Transcript 製図ワンポイント講義
製図ワンポイント講義 コンクリート工学研究室 岩城 一郎 この講義の目的 前期は製図の練習,本格的な設計・製図は 後期から. (練習は必要だが)線の意味もわからず製図 していても,つまらないのでは?→図面は描 けても,土木技術者の仕事ではない. 漠然と線を引くだけではなく,その線が何を意 味するか?なぜ必要か?を(多少なりとも) 知ってもらいたい. 今回の課題:橋台 橋とは?障害物,有効利用されているものを跨ぎ,人・ 物を行き来させるもの(人道橋,道路橋,鉄道橋,水門 橋) 橋台とは?一般部(土工部)と橋梁部の接続 小川にかかる丸太橋なら必要ない →実際には橋台は不可欠かつ多機能なもの. ・橋台本体:橋を支えると共に背面側の土を支えるもの. ・梁の支承部→梁の自重や自動車荷重を地盤に伝える, 支点沈下防止,地震力の緩和 ・ジョイント部→温度による桁の伸縮の緩和 橋のイメージ図 構造概要 構造形式:逆T式鉄筋コンクリー ト橋台→ブックエンドと同じ構造 形式 部材:鉛直壁,フーチング (Footing):つま先版、かかと版, 桁を載せる部分(橋座) 寸法:各部材の高さ,幅,(奥行 き) 構成材料:コンクリートと鉄筋 (配置,長さ,径,間隔→本数) 鉄筋コンクリート構造 コンクリートは圧縮に強く,引張に弱い →圧縮はコンクリート,引張は鉄筋で抵抗 引張の生じるところに設計により求めた鉄筋を 適切に配置 引張は主として曲げモーメントとせん断力により 発生 配筋の基本:引っ張られる方向に平行に鉄筋を 入れる.→ひび割れは引張に対して垂直に発 生→想定されるひび割れに対して垂直に(垂直 に近く)鉄筋を入れる. どこに引張が発生するか? 荷重を考える(自重,土圧,地震力,地盤反 力)→荷重(外力)によって,断面力(内力:曲 げモーメント,せん断力)が発生する.→各断 面の断面力が求まれば,それに抵抗するた め適切な量の鉄筋を入れることが可能. ブックエンドを参考に(曲げに対しては理解可 能)→せん断力による引張に対してもできる だけ垂直に近く. 鉄筋の目的 引張(曲げモーメント)に抵抗:引張鉄筋(設計により 決定) せん断力に抵抗:スターラップ(設計により決定) 必要に応じて圧縮側にも配置:圧縮鉄筋(地震力を 受ける場合,引張となる可能性もある)(設計により 決定) 力を分散させる:配力鉄筋(必要最小量)→引張鉄 筋に対して垂直に入れる.格子状にすることにより力 を分散させる. (乾燥収縮)ひび割れを分散させる:用心鉄筋(必要 最小量) 鉄筋を組み立てる:組立鉄筋(必要最小量) 注目すべき点 それぞれ,どの視点で構造物を見た図かを理解す る. どこにいっぱい鉄筋が入っているか?すなわち,ど こに大きな引張力が作用し,その結果,どのように 外力に対して抵抗しようとしているのか,わかる範 囲で理解する. できるだけ,3次元の(立体的な)イメージに拡張す る. 詳細は,後期の設計論およびコンクリート構造学I, IIでフォロー 採点上のポイント 線の太さの使い分け 点線の描き方 矢印の描き方 文字の書き方 文字の丁寧さ お手本の図は間違いが多い→間違いがきち んと訂正されていること