介護保険法制定

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Transcript 介護保険法制定

日本の介護保険の10年と
今後の課題
2011年5月
増 田 雅 暢
(MASUDA MASANOBU)
0
プロフィール
○ 東京大学教養学部卒業。1981年厚生省に入省。企画法令関係
の業務や厚生白書の作成等を担当。介護保険の創設業務に従事。
1991年から94年岡山市の民生部長。1996年から98年九州大学法
学部助教授。2004年から06年まで、内閣府参事官として少子化社
会対策を担当。2007年4月から上智大学総合人間科学部教授。
2010年4月から(株)日本政策金融公庫部長。
専門は、社会保障政策論、社会保障法、介護保険等
○ 主な著書(編著を含む)
『老人福祉論』 (全国社会福祉協議会、2009)
『世界の介護保障』 (法律文化社、2008)
『日本 介護保険制度の政策過程と今後の課題』(人間と福祉、2008
『これでいいのか少子化対策』 (ミネルヴァ書房、2008)
『介護保険見直しの争点』 (法律文化社、2003) など
韓国で出版)
1
図 10か国の高齢化率の推移(過去と将来)
2
高齢者保健福祉政策の流れ
年
代
高齢化率
主 な 政 策
1960年代
高齢者福祉政策の始まり
5.7%
(1960)
1963年 老人福祉法制定
◇特別養護老人ホーム創設
◇老人家庭奉仕員(ホームヘルパー)法制化
1970年代
老人医療費の増大
7.1%
(1970)
1972年 有吉佐和子著『恍惚の人』ベストセラー
1973年 老人医療費無料化(福祉元年)
1980年代
社会的入院や寝たきり
老人の社会的問題化
9.1%
(1980)
1982年 老人保健法の制定(老人医療費の一定額負担の導入等)
1989年 消費税の導入
ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略)の策定
◇90年代の10年間に施設緊急整備と在宅福祉の推進
1990年代
ゴールドプランの推進
12.0%
(1990)
1994年 新ゴールドプラン(新・高齢者保健福祉推進十か年戦略)策定
◇在宅介護、施設整備の一層の充実
新しい介護システムの検討開始
14.5%
(1995)
1995年
1996年
1997年
1999年
高齢社会対策基本法制定
連立与党3党政策合意。介護保険法案国会提出
介護保険法成立
ゴールドプラン21策定
17.3%
(2000)
2000年
2005年
2008年
2009年
介護保険制度の実施
介護保険法の一部改正
介護保険法の一部改正
介護報酬初のプラス改定
介護保険制度の導入準備
2000年代
介護保険制度の実施
介護保険制度創設の背景
○高齢化の急速な進行に伴う要介護高齢者の増加と、寿命の伸長
に伴う介護リスクの一般化
○介護期間の長期化・重度化、認知症の増加など介護状況の変化
○家族規模の縮小などによる家族介護の限界と、介護サービスに対
するニーズの増大
○従来の老人福祉と老人医療の問題点の解決を図る必要性
○将来的に増大する介護費用に対する財源確保策の必要性
4
介護保険制度創設のねらい
(1)介護の社会化:高齢者の介護を社会全体で支える仕組みを導入
(2)自立支援:要介護者の有する能力を最大限生かし、自立した日常生活を送る
ことができるように社会的に支援するとともに、家族など介護者が抱える介護負
担の軽減を図る
(3)利用者本位:福祉分野と医療分野に分かれてきた従来の介護政策の問題点
を解消し、利用者の意思を尊重し、利用者がサービスを選択して利用できる仕組
みを導入する(措置制度から利用契約制度への変更)
(4)ケアの総合化:適切なアセスメントのもとに、必要な介護サービスを総合的、
継続的に利用できる仕組みを導入する(ケアマネジメントの導入)
(5)多様な事業主体の参入:民間企業等の多様な事業主体の参入を認めるこ
とにより、介護サービスの量的拡大・質の向上、雇用の拡大を図る
(6)社会保険方式の導入:給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用し
、介護費用に対する安定的な財源確保を図る
5
介護保険制度の経緯
1994年 4月
1996年11月
1997年12月
1999年11月
2000年 2月
2000年 4月
2001年10月
2003年 4月
2005年 6月
10月
2006年 4月
4月
2007年 6月
2008年 4月
2008年 5月
2009年 4月
2011年 6月
厚生省内に高齢者介護対策本部設置
国会に介護保険法案を提出
