公共交通移動等円滑化基準 - Hi-HO

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バリアフリー整備ガイドライン
(旅客施設編・車両等編)
について
平成19年10月
国土交通省総合政策局
安心生活政策課
序
バリアフリー新法等の概要
1
1.バリアフリーに関するこれまでの取り組み
平成12年(2000年)
交通バリアフリー法制定
平成6年(1994年)
ハートビル法制定
(高齢者、身体障害者等が円滑に利用でき
る特定建築物の建築の促進に関する法律)
→不特定多数、高齢者・障害者が利用
する建築物等のバリアフリー化
(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を
利用した移動の円滑化の促進に関する法
律)
→駅・鉄道車両・バスなど公共交通機関
と周辺地域のバリアフリー化
統合・拡充
平成18年(2006年) バリアフリー新法制定
(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
⇒対象者の拡充
・身体障害者のみならず、知的・精神・発達障害者等全ての障害者が対象であることを明確化
⇒対象施設等の拡充
・建築物及び公共交通機関に加え、道路、路外駐車場、都市公園、福祉タクシーを新たに追加
⇒その他、基本構想制度の充実、ソフト施策の充実
等
2
2.高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
従前のハートビル法と交通バリアフリー法を統合・拡充した法律(バリアフリー新
法)が平成18年6月に制定され、12月に施行された。
対象者の拡充
・身体障害者のみならず、知的・精神・発達障害者等全ての障害者が対象
対象施設の拡充
・建築物及び公共交通機関に加え、道路、路外駐車場、都市公園、福祉タクシーを新たに
追加
建築物
旅客施設及び車両等
(福祉タクシーの基準を
追加)
道 路
路外駐車場
都市公園
(既存建築物
の基準適合努
力義務を追
加)
3
基本構想の充実
・バリアフリー化を重点的に進める対象エリアを旅客施設を含まない地域にまで拡充
重点整備地区における移動等の円滑化のイメージ
建築物内部までの連
続的な経路を確保
旅客施設を含まないエリア
官公庁
福祉施設
旅客施設から徒歩
圏外のエリアどり
病院
鉄道駅
自由通路
商業施設
バス車両
官公庁
官公庁
福祉施設
駐車場
商業施設
福祉施設
公園
駐車場
福祉施設
駐車場
路外駐車場、都市公園及びこ
れらに至る経路についての移
動等の円滑化を推進
ハートビル法の対象(一定の建築物
の新築等)
交通バリアフリー法の対象(旅客施
設及びその徒歩圏内の経路)
追加・拡大される部分(既存の路外駐
車場、公園、建築物、施設間の経路
等)
4
基本構想策定の際の当事者参加
・協議会制度を法定化
・構想作成提案制度を創設
ソフト施策の充実
スパイラルアップの導入
・関係者と協力して、バリアフリー施策の
持続的かつ段階的な発展を目指す。
心のバリアフリーの促進
・ハード面での整備と併せて、国民の一
人ひとりが、高齢者・障害者等の困難
を自らの問題として認識。
5
バリアフリー新法の枠組み
基本方針(主務大臣)
・移動等の円滑化の意義及び目標
・公共交通事業者、道路管理者、路外駐車場管理者、公園管理者、特定建築物の所有者が移動
等の円滑化のために講ずべき措置に関する基本的事項
・市町村が作成する基本構想の指針
等
関係者の責務
・関係者と協力しての施策の持続的かつ段階的な発展(スパイラルアップ)【国】
・心のバリアフリーの促進【国及び国民】
・移動等円滑化の促進のために必要な措置の確保【施設設置管理者等】
・移動等円滑化に関する情報提供の確保【国】
基準適合義務等
以下の施設について、新設等に際し移動等円滑化基準に適合させる義務
既存の施設を移動等円滑化基準に適合させる努力義務
・旅客施設及び車両等
・一定の道路(努力義務はすべての道路)
・一定の路外駐車場
・都市公園の一定の公園施設(園路等)
・特別特定建築物(百貨店、病院、福祉施設等の不特定多数又は主として高齢者、障害者等
が利用する建築物)
特別特定建築物でない特定建築物(事務所ビル等の多数が利用する建築物)の建築等に際
し移動等円滑化基準に適合させる努力義務(地方公共団体が条例により義務化可能)
誘導的基準に適合する特定建築物の建築等の計画の認定制度
6
バリアフリー新法の枠組み
重点整備地区における移動等の円滑化の重点的・一体的な推進
住民等による基本構想の作成提案
基本構想(市町村)
協議会
・旅客施設、官公庁施設、福祉施設その他の高齢者、
障害者等が生活上利用する施設の所在する一定の
地区を重点整備地区として指定
・重点整備地区内の施設や経路の移動等の円滑化に
関する基本的事項を記載
等
協議
市町村、特定事業を実施すべ
き者、施設を利用する高齢者、
障害者等により構成される協
議会を設置
事業の実施
・公共交通事業者、道路管理者、路外駐車場管理者、公園管理者、特定建築物の所有者、
公安委員会が、基本構想に沿って事業計画を作成し、事業を実施する義務(特定事業)
・基本構想に定められた特定事業以外の事業を実施する努力義務
支援措置
・公共交通事業者が作成する計画の認定制度
・認定を受けた事業に対し、地方公共団体が
助成を行う場合の地方債の特例
等
移動等円滑化経路協定
重点整備地区内の土地の所有者等が締結
する移動等の円滑化のための経路の整備
又は管理に関する協定の認可制度
7
3.バリアフリー化の進捗状況
①旅客施設(鉄軌道駅・バスターミナル・旅客船ターミナル・航空旅客ターミナル)
