木村先生によるパワーポイントの資料1

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Transcript 木村先生によるパワーポイントの資料1

子どもと共に育つ
ー家族と暮らせない子どもとともにー
たんぽぽホーム・木村康三
9月27日;於「子どもの村」事務局
こどもへのまなざし
・「君は輝いているよ!」(小3年男児の担任)
• 銀も 金も玉も なにせむに 優れる宝 子に
及かめやも
(万葉集 山上憶良)
• 遊びをせんとや生まれけん
戯れせんとや生まれけん
遊ぶこどもの声きけば
わが身さえこそ揺るがるれ (梁塵秘抄)
子どもは社会の宝
児童憲章 前文
• 児童は、人として尊ばれる。
• 児童は、社会の一員として重んぜられる。
• 児童は、よい環境のなかで育てられる。
子どもの育ちを支える協同関係の構築にむけて
~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~」より
•
「子どもの生きている時空間は、ひとりひと
りの子どもにとって固有であり、多様性に満
ちている。子どもの育ちを支える諸関係は、
その固有性、多様性に敏感でありつつ、いず
れは子どもが自分の力でそこから離れてひと
りだちをしていく時にむけて、諸関係自体が
変容し続けなければならない。
• 子どもが生きている世界は、実は私たち
が生きている世界である。つまり、子ど
もの育ちを支えている諸関係は、私たち
自身がそのなかで生き、その関係性を築
いているのである。子どもをめぐる諸関
係の再構築とは、私たち自身(が構成し
ている関係の網目)の再構築である。私
たちは、どこまでそれに向き合えるだろ
うか。」
(こころを育てる言葉)
・自尊感情 ・自己肯定感
やる気・集中力
達成感
たんぽぽホームの資源
・人的資源 養育者(3人)・補助者(7人)
ボランティア数名
・社会資源 児童相談所・里親会・
NPO他
・自然資源 里山・動物・昆虫・植物
「つながり」の再構築
地域・ご近所
自然・生き物
保育園・幼稚園・学校 塾・稽古事
子ども劇場・サークル・留守家庭子ども会
地域(町内)子ども会・PTA・見守り・オヤジの会
要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)
「子どもの村」
児童相談所
民生・児童委員
こども支援
里親・ファミリーホーム
里親会
「つくしんぼ
すだちの基金」
里親サロン
ファミリーホーム協議会(準)
実親
親族
里親支援(NPO)
医療・専門機関
ファミリーシップ
「こどもにやさしいまちづKり」
弁護士
「かんらん舎」「いっしょふくおか」
「そだちの樹」
子どもの権利とは
• 家族とともに健やかに暮らすこと
• 人間としての尊厳が守られること
• 良質な環境の中で育てられ、自立できること
【子どもの権利条約から】
• 児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲
において確保する。
• 児童の最善の利益を第一に考慮する。
こどもの最大の環境としての「親」
• その親によって育ちの環境を奪われたこども
• 良質の環境を作ること
• 社会の責任で子どもの育ちを保障する
・子育ての社会化
社会的協同親(究極の虐待防止)
たんぽぽホームのこどもたち
• 6人
・年齢 17歳女、13歳男、9歳男、9歳男、6歳女、4歳男
• 虐待の深い傷、そして「障害」と疾病
• 常勤3人+非常勤7人
(他にボランティア数名)
「反応性愛着障害」という共通項
• 抑制型・・・世話をしようとしている人に対して、非常に警戒的
で、甘えたいのに素直に甘えることが出来ず、優しく接してく
