5月15,18日講義分

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伝達事項
x = 2sin{(π/2)t} の式が解らないという方が多かった
です。
その方はラジアン単位 (rad) の角度は理解されてい
らっしゃるでしょうか。ご確認ください。
もしラジアン単位 (rad) の角度について説明が欲し
いという人は、或は、特定の項目について再度説
明が欲しい人はミニレポートに書いて下さい。
グラフを書き間違えた人は、作図をしてからグラフ
および定式化をして下さい。
宿題(締切: 5/13, 提出場所:田中の部屋の前のカゴ)
4秒間で1周の角速度で等速回転している質量5 kgの物体に関
する以下の問いに答えなさい。なお回転半径は 2 mで、
時刻 t=0 s の時、物体はy軸上の正の位置にあるものとする。
また物体は時計回りに回転しているものとする。
(1) 角速度ωを求めなさい。
(2) 円周の接線方向の物体の速度vを求めなさい。
(3) 向心加速度aを求めなさい。
(4) 向心力(円の中心に向かう力)Fを求めなさい。
(5) 物体のx軸方向の変位の時刻tに対するグラフを描きなさい。
(6) 物体のx軸方向の変位を時刻 t の関数として表しなさい。
宿題(締切: 5/13, 提出場所:田中の部屋の前のカゴ)
4秒間で1周の角速度で等速回転している質量5 kgの物体に関
する以下の問いに答えなさい。なお回転半径は 2 mで、
時刻 t=0 s の時、物体はy軸上の正の位置にあるものとする。
また物体は時計回りに回転しているものとする。
(1) 角速度ωを求めなさい。
360° (一周) = 2π (rad)
ω(rad/s) = 2π(rad)/4(s) = π/2 (rad/s)
(2) 円周の接線方向の物体の速度vを求めなさい。
v (m/s) = r(m)ω(rad/s) = 2(m) × π/2 (rad/s) = π (m•rad•s-1)
= π (m•s-1)
radは物理量でない(%等の割合に近い概念)なので、角度や
角速度以外の単位では無次元(数値としては1)として扱う。
宿題(締切: 5/13, 提出場所:田中の部屋の前のカゴ)
4秒間で1周の角速度で等速回転している質量5 kgの物体に関
する以下の問いに答えなさい。なお回転半径は 2 mで、
時刻 t=0 s の時、物体はy軸上の正の位置にあるものとする。
また物体は時計回りに回転しているものとする。
(3) 向心加速度aを求めなさい。
a (m/s2) = r(m)ω2(rad/s)2 = 2(m) × (π/2)2 (rad2/s2)
= π2/2 (m•rad2•s-2) = π2/2 (m•s-2)
(4) 向心力(円の中心に向かう力)Fを求めなさい。
F (N = kg•m•s-2) = m(kg)a(m•s-2) = 5(kg) × π2/2 (m•s-2)
= 5π2/2 (kg•m•s-2) = 5π2/2 (N)
4秒間で1周の角速度で等速回転している質量5 kgの物体に関
する以下の問いに答えなさい。なお回転半径は 2 mで、
時刻 t=0 s の時、物体はy軸上の正の位置にあるものとする。
また物体は時計回りに回転しているものとする。
(5) 物体のx軸方向の変位の時刻tに対するグラフを描きなさい。
(6) 物体のx軸方向の変位を時刻 t の関数として表しなさい。
y
x = r•sinθ
= r•sin(ωt)
= 2sin{(π/2)t}
x
2
θ
r=2m
0
θ = ωt = (π/2)(rad/s)•t(s)
= (π/2)t rad
ω
x
3
0
−2
1
2
4
t/s
予習
単振動を行う代表的な例を探しなさい。
今日の講義でお話しします。
講義の後で皆さんに代表例を質問しますので、よく話を
聞いておいて下さい。
4章 周期運動
単振動
変位と位置ベクトル(訂正版)
ベクトル合成を図で求めると
y
c = a + (−b)
= a − b (eq.1)
c: (4, −2) = (座標の)変位の引き算
b
0
−b
a: (6, −2)
a
−) b: (2, −4)
x
c: (4, −2)
(4, −2) ◯ eq. 1 (c = a − b) より
=c
c=a−b
c+b=a
ベクトルは移項も可能!
