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22.租税の帰着と中立性
22.1 納税義務者と租税の転嫁
22.2 租税の帰着と直接税・間接税
22.3 租税の超過負担と中立性
22.1 節と 22.2 節では、税を直接税と間接税に分類するために、その税の納税義務者と、そ
の税の「最終的な租税負担者」との関係について検討する。
20 章では一般消費税は効率的(超過負担はゼロ)であるが、個別消費税は非効率的(超過
負担がプラス)であるという結論を導いた。それに対して 22.2 節では、個別消費税でもそ
の税の課される財がある性質を伴っていれば効率的になる可能性があることを示す。
22.1 納税義務者と租税の転嫁
租税の帰着について、財 x の市場に個別消費税(excise tax:酒税、タバコ税、揮発油税、
ゴルフ場利用税など)が導入される効果について検討しよう。なお、以下では比例税のケー
スに限定して議論する。
消費者価格(税込み価格、需要者価格)を
p d 、生産者価格(税抜き価格、供給者価格)を ps
とする。また、個別消費税は従量税(unit tax)であり、その税率を t と表す。なお、従量
税とはその財の量に比例して税額が決まる税であり、その税率とは 1 単位当たりの税額のこ
とである。そのとき、
p d = ps  t
が成立する。
(22-1)
リキュール
(発泡性)
<酒税について(平成 18 年 5 月以降)>
その他醸造酒
(発泡性)
「第3のビール」
麦芽を使わない
発泡性酒類
区分
ビール
税率
加算額
(1kℓ当たり)
アルコール分 1 度・1kℓ当たり
220,000 円
-
発泡酒(麦芽比率 25~50%未満)
178,125 円
-
発泡酒(麦芽比率 25%未満)
134,250 円
-
80,000 円
-
140,000 円
-
120,000 円
-
80,000 円
-
200,000 円
10,000 円
発泡性酒類
その他の発泡性酒類
第3、第4のビール
醸造酒類
清酒
果実酒
蒸留種類
(アルコール分 20 度まで)
ウイスキー・フランデーなど
370,000 円
10,000 円
(アルコール分 37 度まで)
混生酒類
合成清酒
みりん・雑種
甘味果実酒・リキュール
220,000 円
11,000 円
100,000 円
-
20,000 円
-
120,000 円
10,000 円
(アルコール分 12 度まで)
粉末酒
390,000 円
(注)
「アルコール分の度数」は小数点以下切り捨てで測る。
-
「第4のビール」
発泡酒に麦の蒸
留酒を加えた酒
1 酒 税 関 係
(3) 税
率
(その1)(酒税法第 23 条)
※酒類をクリックすると、その分類に属する品目が表示されます。
(平成 18 年5月1日~)
分類
税率
区分(注)
税額
(1キロリットル当たり)
発泡性酒類
【基本税率】
ビール
220,000 円
【特別税率】
(1) 発泡酒(原料中麦芽の重量が水以外の原料の重量の
178,125 円
100 分の 50 未満 25 以上のもので、10 度未満のものに限
る。)
(2) 発泡酒(原料中麦芽の重量が水以外の原料の重量の
134,250 円
100 分の 25 未満のもので、10 度未満のものに限る。)
(3) その他の発泡性酒類(ホップ又は財務省令で定める苦
80,000 円
味料を原料の一部とした酒類で次に掲げるもの以外のも
のを除く。)
イ 糖類、ホップ、水及び酒税法施行令第 20 条第1項に
規定する物品を原料として発酵させたもの(エキス分が
第3の
ビール
2度以上のものに限る。)
ロ 発泡酒(酒税法施行令第 20 条第2項に規定するもの
に限る。)にスピリッツ(酒税法施行令第 20 条第3項に
規定するものに限る。)を加えたもの(エキス分が2度
以上のものに限る。)
第4の
ビール
(ホップ等を原料としたその他の発泡性酒類)
第二十条
法第二十三条第二項第三号 イに規定する政令で定める物品は、次の
各号のいずれかに掲げる物品とする。
一
たんぱく質物分解物(大豆を原料とするものに限る。)及び酵母エキス又はこ
れらとカラメル
二
たんぱく質物分解物(えんどうを原料とするものに限る。)及びカラメル又はこ
第3の
ビール
