小惑星の掩蔽観測と測光観測による立体形状の決定

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多重小惑星の発見
佐藤 勲 、浜野和 弘巳
小惑星(243)イダの衛星ダクティルの発見
 1993年、探査機ガリレ
オが発見。2個めの直
接探査で初の小惑星
の衛星の発見。
 本体サイズ
59.8x25.4x18.6kmに
対し、1.6x1.2km の大
きさで約90kmの距離
を回っているが、軌道
は確定していない。
小惑星イダ、アイーダ、エイダ
 (243)Ida=イダ
(ギリシャ神話)
 (861)Aida=アイーダ
(オペラの曲名)
 (523)Ada=エイダ
(アメリカ人女性名)
連星小惑星発見の意義
 衛星の軌道長半径と公転周期がわかると、
ケプラーの第3法則により、連星系の質量が
わかる。
 相互食の観測等から本体と衛星の大きさが
わかると、両星の密度がわかる。
 スペクトル観測から表面の組成がわかると、
内部組成が推定できる。
 連星系の形成のシナリオが推定できる。
 太陽系の誕生のシナリオが推定できる。
これまでに発見された4重小惑星
 (134340)冥王星
1978年 カロン
2005年 ニックス
2005年 ヒドラ
これまでに発見された3重小惑星
 (45)ウージェニア
1998年 プティプランス
2004年 S/2004(45)1
 (87)シルビア
2001年 ロムルス
2001年 レムス
 (3749)ベーラム
2002年 S/2002(3749)1
2008年 S/2008(3749)1
 (136108)2003EL61 (EKBO)
2005年 S/2005(136108)1
2005年 S/2005(136108)2
 (153691)2001SN263 (NEO)
レーダー観測
A Second moonlet around 87 Sylvia
AO system correction varies with:
• seeing quality and airmass
• brightness and design of AO
S/2001 (87)1
undetected
S/2004 (87)1
?
S/2001 (87)1
Detected
87 Sylvia primary
12 detections over 28 frames
HST brightness difference (Storrs et al. 1999)
First observation (Aug. 9 2004) (seeing<1”) VLT-NACO provides full correction up to
mv<13.5 if ext. seeing better than 0.8”
0.25”
reduction of halo intensity, so better
sensitivity
Orbits of the moonlets
Near mean-motion resonance
3  PRomulus ~ 8  PRemus
Orbits are analyzed separately
S/2001 (87)1 - Romulus
• D=18 ±4 km
• a = 1356 ± 5 km = 1/50 x Rhill
• P = 3.6496 ± 0.0007 days
• i = 1.7 ± 1.0 ~ 2
• e = 0.01 ±0.01 ~ 0
•Very weak precession
S/2004 (87)1 - Remus
• D= 7 ± 2 km
•a = 706 ± 5 km = 1/100 x
Rhill
• P = 1.3788 ± 0.0007 days
• i = 2.0 ± 1.0 ~ 2
RESOLVED!!
• e = 0.016 ±0.011 ~ 0
•Strong precession! J ~0.18
Validation of our model: the mass of the system is determined by the outer2 moonlet.
The precession (J2) MUST be introduced in the Keplerian solution of the inner
moonlet to obtain a consistent solution.