介護保険法制定
特別対策
介護報酬決定
介護保険制度の実施
第1号保険料全額徴収
第1回介護報酬改定(-2.3%)
在宅+0.1%、施設-4.0%
介護保険法一部改正法の制定
食費・居住費の徴収開始
一部改正法施行、
第2回介護報酬改定(-0.5%)
在宅△1%、施設±0%
三位一体の改革(国庫補助金の廃止等)
いわゆるコムスン事件起こる
介護従事者等の処遇改善法の制定
介護保険法一部改正法の制定
第3回介護報酬改定(+3%)
介護保険法一部改正法の制定(予定)
6
7
サービス利用の手続き
○施設サービス
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
寝たきりや認知症で
介護サービスが必要な方
市
利
用
者
町
認
定
調
査
村
の
窓
口
要
定
医
師
の
意
見
書
要介護1
~
要介護5
介
(
ケ
ア
プ
ラ
ン
)
介
護
サ
ー
ビ
ス
の
利
用
計
画
○居宅サービス
・訪問介護 ・訪問看護
・通所介護 ・短期入所サービス
など
○地域密着型サービス
・小規模多機能型居宅介護
・夜間対応型訪問介護
・認知症対応型共同生活介護
など
介
護
給
付
要介護状態となるおそれがあり
日常生活に支援が必要な方
護
認
要支援1
要支援2
要支援・要介
護になるおそ
れのある者
非該当
介
護
予
防
ケ
ア
プ
ラ
ン
○介護予防サービス
・介護予防通所介護
・介護予防通所リハビリ
・介護予防訪問介護
など
○地域密着型介護予防サービス
・介護予防小規模多機能型
居宅介護
・介護予防認知症対応型
共同生活介護
など
○介護予防事業
○市町村の実情に応じた
サービス
予
防
給
付
地
事域
業支
援
8
ケアマネジメントの導入
◎ ケアマネジメント(介護支援サービス)とは、要介護者等に対して、その心身の
状況や置かれた環境、個々の課題(ニーズ)等を十分把握した上で、ケアプラ
ン(介護サービス計画)の作成等を通じて、適切かつ効率的な介護サービスが
、総合的、一体的、継続的に提供されるようにする活動
◎ ケアマネジメントの中心となる人材として、介護支援専門員(ケアマネジャー)
の制度を創設
◎ ケアマネジメントの進め方
①利用者の生活上の課題の把握・分析(アセスメント)
②ケアプラン(介護サービス計画)の作成
③計画に応じたサービス利用の支援
④ケアプランの実施状況の把握と再評価
◎ ケアマネジメントの提供者
居宅サービスの場合、居宅介護支援事業所と介護支援専門員(ケアマネジャ
ー)。施設サービスの場合、介護保険施設等に介護支援専門員を必ず置く
9
10
11
介護サービス種類別受給者数
居宅サービス・施設サービス
2001年(A)
訪問介護
(単位 千人)
2008年(B)
伸び率(B/A)
638
1,038
163
78
65
83
訪問看護
211
303
144
通所介護(デイサービス)
616
1,244
202
通所リハビリ(デイケア)
335
482
144
短期入所生活介護(ショートスティ)
111
268
241
短期入所療養介護(ショートスティ)
35
58
166
特定施設入居者生活介護
13
117
900
認知症対応型共同生活介護
13
133
1,023
福祉用具貸与
416
830
200
居宅介護支援
1,489
2,414
162
介護福祉施設サービス
306
416
136
介護保健施設サービス
237
292
123
介護療養施設サービス
109
93
85
訪問入浴介護
(資料)厚生労働省『介護サービス施設/事業所調査」、各年10月1日現在。
12
介護サービス事業所・施設数の動向
介護サービス事業・施設名
2000年(A)
2008年(B)
伸び率(B/A)
訪問介護事業所
9,833
20,885
212
訪問入浴介護事業所
2,269
2,013
89
訪問看護ステーション
4,730
5,434
115
通所介護事業所(デイサービス)
8,037
22,366
278
通所リハビリ事業所(デイケア)
5,911
6,426
109
短期入所生活介護事業所(ショートスティ)
4,515
7,347
163
短期入所療養介護事業所(ショートスティ)
4,651
5,242
113
842
2,876
342
675
9,249
1,377
福祉用具貸与事業所
2,685
4,974
185
居宅介護支援事業所
17,176
28,121
158
介護老人福祉施設
4,486
6,015
134
介護老人保健施設
2,667
3,500
131
介護療養型医療施設
3,862
2,252
58
特定施設入居者生活介護