れているのに腹を立てたり嫌がって泣いたりと全く矛盾した
態度を見せることがある。
• 脱抑制型・・・初対面の人にもなれなれしく接近し、過剰な親
しみを示し、一見社交的に見えるのですが、無警戒で相手を
よく吟味しようとしない。
児童における愛着障害の兆候(1)
※数量化すれば赤字(90~100) 青字(80~90) 緑字(60~80)%該当
・ 赤の他人に恐怖心なく接近し、上辺だけの愛嬌と親しさを示す。
• 衝動や刺激に対しては自制が効かず、過激行動児と診断されやすい。
• 母親や自分に対して権限を持つ人に、慢性のそして間断無い抑圧問題を
起こさせる。(子どもが親をコントロールするのか、親が子どもをコントロー
ルするのかの戦いになる。)
• 嘘をつくのが、当たり前になる。
• 火付けなど、自己や物体に対して破壊的行動をとる
• 動物や自分より小さい子どもたちに対して、攻撃的で、怒りっぽく、障害を
与える。
児童における愛着障害の兆候(2)
• 同じ年代の子どもたちと長期に渡る人間関係を築くことができない。
• 学習障害児、言語障害児、運動神経障害児等の診断をうけやすい。
• 間断無くしゃべったり、まつわりついたり、なかなか座ったり寝たりせず、
いつも注目を引いたり、注意されるような行動をとる。
• 親が率先して示す愛情を受け入れないので、触覚防御児(tactile
defensive)と診断されることがあるが、自分が欲する時は、人に平気で不
適当なやり方で触ったり、触って欲しいと要求する。
• 食べ物に難点を示す。例えば隠して溜めたり、暴食したりする。
児童における愛着障害の兆候(3)
• 自分に近くない人々には正常な態度で接近するので、三
角関係を引き起こし易い。学校の先生や医者には、両親
に対するのと異なる態度を示すので、両親に問題がある
と見られ避難されがちなので、往々両親は、外の人々に
怒りを持っている。それなのでなおさら両親は常軌に外
れて怒りっぽいという印象を与え易い。
・自分の行動に関しては責任を持たず、後悔や自責の念に
欠け、良心が欠如している。自分のしたことに対して他人を
責め、責任を転化して、ひどいときは親を児童虐待したと訴
える。
東京福祉大学 ヘネシー澄子教授
子どもたちが愛着の絆が断たれた状態や
愛着が欠如した状態におかれると
人格形成の障害
1 自制能力の欠如
衝動の抑制、自分を癒す、自主性、忍耐力
持続力、自制心などの欠如
2 人間関係の構成能力の欠如
共感能力、信頼感、情愛、相互性、表現能力
人に対する尊敬心などの欠如
問題行動
1 衝動性、多動、不注意・・・ADHD様の症状
2 自己否定的
3 反抗挑戦的
4 反社会的
5 責任転嫁
(ヘネシー澄子)
反応性愛着障害が作られる原因
①安楽、刺激及び愛着に対する子供の基本的な情緒
欲求の持続的無視
②子供の基本的な身体的欲求の無視
③第1次世話人が繰り返しかわることによる、安定し
た愛着形勢の阻害
DSM―Ⅳ(精神疾患の分類と診断の手引き)による
「普通の家庭」で育てられている子ども達の間
にも多数見られる脱抑制型愛着障害
• 家庭での子どもの育て方が児童福祉施設と同じように、「大
人の都合に合わせる」育て方になっている
• 子どもの発達に応じて、必要な世話を適切に行うことが大切
• 子どもの発達を無視して、必要な世話もしていなかったり、不
適切な世話をしていると、反応性愛着障害が作られる。
• 親から虐待を受けてきた被虐待児にも、「無差別的愛着」と
いう脱抑制型愛着障害が見られる
愛着障害の子ども
1 身体症状・・・小柄、自律神経症状
心身症的症状
2 多動、衝動、不注意
3 発達の遅れ・・・知的障害、運動発達の遅れ
社会性、コミュニケーション能力の発達の遅れ
4 反応性愛着障害
5 反抗挑戦性障害・・・かんしゃく、けんか、いうことをきかない
