Transcript 感染症流行予測調査事業から 〜麻疹〜

端 緒


鹿児島県徳之島において、第5週（1月26日）以
降、多数の風疹患者の届け出があった。
6月15日に、感染症情報センターは鹿児島県より、
今後の対応や対策に関する相談をうけた。
IDSC
鹿児島県より得られた情報

第1週から第25週までの徳之島の定点医療機
関における風疹患者に関する情報


3月1日から5月21日までにA診療所を受診し
た患者に関する全数？の情報


IDSC
性、年齢、受診日
ウイルス学的情報


性別、年齢別にまとめられた情報
Ｂ病院
予防接種実施率に関する情報
第1～25週：徳之島の定点医療機関に
おける風疹患者届出数
IDSC
徳之島の定点医療機関における風疹患者
届出数：2004年第1～26週
30
N=177
25
20
届
出
15
患
者
数 10
女 (N=66)
男 (N=111)
5
0
1
IDSC
3
5
7
9
11
13 15
報告週
17
19
21
23
25
徳之島の定点医療機関における
風疹届出患者の性別、年齢別分布：
2004年第1～23週
N=175
80
70
60
届 50
出
患 40
者
数 30
男 (N =109)
女 (N =66)
20
10
0
0-4
IDSC
5-9
10-14
年齢（
歳）
15-19
20-
3月1日～5月21日：A診療所を受
診した患者の情報
IDSC
3/
1
3/
6
3/
11
3/
16
3/
21
3/
26
3/
31
4/
5
4/
10
4/
15
4/
20
4/
25
4/
30
5/
5
5/
10
5/
15
5/
20
A診療所より報告された風疹患者受診数
2004年3月1日～5月21日
7
6
患 5
者 4
3
数
2
1
0
IDSC
N = 99
受診日
男
女
性別、年齢別による患者数の分布
A診療所、2004年3月1日～5月21日
N = 99
18
16
14
12
患 10
者
数 8
男(N =62)
女(N =37)
6
4
2
0
0-9
IDSC
10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70-79
年齢（
歳）
A町における推定風疹発症率
2004年3月1日～5月21日
7.00
6.00
5.00
4.00
発
症 3.00
率
男
女
2.00
1.00
0.00
0-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70-79 80年齢（
歳）
IDSC
A診療所における患者数 (N=99) / A町の性別、年齢別の人口 (N=7355)
ウイルス学的情報
B病院（C町）
IDSC
風疹ウイルス分離例（B病院）
IgM
IgG
No.
年齢
性
発症日
ウイルス
離
1
50
女
3/3
+
-
-
急性期
回復期
急性期
回復期
＊＊
18
女
3/2
+
-
52
女
3/3
+
++
+++
-
++
22
男
3/6
+
-
+++
-
NT
6
31
女
3/7
+
++
++
7
22
女
3/10
+
++
-
47
男
3/8
+
+
9
43
男
3/11
+
-
-
10
24
男
3/10
+
-
-
11
23
女
不明
+
++
-
12
35
男
3/11
+
++
13
32
男
3/17
+
-
2
3
5
8
＊
＊
＊
＊
IDSC
＊＊
＊ペア血清が採取された ＊＊妊娠女性
+++
+++
-
-
-
※他に2名が検査中
NT
NT
予防接種実施率
IDSC
予防接種実施率（％）
12～90ヶ月齢
C町
D町
E町
H15年度
49.0
77.0
83.5
H14年度
41.6
64.8
75.0
H13年度
53.9
64.3
97.0
H15年度
2.9
32.0
0
H14年度
11.7
0
H13年度
20.0
16.0
22.9
経過措置
IDSC
C町
D町
E町
推定予防接種率（％）
12～90ヶ月齢
H15年度
82.3
H14年度
79.3
H13年度
80.4
56.1
81.2
44.0
68.3
45.5
72.1
C町
H15年度
59.3
H14年度
51.7
H13年度
40.8
D町
E町
57.8
52.8
41.9
39.0
36.4
C町
D町
E町
経過措置
IDSC
分母：対象年齢者数 分子：既接種者数＋実施者数
得られた情報のまとめ




