超高速代数曲線 公開鍵暗号 - 大阪大学大学院理学研究科数学教室

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Transcript 超高速代数曲線 公開鍵暗号 - 大阪大学大学院理学研究科数学教室

超高速代数曲線
公開鍵暗号
大阪大学大学院理学研究科数学専攻
鈴木研究室
助教授
D2
鈴木 譲
原澤隆一
{suzuki, harasawa}@math.sci.osaka-u.ac.jp
大阪大学大学院工学研究科
電子情報エネルギー工学専攻
北山研究室
M1
桶谷賢吾
[email protected]
公開鍵暗号系の原理
各ユーザの公開鍵は“電話帳”で公開
タイガースネット名簿
氏名
坪井
和田
桧山

野村
暗号鍵
f
f
f
a
b
c
f
f
f
1
a
1
b
1
c


f
復号鍵
d
f
1
d
・野村は坪井に“盗塁”というメッセージ(平文)を送るとき、
坪井の暗号鍵 f a (盗塁)で暗号化する。
・同じメッセージを和田には
・坪井は復号化鍵
f
1
a

f
1
a
f
b
(盗塁)と暗号化して送信する。
を持っていて
f (盗塁) = 盗塁
a
と、受信する。
・ f a から
f
1
a
を計算して求めるのに、
最高速計算機でも一年かかる。
・それまでには、野村はタイガースにいない…….。
公開鍵暗号系
平文
暗号化
暗号文
復号化
平文
解読
暗号化鍵 : f
平文
暗号文
復号化鍵 : f 1
f からf
f : 公開
1
f 1 : 秘密
f  f 1  e (恒等写像)
は数学的に求まる
計算量膨大
公開鍵暗号系の例
①因数分解
f ( p, q)  pq・・・・( p, q)をかけてpq
f 1 ( p, q)  ( p, q)・・・・pqを因数分解して( p, q)
( pとqは素数)
②離散対数問題
G  { 1, i ,  i ,  1}
 i
  G ,     のとき, を求める(   { 0,1, 2, 3})
f ( )   ・・・・ の  乗
f 1 (  )  ・・・・ が の何乗か
f は一方向性関数(計算量 )
群とは
Gは、かけ算*について群をなす
・ 1 G
・a  G
a 1  G
・a, b, c  G
(a*b)*c  a*(b*c)
Gは、たし算+について群をなす
・0G
・a  G
・a, b, c  G
 a G
(a  b)  c  a  (b  c)
群の例
G  1, i,  i,  1
a + b (mod 5)
①
a b
②
G  0,1, 2, 3, 4 mod 5
0
0
0
1
1
2
2
3
3
4
4
1
1
2
3
4
0
2
2
3
4
0
1
3
3
4
0
1
2
4
4
0
1
2
3
離散対数問題の例
①G  1, i,  i,  1, *
  i ,   i
を何回かけると になるか
***  1
位数 n  4
4回
 l   , 0    n 1
となるを求める
②G  0,1, 2, 3, 4,  (mod 5)
  2,   3
を何回加えると になるか
          0 (mod 5)
位数 n  5
   , 0    n  1
となるを求める
nが大きいとき、を求める計算量大
楕円曲線
y 2  x 3  ax  b ( a, b は定数)・・・・(*)
を満たす( x, y )の集合 E
楕円曲線の2点 P1 , P2の和P3  P1  P2
P1 , P2が(*)を満足  P3も(*)を満足
y
Eは  について群
P
Q
x
PQ
(座標の和ではない)
楕円曲線離散対数問題
1.楕円曲線Eで点Pを決める
2.Pを何回加えると楕円曲線Eの点Qになるか
P  P ・・・・ P  Q
を満たすを求める

