)
ようするに…
これまでは、
「まにあわせ」「その場限り」の
調査・評価が多すぎた。
調査・評価の知識は、「暗黙知」のままになっている
ものが多い。組織が成長していない。
調査・評価の知識を、「形式知」化し、共有・再利用
をするべき。組織を成長させるべき。
22
解決すべき課題(2)
そもそも…
質問紙方式での調査・集計業務が、
学校現場の負担になり、
日常業務を圧迫している!!
学校評価の形骸化。 PDCAなどは、到底無理…?
※Webアンケートを利用できる場合は非常に限定的
※いわゆるマークシート方式は機器・用紙コストが高く、
回答者にも負担がある
23
解決策
Shared Questionnaire System
24
①アンケート「ひな形」の
蓄積・公開
教育委員会
SQS Repository
②アンケート「ひな形」の
ダウンロード
⑦学校レポート
作成
学校
SQS SourceEditor
③アンケートの作成・
編集・印刷
インターネット
⑧アンケート分析
⑨学校レポートの
蓄積・公開
④アンケートの
配布・回収・
スキャン
⑥アンケート
集計・分析
SQS MarkReader
⑤アンケート回答
アンケート
教員・児童生徒・
保護者・地域住民など
25
教育委員会・学校へのSQS普及
県教委の指導による学校での公的導入
 宮城県教育委員会
• 宮城県内の全公立高校への導入を実現:
– 2003年: 10校
– 2004年: 29校
– 2005年-現在: 87校すべて
 岩手県教育委員会
• 10高校を指定し導入推進中
• 小中学校への導入を開始
 群馬県教育委員会
• 小中学校・高等学校で80の実験学校を指定し導入推進中
 大阪府、京都市、横浜市、三鷹市、取手市、足立区の教育委員会などでも
学校内担当者・教育研修センター担当者らによる自発的導入
 千葉、東京、神奈川、岐阜、京都、大阪、鳥取….
全国の個別の担当者による自発的な利用→ボトムアップな普及
….日本教育新聞、教育委員会月報・専門書などでの報道・引用多数。
26
文部科学省行政への反映
2005年9月:中央教育審議会・義務教育特別部会(第33,34回)
 「科学的な手法」であるというコメントを受ける。
2006年4月:「学校の第三者評価等に関する研究計画に関わる事業案
の公募」
 文部科学省からのヒアリングを受け、募集内容に影響を与える。
• 「事業成果物はフリーソフトウェアとすること」との文言が盛り込まれる。
2006年8月:「学校評価ガイドラインに基づく評価実践研究推進地域及び
協力校の指定」・「コンピュータ等を有効に活用した効果的な処理方法の
研究」部門
 岩手県奥州市における「学校評価の事務的負担を軽減する「学校評価支援
システム(SQS)」の有効な活用と普及・拡大」が採択される。
2007年/2008年:「学校評価を適切に実施するための情報システムに関
する調査研究」
 文部科学省からの研究委託により、慶應義塾大学において、
調査研究とシステム開発を実施。
27
SQS: Shared Questionnaire System
SQS SourceEditor
 調査票の雛形(調査手法)の選択
 調査票の論理的構造のデザイン
 調査票の具体的メディアに対応した
調査票表現の生成
SQS MarkReader
 マークシート式調査メディアを利用
 集計処理の分散化・自動化
 簡易的な分析機能の提供
28
1
インストール・起動する
「SQS」
で検索
SQSホームページ
http://sqs-xml.sourceforge.jp/
動作環境
JavaSE 6以上 (JRE6)
AdobeReader等
PDF表示ソフト
IE/Opera/Firefox等
Webブラウザ
クリックすると、
[SourceEditor2.0]の
インストール/更新・起動
クリックすると、
[MarkReader2.0]の
インストール/更新・起動
29
2
SourceEditorで調査票ファイルを開く
※たとえば、「学校評価」の調査票のひな型の
「 .sqsファイル」を、教育委員会のWebサイトから
ダウンロードして入手する。
SourceEditor画面上に、
「.sqsファイル」をDrag&Drop
ココへ!
※将来的には、いろいろなWebサイトが、
.sqsファイルを公開・配布するようになることが期待される。
30
3
SourceEditorで調査票ファイルを編集する
タブで複数の
ファイルを
切り替え
ながらの、
同時編集が可能
アウトライン上で
選択をした部分が、
「編集対象ノード」と
して表示される。
ノードの種類ごとに
「編集対象ノード」の
GUIが作られ、
入れ子状に編成
される。
アウトライン形式で
階層的にノードを
表示・選択・編集。
ノードの種類ごとに
アイコンや表示ラベルの
カスタマイズが可能。
※.sqsファイル以外のXMLファイルも、
それなりに編集可能。
31
DublinCore
+
XForms
※FormControl部分のみ
+
XHTML2
+
etc.