(2004年)
認知症対応型共同生活介護事業所
(資料)厚生労働省『介護サービス施設/事業所調査」、各年10月1日現在。
13
14
介護保険制度に関する世論調査
○実施主体 内閣府
○調査対象 全国20歳以上の者 5,000人(回収率65.4%)
○調査期間 2010年9月~10月
★介護保険制度導入による効果について「良くなったと思う」が、過半数(51%)、「良くなった
と思わない」が29%
★良くなった点は、「家族の負担軽減」(55%)、「介護サービスを選択しやすくなった」(50%)
、「家族に介護が必要になった場合でも働き続けることができる」(34%)など
★良くなっていない点は、「利用料など経済的負担が減っていない」(54%)、「家族負担が軽
くなっていない」(44%)、「働き続けることができない」(40%)など
★介護を受けたい場所について、「現在の住まい」(37%)、「特別養護老人ホームや老人保
健施設」(26%)、「介護付きの有料老人ホームや高齢者住宅への住み替え」(19%)など
★介護サービスを充実させた際の費用負担は、「公費(税金)負担割合の引上げ」(41%)、「
負担割合は変えず公費・保険料・利用者負担の引上げ」(22%)、「保険料負担割合の引
上げ」(15%)など
★今後の行政に対する要望は、「介護従事者の賃金アップなどの処遇改善」(52%)、「認知
症の人が利用できるサービスの充実」(48%)、「24時間対応の在宅サービスの充実」(4
8%)、「施設待機解消のための施設整備」(44%)、「配食、送迎など生活支援サービス
の充実」(42%)、「保険料・利用料軽減措置の充実」(38%)など
15
介護保険制度がもたらした成果
◎ 介護サービスの一般化・普遍化
(例.措置制度の見直し、利用契約制度の定着)
◎ 介護サービスの提供量・利用量の大幅増加
(例.10年間で事業規模が2倍以上)
◎ 介護サービスの質の向上に向けての取組の促進
(例.介護施設の個室化、ユニットケア、身体拘束ゼロ、虐待防止、第三者評
価、情報公開、苦情解決、権利擁護、ケアマネジメント、介護予防など)
◎ 介護事業の拡大
(例.介護従事者の増大、多様な事業主体の参入、新たなビジネスの展開)
◎ 他の社会保障制度への影響
(例.障害者自立支援制度、後期高齢者医療制度など)
◎ 他の東アジア諸国への影響
(例.韓国、台湾)
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実施後に見えてきた主な課題
(1)制度の持続可能性の問題
・介護費用の増大による公費負担増、保険料負担増
・保険給付の効率化をめぐる議論
・制度の在り方をめぐる議論
(2)事業者の不正行為への対応
(3)介護従事者の処遇改善の問題
(4)サービスの質の向上
・ケアマネジメントの質の向上への取組など
(5)施設入所待機者の増加
・特に都市部における施設整備の問題
(6)介護者の介護負担や高齢者虐待の存在
17
2005年制度改正の概要
○制度創設5年目の見直しにおいて、軽度者(要支援・要介護1)の大幅な増加や
、将来の介護費用の増大に対応していくために、次のような改正を実施
(1)予防重視型システムの確立
⇒新たな予防給付の創設(要支援2の創設、介護予防マネジメントなど)
介護予防事業を行う地域支援事業の創設
(2)施設給付の見直し
⇒食費・居住費の自己負担の導入
(3)新たなサービス体系の確立
⇒市町村が指定する地域密着型サービスの創設(小規模多機能型居宅介護など)
地域包括支援センターの創設など
(4)サービスの質の確保・向上
⇒介護サービス情報の公表、指定の更新制(6年)、ケアマネジャー資格の更新制(5年)
(5)負担のあり方・制度運営の見直し
⇒高齢者の保険料の見直しなど
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総合的な介護予防システムの確立
【介護予防】 要介護状態の軽減又は悪化の防止
○軽度の人のために、「予防給付」
○要介護になる手前の人に「介護予防事業」(地域支援事業)
○介護予防のマネジメント等を行う機関として「地域包括
支援センター」を設置
「介護予防事業」の導入
「新予防給付」の導入
・要支援・要介護になるお
それのある者が対象
×
・要支援者が対象
対
象
×
非該当
要支援
×
要介護
者
非該当
要支援
市町村が計画的に推
進(2006年度から)
・「介護予防事業」の
実施
・「新予防給付」の導
入(2007年3月までに
全市町村で実施)
要介護
19
小規模多機能型居宅介護について
○「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」
