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あなたとあなたの大切な人のために
~世界糖尿病デー記念講演会~
亀田メディカルセンター院内糖尿病研究会
2008年11月14日
KFCT,MTG3階イベントホール
亀田メディカルセンター
(亀田総合病院,亀田クリニック)
糖尿病内分泌内科
秋山 義隆/早川 尚雅
あなたとあなたの大切な人のために
~世界糖尿病デー記念講演会~
亀田メディカルセンター院内糖尿病研究会
2008年11月14日 12時30分~13時00分
亀田ファミリークリニック館山
亀田メディカルセンター
(亀田総合病院,亀田クリニック)
糖尿病内分泌内科
秋山 義隆
あなたとあなたの大切な人のために
~世界糖尿病デー記念講演会~
亀田メディカルセンター院内糖尿病研究会
2008年11月14日 18時15分~19時30分
MTG3階イベントホール
亀田メディカルセンター
(亀田総合病院,亀田クリニック)
糖尿病内分泌内科
早川 尚雅
世界糖尿病デー
糖尿病が全世界的
に脅威となっている
10秒に1人が糖尿病
で死亡
IDF(国際糖尿病連合:現在約150カ国が加盟)が、
「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」 を申請
国連が採択
※これまで国連公認の日は、
「世界エイズデー」のみ
世界糖尿病デー公式ホームページより
血糖値の調節
膵臓
脂肪組織
インスリン
↑
尿糖
血糖
200 g/日
Plasma Glucose
Blood Glucose
グリコーゲン
肝臓
120g/日
乳
酸
グリコーゲン
筋肉
脳
(食事)
血糖値は制御された値で
あり制御機構が正常なら
全く血糖は上昇しない!
糖尿病の合併症
膵臓β細胞の疲弊
合併症
網膜症
腎症
空腹時血糖≧126mg/dl
随時血糖≧200mg/dl
75g OGTT血糖2時間値≧200mg/dl
診断基準 (1999日本糖尿病学会)
神経障害
糖尿病患者数(厚生労働省発表)
(万人)
HbA1C
5.6-6.0 《1620万》
《1370万》
680
880
1997
+50
1050
HbA1C
5.5-6.0
+170
+200
690
《1870万》 予備軍
740 +80
2002
820
DM
HbA1C≧6.1
2006
糖尿病は健康寿命を15年短縮させる
心筋梗塞発症率の比較
(1,000人・年)
30
25
20
男性
女性
糖尿病(+)
糖尿病(+)
糖尿病(-)
糖尿病(-)
15
10
5
0
年齢 20 31 41 46 51 56 61 66 71 76 81
-30 -40 -45 -50 -55 -60 -65 -70 -75 -80 -85
20 31 41 46 51 56 61 66 71 76 81
-30 -40 -45 -50 -55 -60 -65 -70 -75 -80 -85
男性
糖尿病あり、なし間の
発症平均年齢の差
女性
心筋梗塞 / 総死亡
14.6 14.2
心筋梗塞 / 脳卒中 / 総死亡
15.1 14.6
カナダ・オンタリオ州の20歳以上の住民について、1994年から2000年の間における
心血管イベント発症状況を、糖尿病の有(n=379,003)無(n=9,018,082)別に調査した。
Booth GL. et al.: Lancet,368,29,2006.
日本人糖尿病の平均死亡時年齢と
日本人一般の平均寿命の比較
(歳)
(歳)
《男性》
90
《女性》
90
84.6
平平
均均
死 寿 80
亡命
時(
年日
齢本
人 70
(
糖一
尿般
病)
)
60
50
77.6
75.9
73.4
9.6年
9.4年
10.3年
66.5
68
63.1
一般
糖尿病
1971~
1980年
1981~
1990年
1991~
2000年
平平
均均
死 寿 80
亡命
時(
年日
齢本
人 70
(
糖一
尿般
病)
)
60
81.9
78.8
13.0年
13.5年
13.9年
71.6
68.4
64.9
一般
糖尿病
50
1971~
1980年
1981~
1990年
1991~
2000年
アンケート調査方式で、全国282施設から18,385名が集計され、1991~2000年の
10年間における日本人糖尿病患者の死因を分析した
堀田 饒 ほか.糖尿病 2007;50(1):47-61より作図
糖尿病が増えた結果

