公益事業の価格付け

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Transcript 公益事業の価格付け

公益事業の価格形成
public utility pricing
公益事業 (public utility)
•
•
•
•
電気・ガス・水道など
排除可能で、競合的
私的財で、公共財 ではない
生活に不可欠であるという、曖昧な意味で、
公共性を持つ
• 規模の経済を持ち、自然独占になりやすい
独占企業の行動(復習 )
y
p
生産量
価格
P  x  D
1
 x
軸を逆に読む
P  D  p   p
D  P  x   x
C  x
D  p
費用関数
需要関数
逆需要関数
逆需要関数
需要関数
独占企業の行動(続き)
C  x
費用関数
P  x  D
 x  逆需要関数
収入関数(売上)
R  x  P  x x
  x  R  x  C  x  P  x x  C  x
1
利潤関数
独占企業の行動(続き)
利潤の最大化
  x  R  x  C  x
微分して0とおく
  x '  R '  x  C '  x  0
R '  x   C '  x  限界収入=限界費用
価格と限界費用の関係
R ' x  C ' x
R  x   xP  x 
 f  x  g  x  '  f '  x  g  x   f  x  g '  x 
f  x   x, g  x   P  x 
R '  x   P  x   xP '  x   P  x 
需要も逆需要も右下がり
余剰の計算
独占価格のときの消費者余剰
価格が限界費用のときの消費
者余剰
消費者余剰の減少
独占による利潤
の増加分
独占による利
潤の減少分
独
占
価
格
限界費用曲線
(逆)需要曲線
限界収入曲線
独占生産量
価格が限界費用のときの生産
者余剰
価格と限界費用の関係(補足の続き)
R ' y  C ' y
R '  y   P  y   yP '  y   P  y 
C ' y  P  y
限界費用<価格
完全競争のときは、需要は完全に弾力的
P ' y  0
限界費用=価格
独占の弊害
• 独占企業がもうけすぎでない
• 独占企業が高い価格を付けすぎ、価格が希
少性を反映しない
• 限界内需要の価格を下げることによる効果
• 上の効果のない「第一種の価格差別 」では
効率的な資源配分ができる。
公益事業と自然独占
• 電気・ガスなどは、配線などの初期投資が必
要
• 限界費用は、比較的小さい
• 規模に対して収穫逓増(平均費用逓減)
• 小規模企業は、不利⇒独占が形成される
• 独占による高価格を防ぐため、公的な介入
(公営化、規制)が必要
限界費用価格原理(marginal
cost pricing principle)
• Public Utility Pricingのベンチ・マーク
• Hotellingによる。
• 限界費用が一定の場合は、次の図
y 生産量
cy  F
F
c
y
総費用
平均費用
限界費用は、cで一定
直角双曲線
例によって、
三角形が総余
剰の減少
需要
価格=限界費用にする。
価格=平均費用に変え
る
平均費用
消費者余剰の減少
赤字
p0
c
限界費用
赤字の減少
BA
平均費用が直角双曲線なので、赤字と赤字の減少は、同じ面積
限界収入曲線
独占価格
独占価格による生産者余剰
逆需要曲線
平均費用価格
平均費用曲線
限界費用曲線
限界費用価格
限界費用価格による赤字
限界費用価格原理(続き)
• 他の生産量と比較しても、限界費用価格に
対応する生産量で、総余剰は、最大
• 赤字を埋めるのに必要な税収に費用がかか
ると、もう少し少ない生産が最適
• 取引に影響を与える税は、個別間接税のよ
うに、厚生上の損失を与える
• そうでないのが、一括税・・理論上のベンチ
マーク
• 実際の税は、すべて、厚生上の損失を与え
る
ラムゼー原理
• 赤字にならないという制約で、総余剰を最大
にする。
• 平均費用価格になる。
複数財のラムゼー原理
• 赤字にならない(が一定額を超えない)という
制約で、総余剰を最大にする。
• 公益事業は複数財を生産する
• 各財ごとの価格を決める問題と、財ごとに
違った間接税率(補助金率)をかける問題は
同じ
• 解は、間接税のラムゼールールと同じ
• 「限界費用価格のときの需要と比べて、収支
が均衡するように価格を付けたときの(代替
効果のみを取ったときの)財の需要の減少率
がどの財でも(だいたい)等しくなる。」
公益事業の価格形成とインセンティブ
• 限界費用価格で赤字を補填する場合や
独立採算制(平均費用価格)では、費用最小化
するインセンティブがない。
• インセンティブを与えるためには、追加的費
用の一部のみを補助(インセンティブ規制)
• プライス・キャップ規制・・有効なときは、固定
価格
• 固定価格や固定報酬ほど、費用削減インセ
ンティブが高まるが、企業のリスクが増加
• バスケット・タイプのプライス・キャップは、企
業の価格決定の自由度を高める
非線形価格
• 収入(支払い)が販売量に比例する・・linear
pricing
• 転売が可能なときは、non-linear pricing(大
口割引など)は、裁定が生ずるので困難
• 転売が困難なサービスなどでは可能
• 一番簡単なのが二部料金制
二部料金制
• 固定料金と従量料金からなる。
• 同質な個人のとき、限界費用を従量料金、そ
のときの消費者余剰を固定料金にすれば、
最適な生産量が達成できる。
n
同質な消費者の数
V  x
各消費者の公益事業財の評価(金額・・所得効果がない)
V '  x   0,V " x   0
限界効用逓減
F 固定料金
p 従量料金
V  x   px  F
V '  x  p
消費者の交換による利益
最大化の条件(需要関数)
企業の行動
n  F  px   C  nx 
利潤
制約
V  x   px  F  0 消費者の参加制約
需要関数
V '  x  p
参加制約は、等式で成立するので、これを利潤に代入する
と