を組み合わせてサービスを提供することで、中重度となっても在宅での生活が
できるよう支援する。
(デイサービスを中心に、訪問介護、ショートステイを組み合わせたもの)
○1事業所の登録定員:25名以下
○介護・看護職員の配置基準:日中は、通いの利用者3人に1人、訪問対応1人。
夜間は、泊まりと訪問対応で2人(1人は宿直可能)。従業者のうち1人以上が
常勤、1人以上が看護師または准介護士。介護支援専門員1人
○設備基準:居間・食堂・宿泊室(個室の床面積7.43㎡以上)・浴室
20
地域包括支援センターについて
○包括的支援事業を一体的に実施し、地域住民の心身の健康の保持と生活の安
定のために必要な援助を行うことにより、保健医療の向上・福祉の増進を包括
的に支援することを目的として設置
○業務内容:次の包括的支援事業
①介護予防ケアマネジメント業務(予防給付と介護予防事業のマネジメントを一
体的に実施)
②総合相談支援業務(住民の各種相談の受付・対応)
③権利擁護業務(虐待防止・早期発見、関係機関との連携)
④包括的・継続的ケアマネジメント(ケアマネジャーの日常的個別指導、支援困
難事例の指導・助言、地域のケアマネジャーのネットワークの構築)
○職員体制:保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーを配置
○実施主体:市町村または市町村から委託を受けた法人。市町村は地域包括支
援センター運営協議会を設置
○設置状況:全保険者で設置。2008年4月末現在で、3,976か所
21
2008(平成20)年の制度改正
○ 改正の趣旨
2007(平成19)年に発覚したいわゆる「コムスン事件」を踏まえ、介護保険事業
における不正事案の再発防止を図り、介護事業運営の適正化を図る。
○ 改正の主な内容
①法令順守等の業務管理体制の整備 (介護事業者は業務管理体制の整備を義務
付けられ、その内容を国や都道府県等に届け出なければならないこと)
②事業者の本部等に対する立入検査権等の創設 (不正行為への組織的な関与
が疑われる場合には、国・都道府県等による事業者本部への立入検査ができるととも
に、是正勧告や命令を行うことができること)
③不正事業者の処分逃れ対策 (事業所の廃止・休止届出は、従来の事後届出制か
ら、廃止・休止の1か月前までに届け出なければならないこと)
④指定・更新時の欠格事由の見直し
⑤事業廃止時のサービス確保対策
○施行
2009(平成21)年5月
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2011年改正法案の概要
○高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービ
スが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム』の実現に向けた取組を進める。
○主な改正事項
(1)医療と介護の連携の強化等
⇒日常生活圏域(中学校区)ごとに地域ニーズや課題の把握を踏まえた介護保険事業計
画を策定
⇒24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスや複合型サービスを創設
(2)介護人材の確保とサービスの質の向上
⇒介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員によるたんの吸引等の実施を可能とする
⇒介護事業所における労働法規の遵守を徹底
(3)高齢者の住まいの整備等
⇒高齢者住まい法の改正
(4)認知症対策の推進
⇒市町村における高齢者の権利擁護の推進
(5)保険料の上昇の緩和
⇒各都道府県の財政安定化基金を取り崩し、介護保険料の軽減等に活用
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地域包括ケアシステムについて
日常生活園域において、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した、要
介護者等への包括的な支援(地域包括ケア)を推進
【地域包括ケアの5つの視点による取組み】
地域包括ケアを実現するためには、次の5つの視点での取組みが包括的(利用者のニーズに応じた
①~⑤の適切な組み合わせによるサービス提供)、継続的(入院、退院、在宅復帰を通じて切れ目ない
サービス提供)に行われることが必須。
①医療との連携強化
・24時間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリテーションの充実強化