網膜症は中途失明原因の第2位(年間 約3,000人)

腎症は新規血液透析原因の第1位(年間15,000人以上)

足壊疽は非外傷性下肢切断原因の第1位(年間 約3,000人)

糖尿病があると心筋梗塞や脳硬塞の発症率が約3倍

糖尿病関連医療費は総医療費32兆円の約10%
都道府県における糖尿病対策推進会議
厚労省
県厚生部
協力
糖尿病協会
療養指導士
看護師・管理栄養士
など
患者会
連
携
県医師会
県歯科医師会
非専門医
専門医
連
携
糖尿病学会
専門医
1)かかりつけ医機能の充実と病院と診療所の連携の推進
2)受診勧奨と事後指導の充実
3)糖尿病治療成績の向上
糖尿病の臨床診断フロー
空腹時血糖値
≧126 mg/dL
OGTT2時間値
≧200 mg/dL
随時血糖値
≧200 mg/dL
糖尿病型
何れか
有
①糖尿病症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)
②HbA1c≧6.5%
③糖尿病網膜症
空腹時血糖値 OGTT2時間値 随時血糖値
≧126 mg/dL
≧200 mg/dL
≧200 mg/dL
糖尿病型
糖尿病
無
再検査
何れも満足しない
糖尿病型
糖尿病の初診時における問診で聞く項目
・自覚症状 (口渇、体重減少、多尿)
・20歳時の体重
・過去の最大体重
・糖尿病の家族歴
・高血圧の既往・降圧薬の内服
・巨大児の出産歴
・妊娠中の尿糖陽性
・外食が多い
・運動習慣
糖尿病対策推進会議が
配布した問診に関する
パンフレット
糖尿病になりやすい人

境界型といわれたことがある人

肥満

高血圧

血縁に糖尿病のいる人

運動不足

40歳以上

妊娠糖尿病・巨大児出産の経験者
糖尿病発症の予防のために

腹八分目に食べて:
脂肪をひかえめ
多様な食品をバランスよく

もっと歩いて:
1日10分間多く
男性9,200歩、女性8,300歩以上を目標に

肥満を減らそう:
自分の適正体重を知りましょう
インターネットや携帯電話からカロリー設定を計算してみましょう
www.kameda-diabetes.com
インターネットや携帯電話からカロリー設定を計算してみましょう
www.kameda-diabetes.com
www.kameda-diabetes.com
●
●
●
どちらがヘルシーなメニュー?
Q:皆さん、左のAのメニューと右のBのメニューを比べて見て下さい。どちらが健
康的なメニューだと思いますか?
答えは「Bのメニュー」です。なぜかというと、Aのメニューは個々の食材の「健康
にいい」という情報に目を奪われて、カロリーは何と右のBのメニューの倍もあるの
です。健康にいいと思っていても食べすぎていてはいけないなと村人は思いました。
→ このメニューは、武庫川女子大の小西すず先生が企画されている「いきいき栄
養講座」で実際に用いられている肥満者用のメニューを糖尿病用にアレンジしたも
のです。
Aのメニュー(約1,000kcal)はBのメニュー(約500kcal)の倍のカロリーがあります。
●●●●
●
●
●
糖尿病にまつわる食クイズ
次のクイズに○か×で答えて下さい。
1. ピーナッツは糖尿病によい。
○ or ×
2. 砂糖は悪いが、はちみつは糖尿病によい。
○ or ×
3. ブルーベリージャムは目にいい。
○ or ×
4. 日本酒は悪いが、焼酎やウィスキーはよい。
○ or ×
5. ビールを飲むのでごはんは減らした方がよい。
○ or ×
出典:『目で見てわかる糖尿病②~もしも100人の糖尿病村があったら~』
(診断と治療社)、坂根直樹著
●●●●
●
●
●
糖尿病にまつわる食クイズ
正解は・・・全部×です。日本村には「○○が糖尿病にいい」という昔のいい伝えが
たくさん残っています。
1.
(×)
2.
(×)
炭水化物が悪者にされてきた時代にはピーナッツなど、脂肪分の多い食
べ物が糖尿病にいいと思われてきました。最近の研究では、脂肪分をと
りすぎるとインスリンの働きが悪くなるそうで、逆によくないそうです。
はちみつも砂糖と同じくらいのカロリーがあります。
3.
(×)
ブルーベリーに眼の合併症を予防する効果はありません。ジャムには糖
分がたくさん入っており血糖が上がります。
4.
(×)
どちらもアルコールの取りすぎが血糖を悪くします。
5.
(×)
ビールの飲みすぎはビタミンB群を大量に消費しますので、ご飯のかわり
にはなりません。
●●●●
糖尿病発症の予防のために