円周運動の速度
1秒あたりの回転数(周波数): f (Hz (s-1))
回転半径: r (m)
t = Δt (s)
1周(円周)の距離 = 2πr
1秒あたりの移動距離
= 2πrf = v
t = 0 (s)
v = 2πrf
1秒あたりの回転角度(角速度)
= 2πf = ω
2π (rad) = 360° を思い出そう
v = 2πrf = r(2πf) = rω
円周運動の加速度
1秒あたりの回転数(周波数): f (Hz (s-1))
v = 2πrf = ポドグラフの回転半径
ポドグラフ1周の距離
= 2πv
1秒間のポドグラフ先端移動距離
= 2πvf
= 速度ベクトルの1秒間あたりの変化
= 加速度 a
= 2πvf = (2πf)v = {(2πf)•r•(1/r)}v
= {(2πrf)(1/r)}v = v(1/r)v = v2/r
a = v2/r
a = |v|2/r = (2πf)2r = rω2
a: 向心加速度(円の中心に向かう)
等速回転運動:y軸投影
12秒間で1周の角速度ωで物体が等速回転している。
y
y
r
y = r•sin(ωt)
r
θ
0 θ = ωt
ω
9
x 0
3
6
12
t/s
r•sinθ
= r•sin(ωt)
−r
ω = 2π(rad)/12(s) = π/6(rad/s)
y = r•sin{(π/6)t}
等速回転運動:x軸投影
12秒間で1周の角速度ωで物体が等速回転している。
r•cosθ = r•cos(ωt)
y
x
r
x = r•cos(ωt)
r
θ
0 θ = ωt
ω
x 0
−r
t/s
等速回転運動:x軸投影
12秒間で1周の角速度ωで物体が等速回転している。
y
r
θ
0 θ = ωt
真横(y軸方向)
から見ると
ω
x
x
単振動
等速回転運動:向心力
12秒間で1周の角速度ωで質量m(kg)の物体が等速回転している。
y
向心力を F とするとx軸方向の力 FX は
FX = -−Fcos(ωt) (eq.1)
x軸方向の変位xは
x = r•cos(ωt) (eq.2)
cos(ωt) = x/r (eq.3)
Fcos(ωt)
r
θ
0 θ = ωt
F
ω
x
eq.3をeq.1に代入すると
FX = −Fcos(ωt) = −F(x/r) = − (F/r)x
FX = −Cx (Cは定数: C = F/r)
この式から
x軸方向の力は変位xに比例
単振動
x
単振動:バネの動き
重り
L
Δl
Δl
Δl
質量
m (kg)
Δl
W
=mg
2Δl
W
=2mg
3Δl
W
=3mg
バネの伸び x (m):
重りの数 (= 重りにかかる重力 W (N)) に比例
単振動:バネの動き
重り
L
Δl
Δl
Δl
質量
m (kg)
Δl
F
2Δl
3Δl
W
バネの伸び x (m):
重りの数 (= 重りにかかる重力 W (N)) に比例
作用反作用の法則: バネが重りを引っ張る力 (復元力) F (N)は重力
W (N)と向きが反対で同じ大きさの力 → F (N) = −W (N)
単振動:バネの動き
重り
L
Δl
Δl
Δl
質量
m (kg)
Δl
F
2Δl
3Δl
W
バネの伸び x (m):
重りにかかる重力 W = −F (復元力) に比例
F(N) = −kx = −k(N/m)•x(m)
フックの法則
註:バネが重りを引っ張る力 (復元力) F (N)はバネののびる向きと反対
等速回転運動:向心力
向心力を F とするとx軸方向の力 FX は
y
FX = −Cx (Cは定数: C = F/r)
この式から
x軸方向の力は変位xに比例
裏を返すと
Fcos(ωt)
r
θ
0 θ = ωt
F
ω
x
軸方向の力が変位xに比例、かつ、
移動方向と力が逆向きの時
FX = −Cx
軸上で単振動する!
