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2009年の経営視界を良好にするヒント
第1部 基調講演 資料
2009年度の経済展望を語る
2009年3月18日
日本銀行神戸支店
清水紀男
1
1.はじめに
世界経済は新興国や資源国の高い成長に支えられ
07年まで高めの成長を続けてきた
8
7
6
5
4
3
2
1
0
-1
-2
米国
EU
中国
ASEAN4
その他
世界計
NIEs
IMF予測
84年 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
(注)IMF「World Economic Outlook」のGDP成長率を、わが国の通関輸出ウエイトで積み上げたもの
2
日本経済も2002年2月以降、2%程度の成長が続き
07年10月まで戦後最長の景気拡大局面を享受してきた
(前年比、%)
14
12
景気後退期
に局 戦
終面 後
息は 最
0長
7の
年景
1気
0
月拡
大
景気拡張期
10
8
6
岩
戸
景
気
4
2
い
ざ
な
ぎ
景
気
オ
リ
ン
ピ
ッ
ク
景
気
0
-2
バ
ブ
ル
景
気
-4
56
58
年度
60
62
64
66
68
70
(資料)内閣府「国民経済計算」
72
74
76
78
80
82
84
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
3
06
日本経済は08年4~6月期からマイナス成長へ、
10~12月期は年率△12.1%と第一次石油ショック時
に次ぐ戦後2番目の大幅減少を記録した
【日本経済の実質成長率】
2.0
(季調済前期比、寄与度、%)
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
民間需要
-2.0
公的需要
-2.5
純輸出
-3.0
実質GDP
-3.5
-4.0
0 0 年
0 1
0 2
(資料)内閣府「国民経済計算」
0 3
0 4
0 5
0 6
0 7
0 8
4
IMF見通しでも先進国の金融危機を一つの契機とした
景気後退により09年に日米欧は同時にマイナス成長へ
【IMF世界経済見通し 実質成長率:%<09/1公表>】
2008 年
2009 年
世 界
3.4(△0.3)
0.5(△1.7)
日 本
△0.3(△0.8)
△2.6(△2.4)
米 国
1.1(△0.3)
△1.6(△0.9)
ユーロ圏
1.0(△0.2)
△2.0(△1.5)
英 国
0.7(△0.1)
△2.8(△1.5)
中 国
9.0(△0.7)
6.7(△1.8)
インド
7.3(△0.5)
5.1(△1.2)
ロシア
6.2(△0.6)
△0.7(△4.2)
ブラジル
5.8(+0.6)
1.8(△1.2)
(注)かっこ内は2008年11月の見通しからの修正幅
(資料)IMF「World Economic Outlook」
5
日本銀行「当面の金融政策運営について(09/1月
公表)」では政策委員の経済見通しは一段と慎重化
【日本銀行政策委員の大勢見通し】
――前年比、% 〈 〉は中央値
2008 年度
10 月時点の見通し
2009 年度
10 月時点の見通し
2010 年度
10 月時点の見通し
実質GDP
国内企業物価指数
-2.0~-1.7
+3.0~+3.2
<+3.1>
消費者物価指数
(除く生鮮食品)
+1.1~+1.2
<+1.2>
+4.3~+4.8
<+4.6>
+1.5~+1.6
<+1.6>
-7.0~-6.0
<-6.4>
-1.2~-0.9
<-1.1>
-1.4~-0.4
<-0.8>
-0.2~+0.2
< 0.0>
-1.5~-0.8
<-0.9>
-0.3~+0.5
<+0.3>
-0.6~ 0.0
<-0.4>
+0.1~+0.5
<+0.3>
<-1.8>
+0.1~+0.2
<+0.1>
-2.5~-1.9
<-2.0>
+0.3~+0.7
<+0.6>
+1.3~+1.8
<+1.5>
+1.5~+1.9
<+1.7>
(資料)日本銀行「当面の金融政策運営について」(09年1月)
6
09/1~3月の実質GDPが08/10~12月と同じく年率
-12.7%減少すると仮定した場合、2008年度のGDP
は-3.1%で着地。その前提のうえで、09/4~6月以降
について仮定を置き、2009年度の実質GDPを機械的
に計算すると下表のとおり
【2009年度の実質GDPに関する仮定計算】
――2009年度は対前年度比、四半期は年率前期比 %
09/4~6 月
7~9 月
10~12 月
10/1~3 月
2009 年度
ケース1
±0.0
±0.0
±0.0
±0.0
-4.3
ケース2
-6.4
±0.0
±0.0
±0.0
-5.9
ケース3
-6.4
-3.2
±0.0
±0.0
-6.5
ケース4
-6.4
-3.2
-1.6
±0.0
-6.7
(資料)日本銀行神戸支店作成
7
2.世界経済が急速に減速した背景
今回の世界経済減速の特徴は「急速」かつ「同時」である
点だがその背景には下記のような仮説が考えられる
(仮説1)金融資本市場のグローバル化
(仮説2)サプライチェーン・マネジメント等の情報
通信分野での技術革新の影響
(仮説3)未曾有の世界同時の景気減速や金融市
場の動揺に直面し世界的に不安心理や防衛的
行動が広がり、これが景気をさらに落込ませた