旅客施設におけるバリアフリー化の推移
(公共交通移動等円滑化実績等報告による)
100%
88.3%
80.1% 82.8%
72.0% 74.2%
80%
64.3%
60%
63.1%
57.2%
56.5%
39.3%
40%
28.9%
44.1%
48.9%
52.6%
33.2%
42.9%
32.8%
20%
13.0%
0.1%
2.6%
H12
H13
21.0%
0%
H14
段差解消
H15
H16
H17
H18
視覚障害者誘導用ブロック
H19
H20
H21
H22
障害者用トイレ
8
②車両等のバリアフリー化の推移(鉄軌道車両・低床バス車両・旅客船・航空機)
車両等のバリアフリー化の推移(鉄軌道車両)
(両数)
車両等のバリアフリー化の推移(低床バス車両)
(公共交通移動等円滑化実績等報告による)
25,000
(台数)
(公共交通移動等円滑化実績等報告による)
50%
全車両数:51,618両(平成18年度末現在)
50%
20,000
(21,560)
20,000
19,434
全車両数:58,735台(平成18年度末現在)
40%
点字表示の追加)のため(点線が旧基準に照らした場合の数値)。
16,586
15,000
14,383
15,000
12,086
9,922
10,000
7,565
5,193
13,144
30%
32.1%
10,492
27.9%
10,309
23.7%
20%
14.8%
5,000
8,095
10%
27.8%
22.6%
20%
13.8%
10%
2,877
8.8%
0
4.9%
0%
H13
H14
H15
適合車両等数
H16
H17
H18
0
H19
0%
H12
H13
適合割合
H14
H15
適合車両等数
H16
H17
H18
適合割合
車両等のバリアフリー化の推移(航空機)
車両等のバリアフリー化の推移(旅客船)
(隻数)
(公共交通移動等円滑化実績等報告による)
(機数)
(公共交通移動等円滑化実績等報告による)
600
400
70%
全隻数:496機(平成18年度末現在)
全隻数: 939隻(平成18年度末現在)
30%
500
54.4%
300
47.0%
400
40%
270
24.5%
0.0%
0
0.2%
2
H12
H13
2.1%
23
4.4%
50
8.0%
90
108
H15
適合車両等数
193
200
10%
100
H16
適合割合
H17
152
12.5%
20%
114
0%
H14
30%
227
11.5%
7.0%
79
50%
32.1%
300
100
60%
40.7%
20%
200
0
30%
18.0%
5,105
5,000
10.1%
H12
33.1%
10,000
20.0%
19.4%
40%
16,237
(41 .8 %)
※ H18の 減 少 は 、 新 基 準 に お け る 強 化 ( 車 両 内 の 扉 等 へ の 文 字 及 び
H18
0
0.7%
3
H12
10%
57
0%
H13
H14
H15
適合車両等数
H16
H17
H18
適合割合
9
4.法律に規定されている公共交通事業者の基準適合義務等
◎法律第8条 (旧交通バリアフリー法から主な変更部分はなし)
公共交通事業者等は、旅客施設を新設し、若しくは大規模な改良を行うとき又は車両等
を新たにその事業の用に供するときは、当該旅客施設又は車両等(以下「新設旅客施
設等」という。)を、公共交通移動等円滑化基準に適合させなければならない。
公共交通事業者等は、その事業の用に供する新設旅客施設等を公共交通移動等円滑
化基準に適合するように維持しなければならない。
公共交通事業者等は、その事業の用に供する旅客施設及び車両等(新設旅客施設等
を除く。)を公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努
めなければならない。
公共交通事業者等は、高齢者、障害者等に対し、これらの者が公共交通機関を利用し
て移動するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。
公共交通事業者等は、その職員に対し、移動等円滑化を図るために必要な教育訓練を
行うよう努めなければならない。
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5.移動等円滑化の促進に関する基本方針(告示)の概
要※下線部が、旧交通バリアフリー法の基本方針からの主な変更部分
バリアフリー化の目標
交通バリアフリー法施行後5年の実績を踏まえ、平成22年の目標値を引き
上げ・設定(カッコ内が旧交通バリアフリー法に基づく基本方針の目標値)。
旅客施設(利用者数5000人/日以上のもの):100%
鉄軌道車両:50%(30%)
ノンステップバス:30%(20~25%)
福祉タクシー:18,000台
旅客船:50%
航空機:65%(40%)
建築物、路外駐車場、都市公園について平成22年の目標値を設定。
建築物:約5割
路外駐車場:約4割
都市公園:(①園路:約45%②駐車場:約35%③便所:約30%)
11
バリアフリー整備ガイドラインの概要
12
はじめに
本ガイドラインは、高齢者、障害者等の移動制約者を念頭におきつつ、「どこで
も、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方にも配
慮。
さらに、今回のガイドラインにおいては、高齢者、障害者のほか、妊産婦、乳幼
児連れ及び外国人などの主な特性についても記述し、巻末には、それぞれの移
