Transcript 3-4章

第3章(続)
2si n u  
ここまでの話の整理
温度場
  R
z
H
 T Q
観測による成層圏の東
西平均東西風、1月

低温

y
T
のバランスとする
弱風層ではない
弱風層
西風
高温
東風
夏
温度風の関係をみたしてい
て、中層大気の中では独自
な系をなしている
2sin
冬
u
R 

z
 y
中層大気の放射のみによって決ま
るであろう平均東西風
ー> 東西に非一様な擾乱(波動)
のよる直接的な東西風の減速
ー>中間圏での重力波の重要性
50km〜90kmの中間圏高度では、温度は高さとともに減少している.しかし水はほとんどなく,温度勾配も緩やかな
ので,基本的には対流不安定は起こっていない(g/Cpより勾配は小さいから)
見積もり:(270−180)/30km=90/30=3K/km
しかし、対流圏から鉛直に重力波が伝わってきて,しかもここで振幅
が大きくなり,不安定が起こっているところがある(中間圏は結構ぱ
たぱたしている).波が壊れたりすると(8章参照、局所的に乾燥断
熱減率になっている)—>風、温度の変化をおこす。
中間圏の重力波に伴う温度変動:
Arecibo(18N,67W)での熱帯mesopause,
Friedman, 2003, GRL
重力波のBreakingの例:Lindzenの教科書から
<— 時と場所による
これは外
部重力波
のbreaking
です(北斎
から):
赤道域の50kmあたりに、および80kmあたりに、
半年周期振動が存在する。
成層圏ではいろいろなところで波動が重要である
u
1 
u
 fv 
(p
)  Forcing
t
p z
z
54km
赤道域:コリオリがゼロになると
u
1 
u

( p
)  Forcing
t
p z
z
のようになるから、赤道域ではForcingが直接東西風を変化させ
ている現象が存在する。
100km
赤道下部成層圏の準2年振動
補足:木星のジェット生成と赤道Kelvin波動の寄与
比較的幅ひろい赤道ジェット(cloud top level)
Kelvin波のみ
100hPa
Hadleyのみ
HadleyとKelvin波forcing時の偏差
東西風
熱的加熱
K波+Hadley
但しKelvin波動の観測はない
GCM計算による102ヶ月後の東西風の応答
中・高緯度の中層大気大規模擾乱
図:1979年1
月26日の10
mbのHeight図。
北極からみた
図である。
図は10mbの水平断面図(等圧面
高度)を示す。地球規模の波動的擾
乱(惑星波、Planetary wave 又はロス
ビー波、Rossby wave )をみることが
出来る。
1章でみた、対流圏の高気圧低気
圧擾乱と比べてスケールが大きい。
補足図に夏の場を示しておこう。ほと
んど丸いことに注意!!
このような惑星波動が異なる形で
forcingに働く(1章)
図:7月平均の10mbの温度分
布 ー>
T
T

dQ/dt
v
 N 2w 
v'T' 
t
y
y
cp
-風のなかで、繰り返してさしつかえないか-
第4章:重力波と赤道波
−とくに波が鉛直に伝わることについて−
(対流圏で作られたものが成層圏に流入して運動量などを運ぶことが可能)
 u' w'
対流圏の東西非一様な擾乱が、波動として表現が可能 <−これは1章の中のいくつかの論文の図から推測
−> と言う事で微小振動としての波動による気象力学の認識が、安定大気では可能であろう。