8
もっとも世界的な景気減速自体は、これまでも世界
経済は高成長の直後に調整局面を経験しており、
今回もそのひとつであると理解すべきもの
7
(前年比、%)
IMF予測
6
5
4
3
2
海外経済成長率
1
1971~2007年の平均(4.1%)
0
71 年 73
75
77
79
81
83
85
87
89
91
93
95
(注)1. 各国のGDP成長率を、わが国の通関輸出ウエイトで積み上げたもの。
2.各国のGDP成長率は、1979年以前は国際連合、それ以降はIMFの計数。
(資料)IMF「World Economic Outlook」、財務省「外国貿易概況」、
国際連合「National Accounts Main Aggregates」等
97
99
01
03
05
07
09
9
04年~07年の世界経済の5%前後の高い成長は
持続可能なペースを超えていた可能性が高く、長期間
に亘り現在世界が直面している不均衡が蓄積された
世界的に
低金利
状態が長期化
世界経済は
長期間
高成長を持続
新興国が
市場経済
に参入
低インフレ
の実現
インフレなき
持続的成長
への楽観論
長期間
不均衡が
蓄積
供給能力の増加から
物価上昇率が低下
10
長期の金融緩和が信用(クレジット)バブルを成長させた
資産価格の上昇
(
特に住宅価格)
長期に
わたる
金融緩和
期待の
強気化
良好な経済・
金融
環境の長期化
市場参加者
の規律
・
リスク評価
の緩み
高い
レバレッジ
信用の膨張
11
米国では過剰消費により経常赤字が拡大した一方、日本・
新興国等では米国向け輸出伸長から経常黒字が拡大、
米英の経常赤字は新興国等の経常黒字により賄われた
【経常収支の不均衡拡大】
1.2
1.0
(兆ドル)
米国
英国
0.8
欧州('97-)
日本
0.6
アジア新興国
資源国('92-)
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1.0
90 年 92
94
96
98
(注)欧州はユーロ圏とスイス、資源国は中東・ロシア・ラ米。
(資料)IMF「WEOデータベース」
00
02
04
06
12
現在は信用(クレジット)バブルが弾け、米国住宅価格の
急低下に象徴される急速な信用収縮が進行している過程
資産価格の下落
(
住宅価格、株価等)
金融機関
負の循環
資産内容
悪化
逆資産
効果
弱気化
レバレッジ
の引き下げ
景気減速・
後退
信用の収縮
資金調達
困難化
中央銀行の
積極的な
流動性供給
13
米国のサブプライム・ローン問題は住宅価格の急速な
低下とローンの延滞率上昇を招き帰趨がみえない状況
【住宅価格と住宅着工】
14
【延滞率】
(季調済年率換算、万戸)
(前年比、%)
250
12
230
10
210
8
190
6
170
4
150
2
130
0
110
-2
90
20
(%)
16
12
全体
プライム
サブプライム
8
4
住宅価格(OFHEO指数、左目盛)
-4
70
住宅着工件数(右目盛)
-6
50
98 年 99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
0
98 年 99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
14
(資料)Bloomberg、Standard&Poors
本来であれば資源配分の効率化に資する「証券化」で
あるが、今回はリスクを過小評価した原資産が含まれ、
世界中の投資家に拡散したため問題を深刻化させた
裏付となる資産
裏付となる資産の
購入代金
証券化商品の
購入代金
証券化商品の
購入主体
住宅ローン
銀行
証券化の器
自動車
ローン
裏付となる
証券会社
証券化商品
資産の
集まり
年金基金
不動産
裏付となる資産
からの収益
証券化商品
からの収益
流動性補完
銀行
格付機関
証券化商品の信
用度合を評価し
て「格付」を行う
15
この結果金融セクターの損失額見通しは急激に拡大した
残高
貸出関連(米国)
住宅ローン(サブプライム)
2007年
1 0 月時点
(1 0 億ドル)
2008年
2008年
4 月時点
1 0 月時点
1 2 ,3 7 0
40
225
425
900
40
75
85
住宅ローン(プライム)
3 ,8 0 0
-
40
85
商業用不動産向け
2 ,4 0 0
-
30
90
消費者ローン
1 ,4 0 0
-
20
45
企業向け
3 ,7 0 0
-
50
110
720
980
証券化商品
1 0 ,8 4 0
200
09年1月
貸出・証券化商品合計
2 3 ,2 1 0
240
945
1 ,4 0 5
2,200
へ修正
出所:IM F ,G lo b alF in an cialS tab ility R ep o rt (O cto b er 0 7 ,A p ril0 8 an d O cto b er 0 8 )
16
国際金融資本市場では、米欧金融機関の損失拡大、
実体経済の悪化の中で緊張感の高い状況が続いている
【社債(A格)と国債の利回り格差】
700
【インターバンクレートと3ヵ月物短期国債の利回り格差】
(bps)
600
500
米国
米国
400
欧州
500
(bps)
欧州
日本
日本
300
400
200
300
100
200
0
100
0
