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第10回授業の続き
キャロラインプロダクツ事件、
注4(1938)
キャロラインプロダクツ事件、
注4(1938)
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経済規制司法審査の終焉
新しい司法審査の理論
通常の法律(経済立法をふくむ)
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合憲性の推定、挙証責任は原告に
立法目的の正しさの推定
目的と手段の関係が合理的であるかどうかだ
けを審査
キャロラインプロダクツ事件、
注4(1938)
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一部の法律
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違憲性の推定、挙証責任は政府に
立法目的の正しさを疑う
厳格な審査基準の適用
手段が厳密に必要な範囲であるかどうか
キャロラインプロダクツ事件、
注4(1938)
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厳格基準の適用対象
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最初の修正10条にかかわる事件
修正14条にかかわる事件
社会的少数者で通常の政治プロセスが機能し
ないものの事件
州際通商条項の再解釈
州際通商条項の再解釈
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州際通商条項の無限拡大解釈
1964年公民権法の事件
ロペズ事件の衝撃
国際比較法制論A
第11回授業
2006年6月22日
阿川尚之
「憲法における公と私、官と民」
1.問題意識
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政府の役割と民間の役割
「民に任せられることは民へ」小泉純一郎
「どうしても官に任せねばならないことだけ、官
へ」トクヴィルの見たアメリカ
公の部分をどれだけ官が担当するか
私の部分にどれだけ官が入り込むか
自由と平等の対立
公と官は異なる、私と民とも異なる
このあいだの関係をどう考えるか
2.アメリカ憲法の成り立ち
(アメリカという国の形)
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そもそも官のない国
官の必要性からできた国
官の力をどう押さえるか
マディソンの思想(権力の抑制と均衡)
三権分立と連邦制度
限定的政府(1条8項の列記した権限)と
修正第10条
私的領域を官からどう守るか
人権宣言からプライバシーの権利へ
3:アメリカ史における
公と私の推移
3.アメリカ史における公と私の推移
定義:私 = 個人の領域、公 = 集団の領域
宗教統制
私
私
世俗化
公
憲法制定前後
(1800)
公
ヴァーチュー
私的独占
私
初期マサチュー
セッツ
植民地時代
(1650)
経済統制
公
産業革命時代
(1900)
3.アメリカ史における
公と私の推移
私
プライバ
シー
の権利
公
ステートアク
ション
戦時
戦時統制
私
自由と平等の
革命
(1950)
公
定義:私 = 個人の領域、公 = 集団の領域
4:アメリカ史における
官と民の推移
4.アメリカ史における官と民の推移
定義: 官 = 専門家によるマネジメント
民 = しろうとによるマネジメント
私
初期マサ
チューセッツ
官 植民地時代
(1650)
公
私
私
公
公
憲法制定前後
官 (1800)
官
産業革命時代
(1900)
4.アメリカ史における
官と民の推移 (2/2)
私
官 公
私 官 公
定義:
官
民
官
官
=
=
自由と平
等の革命
(1950)
戦時
専門家によるマネジメント
しろうとによるマネジメント
5.公と私、官と民に関する、
アメリカ憲法の仕組み
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a.
b.
c.
d.
強力な官の創設(連邦州政府)
官を民が規制(選挙制度)
官を民が規制(三権分立・連邦制度)
民の公への参画(代議制、 Term Limit、
陪審制、民兵、税制、寄附、ヴォランティア)
e. 私の確保(修正1~10条、14条)
f. 私の制御(独占禁止法、社会立法)
g. 官と民、公と私の線引 (憲法、最高裁)
6.憲法史に見る公の拡大
(1/4)
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契約条項をめぐる判例
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契約で守られる私の権利を、どこまで保護するか
州は公共の利益のために、私人と結んだ契約を破棄
することができる
Charles River Bridge v. Warren Bridge (1837)
州は、公共の利益のために、私人の財産を接収する
ことができる
West River Bridge Company v. Dix (1848)
6.憲法史に見る公の拡大
(2/4)
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州によるビジネスの規制
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穀物エレベーターの料金規制を合憲とする
州は、公共の用に供された私有財産を規制す
ることができる
Mann v. Illinois (1877)
6.憲法史に見る公の拡大
(3/4)
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連邦によるビジネスの規制
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ニューディール立法によるビジネスの規制
公共の利益の増進
労働者の権利保護
6.憲法史に見る公の拡大
(4/4)
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私人による人種差別の撤廃
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ステート・アクション理論の拡大
黒人に売らない条件を盛り込んだ私人間の不
動産売買契約は違憲無効
たとえ私人間の契約でも、裁判所によるその
執行は州の行為であり修正第14条に違反す
る
Shelley v. Kraemer (1948)
7.憲法史に見る私の拡大(1/4)
最初の修正10条
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修正第1条
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修正第2条
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政教分離、信教の自由
言論・出版の自由
集会・結社の自由、請願の自由
武器携行の自由
修正第3条
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平時における兵士の許可なき民家宿泊の禁止
7.憲法史に見る私の拡大
(2/4)
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修正第4条
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修正第5条
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令状なき捜索・逮捕の禁止
被疑者の権利(一事不再理、証言拒否の権利)
法のデュープロセス、対価なき私有財産の没収禁止
修正第6条
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公開迅速な陪審員による刑事裁判の保証、弁護を受
ける権利
7.憲法史に見る私の拡大
(3/4)
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修正第7条
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修正第8条
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残酷な刑罰の禁止
修正第9条
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民事訴訟における陪審裁判の権利
その他の権利
修正第10条
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連邦政府に委譲されない権利の保持
7.憲法史に見る私の拡大
(4/4)
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修正第14条と実体的デュープロセス理論
による契約の自由、財産権の保護
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Lochner v. New York (1905)
プライバシーの権利
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Griswold v. Connecticut (1965)