地域小児科センター - 日本小児科学会が進める小児医療提供体制の改革

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Transcript 地域小児科センター - 日本小児科学会が進める小児医療提供体制の改革

日本小児科学会が進めている小児医療改革
「地域小児科センター」
その育成と認定
永続性と質の確保のための
重点化・効率化
日本小児科学会・理事会
小児医療改革・救急プロジェクト
小児医療政策室長 藤村正哲
(大阪府立母子保健総合医療センター)
小児科医師数別病院数
1小児科当たりの
医師数
計
1人
284
2人
238
3人
158
4人
99
5人
74
6人
45
7人
46
8人
20
9人
16
10人-
41
15人-
30
20人-
18
合計
1069
49% !
16%!
H17 「病院小児科・医師現状調査」日本小児科学会
1~4歳児の施設規模別死亡数と施設数
施設当たり
年間死亡数
(人)
75%のこども
死亡数
(人)
比率
施設数
(ヶ所)
2005
比率
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
13
14
16
17
267
166
132
112
55
30
49
32
18
10
11
13
14
48
17
27.4%
17.0%
13.6%
11.5%
5.6%
3.1%
5.0%
3.3%
1.8%
1.0%
1.1%
1.3%
1.4%
4.9%
1.7%
267
83
44
28
11
5
7
4
2
1
1
1
1
3
1
58.0%
18.0%
10.0%
6.0%
2.0%
1.0%
2.0%
1.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
1.0%
0.0%
計
974
100.0%
459
100.0%
94%の施設
1~4歳の
全死亡数
1160人
(内訳)
施設内
997人
(施設名不明 23人)
自宅
124人
その他
39人
H19・厚生労働科学研究「幼児死亡の分析と提言に関する研究」(藤村)
指定統計「人口動態調査」死亡票閲覧・総務大臣平成19年12月承認
1~4歳
死因発生後6時間未満死亡例の死因別死亡場所
日本小児科学会研修施設の指定の有無別 N=399
80
死
亡
数
70
60
50
指定有
指定無
40
30
20
10
1.
病
死
及
)
白
(空
び
自
2. 然死
交
通
3.
事
5.
故
転
煙
倒
、火
・転
災
落
及
4.
び
火
溺
焔
水
よ
る
障
害
8.
6.
そ
窒
の
息
他
の
7.
不
中
11
慮
毒
の
.そ
外
の
因
他
死
及
10
び
.他
不
詳
殺
の
外
12
因
.不 死
詳
の
死
0
H19・厚生労働科学研究「幼児死亡の分析と提言に関する研究」(楠田、藤村)
指定統計「人口動態調査」死亡票閲覧・総務大臣平成19年12月承認
小さな病院が乱立しているのが日本の構造的特徴
→1病院当たりの小児科医数が少なくなるのは自明
→ 優れた医療が提供されているとは言い難い
入院用の病院小児科を集約化すれば、
○地域で当直医の総数を減らせます
○専門医療をそこで重点的に提供できます
つまり今、なすべきことは
1.入院できる小児科は地域に必要な最小数にまとめる
2.外来診療をする病院小児科はいままで通り維持する
つまり集約化しても普段かかる小児科はいままでどおり
永続性と質の確保のための重点化・効率化
「地域小児科センター」と小児医療ネットワーク
小児科医のキャリアパスの形成
2人
地域開業医
2人
on callのみ
60歳 循環器専門医
37歳 感染症専門医
2人
1次時間外診療
地域小児科
センター
on callのみ
50歳 腎臓専門医
29歳 専門医資格履修中
2人
on callのみ
55歳 神経専門医
28歳 専門医資格履修中
14人
50床
on callのみ
54歳 アレルギー専門医
30歳 専門医資格履修中
2人
on callのみ
63歳 消化器専門医
36歳 呼吸器専門医
2次救急
NICU
夜間勤務2~3人
55歳 医長
1名
48歳 医長
1名
上位専門医
3名
上位専門医資格履修中 4名
小児専門医資格履修中 5名
初期研修
6名
2人
on callのみ
65歳 新生児専門医
27歳 専門医資格履修中
「わが国の小児医療提供体制の構想」 2004
地域小児科センターの概念
3)地域小児科センター :「二次医療圏において中核的な小児医療・小児保健を実践」
 (専門性) 病院小児科から紹介される患者に必要とされるような、高度の診断・
検査・治療を提供する。勤務医の専門性に応じた臓器専門医療を行う。責任者は小
児科専門医であること。
 (対象患者) 主に紹介患者の診療を行う。
 (入院診療) 一般小児科で入院診療が困難な、あるいは常時監視・治療の必要な
患者の入院診療を行う。
 (夜間・休日体制) 夜間休日の医師勤務は夜勤体制が望ましい。少なくとも毎日