後の話しの関係上(成層圏での非線型の働きについて),おもに鉛直方向の性質を述べる事になる.線形波動としては、
重力波とRossby波(惑星波)があるが、話しが理解しやすい重力波を先にとりあつかう。
4−1 Local な現象を記述する基礎方程式のまとめ
惑星波
重力波の場合は、1章でのべた、浮力
振動数(成層圏で5分)が大事というこ
とは想像されるとおりです。
ー>
地球の回転に比べはやい運動につい
て主に議論する。
メソ現象
積雲
現象の分解図(Hartmannの教科書から)
図をみると1日より速い現象としては
積雲やメソ現象とかがのっている。こ
こらあたりが対象となる。さらに空間
軸を眺めると水平スケールはよく頑
張って1000kmくらいまでである。この
ことは地球の半径に比べ短いことを
示している。
そのことにより球面上の運動方程式(1章)から、コリオリ力の項、地球半径の入っている項、及び外力を落とすと、以下の
方程式になる。局所的なデカルト座標
(1)
(2)
(3)
u
u
u
u
1 p
u
v
w
 
t
x
y
z
x
v
v
v
v
1 p
u
v
w
 
t
x
y
z
y
w w w
w
1 p
u
v
w
 
g
t
x y
z
z
連続の方程式は
(4)
   u   v   w



0
t
x
y
z
局所的な運動を記述する方程式を書き下した。最近は
計算機の発達により適当な境界条件と初期条件により
方程式を直接に解く。水を含ませ、数値積分をおこなっ
ている。
数値実験の例 Fovell, Durran and Holton, 1992:
Numerical simulations of convectively generated
stratospheric gravity waves. J. A. S. , 49, 1427-1442.
−>対流からの重力波生成の問題を解いている。
<−高さに依存する基本状態(基本の風も含む)
波の構造をもち、同じ位相の場所が
下降に伝わっている
熱力学の方程式は,断熱の場合:
(5)
 ln 
 ln 
 ln 
 ln 
u
v
w
0
t
x
y
z
理想気体の状態方程式は
(6)
p   RT
及び温位と密度、圧力の関係
(7)
ln   ln  (c v /c p)ln p
以上が基礎方程式である。
補足:重力がないときの線形波動は音波。
updraftによるmechanical forcingが
あり、成層圏で重力波が見える。
ここでは波動現象を考察するので、波動の振動の周期は中緯度で,1日くらいよりは短い。赤道域に存在する Kelvin波
は周期が1日より長いにも関わらず、本質はこれから議論する重力波なので、周期が1日より長いにも関わらず重力波と
して考察する。これは赤道に近いと回転があまり効かない為であろう。コリオリ項がf=2Ωsinφで緯度φがゼロになる.ま
た南北構造が簡単で現象によく現れるのでその話しが多い.
波々して
いる。
赤道域の
重力波:鉛
直波長2
-3km、
水平波長
2000km
くらいの重
力波と考
えられて
いる。
Tsuda et
al., 1994, J.
G. R.
4−2 基本状態
平均的温度構造図 −> 等温大
気でもいいであろう
1章で平均的な温度の鉛直分布を示した.ここでは,そのようなものを基本状態として,それからのずれの運動としての線
型論(微小な振幅の擾乱)の話しになる.
基本状態として何を選ぶか? 高さに依存した温度もあるが、ここでは等温の静止大気を選ぶことにする。
−>そのように基本状態を選ぶと、ものごとがわかりやすくなる。
等温の静止大気も運動方程式を満足すべき。
運動がないのだから(1)と(2)の左辺は0。右辺も0になっていないといけないから圧力の東西、南北方向の勾配は0でない
といけない。すなわち水平方向の圧力差はない。
次に鉛直方向のバランスをみる。左辺は0で、基本状態である静止した等温大気は静力学平衡になっている。基本状態
を表すのに 0 の下つき添え字を用いることにすると、
(8)
dp 0( z)
   0g
dz
d ln p 0
g

  1 (10)
dz
RT 0
H
(9)
p 0  p 00 exp(  z )
H
ここでp00は地上の気圧を示す。密度も同様である。
等温大気の場合の温位を見てみる。温位の定義式から温位も高さの関数である。
 ln  / z   ln T / z 
g
c p T0
<ーここで右辺1項がゼロ
温位は高さの増加関数である。だから等温大気は安定 (1章を参照)である。
温位の対数の鉛直微分は、
(11)
2
d 0
g
 1 g
N
1
S g 
 cR
 