れらと食物繊維
三
とうもろこし、たんぱく質物分解物(とうもろこしを原料とするものに限る。)、酵
母エキス、アルコール、食物繊維、香味料、くえん酸三カリウム及びカラメル
2
法第二十三条第二項第三号 ロに規定する政令で定める発泡酒は、麦芽及びホ
ップを原料の一部として発酵させたもので、その原料中麦芽の重量が水以外の原
料の重量の百分の五十未満のものとする。
3
法第二十三条第二項第三号 ロに規定する政令で定めるスピリッツは、次の各
号のいずれかに掲げるものとする。
一
大麦を原料の一部として発酵させたアルコール含有物(大麦以外の麦を原料
の一部としたものを除く。)を蒸留したもの
二
小麦を原料の一部として発酵させたアルコール含有物(小麦以外の麦を原料
の一部としたものを除く。)を蒸留したもの
第4の
ビール
350mℓ(=0.35ℓ)の缶ビールの消費税を抜いた価格が 200 円であったとする。
この税込み価格に占める税額(=酒税額+消費税額)の割合はどれだけになるであろうか。
ビールの酒税の税率=220,000 円/kℓ=220 円/ℓ
消費税額= 200 円×0.05=10 円
酒税額= 220 円/ℓ×0.35ℓ=77 円
税負担額= 10 円+77 円=87 円
税込価格= 200 円+10 円=210 円
税負担割合= 87 円/210 円≒41.4%
需要関数と供給関数を
x  xd ( pd )
(22-2)
x  xs ( ps )
(22-3)
と表すことにする。
そのとき、(22-1)と(22-3)より供給関数は消費者価格
x  xs ( pd  t )
と表すことができる。
p d = ps  t
p d を用いて
(22-1)
(22-4)
pdt =税率 t のもとで均衡消費者価格
pst =税率 t のもとで均衡生産者価格
x t =税率 t のもとで均衡取引量(=均衡需要量=均衡供給量)
(22-2)と(22-4)より
xd ( pdt ) = xs ( pdt  t)
[ x ]
t
(22-5)
となる。そして、(22-1)より
pst = pdt  t
である。
t  0 のときは消費者価格と生産者価格が一致する( pd0 = ps0 )ので、
0
その値を単に p と表すことにする。
(22-6)
(問題 22-1)下の図のどの直線に x  xd ( pd ) 、 x  xs ( pd ) 、 x  xs ( pd
0
るかを図示しなさい。また、 x 、
p 0 、 x t 、 pdt 、 pst を図示しなさい。
pd
x  xs ( pd  t )
x  x s ( pd )
pdt
t
 t ) が対応してい
p0
pst
x  xd ( pd )
xt
x0
x
<納税義務者と徴収義務者>
納税義務者とは「政府へ納税する義務を負っている経済主体」である。それに対して、徴収
義務者とは「納税義務者に代わって納税する義務を負っている経済主体」のことである。ま
た特に、源泉徴収義務者とは「給与・報酬・利子などの支払者がそれを受け取る納税義務者
(個人)に課される所得税の徴収義務者」のことである。さらに、地方税に関連する徴収義
務者は特別徴収義務者と呼ばれる。
(問題 22-2)個人所得税と利子所得税における納税義務者と(源泉)徴収義務者はそれぞれ誰
か。また、一般消費税の納税義務者は誰であろうか。
<納税義務と源泉徴収義務>
納税義務者
源泉徴収義務者
給与所得税
給与を得た個人
給与を支払った主体
利子所得税
利子を受け取った主体
利子を支払った主体
(一般)消費税
個人事業者および法人
<租税(負担)の転嫁(tax shifting)>
ある租税によりある経済主体が被る「租税負担(tax burden)
」とは、納税義務者に関して
は税務当局に対する納税額である。それに対して、納税義務者以外の経済主体に関する「租
税負担」は、課税の結果としてその経済主体が「①購入している財の価格上昇幅×購入量、
②販売している財の価格低下幅×販売量、③受け取る配当の減少額」を加えたものである。
そして、「租税負担の転嫁」とは「納税義務者(あるいは租税負担を転嫁された経済主体)
が、その租税負担をさらに他の経済主体に(価格を変化させることなどで)移転すること」
である。
さらに、
「転嫁」は「後転すなわち後方転嫁(backward shifting)