・介護職員によるたんの吸引などの医療行為の実施
②介護サービスの充実強化
・特養などの介護拠点の緊急整備(2009年度補正予算:3年間で16万人分確保)
・24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設など在宅サービスの強化
③予防の推進
・できる限り要介護状態とならないための予防の取組や自立支援型の介護の推進
④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など
・一人暮らし、高齢夫婦のみ世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、様々な生活支援(見守り、配食など
の生活支援や財産管理などの権利擁護サービス)サービスを推進
⑤高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備(国交省と連携)
・一定の基準を満たした有料老人ホームと高専賃を、サービス付高齢者住宅として高齢者住まい法に
位置づけ
24
24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設(イメージ)
○重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護
が密接に連携しながら、短時間の定期巡回型訪問と随時の対応を行う「定期巡回・随時対応サービス」
訪問介護と訪問看護が一体的、又は密
接に連携しながら、短時間の定期巡回型
訪問を行う
利用者からの通報により、
電話による応対・訪問などの随時対
応を行う(ICT機器を活用)
通報
随時対応
短時間の
定期巡回型訪問
常駐オペレータ
短時間の定期巡回型訪問
※ 1つの事業所から訪問介護・訪問看護を一体的に提供する、又は、外部の訪問看護事業所と緊密な連携を図って訪問介護を実施するなど、訪問介
護と訪問看護の密接な連携を図りつつ実施する。地域密着型サービスとして位置づけ、市町村(保険者)が主体となって、圏域ごとにサービスを整備
できるようにする。
25
各国の介護施設・ケア付き高齢者住宅の状況
○ 我が国における、65歳以上人口に占める高齢者住宅等の定員数の割合は、
欧米諸国と比較して少ない。
○各国の高齢者の居住状況(定員の比率)(全高齢者における介護施設・高齢者住宅等の定員数の割合)
介護保険3施設等
※2
(3.5%)
ナーシングホーム、
グループホーム等
(4.2%)
プライエム等
(2.5%)
ケアホーム
(3.7%)
ナーシング・ホーム
(4.0%)
※1
(0.9%)
4.4%
サービスハウス等
(2.3%)
日本 (2005)
6.5%
※制度上の区分は明確ではなく、
類型間の差異は小さい。
プライエボーリ・エルダボーリ等
(8.1%)
シェルタードハウジング
(8.0%)
アシステッド
リビング等
(2.2%)
6.2%
10.7%
11.7%
スウェーデン(2005)※3
デンマーク (2006)※4
英国 (2001)※5
米国 (2000) ※6
※1 シルバーハウジング、高齢者向け優良賃貸住宅、有料老人ホーム及び軽費老人ホーム(軽費老人ホームは2004年) ※2 介護保険3施設及びグループホーム
※3 Sweden Socialstyrelsen(スウェーデン社会省)聞き取り調査時の配布資料(2006)
※4 Denmark Socialministeriet(デンマーク社会省)聞き取り調査時の配布資料(2006)
※5 Elderly Accommodation Counsel (2004) 「the older population」
※6 医療経済研究機構「米国医療関連データ集」(2005)
26
サービス付き高齢者住宅と介護保険の連携イメージ
住み慣れた地域で安心して暮らすことを可能とするよう、新たに創設される「サービス付き高齢者住宅」(高齢者住
まい法:国土交通省・厚生労働省共管)に、24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」(介護保険法:厚生労働
省)などの介護サービスを組み合わせた仕組みの普及を図る。
24時間対応の訪問介護・看護
「定期巡回・随時対応サービス」
→介護保険法改正により創設
診療所、訪問看護ステーション、
ヘルパーステーション、
デイサービスセンター、
定期巡回・随時対応サービス(新設)
サービス付き高齢者住宅
(国土交通省・厚生労働省共管)
→高齢者住まい法改正により創設
住み慣れた環境で必要なサービスを
受けながら暮らし続ける