 0 dz
p RT
RT 0
0
この値は高さによらず一定、Sは安定度とよぶ。図は大気のN2 である。前に述べたように対流圏と成層圏で異なる。これ
を今は一定として議論を進める。一定にすると擾乱について鉛直の構造も簡単に解けるからである。
対流圏と成層圏で変化した時?
step的に変化する例をあと(惑星
波動)で話す,図のようにだいたい
とんでいるようなN2である.またそ
れぞれが一定とすれば解きやすい
−>圏界面にtrapされた波が作られ
る例がある。
z
<−つなぐ,
圧力と変位が連続
北緯34度
4−3:基本状態(等温大気の仮定)のまわりの微小擾乱
音波を含むこと、鉛直方向に重力が働いていることで,重力波が存在出来ること。
大気中で重力波が存在しえる?
という線形波動論をおこなう。そのための線形の摂動方程式を導く。重力波は前節に述べた基本状態につけ加わる微小
擾乱と仮定。重力波に伴う場の量についてはしばらく上付きのプライムをつける。各々の物理量は以下のように表現され
る。
u  u, w  w,    0   , p  p 0  p,    0    ,T  T 0  T
(12)
ここでT0 は一定であり他の基本量は高さのみの関数である。速度については基本状態は静止しているので上つきプラ
イムの量のみである。簡単のために南北方向の風成分はないとし、南北方向には一様と仮定する。だからプライムの
量は
u  u(x, z, t)
のように東西、高さ、時間の関数である。
(12)を(1)に代入して基本量は普通の大きさの量、上つきプライムの量は微小量として、プライムの量の積の項は無視する
と以下のようになる。
(13)
 (  u )    p
0
t
 x
鉛直方向の運動方程式、
(14)
 (  w)    p  g 
t 0
z
温位、圧力、密度の関係は(7)式の微小量の関係式と
して
       c v p
0
cp p0
0
連続の方程式は以下のようにかかれる。
(15)
  

( 0 u)   ( 0 w)  0
t x
z
熱力学の摂動方程式は
(16)
 (   )  w 1 d 0  0
 0 dz
 t 0
さらに変形して
(17)
p


   2  0
cs
0
c s2 
cp
RT0
cv
ここで今の場合等温であるので音速は一定。温度の擾乱については密度、圧力がわかれば、摂動についての理想気体
の状態方程式から導かれる。
p
 
T

(18)
p0  0
T0

~
~
~
u   0 u , w   0 w ,   0
,
以下の量を用いて式を変形する。
˜
 1 p' 


t
cs2 t
t
その時、線形ということで、
を用いて東西と熱の式から
(19)
鉛直と熱の式から
(20)
2
0
2
1  p  p
  ~ ~


( w  w S)  0
2
2
2

t
z
x
cs  t
 ~
w  gSw
~   (  p  g p)  0
2
2
t z
t
cs
2
x-方向に伝播する音
波の式
1章で示した単振
動の形
定数係数の線形微分演算であるので、変数分離の方法を使う。圧力と鉛直 mass fluxを次のような形に分離する。ここで
線形の波動について複素表示をおこなう。実際の物理量は例えば Real Part のみを選ぶ。
(21)
i (kx   t )
~
(p , w)  e
(p^(z), ^w(z))
そして東西波数 k, 振動数  の1つの波のモードのみを議論する。あと一般的な擾乱については線形だから重ね合わせ
の原理で議論する。
(21)を(19)と(20)に代入すると、
2
ˆ

ˆ  i( dw  S w
ˆ) 0
( 2  k 2 ) p
cs
i (
dz
ˆ
dp
g ˆ
ˆ 0
 2 p
) (g S   2 )w
dz
cs
となる。上式からさらに圧力を消去すると次の式になる。
(22)
2
2
2
2
g S
g
(g
S


)(


k
cs ) 
^
^
d w  (S
dw

^
2
2 ) dz  
2 
2
w  0
2
dz
cs
 cs
 cs

2
ここで
S
であることに注意。
g
1
2  H
cs
次に(22)を以下のように変換する(速度場はexponential に増大する形になっ
ている)。
(23)
ˆ e
w

z
2H
W(z)
(
w' 
˜
w
0
~ ez/ 2 Heim zei(k x t )
)
このように変換するとW(z)について以下の式が導かれる。
(24)
d 2W  gS ( gS   2 )( 2  k 2cs 2 )
1 