単振動
x
単振動:バネの動き
重り
L
Δl
Δl
Δl
質量
m (kg)
Δl
F
2Δl
3Δl
W
バネの伸び x (m) (= 変位) → −F (復元力) に比例
F(N) = −kx = −k(N/m)•x(m) ただし k (N/m) はバネ定数
フックの法則
バネによる重りの伸縮振動は単振動!!!になる
単振動:バネの動き
Δl
上限
F0
0
平衡位置
W
下限
重り
質量
m (kg)
F=0
F
x
t=0
t = Δt
振幅: r
t = 2Δt t = 3Δt t = 4Δt
[定義] 平行位置からのバネの伸び: x (m) (= 変位)
F(N) = −kx = −k(N/m)•x(m)
単振動:バネの動き
t/s
出典: http://www.mars.dti.ne.jp/~stamio
単振動:バネの動き
x = −r•cos(ωt)
ω: 単振動と周期が同じ回転運動の角速度
x/m
r
振幅: r
0
−r
t/s
周期: T (s)
t/s
振動数 f(s-1) = 1/T(s)
周期 T(s) = 2π(=360°)(rad)/ω(rad/s)
出典: http://www.mars.dti.ne.jp/~stamio
単振動:周期の計算(加速度)
重り
質量
m (kg) F
0
r
av = −(k/m)x
0
y
ω
x
0
振幅: r
θ = ωt
θ
−rω =av
-r v = rω
F(N) = −kx = m(kg)•a(m•s-2)
よって、a(m•s-2) = −(k/m)x
平衡位置
W
F
振幅 r の単振動 = 半径 r の回転運動の投影図
単振動の最大振幅時の加速度av = 回転運動の向心加速度aR
単振動:周期の計算(角速度)
重り
r
質量
m (kg)
平衡位置
y
av = −(k/m)x
0
F
x
ω
0
振幅: r
θ = ωt
θ
−rω =av
-r v = rω
単振動の最大振幅時の加速度av = 回転運動の向心加速度aR
よって
−rω2 (m•s-2) = −(k/m)r
ω2 = (k/m)
ω = (k/m)(1/2) ←角速度
(周期T= 2π(=360°)/ωの計算に必要)
単振動:周期/周波数の計算
F(N) = −kx = m(kg)•a(m•s-2)
y
r
重り
質量
m (kg)
平衡位置
av = −(k/m)x
0
F
x
ω
0
振幅: r
θ = ωt
θ
−rω =av
-r v = rω
単振動の周期Tv = 回転運動の周期TR
= 2π(rad)/ω(rad/s) ← ω = (k/m)(1/2)を代入した
= 2π/(k/m)(1/2) (s)
Tv = 2π(m/k)(1/2) (s)
単振動:周期/周波数の計算
F(N) = −kx = m(kg)•a(m•s-2)
y
r
重り
質量
m (kg)
平衡位置
av = −(k/m)x
0
F
x
ω
0
振幅: r
θ = ωt
θ
−rω =av
-r v = rω
単振動の振動数
f = 1/Tv = 1/{2π(m/k)(1/2)} (s-1) = (1/2π)×{1/(m/k)(1/2)} (s-1)
= (1/2π)×[1/{(m)(1/2)/(k)(1/2)}] (s-1) = (1/2π)×{(k)(1/2)/ (m)(1/2)} (s-1)
= (1/2π)×(k/m)(1/2)} (s-1)
単振動の振動数
f = (1/2π)(k/m)(1/2) (s-1)
単振動:周期/周波数の計算
F(N) = −kx = m(kg)•a(m•s-2)
y
r
重り
質量
m (kg)
平衡位置
av = −(k/m)x
0
F
x
ω
0
振幅: r
θ = ωt
θ
−rω =av
-r v = rω
単振動の周期Tv = 2π(m/k)(1/2) (s)
単振動の振動数 f = 1/Tv = (1/2π)(k/m)(1/2) (s-1)
周期・周波数のいずれもr (振幅) を含まない
= 周期・周波数はr (振幅) に無関係に一定!!!