腹八分目に食べて:
脂肪をひかえめ
多様な食品をバランスよく

もっと歩いて:
1日10分間多く
男性9,200歩、女性8,300歩以上を目標に

肥満を減らそう:
自分の適正体重を知りましょう
●
●
●
車や洗濯機の普及と一緒!
自動車登録台数
数
糖尿病の人
1950
1990
出典:『目で見てわかる糖尿病③~もしも100人の糖尿病村があったら~』
(診断と治療社)、坂根直樹著
●●●●
●
●
●
もし、体を動かす量を増やすとしたら
Q:何からはじめますか?

歩く

筋肉トレーニング

日常生活の中で

その他
出典:『目で見てわかる糖尿病①~もしも100人の糖尿病村があったら~』
(診断と治療社)、坂根直樹著
●●●●
●
●
●
3階まで昇る習慣が糖尿病予防になる
Q:運動の効果は?
A:(
)

血糖を下げる。

足腰を丈夫に。

肥満解消になる。

ストレス解消、気分転換になる。

体力がつき、旅行に行ける。

その他。
出典:『目で見てわかる糖尿病③~もしも100人の糖尿病村があったら~』
(診断と治療社)、坂根直樹著
●●●●
糖尿病合併症を進行させないために
血糖・血圧・コレステロールの改善と禁煙を
ABCDが大切です

