Transcript 非喫煙者を1
衛生講話:
080715安全衛生委員会KDDI
能動喫煙による超過死亡者数(日本)
毎年、11万人4千人( 1日313人)の方が喫煙のため死亡
超
過
死
亡
数
(
千
人
)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
交通死亡事故死の約15倍
の死亡数に相当
男性:
90,000人
女性:
24,200人
10
0
(年)
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
Peto R, Lopez AD, et al. 1992,1994,2000update.
Mortality from smoking in Developed Countries 1950-2000.
http://www.health-net.or.jp/tobacco/risk/rs410000.html
禁煙で肺癌リスクは低下
肺
癌
死
亡
率
(
非
喫
煙
者
を
1
)
5
4.5
全喫煙者の平均的リスク
4
3
2.0
1.6
2
1.4
1.0
1
0
喫煙
継続
1〜4年
数年
10年以上
禁煙後年数
非喫煙
(平山
雄、1990)
JPHC Study
冠動脈疾患・心筋梗塞リスクに及ぼす喫煙の影響
<冠動脈疾患罹患>
4.0
3.0
相
対
リ
ス
ク
<心筋梗塞罹患>
4.0
2.85
3.64
3.07
2.90
3.0
相
対 2.0
リ
ス
ク 1.0
2.0
1.0
0
0
男性
女性
男性
女性
対象:日本人男性19,782例、女性21,500例(40~59歳)
方法:前向きコホート調査。追跡期間11年間
非喫煙者の発症リスクを1とした場合
Baba, S. et al. : Eur J Cardiovasc Prev Rehabil. 13(2) : 207, 2006より作図
NIPPON DATA 80
脳卒中死亡リスクに及ぼす喫煙の影響
5.0
男性
女性
*
*:p<0.05(vs非喫煙者)
3.91
4.0
相
対
リ
ス
ク
3.0
*
2.17
2.0
1.56
1.00 1.00
1.31
1.60
1.42
1.0
0
非喫煙者
過去喫煙者
1~20本
対象:日本人男女9,638例
方法:前向きコホート調査により14年間の追跡
多変量補正(年齢、SBP、BM I、TC、飲酒、糖尿病を補正)
21本以上
現喫煙者/1日喫煙本数
Ueshima, H. et al. : Stroke 35 : 1836, 2004より作図
Osaka Health Survey
2型糖尿病の発症リスクに及ぼす喫煙の影響
用量相関性あり(p=0.001)
2.0
相
対
リ
ス
ク
1.73
1.57
1.55
21〜30
31〜40
1.5
1.22
1.0
1
0.5
0
非喫煙者
対象:日本人男性6,250例(35~60歳)
方法:前向きコホート調査。4~16年にわたり
糖尿病発症と喫煙状況の関連を追跡
多変量補正
20以下
41以上
喫煙者:喫煙状況(箱・年※)
※1箱・年:20本/日の喫煙を1年間継続
Uchimoto, S. et al. : Diabet Med. 16 : 951, 1999より作図
術前禁煙状況と術後合併症の発症頻度
p=0.001
(%) 50
40
p=0.0004
発
症
頻
度
44%
46%
N.S.
30
20
喫煙
減煙
禁煙
N.S.