」と「前転すなわち前方
転嫁(forward shifting)
」の 2 つに分類することができる。たとえば、個別消費税の納税義
務者が企業(株式会社)であるとする。そのとき、
「後転」とは「租税負担が生産要素価格
の低下を通じて生産要素供給者へ転嫁すること」である。それに対して、「前転」とは「租
税負担が生産物価格の上昇を通じて消費者の負担に転嫁すること」である。
生産要素(労働、土地)
→
企業=出資者(株主)
→
生産物(物品・サービス)
22.2 租税の帰着と直接税・間接税
<租税(負担)の帰着(tax incidence)>
ある経済主体への租税の帰着とは、その経済主体に課された(あるいは転嫁された)租税負
担から他の経済主体に転嫁した租税負担を引いたものである。たとえば、個別消費税の納税
である場合は、生産者の租税負担額は t  xt  ( pdt  pst ) xt である。
義務者が事業者(生産者)
しかし、生産者は生産物の税込み価格を p 0 から pdt に引き上げることにより、租税負担の一
部分を消費者に転嫁している。そして、消費者への租税の帰着(=消費者の最終的な租税負
担額)は ( pdt  p0 ) xt となる。その転嫁の結果として、生産者(あるいは株主)への租税の
帰着(=生産者の最終的な租税負担額)は ( p0  pst )xt だけの配当の減少という形で生じる
ことになる。
「消費者への租税の帰着と生産者への租税の帰着の和」は、(22-6)より、 ( p0
なお、
+ ( pdt  p0 ) xt = ( pdt  pst ) xt  t  xt なので、租税負担額に一致する。
 pst )xt
<主な担税者>
最終的な租税負担者のことを「担税者」と呼ぶことにしよう。すなわち、ある租税の担税者
とはその租税の負担が帰着している経済主体のことである。そして、税を直接税と間接税に
分類するために必要な概念である「主な担税者」を次のように定義する。すなわち、主な担
税者とは「帰着の割合が大きい担税者」のことである。たとえば、「消費者への租税の帰着
/租税負担額」が大きい(1 に近い)場合は、
「主な担税者」は消費者である。
ある税が直接税であるか間接税であるかは、納税義務者と「主な担税者」とが一致している
かどうかで分類される。すなわち、直接税とは「納税義務者と主な担税者が一致している税」
であり、間接税とは「納税義務者と主な担税者が異なる税」である。ただし、
「主な担税者」
がどの経済主体になるかは様々な経済条件により定まるものである。そこで、通常は課税当
局が「予定(想定)している」主な担税者と納税義務者が一致しているかどうかで、直接税と
間接税は分類される。
=税込み価格
(問題 22-3)一般消費税の税率が引き上げられたときに、生産物の価格、株主への配当、
労働者(被雇用者)への給与所得にどのような影響があると考えられるか。また、
これらのなかで最も大きな影響が生じると考えられるのはどれであろうか。さら
に、その議論を基にして一般消費税が直接税か間接税かについて検討しなさい。
生産物価格への影響= 税込価格が上昇し、その影響は大
配当への影響= 減少するものの影響は小さい
賃金率への影響= 低下するものの影響は小さい
間接税
(問題 22-4)法人税の税率が引き上げられたときに、生産物の価格、株主への配当、労働
者(被雇用者)への給与所得にどのような影響があると考えられるか。また、こ
れらのなかで最も大きな影響が生じると考えられるのはどれであろうか。
さらに、
その議論を基にして法人税が直接税か間接税かについて検討しなさい。
生産物価格への影響= 税込み価格が上昇するもののその影響は小さい
配当への影響= 減少し、その影響は大きい
賃金率への影響= 低下するものの影響は小さい
直接税
(問題 22-5)地方税であるゴルフ場利用税と入湯税は直接税と考えることができる。これ
らの税の納税義務者と特別徴収義務者はそれぞれ誰であろうか。
<納税義務と特別徴収義務>
納税義務者
特別徴収義務者
ゴルフ場利用税
利用者
ゴルフ場経営者
入湯税
利用者
浴場経営者
<直接税・間接税と課税対象について>
直接・間接
直接税
国
対象
所得
間接税
地方
都道府県
国
市町村
所得税
道府県民税
市町村民税
