5月22日講義分

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Transcript 5月22日講義分

伝達事項
質問: W = −U にしなくて良いのか?どういう時に
“−” (マイナス符号) がつくのか?
解答:
質問: テスト勉強は計算を中心にやるべきですか?
どうやって勉強すれば物理が出来るようになりま
すか?
解答:
3章 仕事とエネルギー
仕事(定義)
摩擦力に逆らって床の上の物体を力 F N で d m 移動するのに
必要な仕事量 W は、以下のように定義される。
d(m)
F(N)
W = F(N)•d(m) = Fd(N•m)
仕事 W = Fd(J)
ゆっくりと床の上の2 kg の物体を 3 m 持ち
上げるのに必要な仕事量 W を求める。重力
加速度は g のままとする。
3m
W = 2g(N)•3(m) = 6g(N•m) = 6g (J)
W = m(kg)g(m•s-2)h(m) = mgh (J)
F = 2g N
位置エネルギー
床の上の h m の位置にある m kg の物体が持
つ位置エネルギー U J を求める。重力加速度
h(m) F = mg(N) は g のままとする。
U = m(kg)g(m•s-2)h(m) = mgh (kg•m2•s-2)
= mgh (J)
位置エネルギー U J は、床の上の m kg の物
体を h m 持ち上げるのに必要な仕事量 W と
等しい。
h(m)
W = m(kg)g(m•s-2)h(m) = mgh (J)
U(J) = W(J)
F = mg(N)
即ち、物体は仕事量 W を受け取って、位置
エネルギー U J を得たと考えられる。
位置エネルギー ⇔ 運動エネルギー
宇宙空間を、速度 v (m/s) で転がる質量 m kg の球がある。
この球がもつ運動エネルギー K J を求める。重力加速度は
g とする。
K = (1/2)m(kg)v2 (m•s-1)2
v(m•s-1)
= (1/2)mv2 (kg•m2•s-2) = (1/2)mv2 (J)
K(J) = (1/2)mv2 (J)
床面から h(m) の高さにある物体の位置エ
ネルギー U J は U = mgh(J)。
h(m)
v(m•s-1)
この物体を自由落下させると速度を増しな
がら落下する (等加速度運動)。
位置エネルギーが運動エネルギーに変換さ
れた。
力学的エネルギー保存則
UH = mgh(J)
KH = 0 (J)
床面から h(m) の高さにある物体の位置エ
ネルギー U J は U = mgh(J)。
この物体を自由落下させると速度を増しな
がら落下する (等加速度運動)。
h(m)
v(m•s-1)
UL = 0 (J)
KL = (1/2)mv2(J)
位置エネルギー U が運動エネルギー K に
変換された。U と K は互いに交換可能
即ち、
UH = −KL
mgh(J) = −(1/2)mv2(J)
全エネルギー E は
E = UH + KH = UL + KL = 一定
(力学的エネルギー保存則)
運動エネルギー ⇔ 仕事
外力を加えて初速度 v0 (m/s) を速度 v1 (m/s) に変化させた時
速度変化は外力による仕事 W によってもたらされたと考える。
v0 (m•s-1)
v1 (m•s-1)
W(J)
K0 = (1/2)mv02
K1 = (1/2)mv12
K1 − K0 = W
速度変化 v0 → v1 (m/s) による運動エネルギー変化 K1 − K0 は
外力による仕事 W に等しい。
K1 > K0 の時
W > 0 (仕事Wにより運動エネルギー K ↑)
K1 < K0 の時
W < 0 (始状態→終状態で K ↓)
(運動エネルギーから仕事Wを取り出した)
エネルギー:安定性についての考察
UH = mgh(J)
床面から h(m) の高さにある物体と床面
にある物体ではどちらが安定か?