楕円曲線離散対数問題は
他の群より解くための計算が膨大
⇒国際標準
(セキュリティ上安全)
楕円曲線暗号の課題
①暗号化の問題(群演算の高速化)
従来より安全だが、楕円曲線の導入により演算が複雑
②安全性の確保の問題
どんな暗号も、解かれない保証はない。ナップザック暗
号、一部の格子暗号など、有望とされながら解かれた
暗号は山のようにある。
③特許の問題
新規に参入しても、多くの要素技術が特許化されてい
て、それ以上の技術力が必要。
楕円曲線暗号化から
代数曲線暗号へ
Cab曲線
超楕円曲線
楕円曲線
楕円曲線:y 2=( xの3次式)
超楕円曲線:y 2=( xの5次式)
Cab曲線:y a=( xのb次式)
代数曲線暗号導入のメリット
①暗号化の高速化
広い代数曲線のクラスに、高速群演算を可能に
する曲線が存在。
②安全性の保障の問題
広い代数曲線のクラス全ての曲線に対して暗号
が解かれる可能性が低い。
③特許上の問題
代数曲線暗号で特許を取得すれば、楕円曲線
暗号で特許になっていても、特許使用の問題は
回避できる。
原澤・鈴木方式の概要
・種数 g の代数曲線では、g個の点の組で群要素を表現
P , P
1
2
,,
P
g
R , R
1
2
  Q
,,
Q
,
1
R
g

・g個の点を格子点の集合とみなす
2
,  ,
Q
g

NEC方式との比較
NEC方式:グレブナ基底検索法に基づく
原澤・鈴木方式:パウルスの最小基底検索
に基づく
提案方式の演算時間
実用サイズ
(160 bit)
実行時間 [秒]
0.09
0.08
0.07
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0
原澤・鈴木方式
100
200
300
400
鍵のサイズ [bit]
計算量に関する比較
原澤・鈴木方式
NEC方式
O( g 2)
3
O( g )
(gは代数曲線の種数)
・原澤・鈴木方式では1変数の割り算のみ
(NEC方式2変数多項式の割り算が必要)
情報セキュリティ国際会議、
主要ジャーナル採択状況
・J.Silverman and J.Suzuki
"Elliptic Curve Discrete Logarithms and the Index Calculus", Lecture Notes
in Computer Science No. 1514, Advances in Cryptology-Asiacrypt'98,
pages 110-125, 1998年10月.
(楕円曲線暗号にインデックス計算法を適用することがなぜ困難化を解析
した)
・R.Harasawa, J.Shikata, J.Suzuki, H.Imai
R. Harasawa, J. Shikata, J. Suzuki, H. Imai, "Comparing the MOV and FR
Reductions in Elliptic Curve Cryptography", Lecture Note on Computer
Science 1592, Advances in Cryptology-Eurocrypt'99, pages 189-204,
Springer-Verlag, 1999年5月.
(MOVアタックとFRアタックの理論的性質を比較するとともに、FRアタック
をはじめて実装した)
・J.Shikata, L.Zhen, J.Suzuki, H.Imai
``Optimizing the Menezes-Okamoto-Vanstone Algorithm for NonSupersingular Elliptic Curves", Lecture Note on Computer Science,
Asiacrypt '99, 1999年 11月
(MOVアタックは超非特異楕円曲線に適用可能であることを理論的に説
明した)
・R.Harasawa, J.Suzuki
``Fast Jacobian Group Arithmetic on Cab Curves", Lecture Note on
Computer Science, the 4th Algorithmic Number Theory Sympojium,
pages 359-376, 2000年7月.
(Cab曲線に関して群演算を高速におこなう方法を提案し、NEC方式、ガル
ブレイスらの方式と比較して有利であることを示した)
鈴木研究室代数曲線暗号グループ
鈴木 譲
原澤 隆一
桶谷賢吾
大阪大学大学院理学研究科 助教授
大阪大学大学院理学研究科 博士課程2年
(平成13年度より、文部省特別研究員)
大阪大学大学院工学研究科 修士課程1年
(北山研究室)
学外共同研究者
Joseph.H.Silverman 米国Brown大学 教授, NTRU設立者
東京大学生産技術研究所 教授
今井 秀樹
四方 順司
東京大学生産技術研究所 研究員
山本 芳彦
大阪大学大学院理学研究科 教授