A1 c
: HbA1c 6.5%未満

Blood pressure : 血圧 130/80 mmHg未満

Cholesterol
: LDL-C 120 mg/dl未満

Don’t smoke
: 禁煙
糖尿病患者専門医へ集中
(2008年4月治療実績)
施設名
東邦大学医療センター佐倉病院
患者数
専門医数
2型DMうち
インスリン導入率
CED数
3224
2
7
14
2106
2
11
26
東京歯科大学市川総合病院
2000
2
11
10
慈恵医大柏病院
1800
2
10
50
上総記念病院
1691
1
5
35
新東京病院
1500
1
6
13
千葉大学
1428
2
9
58
千葉市立青葉病院
1428
2
4
20
千葉中央メディカルセンター
1297
4
5
27
君津中央病院
1200
1
3
0
成田赤十字病院
954
2
13
80
東京女子医大八千代医療センター
710
1
7
45
亀田クリニック
読売新聞 08.09.07
糖尿病合併症
糖尿病網膜症
糖尿病腎症
糖尿病神経障害
動脈硬化性疾患
冠動脈疾患
脳血管障害
下肢閉塞性動脈硬化症
感染症
糖尿病足病変
歯周病
認知症
糖尿病網膜症
1)初診時に眼科受診指導
2)眼科医との連携
眼科受診間隔の目安(原則として眼科医の指示に従う)
正常~単純網膜症初期
1回 / 年
単純網膜症中期以上
1回 / 3~6ヶ月
増殖前網膜症以上
1回 / 1~2ヶ月
3)眼科医の治療が必要な状態
増殖前網膜症、増殖網膜症、黄斑症、白内障、緑内障
急激な血糖値や血圧値の変動に注意!
糖尿病腎症
1)早期腎症の診断
尿中アルブミン排泄量(随時尿)
正常アルブミン尿
微量アルブミン尿
顕性蛋白尿
<30mg/gクレアチニン
30~299mg/gクレアチニン(早期腎症)
≧300mg/gクレアチニン(顕性腎症)
2)顕性腎症以上は、尿蛋白量、血清クレアチニン値等で評価
3)血糖管理だけでなく血圧管理も重要
管理目標:130/80mmHg未満、顕性腎症以上では125/75mmHg未満
ACEIやARBの有用性
4)食事療法
蛋白制限(1日0.8g/kg標準体重以下)の有用性の報告あり
食塩制限(1日7g以下, 高血圧合併例は6g以下)
糖尿病神経障害
• 多発性神経障害、自律神経障害、単一神経障害に大別される。
①多発神経障害
両下肢のしびれ、じんじん・ピリピリするような疼痛
感覚低下、異常感覚をもたらす。
左右アキレス腱反射、振動覚が低下。
②自律神経障害
起立性低血圧、胃無力症、便通異常、無力性膀胱、
無自覚性低血糖、無痛性心筋梗塞、勃起障害
③単一神経障害
外眼筋麻痺、顔面神経麻痺
糖尿病神経障害の簡易診断基準
必須項目
:以下の2項目を満たす
1. 糖尿病が存在する
2. 糖尿病神経障害以外の末梢神経障害を否定しうる
条件項目
:次の3つのうち2項目以上を満たす場合を「神経障害あり」とする
1. 糖尿病神経障害に基づくと思われる自覚症状
(両側性の足趾および足底の「しびれ」、「疼痛」、「異常感覚」のうちの いずれかの症状)
2. 両側アキレス腱反射の低下あるいは消失
3. 両側内踝振動覚低下(C128Hz音叉にて10秒以下)
糖尿病性神経障害を考える会 2002年1月改訂より改変
糖尿病神経障害の治療
多発神経障害
アルドース還元酵素阻害薬、ビタミンB12、疼痛に対しては、
非ステロイド系消炎鎮痛薬、抗不整脈薬(メキシレチン)、
抗うつ薬など
自律神経障害
症状に応じて、血管収縮薬(塩酸ミドトリン、メチル硫酸
アメジニウム)、消化管運動機能改善薬 (ドンペリドン、
クエン酸モサプリド )などを投与する。勃起障害(ED)の治療
の際には虚血性心疾患の有無を必ず確認する。
糖尿病足病変
• 神経障害、血管障害、外傷、感染症などが複雑に関与して
下肢に潰瘍や壊疽が生ずる。
• 原因や悪化には神経障害による感覚鈍麻が関与している
ことが多い。
• 日常生活における、熱傷、外傷、胼胝、靴ずれなどの予防
および早期発見・早期治療が重要である。
• 足をよく観察し、常に清潔にして、異常があればすぐに受診
するように指導する。
• 爪の変形や白癬菌感染、潰瘍は皮膚科をはじめとする
専門医での治療が望ましい。
糖尿病は動脈硬化性疾患発症のリスクを高める
( / 10,000人・年)
140
心血管疾患死亡数
危険因子:高血圧、高コレステロール血症、喫煙
非糖尿病群
100
糖尿病群
60
20
0
0
1
2
危険因子数
3
<MRFIT(Multiple Risk Factor Intervention Trial) Diabetes Care 16:434-444,1993 より引用>
日本人2型糖尿病患者でも、動脈硬化性疾患、
特に冠動脈疾患の発症頻度は増加している
JDCS
(9年次)
冠動脈疾患
脳卒中
8.8
7.9
(男性10.7. 女性6.8) (男性8.5. 女性7.0)
UKPDS
(対照群/強化治療群)
17.4/14.7
5.6/5.0
(1000人/年あたりのイベント発症数)
<JDCS(Japan Diabetes Complication Study)医学のあゆみ 220:1275-1281,2007
UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)Lancet 352:837-853, 1998 より引用>
血糖コントロールと合併症発症との関連
細小血管合併症の発症は血糖コントロール状態に強く依存するが、
動脈硬化症は軽度の高血糖状態でも発症リスクが高まる
( / 1,000人・年)
合併症発症数
60
冠動脈疾患(心筋梗塞)
細小血管合併症
40
20
0
5.0
6.0
7.0
8.0
HbA1C
9.0
10.0
11.0 (%)
<UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)35. BMJ 321:405-412, 2000 より引用>
冠血管危険因子集積状態= メタボリック
シンドローム
Syndrome X
インスリン抵抗性
耐糖能異常
高インスリン血症
VLDL-TG上昇
HDL-C低下
高血圧
Dr.Reaven 1988