答: 床面にある物体のほうが安定。
h(m)
理由: 床面にある物体のほうが壊れない。
v(m•s-1)
位置エネルギーを有している分だけ高エ
ネルギー状態 (=仕事をするポテンシャル
を有している)。
UL = 0 (J)
位置エネルギー:
ポテンシャルエネルギーの一種
化合物でも、高エネルギー状態の化合物は不安定
(反応活性が高いため、化学反応を起こして別化合物になる
= 元の化合物は徐々に消失する)
化学におけるエネルギー
化合物A
高エネルギー (反応活性が高い)
仕事ができる (= 化学反応を起こせる) 。
化学反応を起こして別化合物になる。
ΔE(J)
化合物B
= 元の化合物は徐々に消失する。
= 化合物として不安定
= 反応剤として適している。
低エネルギー (反応活性が低い)
仕事ができない (= 化学反応を起こせない) 。
= 元の化合物のまま存在し続ける。
= 化合物として安定
= 薬剤化合物 (最終産物) として適している。
化学におけるエネルギー
化合物A → 化合物B + W(J)
化合物B
W (J) < 0
外からエネルギー (仕事W) を加えて、
高エネルギー化合物へと変換
エネルギー (仕事W): 熱 (吸熱)、光、高エ
ネルギー化合物
化合物A
化合物A → 化合物B + W(J)
化合物A
W (J) > 0
化合物B
高エネルギー化合物から低エネルギー
化合物への変換でエネルギー (仕事W)
が生成
エネルギー (仕事W):熱 (発熱)、光、高エ
ネルギー化合物の生成
化学反応で生じたエネルギー (仕事W) の多くは熱エネルギーへ。
エネルギーの可換性
エネルギー:
(エネルギー保存則)
運動エネルギー
モーター
発電機
電気エネルギー
電灯
太陽
電池
光エネルギー
ポンプ
位置エネルギー
水力発電
マイク
スピーカー
音のエネルギー
熱エネルギー (エネルギーの最終出口)
演習
◯ 2 m/s の速度で移動する質量 5 kg の物体に関する以下の
問いに答なさい。
(1) 物体の運動エネルギ—を求めなさい。
(2) この物体を静止させるために必要な仕事を求めなさい。
◯質量 3 kg の物体を床面から 2 m 持ち上げた。この時、以下
の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、重
力加速度は g のままで良い。
(1) 物体の床面に対する位置エネルギーを求めなさい。
(2) 物体に対してなされた仕事を求めなさい。
演習
◯ 2 m/s の速度で移動する質量 5 kg の物体に関する以下の
問いに答なさい。
(1) 物体の運動エネルギ— K(J) を求めなさい。
K(J) = (1/2)mv2 = (1/2)×5(kg)×{2(m/s)}2 = 10 J
(2) この物体を静止させるために必要な仕事を求めなさい。
静止時の運動エネルギ— KS(J) とすると、速度 v = 0 なので
KS(J) = (1/2)mv2 = (1/2)×5(kg)×{0(m/s)}2 = 0 J
なされた仕事Wは(終状態の運動エネルギ—)から(始状態
のエネルギ—)を引いたもの
W = KS − K = 0(J) − 10(J) = -10 J
答 運動方向と逆方向に10 J
演習
◯質量 3 kg の物体を床面から 2 m 持ち上げた。この時、以下
の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、重
力加速度は g のままで良い。
(1) 物体の床面に対する位置エネルギー U(J) を求めなさい。
U(J) = m(kg)g(m•s-2)h(m) = 3(kg)×g(m•s-2)×(-2)(m) = −6g J
註:鉛直下向きを正にとるという変な定義になっていてごめんなさい。
(2) 物体に対してなされた仕事を求めなさい。
物体に対してなされた仕事 W = 得た位置エネルギー U
答 −6g J の仕事がなされた。
演習
◯質量 2000 g の物体を 200 cm の高さの棚に上げた。この時、
以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、
重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(1) 物体に対してなされた仕事を求めなさい。
(2) この物体が棚から自由落下したとき床面に落ちるときの運動
エネルギーを求めなさ。
(3) 物体が床に落ちる直前の物体の速度を求めなさい。
(4) 物体の床面に対する位置エネルギーを求めなさい。
◯Aさんが、質量 20 kg の荷物を部屋の真ん中の机から部屋の
すみの机に移動した。Aさんが荷物に対してした力学的仕事を
求めなさい。2つの机の高さは同じものとする。
演習
◯質量 2000 g の物体を 200 cm の高さの棚に上げた。この時、
以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、
重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(1) 物体に対してなされた仕事 W(J) を求めなさい。
(得た)位置エネルギーU(J) = mgh = 2(kg)×g(m•s-2)×(-2)(m) = −4g
註:質量、高さの単位が kg, m である点に注意。
W(J) = U(J) = −4g J
(2) この物体が棚から自由落下したとき床面に落ちるときの運動
エネルギーを求めなさ。
(落下後の)位置エネルギーUU(J) = 2(kg)×g(m•s-2)×(0)(m) = 0 J
位置エネルギーの差が、なされた仕事W2
W2(J) = UU − U = 0 − (−4g) = 4g (J)
演習
◯質量 2000 g の物体を 200 cm の高さの棚に上げた。この時、