動上の困難さ等の詳細を記述することにより、各種別ごとの移動上の困難さや
傾向について把握することが可能な構成としている。
また、弱視者や色覚障害者にも配慮した整備内容を充実するとともに、参考例
として図や先進的な事例の写真をより多く掲載する等、実際に整備する際に具
体的に参考となるよう工夫。
なお、検討委員会において議論になったものの、一致した結論、方向性がまと
まらず、さらなる議論、調査研究が必要とされた課題等については、巻末の「お
わりに」に明記し、引き続いての検討等が必要であることを示した。
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ガイドラインの性格
(公共交通移動等円滑化基準)
公共交通事業者等が旅客施設や車両等を整備
する際において法に基づく義務基準として遵守
すべき内容
【ガイドライン】
公共交通事業者等に義務づけるものでは
ないが、目安として施設整備を行うことが
望ましいとされた内容をまとめたもの
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バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編・車両等編)について
策定の趣旨
平成18年12月にバリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が
施行されたことを受け、公共交通機関の旅客施設・車両等の望ましい整備内容等を示すガイドライン
を次のとおり策定することとした。
【策定対象ガイドライン】
①バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)
※正式名称は、「公共交通機関の旅客施設の移動等円滑化整備ガイドライン」
※平成13年8月に策定された「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」を
改訂したもの
②バリアフリー整備ガイドライン(車両等編)
※正式名称は、「公共交通機関の車両等の移動等円滑化整備ガイドライン」
※平成13年3月に策定された 「障害者・高齢者等のための公共交通機関の車両等に関する
モデルデザイン」を改訂したもの
※旅客船に関しては、別途策定
本整備ガイドラインは、旅客施設や車両等を整備、導入する際に義務として従わなければならない
ものではないが、公共交通事業者等は、これを目安として旅客施設・車両等の整備等を行うことが望
ましい。
15
バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編・車両等編)について
ガイドラインの構成-1
標準的な内容として目安とするものを、
「標準的な内容」
積極的な取り組みが望まれる内容を、
「望ましい内容」
と分類して記載し、施設や車両等の整備を行う際の判断の
目安となるよう配慮。
また、参考例として図や先進的な事例の写真をより多く
掲載する等、実際に整備する際に具体的な参考事例となる
よう工夫を行っている。
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バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編・車両等編)について
ガイドラインの構成-2
旅客施設編
第1部 旅客施設共通ガイドライン
1.移動経路に関するガイドライン
車両等編
個別の車両等に関するガイドライン
第1章 鉄軌道
2.誘導案内設備に関するガイドライン
3.施設・設備に関するガイドライン
第2部 個別の旅客施設に関するガイドライン
1.鉄軌道駅
2.バスターミナル
3.旅客船ターミナル
第2章 バス
第3章 タクシー
第4章 航空機
第5章 旅客船
4.航空旅客ターミナル施設
巻末参考:5,000人未満の無人鉄軌道駅における配慮事項
参考 色覚障害者の色の見え方と区別の困難な色の組み合わせ
おわりに
おわりに ~課題と今後の展望~
高齢者・障害者等の主な特性
高齢者・障害者等の主な特性
17-2
バリアフリー整備ガイドライン(車両等編)の概要
旅客船
「旅客船バリアフリーガイドライン」(☆)として、別途作成し、8月1日公表
☆旅客船バリアフリーガイドラインは、
「旅客船バリアフリー~設計マニュアル(平成12年12月作成)」の構成を基本とし、
「旅客船バリアフリーハンドブック(平成17年3月作成)」と
「旅客船のバリアフリー化に関する事例集(平成18年3月作成)」のそれぞれを
統合の上、バリアフリー新法の施行を契機に必要な見直しを行ったもの。
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おわりに
バリアフリー整備ガイドラインは、その策定プロセスにおいて、関
係者の参画する検討会の場で議論を行い、また、広く国民からの
意見を取り入れるためにパブリックコメント手続きを経ることなどに
より、多くの関係者等のご意見を踏まえつつ、旧交通バリアフリー
法施行以降の公共交通のバリアフリー化の進展を考慮し、より多く
の知見を取り込んだものとなるよう努めました。
今後とも、公共交通事業者等の皆様のご理解・ご協力を頂き、バ
リアフリー新法に基づく各種施策や本整備ガイドラインに沿った旅
客施設や車両等が整備されていくことによって、ユニバーサルデザ
インの考え方を踏まえた公共交通機関のバリアフリー化がより一
層進展していくことを期待します。
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