26%
27%
10
10%
0
創傷に関わる合併症
術後合併症
対象:股関節または膝関節人工関節置換術を予定する喫煙患者108例
方法:手術6~8週前に禁煙治療群と対照群に無作為化し、術後合併症の発現状況を比較
データは禁煙治療実施の有無に関わらず、禁煙状況により評価
Moller, A.M. et al.: Lancet. 359 : 114, 2002
28
喫煙状況別にみたメタボリックシンドロームのリスク
4.0
*:p<0.01
**:p<0.001
***:p<0.0001
(vs 非喫煙者)
3.40 ***
3.04 ***
3.0
オ
ッ
ズ
比
1.98
2.0
2.17
***
*
1.97
**
1.61
**
1.37
1.0
0
1.00
非喫煙者
<10
10~19
20~39
≧40
現喫煙者:喫煙本数(本/日)
対象:日本人男女5,033例
方法:メタボリックシンドローム(MS、NCEP-ATPⅢによる)のリスクと
煙状況の関連を検討。多変量補正(年齢、性別、TC)
<1
1~4
≧5
過去喫煙者:禁煙後の年数(年)
Ishizaka, N. et al. : Atherosclerosis 181 : 381, 2005より作図
喫煙者と非喫煙者(1900〜1930年生まれ)の生存率の検討
英国人男性医師34439名、50年間(1951-2001)の追跡調査
もともと吸わない
医師の生存率
喫煙し続けた
医師の生存率
70歳時の生存率
非喫煙者 :81%
喫煙継続者:58%
Doll, R. BMJ 2004;328:1519
喫煙で寿命
が10年短縮
喫煙による寿命短縮は禁煙で解決
Doll. R, Sutherland.I. 2004
1951年から2001年までの50年間、
34,439人の英国人男性医師の追跡調査。
30歳までに禁煙すれば寿命短縮なし
禁煙年齢が60歳、 50歳、 40歳、 30歳であった者では、 それぞれ平
均余命が 3 年、 6 年、 9 年、 10 年延長
40歳までに禁煙すれば寿命短縮は1年
50歳までに禁煙すれば寿命短縮は4年
60歳までに禁煙すれば寿命短縮は7年
生涯喫煙すると寿命は10年短縮
タバコに一利はあるか?
喫煙者が感じるストレス
非喫煙者のストレス
ニコチン切れのストレスを喫煙で解消
吸わない方がストレス
の総量は少ない!
病気の不安
病気の不安
家庭のストレス
家庭のストレス
仕事のストレス
仕事のストレス
喫煙は喫煙病という全身疾患
(=ニコチン依存症+喫煙関連疾患)
喫煙者は「積極的禁煙治療を必要と
する患者」
循環器病の診断と治療に関するガ
イドライン
(2003ー2004年度合同研究班報告)Circulation
Journal. Vol. 69, Suppl IV, p1005-1124 (2005)
日本循環器学会HP:
http://www.j-circ.or.jp/guideline/
(会員でなくてもダウンロード可能)
9医学会による合同ガイドライン
日本口腔衛生学会、日本口腔外科学会
日本公衆衛生学会、日本呼吸器学会
日本産婦人科学会、日本循環器学会
日本小児科学会、 日本心臓病学会
日本肺癌学会
(50音順)
日本人の生涯リスク(早死にの原因)
(ダイオキシン)
(10万人あたり)
(松崎道幸,月刊保団連
2000,12,p39-45)
なお、ダイオキシンや
BSEによる死者はゼロ
なぜ喫煙するのか?
薬物=気持ちが良いから
(ニコチンが脳内のレセプターに働き、
脳内でドーパミン分泌)
なぜやめられないのか?
依存性があるから
喫煙→ニコチン摂取→脳内報酬回路刺激
(多幸感)
脳内報酬回路
ドパミン
ニコチン受容体
ニコチン
側坐核
腹側被蓋野
ドパミン
半減期1時間の薬物の血中濃度
多幸感
ニコチンの血中濃度(半減期=1hrとしてグラフ化)
多幸感
1時間に
1本の喫煙
で一定濃度
を維持
多幸感
その後、
1時間に
1本喫煙
起床後、2本喫煙
タバコの警告表示(2000年以降)
写真入り、
面積の50%
タイ
ブラジル
喫煙者の希望
らくに・・
禁煙できること、
「らくに」はニコチンガムと
ニコチンパッチで可能
2) 禁煙治療の概要と禁煙成功率
読売新聞(2005年11月10日)
産経新聞(2005年11月10日)
朝日新聞(2005年11月9日)
標準禁煙治療プログラム
喫煙状況等の把握
呼気一酸化炭素濃度検査
禁煙開始日の設定
問題点の把握とアドバイス
禁煙治療薬(ニコチンパッチなど)の
選択と処方
初診