n V  x   px   px  C  nx 
 nV  x   C  nx 
企業の行動(続き)
nV  x   C  nx 
利潤
最大化するため微分して0とおく
nV '  x   nC '  nx   0
V '  x   C '  nx 
需要を満たすためには、従量料金を
p  V '  x   C '  nx 
とすればいい。
二部料金制の解釈
•
•
•
•
限界内余剰をすべて固定料金で吸収
完全差別化(第一種の価格差別)に対応
所得分配は、ともかく、効率的
Oi Walter Y. A Disney Land Dilemma:
TwoPart Tariffs for a Mickey Mouse
Monopoly. Quarterly Journal of Economics,
February 1971, 77-96.
公益事業への適用について
• 赤字は、税による非効率を伴うので、できる
だけ収益を確保するほうがいい。
• 実際には、分配上の問題から、小口利用者
に低い固定料金が適用されることがある。
ピーク・ロード価格
U  x
V  x
Cx
cx
ピークでないとき、x台自動車が利用す
ることによる利用価値
ピークに、x台自動車が利用することに
よる利用価値
最大利用可能な交通量xの高速道路を
建設するのに必要な費用
x台、通行したときの磨耗
総余剰・・・ピーク時のみに道路のキャパシティについて
制約が有効のとき
U  y   V  x   Cx  c  x  y 
総余剰の最大化
U  y   V  x   Cx  c  x  y 
xとyについて、微分して0とおく
U '  y   c  0,V '  x   C  c  0
U '  y   c,V '  x   C  c
磨耗費用は、両者により負担
設備は、ピーク時の利用者のみが負担
ピークの限界評価
ピークの料金
建設費用
ピークでないとき
の限界評価
ピークでない
ときの料金
ピーク時でないときも制約が有効のとき
U  x   V  x   Cx  2cx
xについて、微分して0とおく
U '  x   V '  x   C  2c
U '  y  ,V '  x  各利用者の料金
U '  y   c,V '  x   c
設備に対応する分
リンダール価格に対応
第2種の価格差別
• 携帯料金
– 「チョット・コール」コ-ス
• 基本料金が低く、従量料金が高い
– 「ヘビー・コール」コース
• 基本料金が高く、従量料金が低い
第2種の価格差別(続き)
• 携帯会社が利用者のタイプを知っていれば、
タイプごとに、二部料金を選べば、実質的に
第1種の価格差別ができる。
• そうでないので、利用者に選ばせる・・・取引
の一方が情報を持っている・・アドバース・セ
レクション
• 以下で見るように保険とほとんど同じモデル
モデル・・二つのタイプの消費者からなる。
x
通話量
料金
T
uH  x   T ヘビー・タイプの利益
uL  x   T チョット・タイプの利益
uH  x   uL  x  , uH '  x   uL '  x   0,
uH  0  uL  0  0
c
通話の単位費用(限界費用)
タイプを携帯会社が見分けられるとき。
uH '  xH *  uH '  xL *  c
従量料金を限界費用にする。
TH *  uH  xH *
TL *  uL  xL *
余剰を全部吸収する。
タイプを携帯会社が見分けられない。
 xH ,TH  ,  xL ,TL  各タイプ向けのパッケージ
誘因両立制約
uH  xH   TH  uH  xL   TL
uL  xL   TL  uL  xH   TH
参加制約
で利潤
uH  xH   TH  0
uL  xL   TL  0
p TH  cxH   1 p TL  cxL 
を最大化
タイプを携帯会社が見分けられない。
 xH ,TH  ,  xL ,TL  各タイプ向けのパッケージ
誘因両立制約
uH  xH   TH  uH  xL   TL
uL  xL   TL  uL  xH   TH
参加制約
で利潤
uH  xH   TH  0
uL  xL   TL  0
p TH  cxH   1 p TL  cxL 
を最大化
誘因両立制約
uH  xH   TH  uH  xL   TL
uL  xL   TL  uL  xH   TH
参加制約
uH  xH   TH  0
uL  xL   TL  0
この二つが直感的に有効
uH  xH   TH  uH  xL   TL
uL  xL   TL  0
uH  xH   TH  uH  xL   TL
uL  xL   TL  0
TL  uL  xL  ,
TH  uH  xH   uH  xL   uL  xL 
p TH  cxH   1  p TL  cxL 

 p uH  xH   uH  xL   uL  xL    cxH
 1  p  uL  xL   cxL 


p uH  xH   uH  xL   uL  xL   cxH
 1  p  uL  xL   cxL 

最大化のため微分して0とおく
uH '  xH   c,
p
uL '  xL   c 
uH '  xL   uL '  xL 

1 p
チョット・コールの従量料金は、限界費
用より高い
支払い
 xH *, TH *
ヘビー・コール
 xH , TH 
チョット・コール
 xL *, TL *
 xL ,TL 
通話量