当直体制とする。
 (救急医療) 24 時間体制の救急医療を実施する。二次救急に中心的役割を果たす。
一次救急を実施する。その組織・運営は地域の実情に沿うこととし、勤務医師には
医療圏の小児科診療所および病院小児科医師が加わることとする。
 (教育) 新医師臨床研修制度、小児科専門医研修制度の臨床研修病院となる。医
学部学生教育に参画する。
地域小児科センター認定制度の創設
近未来のこども医療について、日本小児科学会は国民の皆様
に提案します
いっそうレベルの高い小児医療を地域に提供するために
日本小児科学会、都道府県地方会
地域小児科センター認定制度の創設
目次
I
基本的な理念
1
II
認定する病院小児科の前提条件
2
III
提供する医療サービス
2
IV
その他の小児保健・医療サービス
7
V
教育・研修
8
VI
病院や圏域における医療の質・安全の自己管理(クリニカル・ガバナンス)、
および臨床研究
9
VII
人員体制・労働環境
10
VIII
小児看護
14
IX
小児科の経営収支
14
地域小児科センター認定制度の創設
I 基本的な理念
1. こどもの権利を擁護し、日本小児科学会が希求する「こどものための医療」を実
現してゆく事業の一翼として、地域小児科センター認定事業を運用する
2. 日本小児科学会が示す「わが国の小児医療提供体制の構想」を基礎として、持続
性・発展性のある小児医療の構築を図る
3. 小児医療・保健・教育を実施する総合小児医療の拠点として機能する
4. 次世代の小児医療を担う小児科医の教育・研修の拠点として、小児科専門医の育
成を図る。
5. 地域小児医療圏内(以下圏域)の中心的小児医療機関となって、最も良質で高水
準の二次小児医療サービスを提供する
6. 圏域の小児医療・保健機関と共に「小児医療・保健ネットワーク」を形成する
7. 圏域の小児医療・保健指標をモニターしつつ、他圏域と比較し指標の改善を行う
地域小児科センター認定制度の創設
日本小児科学会
会長
理事会
「地域小児科セン
ター認定制度」要綱
日本小児科学会地方会
認定
事前承認
答申
地域小児科センター
認定委員会
申請
審査
地域小児科センター
候補小児科
地域小児科センター認定基準、認定細則
地域小児科センター認定制度
要綱
「わが国の小児医療提供体制の構想」
地域小児科センター認定制度の創設
日本小児科学会
会長
理事会
「地域小児科セン
ター認定制度」要綱
地域小児科センター認定制度 暫定運用構想
認定
日本小児科学会
認定病院協議会
答申
地域小児科センター
認定委員会
申請
審査
地域小児科センター
候補小児科
地域小児科センター認定暫定基準
認定基準の確定
H22年度中
「わが国の小児医療提供体制の構想」
暫定基準改訂案
地域小児科センター認定制度の創設
地域小児科センターの展望
1. 二次医療圏における最善の病院小児科医療の提供
2. 小児科医の勤務環境の改善
3. 地域医療資源を効率的に活用する時間外診療
4. 全国地域小児科センター認定病院ネットワーク
•
共通データベースの構築
•
ベンチマーク
•
リスク因子解明と改善による医療の質の向上
→全国的な医療の質の向上Quality Improvementが自律的に
発展
<1500g 標準化死亡退院率(%)
2003年
35
30
25
20
15
10
5
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37
総合周産期母子医療センター順位番号
2004年
20
16
12
8
2
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
H19・厚生労働科学研究「周産期医療の改善に関する研究」(楠田、藤村)
総合周産期母子医療センターネットワーク研究班
47
48
49
50
<1500g死亡率とNICU夜勤看護師数
r=-0.356, P=0.024
30
死
亡
率
20
10
死
亡
率
0
1
2
NRNICUNT
3
4
5
6
7
8
9
NICU夜勤看護師数
H18・厚生労働科学研究「周産期医療の改善に関する研究」(藤村、楠田)
総合周産期母子医療センターネットワーク研究班
地域小児科センター認定制度の創設
「地域小児科センター認定基準」(試案)は、日本小児
科学会が国民に対してこれからのわが国の望ましい
小児医療の核となる「病院小児科のあり方」を提案し
ています。関係各位の建設的なご意見を拝聴しつつ、
わが国のこどもの医療を将来に向かって発展させて
ゆくことが最終的な目標です
地域小児科センター認定制度の創設
各地の「地域小児科センター」が
認定基準を達成するために努力すること
それは困難であるが、こども達と我々に続く小児科医の未来
を開くために必要な課題です
小児医療関係者は、今こそリーダーシップを発揮しつつ、そ
の到達目標に向かって、着実で真剣なスタートを切ろうでは
ありませんか!
小児科医自身が毎日の実践を変えてゆくこと
それが小児医療改革への道ではないでしょうか