法人税
法人住民税
法人住民税
法人事業税
法人事業税
地方
都道府県
市町村
事業所税
ゴルフ場利用税
消費税
三木義一『日本の税金』 入湯税
岩波新書
非耐久
酒税
国のたばこ税
道府県たばこ税
市町村たばこ税
地方揮発油税
地方揮発油譲与税(1/2)
地方揮発油譲与税(1/2)
石油ガス税
石油ガス譲与税(1/2)
揮発油税
消費財
消
軽油取引税
費
耐
取
久
得
消
費
財
資
産
地方消費税
所
自動車取得税
自動車重量税
自動車税
軽自動車税
有
国税庁HP
不動産取得税
取得
所有
自動車重量税
相続税・贈与税
地価税
固定資産税(東京 23 区) 固定資産税
自動車重量税の納税義務者=自動車検査証の交付等を受ける方、及び車両番号の指定を受ける方
<ガソリン関係諸税>
税率
区分
ガソリン税
(1ℓ当たり)
暫定
本則
特例
揮発油税
48.6 円
24.3 円
24.3 円
地方揮発油税
5.2 円
4.4 円
0.8 円
石油税
2.04 円
2.04 円
0円
原油関税
0.17 円
0.17 円
0円
合計
56.01 円
31 円
25.1 円
(注) 暫定税率は2008年3月末に期限切れになったが2008年5月に復活した。
ガソリン 1ℓの消費税を抜いた価格が 140 円であったとする。
税込み価格に占める税額(=ガソリン諸税+消費税額)の割合はどれだけになるであろうか。
消費税額= 140 円×0.05=7 円
ガソリン諸税の税額= 56.01 円/ℓ
税負担額= 7 円+56.01 円=63.01 円
税込み価格=140 円+7 円=147 円
税負担割合= 63.01 円/147 円≒42.86%
22.3 租税の超過負担と中立性
<超過負担(excess tax burden)>
財 x が中級財であるケースに絞って、租税の超過負担について議論する。そのとき、
「消費
者の実質的租税負担額」は「消費者余剰の減少分」であり、「生産者の実質的租税負担額」
は「生産者余剰の減少分」である。また、「実質的租税負担額」は「消費者の実質的租税負
担額+生産者の実質的租税負担額」である。さらに、
「
(租税の)超過負担」は「実質的租税
負担額-租税負担額」である。したがって、「超過負担」は「消費者余剰の減少分+生産者
余剰の減少分-租税負担額」で求めることができる。
(問題 22-6)下の図の番号はそれらが入っている図形の面積を表すものであるとする。そ
のとき、それらの番号を用いて租税負担額、消費者への租税の帰着、生産者への
租税の帰着、消費者の実質的租税負担額、生産者の実質的租税負担額、実質的租
税負担額、租税の超過負担を求めなさい。
pd
租税負担額= Ⅰ+Ⅱ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
消費者への租税の帰着= Ⅰ
生産者への租税の帰着= Ⅱ
消費者の実質的租税負担額=Ⅰ+Ⅲ
生産者の実質的租税負担額=Ⅱ+Ⅳ
実質的租税負担額=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ
x
租税の超過負担=Ⅲ+Ⅳ
(問題 22-7)課税対象となる財の消費(あるいは生産)が外部性をもたらす場合には、租
税の帰着により余剰が減少する経済主体ばかりでなく、消費者余剰や生産者余剰
が増加する経済主体も存在する可能性があることを、タバコ税を例として検討し
なさい。
消費者余剰
受動喫煙の減少による消費者余剰の増加
生産者余剰
ホテルの客室清掃費用の減少による利潤増
<紙巻たばこの税(平成 22 年 10 月以降)>
税率
区分
国税
地方税
(1,000 本当たり)
たばこ税
5,302 円
たばこ特別税
820 円
小計
6,122 円
道府県たばこ税
1,504 円
市町村たばこ税
4,618 円
小計
6,122 円
合計
12,244 円
20 本入り箱のたばこの消費税を抜いた価格が 400 円であったとする。
この税込価格に占める税額(=たばこ税+たばこ特別税+消費税額)の割合はどれだけにな
るであろうか。
たばこ税率+たばこ特別税の税率=12,244 円/1,000 本
消費税額= 400 円×0.05=20 円
たばこ税額= 12,244 円/1,000 本×20 本=244.88 円