以下の問いに答えなさい。鉛直下向きの変位を正の変位とし、
重力加速度 g = 9.8 m•s-2 とする。
(3) 物体が床に落ちる直前の物体の速度vを求めなさい。
物体が床に落ちる直前の物体の運動エネルギ—
= 物体の落下前の位置エネルギーU(J) = (1/2)mv2
4g(J) = (1/2)×2(kg)×v2
v2 = 4g
v = 2√g (m/s)
(4) 物体の床面に対する位置エネルギーを求めなさい。
(1)で求めた通り、U(J) = mgh = −4g J
註:鉛直下向きを正にとるという変な定義になっていてごめんなさい。
演習
◯Aさんが、質量 20 kg の荷物を部屋の真ん中の机から部屋の
すみの机に移動した。Aさんが荷物に対してした力学的仕事を
求めなさい。2つの机の高さは同じものとする。
高さ変化なしΔh =0: 位置エネルギー変化 = 0 (=mg×0(m))
初速度 v0 = 0 と最後の速度 v2 = 0:
運動エネルギー変化 = (1/2)m(v2)2 − (1/2)m(v0)2 = 0
=0
速度 = 0
=0
速度 = 0
高さの差 Δh = 0
答 Aさんは何も力学的仕事をしていない
演習
◯Aさんが、質量 20 kg の荷物を部屋の真ん中の机から部屋の
すみの机に移動した。Aさんが荷物に対してした力学的仕事を
求めなさい。2つの机の高さは同じものとする。
荷物に働いている力は重力のみ
Aさんが行う仕事は荷物に働いている力は重力に逆らう仕事のみ
高さの差 = 0
W(J) = U(J) = mgh = 20(kg)×g×0(m)= 0 J
答 Aさんは何も力学的仕事をしていない
ポテンシャルエネルギー
位置エネルギーは数あるポテンシャルエネルギーの一つ
位置エネルギー:重力場中のポテンシャルエネルギー
m1•m2
重力(重力場に発生する力) F = G
r2
m1: 物体1の質量, m2: 物体2の質量, r: 物体間距離, G: 重力定数
電場エネルギー(電位):電場中のポテンシャルエネルギー
q1•q2
静電相互作用(クーロン力) F = k
r2
q1: 物体1の電荷, q2: 物体2の電荷, r: 物体間距離, k: 比例定数
重力と重力加速度
位置エネルギーは数あるポテンシャルエネルギーの一つ
位置エネルギー:重力場中のポテンシャルエネルギー
m1•m2
重力(重力場に発生する力) F = G
r2
m1: 物体1の質量, m2: 物体2の質量, r: 物体間距離, G: 重力定数
ここでm1に地球の質量M1、r に地球の半径Rを代入すると
M1•m2
M1
F=G
= (G 2 ) m2 = gm2 = m2g (= mg)
R2
R
即ち、重力加速度は
M1
g = (G 2 )
R
演習
◯ 質量 5 kg の小球が 30° の斜面を 2 m の高さから転がった。
以下の問いに答なさい。斜面の摩擦力と小球の半径は無視
できるものとする。
(1) 物体のもつ位置エネルギー
U (J) を求めなさい。
(2) 物体に働く垂直抗力を求めよ。
2m
30°
(3) 斜面に水平方向に物体が受ける力を求めよ。
(4) 物体が斜面の下まで下りた時の位置エネルギーはいくらか。
(5) 物体が斜面の下まで下りた時の運動エネルギーはいくらか。
(6) 物体が斜面の下まで下りた時の速度はいくらか。斜面と床面
は滑らかにつながっているものとする。
演習
◯ 質量 5 kg の小球が 30° の斜面を 2 m の高さから転がった。
以下の問いに答なさい。斜面の摩擦力と小球の半径は無視
できるものとする。
mg•cos(30°)
(1) 物体のもつ位置エネルギー
U (J) を求めなさい。
30°
30°
鉛直上向きを正にとると
−mg
2
U = mgh = 5(kg)×g(m/s )×2(m)
2m
30°
= 10g J または 98 J
−mg•cos(30°
(2) 物体に働く垂直抗力を求めよ。 (鉛直上向きを正にとると)
物体に働く重力 F1 = −mg = −5(kg)×g (m/s2) = −5g (N)
球が斜面を垂直に押す力 F2 = −垂直抗力 F2’ = mg•cos(30°)
= 5g(√3/2) = (5√3/2)g (N)
演習
◯ 質量 5 kg の小球が 30° の斜面を 2 m の高さから転がった。
以下の問いに答なさい。斜面の摩擦力と小球の半径は無視
できるものとする。
−mg•sin(30°)
30°
(3) 斜面に水平方向に物体が受ける力F3を求めよ。
30°
鉛直上向きを正にとっているので
−mg 2m
30°
F3 = −mg•sin(30°) = −5g(1/2)
= −5g/2 (N)
(4) 物体が斜面の下まで下りた時の位置エネルギー UU はいくらか。
UU = mgh = 5(kg)×g(m/s2)×0(m) = 0 J
(5) 物体が斜面の下まで下りた時の運動エネルギー KU はいくらか。
KU = UU − U = 0 − 10g = −10g J
答 斜面に平行下向きに10g J
演習
◯ 質量 5 kg の小球が 30° の斜面を 2 m の高さから転がった。
以下の問いに答なさい。斜面の摩擦力と小球の半径は無視
できるものとする。
(6) 物体が斜面の下まで下りた時
の速度はいくらか。斜面と床面
は滑らかにつながっているもの
とする。
2m
30°
鉛直上向きを正にとっているので
KU = −10(J) = −(1/2)mv2 = −(1/2)×5(kg)×v2(m/s)2 = −5v2/2
−5v2/2 = −10g(J)
v2 = (2/5)×10g = 4
|v| = √4g = 2√g m/s
答 斜面に平行下向きに2√g m/s
公式
g: 重力加速度; t: 時刻; 加速度: a;
(自由落下)速度 v = gt
(自由落下)距離 D =
(v = at)
1 gt2
1 at2)
(D = 2
2