演習(未解答の問題は月曜日までに解いてくること)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(1) バネ定数 k を求めなさい。バネ定数の単位も書くこと。
(2) バネ定数の単位をSI単位の組立単位で表しなさい。
(3) 物体を吊るしたときの平衡位置から、バネをさらに 9.8 cm ほど
下に引いて手を離した。この時の物体の単振動の周期を求め
なさい。
(4) (3) と同じ操作をした時、手を離した瞬間の物体に働く復元力を
求めなさい。
(5) (3) と同じ操作をした時、手を離した瞬間の物体の加速度を求
めなさい。
演習(未解答の問題は月曜日までに解いてくること)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。(先の問題の続き)
(6) (3) と同じ操作をした時、この物体の振動数を求めなさい。
(7) (3) と同じ操作をした時、物体が平衡位置に戻ってきた時の物
体がバネから受ける加速度を求めなさい。
(8) (3) と同じ操作をした時、物体が平衡位置に戻ってきた時の物
体の速度を求めなさい。
(9) (3) と同じ操作をした時、手を離した瞬間の物体の速度を求め
なさい。
(10) (3) と同じ操作をした時、物体は平衡位置から何 cm ほど上ま
で上がるか求めなさい。
演習(解答)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(1) バネ定数 k を求めなさい。バネ定数の単位も書くこと。
物体に働く重力 W = m(kg)•g(m•s-2) = 0.1(kg)×9.8(m•s-2)
W = 0.98(kg•m•s-2) = 0.98(N) (鉛直下向きが正→W>0)
復元力 F = −W = −0.98(N) = −k(N•m-1)•x(m) = k×0.196(m)
−0.98(N) = −k×0.196(m) = −0.98(N)/−0.196(m)
k = 5.0 N•m-1
答: 5.0 N•m-1
(2) バネ定数の単位をSI単位の組立単位で表しなさい。
N•m-1 = kg•m•s-2•m-1 = kg•m•m-1•s-2 = kg•s-2
答: kg•s-2
演習(未解答の問題は月曜日までに解いてくること)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(3) 物体を吊るしたときの平衡位置から、バネをさらに 9.8 cm ほど
下に引いて手を離した。物体の単振動の周期を求めなさい。
周期Tv = 2π(m/k)(1/2) (s) = 2π(0.1(kg)/5(kg•s-2))(1/2)
= 2π(25(s2))(1/2) = 2π×(0.02)(1/2)(s2)(1/2)
= 2π×(√2/10)(s2)(1/2) = √2π/5 (s)
答: √2π/5 s
(4) (3) と同じ操作をした時、手を離した瞬間の物体に働く平衡位置
に戻そうとする復元力を求めなさい。
復元力 F = −W = −k(N/m)•x(m) = −5(N/m)×0.098(m)
= −0.49(N)
答: 鉛直上向きに 0.49 N
演習(未解答の問題は月曜日までに解いてくること)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(5) (3) と同じ操作をした時、手を離した瞬間の物体の加速度を求
めなさい。
復元力 F = −0.49(N) = m(kg)•a(m•s-2) = 0.1(kg)×a(m•s-2)
0.1a(kg•m•s-2) = −0.49(N)
a = −4.9(m•s-2)
答: 鉛直上向きに4.9(m•s-2)
(6) (3) と同じ操作をした時、この物体の振動数を求めなさい。
単振動の振動数 f(s-1) = (1/2π)√k/m
= (1/2π)√5(kg•s-2)/0.1(kg) = (1/2π)√50(s-2) = 5√2/2π (s-1)
演習(未解答の問題は月曜日までに解いてくること)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(7) (3) と同じ操作をした時、物体が平衡位置に戻ってきた時の物
体がバネから受ける加速度を求めなさい。
平衡位置では、復元力 F = 0(N) = m(kg)•a(m•s-2)
0.1a(kg•m•s-2) = 0(N)
答: 加速度 0 m•s-2
a = 0(m•s-2)
(8) (3) と同じ操作をした時、物体が平衡位置に戻ってきた時の物
体の速度を求めなさい。
単振動と周期の等しい円運動の角速度 ω = √k/m
平衡位置の速度 = 円運動の接線方向の速度v = rω = r√k/m
v = ±rω = ±r√k/m = ±0.098√50(s-2) = ±49√2/100 (m•s-1
演習(未解答の問題は月曜日までに解いてくること)