喫煙状況や離脱症状の確認
呼気一酸化炭素濃度検査
問題点の把握とアドバイス
禁煙治療薬(ニコチンパッチなど)
の選択と処方
再診1~再診4
再診1
再診2
禁煙開始日 (2週間後) (4週間後)
再診3
(8週間後)
再診4
(12週間後)
184点
184点
180点
230点
184点
診療報酬点数
大阪府立健康科学センター 健康生活推進部 中村正和先生提供
ニコレット
開発の経緯
きっかけは、
スウェーデン海軍の潜水艦
1967年
オベ・フェルノ博士によりニコチン製剤開発
1978年
世界初の禁煙補助剤「ニコレット」発売
1980年~
欧米諸国にて発売
1994年4月
二コレットガム製剤(医療用医薬品)承認
2001年6月
二コレットガム製剤(一般用医薬品)承認(大衆薬)
2004年12月 二コレットパッチ(一般用医薬品)申請
喫煙者の最大の希望
タバコを吸いながら
らくに
自然に
タバコがやめられること
バレニクリンは最初の1週間は喫煙しな
がら内服なので、喫煙者のニーズに合
致(パッチは治療開始=禁煙なので、
ためらう人が居る)
2008年4月24日
内服する禁煙治療:2008年5月8日〜
ニコチン受容体の阻害&部分刺激
■ニコチンの作用
ニコチン
α4β2ニコチン受容体
ドパミン放出
ニューロン
■バレニクリンの作用
内服中に
喫煙しても
おいしくない
ニコチン
ニコチンを遮断
(拮抗作用)
バレニクリン
少量のドパミン放出
(作動薬作用)
内服していれば、吸いたいと思わない
α4β2ニコチン受容体
ニューロン
Rollema, H. et al.: Trends Pharmacol Sci 28(7) : 316, 2007より作図
パッチとバレニクリンの直接比較
Thorax, 2008
1年後 オッヅ比1.4倍
治療終了後
オッヅ比1.7倍
「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」
(Frame Work Convention on Tobacco Control; FCTC,2005年02月27日発効)
タバコの消費及びタバコの煙
にさらされることが、世界的
規模で健康、社会、経済及び
環境に及ぼす破壊的な影響に
ついて国際社会の懸念を考慮
し、・中略・
死亡、疾病及び障害を引き起
こすことが科学的証拠により
明白に証明されていることか
ら・・・・
タバコ消費の抑制を目的とした国際条約
その他の国際条約:
温暖化防止=京都議定書で二酸化炭素排出抑制
「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」
2005年02月27日発効
1. タバコの課税及び価格政策の実施(第6条)
2. 受動喫煙からの保護(第8条)
3. タバコ製品の含有物の規制(第9条)
4. タバコ製品の情報開示(第10条)
5. タバコ製品の包装とラベルにリスクを明記(第11条)
6. 教育、情報の伝達、訓練、啓発(第12条)
7. タバコ広告、販売促進、スポンサーシップの禁止(第13条)
8. 禁煙治療の普及(第14条)
9. タバコの不法取引防止(第15条)
10.未成年への販売と未成年者による販売禁止(第16条)
11.経済的に実行可能な代替活動支援の提供(第17条)
煙が漏れない喫煙室の
作成は困難
排気風量不足
ドアがフイゴとなって
煙を外に追い出す
WHO Policy recommendations
Protection from exposure to second-hand tobacco smoke
「受動喫煙防止のための政策勧告」
(世界保健機関
2007年)
○受動喫煙は深刻な健康障害を引き起こす
○喫煙室や空気清浄機の使用では、
受動喫煙を防止することはできない
FCTCは締約国に条約発効5年以内=
2010年2月27日までに喫煙室の撤廃し、
建物内を100%完全禁煙とする
全面禁煙法の成立と施行を求めている。
世界中でバーも含む全面禁煙が急速に進行中。
http://www.who.int/tobacco/resources/publications/en/
建物内禁煙の事業場の近くの公園に群がる喫煙者
喫煙者がゼロにならない限り、公園の一角での喫煙は仕方がない。
喫煙者にとっても、換気の悪い喫煙室で喫煙するよりも屋外喫煙の
方がまだまし。この状況が続けば、禁煙を決意する人も増える。
喫煙室を維持管理する費用があるなら、禁煙治療の費用を援助し、
従業員の健康を守ることの方が理にかなっている。