W 0
 2
2
2 
2
dz 2
4
H
 cs
 cs

ここで風速の高さ方向の振
幅変化に注意しよう(鉛直
風でも東西風でも同じであ
る)。exp(imz)のとき、それ
は exp (z / 2H)のように高
さとともに大きくなることで
ある。例えば地上で10
cm/sの風速は100kmにな
るとH=7kmとして127m/sに
もなる。
上の式から(中括弧の中は一定値)、W(z)を以下のような波形に仮定すると
W( z)  A eimz
(24)から以下のような式が得られる。
(25)
2
cs m
2

2

cs
2
2
4H
 cs
2
2
2
k ( N 2 )
2

この式が内部重力波の分散式である。この式より例えば、ある東西波数 k(一番簡単な例としてk=2π / Lx ( Lx は波長)
のsin 形の山を考えてみる)、振動数ω(もしsin 形の山がある速度(位相速度)c で動くとすれば ω = c k となる)を決め
ると、等温大気中に(いまの場合、地球は回転していないと仮定)、鉛直にも波数 m の波動として(ある条件のもとで、
m2>0のときのみ)伝わることを意味している。この鉛直に伝播する内部重力波が大気の角運動量のバランスに重要な役
割を果たす話しはあとで述べる(たんに伝播するだけではない!)
(25)
cs m  
2
2
2

cs
はやく振動
ゆっくり振動
2
4H
T0 = 239 K の等温大気のときN2=4x10-4, cs2 /
4H2 =4.9x10-4なる値をもつ(H=7km, cs=310ms1 )。図に重力波の分散式の定性的な分布を示し
た。横軸は cs2 k2 , 縦軸は ω2 , 図の中の数値
は cs2m2 を示す。但し、N2=4 , cs2 / 4H2 =4.9 と
して図は書いている。
ω大
2
 cs
2
2
2
k ( N 2 )
2

実線部(m2>0の領域)が内部波 ( internal
wave ) 、破線(m2<0の領域)の部分が外部波
( external wave ) と呼ばれるものである。定義か
らわかるように、内部波とは鉛直方向に伝播す
る波(exp imz の形をもっている)のことであり、
外部波とは鉛直方向に伝播しない波(exp (-nz)
のような形をもっている)のことである。
式(25)の右辺から推測されるようにm2が正
になるためには ω2 > cs2 / 4H2 、または
ω2 < N2 のときである。図をみて内部重力波
が2つの領域にわかれているのはそのため
である。振動数の大きい領域での内部波は
ω2 >cs2 / 4H2 なる不等式からわかるように
音波(高周波内部重力波)である。一方 ω2
< N2 領域は(低周波?、または普通の?)
内部重力波である。 N2 = 4 x 10 -4 の周期は
5.2 分、cs2 / 4H2 =4.9 x 10 -4 の周期は 4 .7
分である。対流圏は10分くらい。
山が原因とすればexp(2z/H)は別にしてexp(-nz)
のように高さとともに減少するであろう
外部波(exp(-nz)的)と内部波(exp(imz))の違いの概
念図。内部波は位相が高さとともにずれている。
Holton(1992)より。ただし、この図は一般風が山にあ
たって生成された波の例。
上の図のように、一般風Uがある場合は式の導出から
想像されるように、Doppler shiftした振動数(一般風に
たいする振動数)
    U 
t
t
x
      kU
と思えばよい。上図の場合、地面からみたωはゼロで
は負の値になる(西風に対して西向き)
  