質量100 gの物体をバネに吊るした時、バネが 19.6 cm のびた。
この時、以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位
とし、重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(9) (3) と同じ操作をした時、手を離した瞬間の物体の速度を求め
なさい。
手を離した瞬間の速度 v は 0 m•s-1
(10) (3) と同じ操作をした時、物体は平衡位置から何 cm ほど上ま
で上がるか求めなさい。
平衡位置から上への変位 (xup)
= −平衡位置から下への変位(−xdown)
xup = −xdown = −(0.098) m = −0.098 m
答: 0.098 m 平衡位置から上まであがる。
伝達事項
質問: rad/s について説明して欲しい。
解答: 角速度の意味が良く解らないという意味で
しょうか?その前提で話をします。もし見当違い
の解答になっている場合は、自分が解らない点を
整理して、自分の聞きたいことが聞き出せるよう
な質問をしてみてください
rad/s は角速度の単位です。radが角度の単位で、
360° = 2π(rad) です。4 秒で1周 (360° = 2π(rad))
する時の角速度ω (1秒間で何rad回転するか) は
ω = 2π(rad)/4(s) = π/2(rad/s)
3章 仕事とエネルギー
仕事(定義)
摩擦力に逆らって床の上の物体を力 F N で d m 移動するのに
必要な仕事量 W は、以下のように定義される。
d(m)
F(N)
W = F(N)•d(m) = Fd(N•m)
仕事 W = Fd(J)
ゆっくりと床の上の2 kg の物体を 3 m 持ち
上げるのに必要な仕事量 W を求める。重力
加速度は g のままとする。
3m
W = 2g(N)•3(m) = 6g(N•m) = 6g (J)
W = m(kg)g(m•s-2)h(m) = mgh (J)
F = 2g N
位置エネルギー
床の上の h m の位置にある m kg の物体が持
つ位置エネルギー U J を求める。重力加速度
h(m) F = mg(N) は g のままとする。
U = m(kg)g(m•s-2)h(m) = mgh (kg•m2•s-2)
= mgh (J)
位置エネルギー U J は、床の上の m kg の物
体を h m 持ち上げるのに必要な仕事量 W と
等しい。
h(m)
W = m(kg)g(m•s-2)h(m) = mgh (J)
U(J) = W(J)
F = mg(N)
即ち、物体は仕事量 W を受け取って、位置
エネルギー U J を得たと考えられる。
位置エネルギー ⇔ 運動エネルギー
宇宙空間を、速度 v (m/s) で転がる質量 m kg の球がある。
この球がもつ運動エネルギー K J を求める。重力加速度は
g とする。
K = (1/2)m(kg)v2 (m•s-1)2
v(m•s-1)
= (1/2)mv2 (kg•m2•s-2) = (1/2)mv2 (J)
K(J) = (1/2)mv2 (J)
床面から h(m) の高さにある物体の位置エ
ネルギー U J は U = mgh(J)。
h(m)
v(m•s-1)
この物体を自由落下させると速度を増しな
がら落下する (等加速度運動)。
位置エネルギーが運動エネルギーに変換さ
れた。
力学的エネルギー保存則
UH = mgh(J)
KH = 0 (J)
床面から h(m) の高さにある物体の位置エ
ネルギー U J は U = mgh(J)。
この物体を自由落下させると速度を増しな
がら落下する (等加速度運動)。
h(m)
v(m•s-1)
UL = 0 (J)
KL = (1/2)mv2(J)
位置エネルギー U が運動エネルギー K に
変換された。U と K は互いに交換可能
即ち、
UH = KL
mgh(J) = (1/2)mv2(J)
全エネルギー E は
E = UH + KH = UL + KL = 一定
(力学的エネルギー保存則)
運動エネルギー ⇔ 仕事
外力を加えて初速度 v0 (m/s) を速度 v1 (m/s) に変化させた時
速度変化は外力による仕事 W によってもたらされたと考える。
v0 (m•s-1)
v1 (m•s-1)
W(J)
K0 = (1/2)mv02
K1 = (1/2)mv12
K1 − K0 = W
速度変化 v1 → v1 (m/s) による運動エネルギー変化 K1 − K0 は
外力による仕事 W に等しい。
K1 > K0 の時
W > 0 (仕事Wにより運動エネルギー K ↑)
K1 < K0 の時
W < 0 (始状態→終状態で K ↓)
(運動エネルギーから仕事Wを取り出した)
エネルギー:安定性についての考察
UH = mgh(J)
床面から h(m) の高さにある物体と床面
にある物体ではどちらが安定か?