徳之島において、第5～25週までに177例の風疹患者の届
出があった。
届出患者は20歳以上の男性が多かった。
3月1日～5月21日に、A診療所を受診した患者の年齢は、
1～73歳（中央値：21歳）であり、C町の人口を元に推定
した発症率は、20から29歳で最も高く、6.42%であった。
B病院を受診した患者12名から、風疹ウイルスが分離さ
れた。
IDSC
地域における風疹と
先天性風疹症候群の発生と対策
IDSC
CRS報告基準
診断した医師の判断（症状や所見から当該疾患の疑い）かつ、
以下の1)と2)の基準を両方とも満たすもの

1)臨床症状による基準
「Ａから２項目以上」or「Ａから１つと、Ｂから２つ以上」or
「Ａの(2)または(3)と、Ｂ(1)」

Ａ．(1)先天性白内障または緑内症 (2)先天性心疾患（動脈管開存、
肺動脈狭窄、心室中隔欠損、心房中隔欠損など） (3)感音性難聴

Ｂ．(1)網膜症 (2)骨端発育障害（Ｘ線診断によるもの） (3)低出生時体重
(4)血小板減少性紫斑病（新生児期のもの） (5)肝脾腫

2)病原体診断等による基準
以下のいずれかの一つを満たし、出生後の風しん感染を除外できるもの

1.風しんウイルスの分離陽性、またはウイルス遺伝子の検出
例、RT-PCR法など

2.血清中に風しん特異的IgM抗体の存在

3.血清中の風しんHI価が移行抗体の推移から予想される値を高く越えて持続
（出生児の風しんHI価が、月あたり1／2の低下率で低下していない。）
IDSC
1999年4月以降に感染症発生動向調査へ
報告された先天性風疹症候群
No.
発生年
報告県
発症年/月
性別
母体のワクチ
接種歴
1
2000
大阪
2000/4
女
無
2
2001
宮崎
2001/1
女
不明
3
2002
岡山
2002/12
男
不明
4
2003
広島
2003/4
女
無
5
2004
岡山
2004/1
女
不明
6
2004
東京
2004/3
女
不明
7
2004
岡山
2004/4
女
有
8
2004
東京
2004/4
男
無
9
2004
東京
2004/2
女
無
IDSC
妊娠中の風疹罹患歴：有6名、不明1名、無2名
居住地域の風疹流行状況
ⅠCRS出生前に地域流行が観察
（人/定点）
1.5
3
先天性風疹症候群
(No.1)
1
先天性風疹症候群
(No.5)
2 .5
2
1 .5
0.5
1
0 .5
0
1
15
29
43
1
15
29
43
1
15
29
43
1
15
29
43
1
15
29
0
43
1
1999
2000
2001
2002
2003
15
29
43
1
15
2003
29
43
2004
3
2 .5
2 .5
2
2
先天性風疹症候群
(No.2)
1 .5
1
先天性風疹症候群
(No.7)
1 .5
1
0 .5
0 .5
0
1
15
29
43
2000
IDSC
1
15
29
43
2001
1
15
29
43
2002
1
15
29
2003
43
0
1
15
29
2003
43
1
15
2004
29
43
II
CRS出生前に小規模の風疹活動
2.5
2
先天性風疹症候群
(No.3)
1.5
1
0.5
0
1
15
29
43
2000
IDSC
1
15
29
2001
43
1
15
29
43
2002
1
15
29
2003
43
（週）
III CRS出生前に風疹の散発のみ
（人/定点）
3
2
2 .5
1.5
先天性風疹症候群
(No.４)
1
2
先天性風疹症候群
(No.8)
1 .5
1
0.5
0 .5
0
0
1
15
29
43
1
15
2001
29
43
1
15
29
1
43
2003 （週）
2002
15
29
43
1
2003
15
29
43
2004
3
2
2 .5
1 .5
先天性風疹症候群
(No.6)
1
2
先天性風疹症候群
(No.9)
1 .5
1
0 .5
0 .5
0
1
15
29
2002
IDSC
43
1
15
29
43
1
15
29
43
0
1
2003
2004
15
2003
29
43
1
15
2004
29
43
岡山県におけるCRIと未報告CRS

先天性風疹感染（CRI）
１．母：ワクチン未接種、妊娠17週感染疑い、抗体価
（HI）上昇、臍帯血IgM陽性、障害無し、発達良好
２．母：ワクチン未接種、妊娠15週感染疑い、抗体価
上昇、臍帯血IgM陽性、障害無し、発達良好
（日本小児科学会雑誌、108(2)：296、2004）

未報告CRS
IDSC