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開業小児科医にとっての
「中耳炎」と「小児急性中耳炎ガイドライン」
つちだ小児科
土田晋也
第6回URIEM 08年2月3日 東京
発表内容

「中耳炎」といっても


小児急性中耳炎診療ガイドライン


開業小児科医がみる中耳炎と耳鼻科医(特
に大学病院耳鼻科医)がみる中耳炎は似て
異なるもの
小児科医が使用した場合の、その妥当性と
課題を自験例をもとに検証
「おまけ」・・
自己紹介をいたします




1986年 福井医大卒
2003年 医院開業
2007年 ATOMS出席
専門分野
 開業前 小児腎臓病
 開業後 小児感染症、
育児支援
マクロビュー





観察視野は2倍
拡大倍率は1.3倍
光源がより明るい
焦点調節が手元でできる
ニューマティック・オトスコピー
 マクロビューに送気球を装着し
てプカプカするだけで得られる
情報が飛躍的に多くなる
 「中耳炎」といっても
 開業小児科医がみる中耳炎と耳
鼻科医(特に大学病院耳鼻科医)
がみる中耳炎は似て異なるもの
疑問
はじめての中耳炎は生後何ヶ月頃?
その臨床像は?
土田晋也. 中耳炎とはじめて診断された1才未満症例の臨床像 外来小児科 2007;10: 247~242
対象と方法




期間:06年9月~07年3月 冬季
対象:予防接種(BCG、DPT)、定期健診
(4ヶ月、10ヶ月)も含めて複数回当院を
受診した1才未満児757例
受診理由によらず全例の鼓膜を観察
757例中、両耳観察可能だった485例
(64%)を対象
はじめての中耳炎
ー7ヶ月頃にー
対
象
者
数
(
人
)
非中耳炎または中耳炎再診
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
はじめての中耳炎61例 /485例(13%)
月令
3
4
5
6
7
中耳炎
初診例頻度
7%
14% 14% 29% 46%
8
9
10
11 (ヶ月)
23% 7% 10% 8%
はじめての中耳炎(初めての熱)は母体からの移行
抗体がなくなる生後6ヶ月から1才の間に経験
はじめての中耳炎
ー中耳炎とわからず受診58例(95%)ー
12
11
中耳炎とわからず受診
中耳炎を疑って受診
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
3
4
5
6
7
月令(ヶ月)
8
9
10
11
(ID6599) 8ヶ月、男児、未入園
DPT接種のため受診、感冒症状あり
R
初診時
(9月1日)
4日後
L
(ID7727) 4ヶ月、男児、未入園
BCG接種のため受診、感冒症状なし
R
初診時
(3月14日)
1ヵ月後(DPT1)
2ヵ月後(DPT2)
L
同様所見
はじめての中耳炎
ー片側46例(75%)ー
12
11
片側中耳炎
10
9
8
両側中耳炎
7
6
5
4
3
2
1
0
3
4
5
6
7
月令(ヶ月)
8
9
10
11
はじめての中耳炎
ー有熱24例(39%)ー
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
熱なし
熱あり
3
4
5
6
7
月令(ヶ月)
8
9
10
11
はじめての中耳炎
ー抗生剤使用15例(25%)ー
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
経過観察のみ
抗生剤使用
3
4
5
6
7
月令(ヶ月)
8
9
10
11
まとめ(1)