答: 床面にある物体のほうが安定。
h(m)
理由: 床面にある物体のほうが壊れない。
v(m•s-1)
位置エネルギーを有している分だけ高エ
ネルギー状態 (=仕事をするポテンシャル
を有している)。
UL = 0 (J)
位置エネルギー:
ポテンシャルエネルギーの一種
化合物でも、高エネルギー状態の化合物は不安定
(反応活性が高いため、化学反応を起こして別化合物になる
= 元の化合物は徐々に消失する)
化学におけるエネルギー
化合物A
高エネルギー (反応活性が高い)
仕事ができる (= 化学反応を起こせる) 。
化学反応を起こして別化合物になる。
ΔE(J)
化合物B
= 元の化合物は徐々に消失する。
= 化合物として不安定
= 反応剤として適している。
低エネルギー (反応活性が低い)
仕事ができない (= 化学反応を起こせない) 。
= 元の化合物のまま存在し続ける。
= 化合物として安定
= 薬剤化合物 (最終産物) として適している。
化学におけるエネルギー
化合物A → 化合物B + W(J)
化合物B
W (J) < 0
外からエネルギー (仕事W) を加えて、
高エネルギー化合物へと変換
エネルギー (仕事W): 熱 (吸熱)、光、高エ
ネルギー化合物
化合物A
化合物A → 化合物B + W(J)
化合物A
W (J) > 0
化合物B
高エネルギー化合物から低エネルギー
化合物への変換でエネルギー (仕事W)
が生成
エネルギー (仕事W):熱 (発熱)、光、高エ
ネルギー化合物の生成
化学反応で生じたエネルギー (仕事W) の多くは熱エネルギーへ。
エネルギーの可換性
エネルギー:
(エネルギー保存則)
運動エネルギー
モーター
発電機
電気エネルギー
電灯
太陽
電池
光エネルギー
ポンプ
位置エネルギー
水力発電
マイク
スピーカー
音のエネルギー
熱エネルギー (エネルギーの最終出口)
演習
◯ 2 m/s の速度で移動する質量 5 kg の物体に関する以下の
問いに答なさい。
(1) 物体の運動エネルギ—を求めなさい。
(2) この物体を静止させるために必要な仕事を求めなさい。
◯質量 3 kg の物体を床面から 2 m 持ち上げた。この時、以下
の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、重
力加速度は g のままで良い。
(1) 物体の床面に対する位置エネルギーを求めなさい。
(2) 物体に対してなされた仕事を求めなさい。
演習
◯質量 2000 g の物体を 200 cm の高さの棚に上げた。この時、
以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、
重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(1) 物体に対してなされた仕事を求めなさい。
(2) この物体が棚から自由落下したとき床面に落ちるときの運動
エネルギーを求めなさ。
(3) 物体が床に落ちる直前の物体の速度を求めなさい。
(4) 物体の床面に対する位置エネルギーを求めなさい。
◯Aさんが、質量 20 kg の荷物を部屋の真ん中の机から部屋の
すみの机に移動した。Aさんが荷物に対してした力学的仕事を
求めなさい。2つの机の高さは同じものとする。