観測例:岩井、阿部(1997、天気):昭和基地で観測された
短周期振動。周期が10分、T=260Kの等温大気として、
水平波長が5km程度だった重力波のよう。外部モードと
して、exp(-nz)とした時、n-1=2.6kmになる。下層にtrapさ
れている波。この波は8章で議論するshear不安定で生
成されたようである
4−4:重力波
cs m   
(25)
2
2
2
cs
2
2
4H
2
2
N


 cs k (
)
2
2
2

の式で音速のかかった項のみ残す(右辺の第一項をおとす、
音速(300m/s程度)は大きい)
すると、
2
2
2
1
2 N 
2 N
2
(m  2 )  k (
)

k

k
4H
2
2
2
から
2
1
2 N
k m 
k
4H2
2
2
2
スケールハイトHを考えなければ以下の式から:
(26)
 
2
k 2N 2
k2  m2 
1
4H 2
図に重力波の分散式の結果をのせる。他の数値は同じ
にとってある。圧縮性の内部重力波の部分はなくなって
いる。ω の大きい所は大きな変化がある。しかしながら ω
の小さい内部重力波の部分はそれほど変更を受けてい
ない。
u   p
t
x
w   p  g  '
t
z

 g  '  wN 2  0
t

u  w  0
x
z
鉛直流の時間的な変化:対流圏では対流によるも
の、成層圏に重力波の振動がみられる。解析から
卓越周期が50分、鉛直波長が3km、とすると、分
散式で見積もってみると、
台風で生成された重力波:(Dhaka et al. 2003)94年、
9月29-30日、台風26号:信楽(35N, 136E)でのMU
レーダー観測の結果
2 
N 2k 2
k 2  m2
水平波長が30km、の重力波であるらしい。

4−5:水平波長の長い重力波(長波)
図は対流圏の時間的なエネルギー・スペクトルの一例。
アラスカ、8kmの高さ。横軸は上が周期、下が振動数で
ある。79年夏のレーダー観測による。
対流圏の観測によるとエネルギーはレッド・ノイズ的なス
ペクトルをもっている。(Balsley and Carter, 1982, G. R.
L.)
Nastrom and Gage(1985, J. Atmos. Sci.) Aircraftによ
る観測で、対流圏界面あたりの観測:
水平スケールに対応したスペクトルなどをながめ、波
動として考えると、相対的に水平波長の長い重力波の
方が短い波長の波より気象学的に重要のようである。
ー>ここでは比較的水平波長の長い重力波の話しを
おこなう。
数100kmでスペクトルの傾きが変わっていることに
注意、Rossby波的と重力波的のよう?
Sato(1994)の重力波の観測例:信楽(35N, 136E)にあるMUレーダー、1986-1993の期間。統計的
に鉛直波長 2〜3km,水平は数100 kmのものがよく見える(下部成層圏) .ひらべったい重力波
が卓越しているようである。

2
N 2k 2

k 2  m2

100km
2km
水平波長の頻度分布
鉛直波長の頻度分布
衛星観測で見積もられた下部成層圏の重力波の水
平スケール、Preusse et al., 2004, 1000km程度のス
ケールが卓越、中高緯度はスケールがより小さい。
Vincent and Reid(1983) --水平波
長数10km程度が卓越(中間権高度
では)、Adelaide, Australia (35S,
138E)でのHF Doppler観測。
鉛直波長は数km程度のものがよく観測される(これは大
気の厚さが約100km程度であることによるのであろ
う?)。重力波の分散式 (26) を思い出そう。
(26)

2

k 2N 2
k 2  m2 
観測例:Koch et al. (1993, Mon. Wea. Rev. ) Lx=150km、周
期が2時間程度の重力波:この重力波もshear不安定ででき
ているらしい。また、5km高度にcritical level(5章)があるら
しい。East Montana での観測、1981年July 11-12
1
4H 2
そうすると水平波長が100km程度より長ければ(26)の中
で k2 の項を落としてもよいことがわかる。これから以降
はこのような波を主に考察する。k2 の項を落とすことはも
との基礎方程式ではどのような近似になるか?それは鉛
直方向の運動方程式において静力学平衡の仮定をする
ことである。
2つのモードの和
primary mode
second mode
(短い波長)
1章の log-p座標での式を使うと、線型の方程式を書
くと(東西・鉛直の2次元のみ),
(27)
u    ()
t
x
  RT
z
H
u  w  w  0
x
z
H
   w N 2  0
t z
見積もられた波の
性質ー>
この式から分散式を導くと,
(28)

