解析を用いて主要な応答パターン求める

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東アジア三極気候偏差パターンとは?
東大気候システム
廣田渚郎、高橋正明
2009/7/27
夏季(6, 7, 8月; JJA)東アジアの27年平均気候場
降水量(青色; mm/day)
Z500の帯状平均からのずれ(赤線; m)
水蒸気フラックス(矢印; kg/ms)
上層の水平風(矢印; 300hPa; m/s)、
気温傾度(青線; 300-1000hPa; K/103km)
渦位傾度
(色; 300hPa; 10-11/ms)
太平洋高気圧、モンスーン、
東シベリアの高気圧、ダブルジェット
気候の年々変動
(例)ENSOと関係する年々変動
変動の空間構造 → 偏差場
JJA(0)のフィリピンの循環偏差と
DJF(-1)のNino3.4の相関は-0.45
フィリピン付近の循環場でコンポジット, Z500 (Wang et al., 2001)
フィリピン、中国・日本、東シベリアの偏差が南北に3つ並ぶ
気候偏差の例
何をしても3極構造?なぜ?
気候変動
大気に対する外部要因(SST, CO2など)
大気の内部プロセス→内部モード?
(ロスビー波, エネルギー変換, 降水プロセスなど)
1958~2002年3-5月インド洋SSTの年々変動
気候モデルのCO2倍増に対する応答
とJJA850hPa流線関数の回帰係数(遠藤, 2005) 降水とZ500と850hPaの水平風(Kimoto, 2005)
梅雨の明瞭・不明瞭でコンポジットをとった
1958~2002年6/11~7/20日のZ850(田上・新野, 2005)
1979~1998年JJA Z500の年々変動
EOF1(Arai and Kimoto, 2007)
低中緯度の偏差の解釈: PJパターン
○西部北太平洋で対流が活発な時、日本が高気圧的。
更にその北東に波列が並ぶ。
○熱帯で励起されたロスビー波として解釈。
(Nitta, 1987; Kurihara and Tsuyuki, 1989など)
高緯度は違う?
3極はPJだけでは
説明できない?
湿潤プロセス?
(Kosaka and Nakamura, 2008)
低・中緯度は類似
順圧エネルギー変換
(Yasutomi, 2003; Kosaka, 2006)
PJパターンの模式図 (Nitta, 1987)
内部モード? (Kosaka, 2006)
東シベリアの高気圧偏差に関する研究:
○北東風偏差(やませ)が北日本に冷夏をもたらす。
(Ninomiya and Mizuno, 1985; Nakamura and Fukamachi, 2004など)
○北から南への影響? (Tachibana et al. 2004)
エネルギー変換
(Sato and Takahashi, 2007)
非線形プロセス
(Arai and Kimoto, 2007)
PJとは違う?
Z500偏差[m]
1958~1998年7月の年々変動
(Tachibana et al., 2004)
内部モード?
(Sato and Takahashi, 2007)
目的:
(1) 3極気候偏差パターンとは?
PJパターン、東シベリアの高気圧との関係?
(2) 3極構造は何が決める?
内部力学?東アジアの気候場の特徴?
手法:
データ解析(JRA再解析、CMAP、1979-2005年)
数値実験(湿潤プロセスを含む線形プリミティブモデル←自作)
§1. 3極構造を持つ変動パターンの抽出
アジア域、1979~2005年JJA平均の降水量とZ500のSVD第1モード
SVD1のスコア時系列
SVD1の説明する割合は59%
(SVD2は12%で、
統計的に分離できている; North et al. 1982)
1標準偏差
相関: ENSOは-0.51、インド洋は-0.66
Z500[m]
3極偏差パターンは
主要な変動パターン
回帰係数(×1標準偏差)
降水量[mm/day]
黒枠平均の降水量の
灰色の線は95%の有意水準
年々変動と相関0.771
§2. 3極偏差パターンに関わる内部プロセス(の一部)
気候場から偏差場への
エネルギー変換項とWAF(1000-300hPa)
(再掲)上層の気候場
(再掲)下層の気候場
(Yasutomi, 2003など)
+ ...
§3. 一様強制実験: 内部モード?
(内部プロセスと関係して3極構造が頻繁に現れる?)
実験手順
(1)北半球一様の206点の外部強制に対する湿潤の線形応答を求める。
(2)SVD解析を用いて主要な応答パターン求める。
→内部プロセスによって決まる応答パターンを求める。
[K/day]
強制は北半球一様に分布
熱
[10-8kg/(kg・s)]
水蒸気
[10-10/s2]
渦度強制
(cf. Jin and Hoskins, 1995; Yasutomi 2003)
… (206 個の応答)
得られた現れ易いパターン(SVD1; 説明割合52%)→3極構造
Z500
(再掲)観測の3極構造
SVDのスコア
[標準偏差を1として]
[m]
→いろいろな地域の強制に対し、
東アジア域において同じ内部プロセスが働くため、
頻繁に3極気候偏差パターンが現れる
と考えられる。
まとめ
(1) 3極気候偏差パターン
は東アジア域の
主要な変動パターン
(2) 東アジアの気候場で
働く内部プロセスが
3極構造を決める
(a) 北や南の
エネルギー変換
偏差の強化、維持
(b) 湿潤プロセス
(c) ロスビー波
→ 南北の広い地域へ影響
→東アジア域の内部モードと解釈できる。
基本場からエネルギー変換:
気候場と特徴と関係する特定の位置
で偏差場がエネルギーを受け取る
(Sato and Takahashi, 2007)
1000-300hPa平均
(Yasutomi, 2003など)
矢印:
乾燥の現れ易い応答(説明する割合は23%; 第2モードは14%)
[m]
[標準偏差]
Z500と300hPaのWAF
SVDのスコア
[10-6m2/s
乾燥では3つの偏差の位置などが変わる。
↓
湿潤と乾燥の違いは3.2節で詳しく述べる。
(一様強制実験で定義した偏差場は、
各点の重みが異なるので比較が難しい。)
などで、線形化した渦度方程式は、
等値線の様な、楕円形・傾いた渦度は、
非線形渦度フラックスの収束(非線形渦度強制)を伴う。
東西平均
矢印:水平風
等値線:渦度
色:非線形渦度強制
黒線:渦度
赤線:非線形渦度強制
再解析データから見積もった
3極構造に伴う
線形モデルで計算した
非線形強制に対する
非線形渦度強制
Z500応答
1998/8/6の事例
渦度と非線形渦度強制
JJA季節平均のZ500偏差
正の3極偏差パターン
パターンが正と負の
5年間のコンポジット
(30日移動平均で平滑化)
黒は1979-2005年平均気候値
パターンが正: 1980, 1983, 1987, 1993, 1998
負: 1984, 1985, 1986, 1990, 2001
黒枠850hPaの
渦度の年々変動
で定義した偏差