税負担額= 20 円+244.88 円=264.88 円
税込価格= 400 円+20 円=420 円
税負担割合= 264.88 円/420 円≒63.07%
<租税(課税)の中立性と効率性>
租税の中立性には次の 2 つの定義がある。第 1 の定義では、中立的な租税とは「その税を課
された経済主体の行動(選択)が課税前と同じである租税」である。第 2 の定義では、中立的
な租税とは「その税を課された経済主体の行動(選択)が、同じ税額を一括固定税で負担する
ときと同じである租税」である。なお、
「行動(選択)」とは需要量や供給量のことである。
ある課税が効率的であるとは、「その課税で各個人が負担する税額をそれらの個人から得る
ことを前提としたときに、その課税のもとで達成される資源配分が効率的であること」であ
る。なお、
「効率性」は「パレート効率性」または「
(課税対象の財が中級財の場合は)消費
者余剰+生産者余剰+税収(が最大化されていること)
」で捉えることにする。
20 章の議論より、ある課税のもとで超過負担が生じていなければ、その課税は効率的であ
る。さらに、租税の「定義 2 の意味での中立性」は「超過負担が生じないこと」と同じこと
(必要十分条件)である。したがって、第 2 の定義のもとでは、ある課税が中立的であれば、
その課税は効率的であることになる。
それに対して、定義 1 を用いて租税の中立性を定義した場合は、ある課税が中立的であった
としても超過負担が生じないとは限らない。しかし以下では、「ある財が中級財であるとき
に、その財に課す個別消費税が(定義 1 で)中立的であれば、その個別消費税で超過負担は生
じない(効率的である)
」ことを示す(問題 22-12)
。なお、個別消費税が中立的であるとは、
その個別消費税を課した財の均衡取引量が課税前と同じである( x = x )ことである。
t
0
(問題 22-8)下の図のように、
「(課税前も課税後も)需要曲線が垂直な部分と供給曲線が
0
t
交わっているとき」について x 、 p 0 、 x 、
pdt 、 pst を図示しなさい。また、こ
のケースは中立的な課税と呼べるか。また、超過負担の大きさを求めなさい。
pd
x  xd ( pd )
x  xs ( pd  t )
x  x s ( pd )
x
(問題 22-8)下の図のように、「(課税前も課税後も)需要曲線が垂直な部分と供給曲線
0
t
が交わっているとき」について x 、 p 0 、 x 、
pdt 、 pst を図示しなさい。また、
=
このケースは中立的な課税と呼べるか。また、超過負担の大きさを求めなさい。
pd
0
x  xd ( pd )
x  xs ( pd  t )
pdt
x  x s ( pd )
t
pst = p 0
=
消費者余剰の減少分
= 租税負担額
=
x0
中立的
x
xt
生産者余剰の減少分=0
実質的租税負担額= 消費者余剰の減少分= 租税負担額
(問題 22-9)需要曲線が垂直に近い財の例と供給曲線が垂直に近い財の例を挙げなさい。
必需品(塩など)
需要曲線が垂直に近い
嗜好品(酒、タバコなど)
供給曲線が垂直に近い
土地、天然資源など
p  x  y  m であり、効用関数が u  k  min(x  x, 0)  y で
あるとする( k  x  m )
。このとき、財 x が( 0  p  k の価格の範囲で)中級財
であることを確認するとともに、需要曲線を x p 平面に図示しなさい。
(問題 22-10**)予算制約式が
(問題 22-11)「(課税前も課税後も)供給曲線が垂直な部分で需要曲線が交わっていると
=
き」について問題 22-8 と同様の分析を行い、超過負担の大きさを求めなさい。
pd
0
x  xd ( pd )
x  xs ( pd  t )
pdt  p 0
t
pst
x  x s ( pd )
=
生産者余剰の減少分
= 租税負担額
x
=
x0
xt
消費者余剰の減少分=0
中立的
実質的租税負担額= 生産者余剰の減少分= 租税負担額
(問題 22-12)
中立性と超過負担の大きさがどのような関係を持っているかを検討しなさい。
EB=超過負担
供給曲線
非垂直
垂直
需要曲線
非垂直
非中立
問題22-1
中立
問題22-11
EB>0
中立
垂直
EB=0
?