27
28
中長期的にみた介護保険制度の課題
(1)「介護の普遍化」への対応
⇒介護保険の被保険者の範囲拡大は可能か
(2)「制度の持続可能性」への対応
⇒保険料負担の限界はどのくらいか、公費負担の財源はどうするのか
⇒利用者負担の増加は可能か、給付の縮小は可能か
(3)「介護保険と社会福祉との関係」の整理
⇒介護保険制度がすべてを抱えることは限界
(4)「介護人材確保問題」への対応
⇒介護従事者の処遇改善(給与改善やキャリアパス)
⇒将来的に介護人材の確保が可能か
(5)「介護者支援」への対応
⇒介護従事者や家族介護者への支援はどうあるべきか
29
75歳以上高齢者の増大
実績値
(国勢調査等)
人口(万人)
14,000
人口ピーク(2004年)
12,779万人
平成18年推計値
(%)
(日本の将来人口推計)
30
75歳以上人口の割合
12,777
75歳以上人口
26.5%
12,000
1,270
11,522
25
65~74歳人口
1,476
2,266
10,000
19.7%
8,993
1,401
20
65~74歳人口の割合
8,000
2,387
8,302
15~64歳人口
15
11.6%
(2007)
6,000
14.0%
12.2%
1,260
6,740
4,595
4,000
10
9.9%
(2007)
5
2,000
14歳以下人口
1,115
1,729
752
0
1950
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2007
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
2045
2050
資料:2005年までは総務省統計局「国勢調査」、2007年は総務省統計局「推計人口(年報)」、2010年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)中位推計」
0
2055
30
31
日本・ドイツ・韓国の介護保険制度の比較
日
本
ド イ ツ
韓
国
名称
介護保険法
要介護のリスクの社会的保
護に関する法律
老人長期療養保険法
実施年月
2000年4月
1995年1月
2008年7月
保険者
市区町村
介護金庫
国民健康保険公団
被保険者
40歳以上の者
公的医療保険加入者
国民健康保険の加入者
受給者
原則として高齢者
すべての年齢層
原則として高齢者
要介護度
7段階(要支援の2段階と要
介護の5段階)
3段階(「特に重度」を加える
と4段階)
3段階(4段階に拡大予定)
要介護者数
約510万人(2010年10月)
約225万人(2007年)
約31万人(2010年6月)
保険給付内
容
在宅・施設サービス
現金給付なし
在宅・施設サービス
現金給付あり
在宅・施設サービス
現金給付少しあり
利用者負担
10%
なし
在宅15%、施設20%
財源構成
利用者負担、公費と保険料
全て保険料負担
利用者負担、公費と保険料
特徴
対象範囲が広く、給付水準
部分保険という思想。医療
も高い。必要十分という思想。 サービスとは分離
サービスの種類も多い。
対象者を限定、給付水準も
抑制的。医療サービスとは
分離
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日本・ドイツ・韓国の保険給付額の比較
日
要介護度
在宅
要支援1
本
ド イ ツ
韓 国
施設
在宅
施設
在宅
施設
49,700
―
―
―
―
―
要支援2
104,000
―
―
―
―
―
要介護1
165,800
197,100
―
―
―
―
要介護2
194,800
218,400
48,000
129,000
―
―
要介護3
267,500
239,400
115,125
159,875
69,901
100,309
要介護4
306,000
267,000
179,000
179,000
83,329
112,098
要介護5
358,300
278,700
239,750
211,000
97,863
123,860
(注)①2008年時点のデータ。日本の施設は特別養護老人ホーム(ユニット型個室)の場合。日本・韓国は、この数値
の一定割合の利用者負担があるが、ドイツにはない。②ドイツ,韓国のそれぞれの要介護度は,日本の要介護度に
便宜的に当てはめたもので、3カ国の要介護度段階が完全に一致するものではない。③日本円換算は、1ユーロは
125円、100ウォンは8.58円として計算
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