怒らせる、いらいらするなど
6 行為障害・・・・反社会的行為
7 解離性障害・・・意識と身体の統一性が崩れる
記憶の断絶、変容
人格の分裂、多重人格、解離性幻覚
8 外傷後ストレス障害PTSD
被虐待の子どもたち
・大人と子どもの関係性(支配ー被支配)
・大人への強い不信感
・心が壊れるほどの強いストレス【トラウマ】
・ため込んだ悲しみと怒り、そして絶望
・自尊感情の低さ
・共通する食の細さ・極端な偏食
・増えない体重
・暴力・権力・性・育児放棄(虐待4類型)へと向かう
負のエネルギーの放出(虐待の連鎖)
・集中力、持続力のなさ
虐待の背景
・人間の持つ残虐性(「虐待死」事例)
(「さるべき業縁の催せばいかなる振る舞いもすべし」)
※親鸞の言葉(弟子「唯円」著述による『歎異抄』)
・貧困・孤立無援(核家族)・不安定就労・無縁社会
・社会的ストレス・育児ストレス(精神疾患)
・社会全体の子育て力の低下
(こどもの日常に刻み込まれた虐待の傷跡)
毎日が綱渡り
・落ちた時のセイフティーネットの存在
・虐待まがいの「指導」「しつけ」
(「虐待的関係の再現傾向」)
・言い方を間違えると奈落へと・・
・それでも感情を殺すことはできない
(こちらも生身の人間だから・・・)
「すさまじい日常」と向き合う
・さまざまな育ちの中で身に着けてきたものと、
どう向き合い、育てなおしをしていくか
・「すさまじい日常」に振り回されず、
「すばらしい日常」に転化していくための
スキルとエートス、根気と忍耐力、持続力
・子ども理解への探求心
・柔構造のサポート体制(チームワーク)
(「養育の質」向上戦略)
里親の度量(試される器)
・寄り添うことの困難なケース
(ため込まない・追い込まれない・適切な距離を保つ)
・「度量」を拡大深化するための学びと振り返り
・問題や課題を共有化するためのアセスメント
・子どもを見守り寄り添う複数の目
・地域で育てるネットワーク作り
・里親自身の自己開示(オープン化作戦)
養育の質向上戦略
多様な資源の積極的活用
1)文化戦略 絵本・アニメ・こども劇場・音楽
メディアの活用・絵画・習い事
2)自然戦略 里山・虫取り・飼育・園芸・
水遊び(川)・キャンプ・原っぱ遊び
3)学習戦略 漢字・計算ドリル・塾・家庭学習
音読・お礼状・日記・感想文
4)社会戦略 コミュニケーションスキルの向上
地域に根を下ろす・子ども会
「耕す」ということ
• 語源・・・田畑の土を掘り返す⇒田返す⇒
たがやす 自分を耕す(つながりを創る)
• cultivate ━【他動詞】
1. 〈土地を〉 耕す , 耕作する
2. 〈作物を〉 栽培する
3. 〈才能・品性・習慣などを〉 養う , 磨く , 洗
練する
4. 〈知己・交際を〉求める, 深める
5.自分を育てる(育自)
Cultivate⇒ culture
culture:(名)
1)文化、精神文明
(civilizationより精神面が強調される)
2)教養、修養、(他動) 栽培・養殖・培養する
(「土地を耕すこと」から「教育による育成」へと変化し
cultivation よりも知的な側面が強調される
ようになる)
教員・保育士・里親はcultivator
cultivator(名) 耕作する人、養成する人
愛着形成は人間の土台作り
根っこを育てる前の耕し
耕作放棄地⇒耕し⇒施肥⇒種まき⇒育成
(教育・保育・養育・養護・養成も同じ)
「結・絆」としての社会的養護
「子どもの人としての権利をきちんと守る」
• 子どもの健やかな成長・発達をめざす
• 子どもの安全・安心な生活を確保する
• 心の傷を抱えた子どもに必要な心身のケアや治療を行う
• その子どもの社会的自立までを支援することにある。
子どもにとっての最善の利益を保障する社会
(里親・ファミリーホームの役割)