∥
調査の属性+
調査票の本文
を抽象的に記述する言語
“SQS Source”
32
調査票の多メディア対応
調査票を抽象的に記述したXMLデータを元に:
「XSLによる変換スクリプト」を使い分けつつ、
多様な方式での調査票の表現を、自動作成
One Source – Multi Device
 マーク式+記述式回答のための、
調査内容に応じてカスタマイズされた
調査票原稿のPDF
 PC用Webフォーム
 携帯電話用Webフォーム( ※未実装)
 PDFフォーム(※未実装)
33
4
SourceEditorで調査票の印刷原稿を作成する
SourceEditorのツールバーの「PDFで印刷原稿をプレビュー」
を押すと、Webブラウザを通じて、
AdobeReaderなどが自動起動し、
調査票マークシートのPDFが開く。
普通紙に白黒で
両面印刷
調査票の量産
配布
回答者による回答
回収
34
5
調査票をスキャンして画像データにする
汎用の
ADF(自動紙送り)
装置付きスキャナで
スキャン
スキャン画像の解像度、色深度、
保存画像フォーマットは、任意でOK。
(ただしPDF形式には未対応)
ページ上下の■模様が重要!
スキャンの明るさ設定に注意!
汚損した原稿でもなるべく読み取る
35
36
37
6
MarkReaderへの入力データを準備する
ADFスキャナでスキャンした画像を、
「Sourceフォルダ」の中に格納する
ひとつの
フォルダに
まとめられた
入力データ
「Sourceフォルダ」
1ページ1ファイルで調査票を
スキャンした画像データ群
「ファイル名で並び替え」すると、
回答者順・ページ順に並ぶようにする
調査票の印刷原稿として
用いた「PDFファイル」を、
集計用のタネとして、
このフォルダに同梱する
回答者一人分は、
連続したファイル名になる
ようにする
38
7
MarkReaderでの処理を実行する
・・・・・・
Drag&Dropで
「Sourceフォルダ」を指定
ココ
へ!
TIPS
LAN内でMarkReaderをたくさん
起動しておくと、自動的に
分散並列して処理が高速化する
処理
index.html
Webブラウザが自動的に開き、
Ajax画面で出力結果を検索・閲覧可能
出力結果は、
「Resultフォルダ」の静的構造として生成
39
8
MarkReaderでの処理結果の修正・集計結果を利用する
Ajax画面で調査結果の修正をし、MarkReaderの
「Restart」ボタンを押す。
そうすると、
再集計が実施されて、
クロス集計データ、
CSV/Excelデータの
内容が更新される。
無回答エラー
マーク式回答欄の
自動読み取り結果の修正が可能。
自由記述式回答欄については
人力によるテキスト入力作業の
支援機能を提供。
多重回答
エラー
未入力の
自由記述欄
40
SQS MarkReaderからの出力
択一選択設問
→円グラフ(自動生成)
複数選択設問
→棒グラフ(自動生成)
41
SQS MarkReaderからの出力
自由記述式設問
⇒画像ファイル
として切り出し
(自動)
⇒文字データに
打ち込み直し
(手作業)
42
課題発見型調査票の例
「重要度」
X4段階
「実現度」
X4段階
+わからな
い
「課題」の名前
43
集計結果出力の例:課題発見型
実現度・平均
実現度・高
「重要度・実現度調査」
2003年9月実施
東京都足立区
五反野小学校
こどもが地域の人々
によって支えられて
いると実感できること
友達や知り合いに
こどもが自分から
元気に挨拶をする
こと
重要度・高
実現度・低
重要度・高
重要度・平均
44
SQSが拓く未来
45
調査1.0 「Closedな調査」
調査プロセス情報の非公開化 / 他者との差別化 /
調査結果の私物化・死蔵
調査2.0 「Openな調査」
調査プロセス情報の公開化 / 顧客からの信頼 /
調査結果の共有財化・多角的活用
46
調査2.0:調査コンテンツの流通・再利用
ネットワーク経由で取得した「調査票の本文」
を、コピー・貼り付けしたり、一部を書き換えた
りすることで、簡単に新しい「調査票」を作れ
るようになる。
社会的に調査ニーズの高い・品質の高い調
査票が、繰り返し使われることで、より洗練さ
れるとともに、その調査結果が蓄積し、客観
的な評価のための比較に用いることができる
ようになる。
47
2種類の「共有」の導入
Shared Questionnaire System
1.「アンケートシステム」の共有化
オープンソース・ソフトウェアとしてのSQS
×
2.「調査票の共有」のシステム
オープンな調査コンテンツの処理系としてのSQS
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学校評価の役割の3層構造化
文科省・教育委員会・
大学・研究機関・NPO
調査手法
それぞれの
学校現場
調査票
(学校評価の実施担当教員・
校長・教頭)
学校評価への回答者
(教職員・児童生徒・
保護者・地域住民など)
(調査の手法・
調査項目の雛形)の提供
(何を・どのように
調査するのかの
デザイン)の記述・調査実施
調査結果
(回答内容・
現実はどうなって
いるのかのデータ)への反映
49
SQS:今後の展開
•第1段階
•第2段階
• XMLでの
調査票記述
(デバイス中立)
• 単純集計の
自動化
•第3段階
• メタデータでの
調査仮説・
集計手法の記述
• 調査票などの
共有リポジトリ・
検索機能
• 調査関係者への
コミュニティサービス
• 特定目的での
集計の自動化
• Web2.0化、SW化
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009…
50