Insulin Resistance
Syndrome
2型糖尿病
高インスリン血症
異常脂質血症
高血圧
肥満
Dr.DeFronzo 1991
Deadly Quintet
耐糖能異常
高TG血症
高血圧
上半身肥満
喫煙
Dr.Kaplan 1989
腹腔内脂肪蓄積症候群
耐糖能異常
高TG血症
HDL-C低下
高血圧
内臓脂肪蓄積
Kylin E: 高血圧・高血糖・高尿酸血症候群
松澤先生 1987
Dr. Kissebah
J.Clin.Endo.
Met. 1982
54:254
Zentralblatt fuer Innere Medizin 44:105-127, 1923
冠血管危険因子集積状態= メタボリック
シンドローム
Syndrome X
インスリン抵抗性
耐糖能異常
高インスリン血症
VLDL-TG上昇
HDL-C低下
高血圧
Dr.Reaven 1988
Insulin Resistance
Syndrome
2型糖尿病
高インスリン血症
異常脂質血症
高血圧
肥満
Dr.DeFronzo 1991
Deadly Quintet
耐糖能異常
高TG血症
高血圧
上半身肥満
喫煙
Dr.Kaplan 1989
腹腔内脂肪蓄積症候群
耐糖能異常
高TG血症
HDL-C低下
高血圧
内臓脂肪蓄積
松澤先生 1987
Dr. Kissebah
J.Clin.Endo.
Met. 1982
54:254
Kurien VA, Oliver MF: Serum-FFA after acute MI and CV occlusion Lancet 2:122-127, 1966
内臓肥満(内臓脂肪)は見かけでは
わからない!?
51
腹腔内脂肪の差異
腹腔内脂肪の差異
メタボ
V:174cm2, S:76cm2
V:260cm2, S:310cm2
V:96cm2, S:209cm2
V:81cm2, S:100cm2
メタボリックシンドローム
内
臓
脂
肪
の
蓄
積
イ
ン
ス
リ
ン
抵
抗
性
高血圧
空腹時高血糖
脂質代謝異常
動
脈
硬
化
症
・糖尿病患者の急性心筋梗塞は、はっきりした
症状がないことが多い(無症候性:非定型的)。
・発症時には冠動脈に多枝病変を有するなど
すでに病変の進行した例が多く、心不全、不整脈
を起こしやすい。
・定期的な心電図評価と共に、原因不明の血糖の
悪化や従来と異なる不整脈の出現などの場合は、
急性心筋虚血を疑い、心電図、心エコー、血液検査
等での評価が必要である。
<冠動脈多枝狭窄病変>
・糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子で、非糖尿病者
の2~4倍高頻度である。
・脳血管障害では、小さな梗塞が多発する傾向があり、
一過性脳虚血発作や軽い麻痺をくり返し、徐々に
認知能力の低下に至る例もある。
・頸動脈エコー、頭部X線CT、頭部MRI等で評価する。
・動脈硬化症の予防・進展防止には、血糖のみならず
血圧、脂質のコントロールが重要である。
<多発性脳梗塞、白質病変>
糖尿病を合併する高血圧の治療計画
130~139/80~89mmHg
140/90mmHg以上
生活習慣病の修正,血糖管理
生活習慣病の修正,血糖管理
と同時に薬物療法
3~6ヵ月で効果不十分
降圧目標130/80mmHg未満
薬物療法
第一選択薬:ACE阻害薬,ARB,長時間作用型カルシウム拮抗薬
効果不十分
薬物用量を増加
他の薬物に変更
他の薬物を併用
効果不十分
3薬物併用
利尿薬がまだ使われていない場合は利尿薬を追加する
(日本高血圧学会・日本糖尿病学会合同ガイドライン検討委員会;高血圧治療ガイドライン2004 より引用)
LDL-コレステロール値と冠動脈イベント発症率との関係
30
25
20
4S - Placebo
Rx – スタチン治療
PRA – プラバスタチン
ATV – アトロバスタチン
2次予防(一度心筋梗塞を起こした人)
4S - Rx
LIPID - Placebo
15
CARE - Placebo
LIPID - Rx
CARE - Rx
1次予防(心筋梗塞をおこしてない人)
HPS - Rx
TNT – ATV10 HPS - Placebo
10
PROVE-IT - PRA
WOSCOPS – Placebo
TNT – ATV80
PROVE-IT – ATV
AFCAPS - Placebo
5
WOSCOPS - Rx
ASCOT - Placebo
ASCOT - Rx
0
40
(1.0)
6
AFCAPS - Rx
60
(1.6)
80
(2.1)
100
(2.6)
120
(3.1)
140
(3.6)
160
(4.1)
180
(4.7)
200
(5.2)
LDL-コレステロール mg/dL (mmol/L)
58
Adapted from Rosensen RS. Exp Opin Emerg Drugs 2004;9(2):269-279
LaRosa JC et al. N Engl J Med 2005;352:1425-1435
リスク別脂質管理目標値
カテゴリー
治療方針の原則
一次予防
まず生活習慣の改善
を行った後、
薬物療法の適応を
考慮する
二次予防
生活習慣の改善とともに
薬物療法を考慮する
脂質管理目標値
LDL-C以外の
主要危険因子*
LDL-C
Ⅰ
(低リスク群)
0
<160
Ⅱ
(中リスク群)
1~2
<140
3以上
<120
Ⅲ
(高リスク群)
冠動脈疾患の既往
HDL-C
TG
≧40
<150
<100
*LDL-C以外の主要危険因子: 加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、
喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dL)
糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。
(日本動脈硬化学会;「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2008年版」より引用)
専門医への紹介