はじめての中耳炎は母体移行抗体がなくなる
6ヶ月以降から1才の間に無自覚、無治療のう
ちに経験する
無自覚、無症候性であるため「小児科」を受診
することが多い
病態は一過性中耳貯留液(Silent effusion)と
でも呼ぶべき?
経過観察のみでいい場合が多い
 小児急性中耳炎診療ガイドライン
小児科医が使用した場合の、
その妥当性と課題を自験例をもとに検証
日本の臨床医のための
小児急性中耳炎診療指針
「小児急性中耳炎
診療ガイドライン」
「抗菌薬適正使用
ワ-キンググル-プ」
(日本小児耳鼻咽喉科学
会誌 27:71-107、2006)
(外来小児科 8:57-84、
2005)
以下、「耳学会」と略
以下、「WG」と略
「耳学会」
「WG」
対象疾患と目標: 対象疾患と目標:
小児急性中耳炎(1 5才未満)の診断・検査・治療
指針を示す。目標は、発症3週後の時点での鼓膜
所見の改善。
小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬
の適正使用のため指針を示す。目標は抗菌薬
乱用の防止。
対象者:
対象者:
耳鼻科医
(小児科医使用上の注意点)
①小児科医が扱う中耳炎は経過が緩慢かつ軽
症なため、過剰診療になってしまう危険性あり。
②急性中耳炎以外の疾患は除外されていること
が前提。まず、他疾患を除外してから!
③急性中耳炎以外の上気道炎および関連疾患
に対する言及なし。
臨床医
「耳学会」
「WG」
対象疾患と目標: 対象疾患と目標:
小児急性中耳炎(1 5才未満)の診断・検査・治療
指針を示す。目標は、発症3週後の時点での鼓膜
所見の改善。
小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬
の適正使用のため指針を示す。目標は抗菌薬
乱用の防止。
対象者:
対象者:
耳鼻科医
(小児科医使用上の注意点)
①小児科医が扱う中耳炎は経過が緩慢かつ軽
症なため、過剰診療になってしまう危険性あり。
②急性中耳炎以外の疾患は除外されていること
が前提。まず、他疾患を除外してから!
③急性中耳炎以外の上気道炎および関連疾患
に対する言及なし。
臨床医
(ID5828) 1才0ヶ月、男児、未入園
感冒症状あり、耳痛・熱なし
小児耳
学会
R
初診時
(8月8日)
AMPC高用量
+鼓膜切開
WG
体温37.2℃
鼓膜発赤(+)
鼓膜膨隆(++)
体温37.2℃ 1点
鼓膜発赤 2点
鼓膜膨隆 8点
年令加算 3点
計14点=重症
L
1ヵ月後
(9月4日)
急性中耳炎
Low Risk群
経過観察のみ
(ID3675) 1才5ヶ月、女児、園児
感冒症状あり、耳痛・熱なし
小児耳
学会
R
初診時
(1月31日)
L
WG
体温36.8℃
鼓膜発赤(+)
鼓膜膨隆(+)
体温36.8℃ 0点
鼓膜発赤 2点
鼓膜膨隆 4点
年令加算 3点
滲出性中耳炎
計9点=中等症
経過観察のみ
AMPC5日間投与
1ヵ月後 同様所見
4ヵ月後 正常所見
「耳学会」
「WG」
対象疾患と目標: 対象疾患と目標:
小児急性中耳炎(1 5才未満)の診断・検査・治療
指針を示す。目標は、発症3週後の時点での鼓膜
所見の改善。
小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬
の適正使用のため指針を示す。目標は抗菌薬
乱用の防止。
対象者:
対象者:
耳鼻科医
(小児科医使用上の注意点)
①小児科医が扱う中耳炎は経過が緩慢かつ軽
症なため、過剰診療になってしまう危険性あり。
②急性中耳炎以外の疾患は除外されていること
が前提。まず、他疾患を除外してから!
③急性中耳炎以外の上気道炎および関連疾患
に対する言及なし。
臨床医
(ID6888) 1才6ヶ月、女児、未入園
高熱2日目40.7℃、咳、鼻水あり、不機嫌なし
小児耳
学会
R
初診時
(4月9日)
L
WG
体温40.7℃
鼓膜発赤(+)
鼓膜膨隆(++)
体温40.7℃ 2点
鼓膜発赤 2点
鼓膜膨隆 8点
年令加算 3点
急性中耳炎
High Risk群
計15点=重症
AMPC高用量
+鼓膜切開
翌日
血培、穿刺液ともに
PSSP(+)、莢膜血清型 4型
採血
WBC19,200
CRP21.7mg/dl
血培、鼓膜穿刺して
CTRX点滴静注
(Case4) 5ヶ月、男児、未入園
昨夜から熱38.4℃ 咳・鼻水なし 活気なし
小児耳
学会
WG
R
11月6日
L
発熱38.4℃
鼓膜発赤(+)
鼓膜膨隆(+)
発熱38.4℃ 2点
不機嫌 1点
鼓膜発赤 2点
鼓膜膨隆 4点
年令加算 3点
滲出性中耳炎
計12点=重症
経過観察
AMPC高用量
+鼓膜切開
検尿
採血
WBC13,700
CRP0.7mg/dl
膿尿、桿菌1×106/ml以上
尿培養 E.coli 1×106/ml以上
検尿
「耳学会」
「WG」
対象疾患と目標: 対象疾患と目標:
小児急性中耳炎(1 5才未満)の診断・検査・治療
指針を示す。目標は、発症3週後の時点での鼓膜
所見の改善。
小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬
の適正使用のため指針を示す。目標は抗菌薬
乱用の防止。
対象者:
対象者:
耳鼻科医
(小児科医使用上の注意点)
①小児科医が扱う中耳炎は経過が緩慢かつ軽
症なため、過剰診療になってしまう危険性あり。
②急性中耳炎以外の疾患は除外されていること
が前提。まず、他疾患を除外してから!
③急性中耳炎以外の上気道炎および関連疾患
に対する言及なし。
結果的に、
臨床医
膿性鼻汁があるから、、アデノ
イドがあるから、、という理由で
抗生剤適正使用につながって
いない
発表内容

「中耳炎」といっても


小児急性中耳炎診療ガイドライン


開業小児科医がみる中耳炎と耳鼻科医(特
に大学病院耳鼻科医)がみる中耳炎は似て
異なるもの
小児科医が使用した場合の、その妥当性と
課題を自験例をもとに検証
「おまけ」・・
開業小児科の経営
平成8年~
患児が3才未満の場合は小児科外来診療(包括)を採用できる
開業小児科
院内処方
院外処方
初
診
\6,600
\5,500
再
診
\4,800
\3,700
包括にしている平均的な開業小児科:
体重10kg ○○アクト 5日間=1323円、○○ドシリン 5日間=165円・・・ペニシリン好き、ジェネリック好き!(院内処方)
○○フィン 1473円/日・・・できればしたくない、特に3日連続となると、、
スタッフ 看護婦3人、事務2~3人・・・ 午後6時以降も勤務となるため求人難