2

N
2
m2 
k
2
1
2
4H
圧力偏差(上)と対応した速度偏
差(下)
メソ現象の
中に重力波
が多く内在し
ているようで
ある
ー>条件に
より成層圏
へ
補足:対流圏における重力波ー>乱流の観測
JAS 2005
水蒸気imageと400-hPaのPV, 2001, 8
Feb, Hawaiiからのトラック
RUCでの等温位とPotential
Vorticity、1, 3, 5は重力波のシグ
ナル、0300UTC 18 Feb
0000UTC 18 Febでの
Richardson Number, 赤は
Ri<0.25(不安定、8章)
見積もられた重力波:
位相速度20m/s
mean wind 10m/s
水平波長200km
鉛直波長2km
振動数6x10-4
周期3時間
圧力の波動構造、325Kの等温位上、21 17Feb
モデル実験:白四角のところで重力波
が解析される。260hPaでの風速と色は
等風速値
保存量としてのPotential Vorticity

PotentialVorticity (  f )(g )
p
4−6:2次元内部重力波の構造について
内部重力波はいろいろな原因(例えば風が
山岳にあたって出来る、または基本場の不安
定)によって作られる(波の生成の問題は次
章)。一般的には対流圏において作られ、成
層圏に上方伝播している。いろいろの所に重
力波はあるが、全貌はわかっていない。
この節では上方伝播しつつある内部重力波
の構造をみる。伝播の方向はよく知られてい
るようにエネルギーの伝播方向により決定さ
れる。それは知られているように群速度(波束
の伝播速度)で表される(例えばランダウの流
体力学参照)。いまの場合に東西、鉛直方向
の群速度は
exp(ikximz  it)
の形とすると,
(29)
Cgx   , Cgz  
k
m
この式を長波の重力波に適用しよう。
長波の分散式
2
N2 k2
1
m2 
4H 2
を k , mで 各々微分すると
2
2
2

N 2k

N k
2

, 2

2m
2
1
 k m2  1
m
2
(m 
2
2)
4H
4H
上式を整理すると、
(30)
2
2
2
 
N k
N k m
,   
1
1 2
k
m
(m2 
(m2 
2 )
2) 
4H
4H
のように表される。
以下のような波の形にすると(k,m,ω正として)上方伝播
する
exp(ikx  i t  imz)
表現された波動の位相は東に伝播し、下に伝わる。ところ
が群速度の式をみると上向きということになります。この場
合、鉛直方向には位相の向きとエネルギーの伝播する向
きが反対ということになります。
波がまだ上の方まできていないとして、振幅は小さく
描いてある
いま簡単に上向き伝播の重力波の構造をみるた
めにスケール・ハイトに比べ波長が短い場合を仮
定する。鉛直速度は以下の形を仮定する。
同位相線
z
w  A  exp(ikx  i t  imz)
東西風等にはH の項を無視して、
u 
m
A  exp(ikx  i t  imz)
k
p

m

u

2 A  exp(ikx  i t  imz)
0
k
k
φ=0
φ=π
2
g

N
  i  A  exp(ikx  i t  imz)
0
東および上方にエネルギーが伝播していく内
部重力波の構造:太い実線は波に伴う流体粒
子の変位、東西風が正(負)のとき、鉛直風は
正(負)。東西風が最大のところで高圧偏差。

温度構造も理解出来る。右にうごかすと(東方
伝播しているから)、位相は下向きに動いてい
るように見える。このように波がきれいなシス
テマチックな構造になっていることは重要であ
る。
x
w  si n  si n(kx  t  mz)
u  si n
p  si n
  cos
u
t
<ー
東方向
1 p
0 x
1 p

0 
 g
0 z
0
 g   wN 2  0
t
0
u  w  0
x
z