1型糖尿病など、2型糖尿病以外が疑われる
ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧状態など急性合併症
インスリン治療の導入(不慣れな場合)
かかりつけ医
専門医
紹介状への記載項目
 紹介目的
 これまでの治療の経過・内容
 糖尿病合併症の検査結果
かかりつけ医への逆紹介


2型糖尿病で治療方針が確立し病勢が安定
1型糖尿病の場合も安定すれば
かかりつけ医
逆紹介状への記載項目
 治療の経過・内容
 教育の内容
 糖尿病合併症の検査結果
専門医
専門医との連携が必要な場合
- どのような場合に専門医に紹介すべきか
• 1型糖尿病(IDDM)
• 糖尿病性ケトアシドーシスおよび高血糖、高浸透圧状態
• 妊婦および授乳中の女性
• 膵臓全摘出例
• 重症の感染症、大きな外傷、中等度以上の手術
• 重症の肝臓、腎障害の合併例
• 食事療法、運動療法および経口剤を用いても良好なコントロールが
得られない例や、その他インスリン療法が必要な症例(インスリン治
療に不慣れな場合)
• 治療方針がつかない場合。
専門医との連携のタイミング
症状から見て入院が必要と判断される場合
• 脱水が著明で、体重の減少が著しい
• 意識障害を認める。
• 高血糖(300mg/dL以上)で脱水、尿ケトン体陽性の場合
• 肺炎、心筋梗塞など他の疾患を併発して重篤な症状を呈して
いる時。
• 著しく血糖値が低く、昏睡状態にあり、ブドウ糖の投与でも
容易に意識が戻らない場合(通常血糖値は50mg/dl以下)。
• 通院がとても困難と判断される状態。
東京宣言2008
糖尿病(Diabetes Mellitus : DM)は、知らず知らずのうちにあな
たの健康をむしばみ、眼・腎臓・神経の障害に加えて、心筋梗
塞・脳卒中・足壊疽など様々な合併症を引き起こす病気です。
元気に長生きするためには、健康的な食生活(Diet)と適度な運
動(More Exercise)によって、糖尿病(DM)を予防することが大切
です。
あなたとあなたの大切な人のために
STOP the DM - Diet & More Exercise 2008年5月 東京にて
第51回日本糖尿病学会年次学術集会
会長 門脇孝