これまでに発見された2重小惑星
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(22)カリオペ
2001年 リヌス
(243)イダ
1993年 ダクティル
(617)パトロクルス (トロヤ群)
2001年 メノエティウス
(42355)ティフォン (EKBO)
2006年 エキドナ
(58534)ロゴス (EKBO)
2001年 ゾエ
(65489)ケト
2006年 ポルキス
(66652)ボラシシ (EKBO)
2003年 パブー
(88611)テハロンヒワナコ (EKBO)
2001年 サウィスケラ
(136199)エリス (EKBO)
2005年 ディスノミア
他、100個余りに衛星が発見されている。
掩蔽観測によるカリオペの衛星リヌスの検出
(22)カリオペの立体形状モデル
(90)アンティオーペの衛星の検出
 2008年1月2日に関東地方
で掩蔽観測に成功。
Orbits of Binary
Asteroids
A sample of our data
•Collected mostly with the VLT-8m and its Adaptive Optics (AO)
(NACO) in 2004 and 2006 (~70h in service observing)
•Additional observations (~12h) at Gemini North AO in 2005-2006
日本人による多重小惑星の発見(1)
 (3220)村山
2004年、土川啓氏が測光観測から相互食によると
思われる光度曲線の落ち込みを検出。
日本人による多重小惑星の発見(2)
 (324)バンベルガ
2007年、浜野和弘巳氏が測光観測から相互食によると思われ
る光度曲線の落ち込みを検出。自転周期1.22625日、衛星の
公転周期x日。
日本人による多重小惑星の発見(3)
 (624)ヘクトル(トロヤ群L4)
2008年1月24日に起こった恒星の掩蔽で、上原貞治氏が2回の減
光を観測。既に知られていた衛星の他に本体がさらに2重である
可能性が高い。
624 Hektor - a Complex
Asteroidal Multiple
System
resolved
Observations taken
in July 2006
Not resolved
Bilobated shape of the primary
Moonlet at 0.36” (1150 km), with m=6 (15 km)
- First multiple L4-Trojan
- First moonlet companion in the Trojan population
- First complex system in the Trojan population
Bulk Density of 624
Hektor
Using Roche Ellipsoid Assumption
(for primary)
From lightcurve: P = 6.921 h
From AO image:
Apparent separation ~ 160 km (~50 mas)
Mass ratio ~1
In agreement with lightcurves published since 1968!
(a,b,c) = (80, 55, 50 km)
Dapp~ DIRAS
Using the moonlet orbit
• Only three positions (July 16, Aug 3)
• Assuming a circular and equatorial orbit (e = 0, i = 0)
• System is seen nearly pole-on
Prevolution = 3.61  0.09 days
a = 1178  4 km ~ 1/100 x RHill
 Mass = 9.94E18 kg
 (by Roche) = by moonlet ~ 2.2 g/cm3
Weak shear strength (rubble pile internal structure?)
日本人による多重小惑星の発見(4)
 2008年に浜野和弘巳氏が測光観測から相互食と思われる光度
曲線の落ち込みを発見。自転周期7.44時間、衛星の公転周期
3.007または6.014日。Zappala et al. (1989)の結果と一致。
Pravecの解析結果
 David Higgins, Lick, Simeis,Itajubaの観測から
自転周期11.94または23.93時間という結果を出し
た。
小惑星の衛星の発見は天体発見賞か?
 天体発見賞に関する細則
第1条、本会は新天体の発見が天文学の発展に寄与
するところが大きいとの認識にたって、これらの活動
を奨励するために天体発見賞、天体発見功労賞を設
ける。
第2条、新天体は原則として、新星、超新星、彗星とす
る。
第3条、天体発見賞は新天体を最初に発見し、速やか
に通報した日本在住者に贈る。
小惑星の衛星の発見は天文功労賞か?
 天文功労賞内規
第1条、本会は、継続的な観測、予報外の天文現象の検出と
その速やかな通報をはじめとする天体観測活動等が、新天
体の発見と並んで天文学の進歩および普及に大きく寄与し
ているとの認識に基づき、これらの活動を賞賛し奨励するた
めに日本天文学会天文功労賞を設ける。
第2条、本賞は、天文学研究を主たる業務としない個人および
団体をその対象とする。
第3条、本賞の授与は、長期に亘る功績に対しては原則として
1年に1件以内とし、短期的な功績に対しては件数の制限を
設けない。
まとめ
 探査機、レーダー観測、AO観測、測光観測
などにより、既に100個以上の小惑星に衛
星が発見されている。
 恒星の掩蔽観測から衛星が検出された。
 日本人も既に4個の小惑星について衛星の
存在の証拠を発見している。将来の天文功
労賞?