大気大循環モデルを用いた傾圧不安定波動の数値計算

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大気大循環モデルを用いた
傾圧不安定波動の数値計算
2010.06.08
北野 太朗
目次
• はじめに
– 傾圧不安定について, 今回の内容
• 数値計算
– モデル(dcpam5)の概要
– 初期条件
– 計算設定
• 計算結果
• まとめ・今後の課題
はじめに
• 地球上での短波放射と長波放射の分布
南北で熱
– 低緯度→太陽放射が強く、より暖まる
の不均衡
– 高緯度→太陽放射が弱く、より冷える
が起こる
南北方向に熱輸送が行われる必要がある
中緯度の熱輸送において, 重要な役割を果たしている
のが, 傾圧不安定波動である
はじめに
• 傾圧不安定
– 中緯度で顕著な温度風平衡の状態にある
基本場(右図)において, 低気圧・高気圧の
発達を説明する不安定状態
– これによって生じる渦が, 南北方向に
熱を輸送する
風速
温
位
高
度
緯度
考えている基本場
今回行った内容
• 傾圧不安定波動についての理想的な実験である
Polvani et al. (2004) を参考に実験した
– 擾乱がどのように時間発展するかをPolvani et al.
(2004) の初期値をもとにして計算を行った
– 解像度を変えて, 結果がどのようになるかを実験した
モデルの概要
• dcpam 5 で計算
– 3 次元球面上のプリミティブ大気の
大気大循環を計算するための数値モデル
– スペクトル法で計算
• 力学過程:流体の運動を計算
(運動方程式, 熱力学方程式, 連続の式, 静力学の式)
• 物理過程:
– 放射(Numaguti (1982)を一部書き換えたもの)
– 乱流(Mellor and Yamada (1982), Louis et al. (1982)に従う)
– 積雲パラメタリゼーション(Manabe et al.(1965)を実装)
初期条件
• 風速場
南北方向の東西風の基本場
• 温度場
: 緯度
:コリオリパラメタ
:積分定数
南北方向の温度の基本場
初期条件
• 擾乱
温度場に次のようなゆらぎを与える
:経度,
:温度,
そのとき, 温度場の時間変化を考える
計算設定の比較
○Polvani et al. (2004)
• 解像度
–
–
–
–
–
T21L20
T42L20
T85L20
T170L20
T341L20
• 積分時間:12日
• 着目した物理量
– 温度
– 渦度
– 鉛直速度
○自分自身の計算
• 解像度
–
–
–
–
–
T21L20
T42L20
T85L20
T170L20
T341L20(計算中)
で行った.
• 積分時間:15日
• 着目した物理量
– 温度
– 渦度
Polvani et al. (2004) との比較 ---温度場--4日
6日
8日
10日
12日
Polvani et al. (2004)
(T341L20, 12日計算
地表面付近(σ=0.975))
T21L20
T42L20
T85L20
T170L20
自分自身の計算による.地表面付近(σ=0.975)
Polvani et al. (2004) との比較 ---渦度場--T21L20
T42L20
T85L20
T170L20
Polvani et al. (2004) の計算.12日目で解 自分自身の計算.12日目で, 解像度を
像度を T21L20からT341L20 のときの地 T21L20からT341L20 のときの地表面
表面付近(σ=0.975)での温度場の変化
付近(σ=0.975)での温度場の変化
まとめ
• 大循環モデルdcpam を用いて, 傾圧不安定の数値
実験を行った.
– 温度場/渦度場の時間変化については, 同じ初期値を用
いた Polvani et al. (2004) と比較した.
今後の課題
• ポテンシャル渦度場の時間発展を計算してみる.
参考文献
• Pedlosky, J., 1987, Geophysical Fluid Dynamics,
Springer-Verlag, 703pp.
• Polvani, L. M., Scott, R. K., Thomas, S. J.,
2004: Numerically Converged Solutions of the
Global Primitive Equationd for Testing the
Dynamical Core of Atmospheric GCMs, J. Atmos.
Sci., 2539-2552.
• 田中浩, 2004, 大気科学とその周辺, (株)現代図書,
629pp.