問題22-8
EB=0
?
x  xd ( pd )
pd
x  xs ( pd  t )
消費者余剰の減少分= Ⅰ
不定
生産者余剰の減少分=Ⅱ
t
p0
pst
Ⅰ
実質的租税負担額=Ⅰ+Ⅱ
Ⅱ
租税負担額=Ⅰ+Ⅱ
x  x s ( pd )
x0
=
pdt
xt
超過負担= 0
x
(問題 22-12)
中立性と超過負担の大きさがどのような関係を持っているかを検討しなさい。
EB=超過負担
供給曲線
非垂直
垂直
需要曲線
非垂直
非中立
問題22-1
中立
問題22-12
EB>0
中立
垂直
EB=0
中立
問題22-9
EB=0
中立 ⇔ 超過負担ゼロ(EB=0)
問題22-12
EB=0
p  x  y  m であり、効用関数が u  k  min(x  x, 0)  y で
あるとする( k  x  m )
。このとき、財 x が( 0  p  k の価格の範囲で)中級財
であることを確認するとともに、需要曲線を x p 平面に図示しなさい。
(問題 22-10**)予算制約式が
y
p x  y  m
m
p
x
p
x
y
p x  y  m
u*  k  min(x  x, 0)  y
m
u
*
【 p  kのケース】
k
・
p
x
x
x
x
p
k
y
【 p  kのケース】
p x  y  m
m・
u*  k  min(x  x, 0)  y
u*
p
k
x
x
x
x
p
k
y
【 p  kのケース】
p x  y  m
m
u*  k  min(x  x, 0)  y
u*
k
p
x
x
p
需要曲線
k
x
x
22.租税の帰着と中立性
22.1 納税義務者と租税の転嫁
22.2 租税の帰着と直接税・間接税
22.3 租税の超過負担と中立性
実はウィスキーを発展させたのは「税金」
1725年、スコットランドでは「麦芽税」という税金が導入された。そして、1780年から90年代に
かけては釜容量税を中心に増税が繰り返され、税金が50倍近くにも膨れ上がった。
当時、スコットランドのローランド地方に大規模な蒸留所が建てられたが、この蒸留所では麦
芽の使用量を3分の1に減らして、未発芽の穀類を使用して麦芽税を節約した。さらに、釜容
量税が導入されると蒸留釜の深さを3分の1に浅くし、蒸留回数を数十回に増やすことにより
採算をとろうとした。そして、1830年以降発達した連続式蒸留器を積極的に採用した。このよ
うにローランド地方では大規模な蒸留所を作ったためいろいろな手段で税金対策をした。その
結果、おとなしい味わいのグレーンウィスキーに発展したのである。
一方、小規模な蒸留所は1774年以降小規模な蒸留釜が認められなくなったため、正規にウィ
スキーを作ることができなくなった。その結果、彼らのとった手段が密造である。彼らは密造す
るために蒸留所をハイランド地方の山奥に移転させた。その山奥で彼らは周辺の野山にピー
ト(泥炭)を見つけだし、麦芽を乾燥させるための燃料として利用した。その結果、ウィスキー
に爽やかな香味が加わるようになった。また、彼らはできあがったウィスキーを収税吏の目を
逃れるためにシェリーの空樽に詰めて隠した。すると、ウィスキーは樽の中で熟成され、まろ
やかな味わいと琥珀色を持つようになった。これが後にモルトウィスキーとして完成することに
なる。
樽の中で熟成するという手法だが、これが始められたきっかけとして前述したもの以外に次の
ような説もある。それは、帆船に積まれたワインが熱帯の海を航海中に風味を増したという話
を元に、シェリーの樽に詰めて熱帯の海での航海と同じ効果を出せるように熱い室に数ヶ月
入れて熟成させたのが始まりだという説である。
(出所)「UISGE BEATHA(ウースカ・ベーハ)」ホームページ
<主要国におけるビールの税 >
主要国におけるビールの小売価格と酒税および消費税等の税額
(大びん633ml1本当たり換算)
(出所) ビール酒造組合ホームページ
<海外主要国の酒税と日本との比較 >
主要国におけるアルコール分1度当たりのビール酒税額指数
(蒸留酒を100とした場合の指数)
(出所) ビール酒造組合ホームページ
<日本における最初のビール税>
明治の初めにはビールには酒税が
課せられていませんでした。一方、
清酒は地租と並んで歳入の二本柱
となっており、ビールに比べて不公
平であるという不満が高まっていま
した。
明治33年、北清事変が起きると、
翌年10月にビールにも軍備増強の
ために酒税が課せられることになり
ます。資金力の弱い小醸造所はそ
の負担に耐えられず、姿を消してい
きました。ビール産業は明治30年
代から40年代にかけて再編成され
ることになりました。
(出所) ビール酒造組合ホームページ