05/1月 05/7
06/1 06/7
07/1
07/7
08/1
08/7
09/1
(注)社債利回りは、日本は5年物。米国、欧州は3~5年物。
(資料)日本相互証券、日本証券業協会、メリルリンチ、Bloomberg
-100
05/1 月05/7
06/1
06/7
07/1
07/7
08/1
08/7
09/1
17
米欧金融機関の貸出態度は全般的に急速に慎重化、
企業や個人の資金繰りは極めてタイトな状況となっている
【米 国】
100
【欧 州】
(%ポイント)
70
(%ポイント)
60
80
50
商業用不動産向け
60
大企業向け
40
40
20
0
慎重化
↑
30
慎重化
↑
個人向け
20
10
↓
積極化
0
↓
積極化
-20
-10
大企業・中堅企業向け
個人向け
-40
-20
01 年
02
03
04
05
06
07
08
09
年
03 年
(注)貸出基準D.I.は、「タイト化した先の比率」-「緩和した先の比率」
(資料)FRB”Senior Loan Officer Opinion Survey on Banking Lending Practices”
ECB”The Euro Area Bank Lending Survey”
04
05
06
07
08 年
09
18
国際金融市場の動揺の影響は広範化・深刻化し、
実体経済との間に負の相乗作用を起こしている
「流動性の逼迫」
「信用収縮」
サブプライム住宅
ローン問題の表面化
↓
住宅ローン証券化
商品の価格下落
↓
CDOなどの証券化
商品全般の価格下落
金融機関の損失
拡大
↓
貸出姿勢厳格化
「資本市場、
資産価格、
実体経済の負
の相乗作用」
米国大手金融
機関の経営へ
の懸念の高まり
欧州金融機関
への波及
19
しかし今回と1929年の世界大恐慌との違いは当時の
反省に立って様々な対応が進められている点にある
世界大恐慌・・・1929年10月24日のニューヨーク証券取引所の株価
暴落をきっかけに世界規模に拡大した金融恐慌
世界大恐慌の事態悪化に拍車を掛けた要因
 多くの金融機関の破綻に対して有効な対策が打たれなかった
 財政・金融政策が緊縮的に運営された
 各国で保護貿易主義が台頭した
現在は、各国政府や中央銀行、金融機関自身の努力
などによって、様々な対応が進められてきている
流動性供給、金融機関への資本注入、積極的な
財政・金融政策、自由貿易体制の維持 など
米国議会のバイ・アメリカン指向等には要注意!
20
この間、規制強化と規制緩和の間で揺れ動く世界にあって
「懺悔する日本人」と「現実的な米国人」の姿は対照的
中谷巌氏:「資本主義はなぜ自壊したのか」
ローレンス・サマーズ 国家経済会議(NEC)委員長の変節or現実主義
規制強化
安 定
規制緩和
イノベーション
21
オバマ大統領就任演説でもバランスの
とれた現実主義の考え方が垣間見られる
• 「一部の強欲で無責任な人のせいだけでなく、
皆が困難な道を選び次の世代に備えることが
できなかった結果、経済はひどく脆弱になって
しまった」
• 「問うべきは、市場が良いか悪いかではない。
富を生み出し自由を拡大する市場の力は無類
のものだ。しかしこの危機は、絶えず注視して
いなければ市場が制御不能になることを再確
認させた」
22
3.日本経済は何故急速に悪化したのか
日本経済は数次の貿易摩擦に直面したが、グローバル化
が進展(先進国に加え新興国向け輸出も急増)した今回
の景気拡大局面ほど輸出に大きく依存した経験はない
【実質GDP成長率への需要項目別寄与度】
(資料)内閣府「2008年版経済財政白書」
23
日本経済に占める輸出のウェイトは、世界経済成長の
恩恵を受け2000年代入り後一貫して上昇していた
6
(前年比、%)
(%)
20
5
18
4
16
実質世界経済成長率
(左目盛)
3
14
IMF見通し
(08/11月) 12
2
1
10
名目輸出/名目GDP
(右目盛)
0
90年 91
8
92
93
94
95
(資料)内閣府「国民経済計算」
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
24
為替が20年来ともいえる円安基調から円高に反転し
たことも加わり、輸出型産業の業績は大幅に悪化した
(1973/3月=100)
円
高
170
165.5
160
150
148.1
140.2
140
130
127.2
120
110
110.1
107.2
106.3
100
90
82.3
91.2
円
安
80
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
(注)1.日本銀行試算値。
2.主要輸出相手国通貨(15通貨、30か国・地域)に対する為替相場(月中平均)を、 当該国・地域の
物価指数で実質化したうえ、通関輸出金額ウェイトで加重平均したもの。
25
日本の産業構造は輸出の落込みが大きい輸送・電気・
一般機械のウエイトが高く、さらに部品・素材の国内
調達比率が高いため、急速な生産調整を余儀なくされた
名目国内総生産に占める製造業の比率
日本
製造業の総需要に占める輸出の比率
米国
製造業の総供給に占める輸入の比率
0%
5%
10%
15%
20%
25%
(資料)内閣府「国民経済計算」、米商務省経済分析局「Industry Economic Accounts」、経済産業省「鉱工業出荷内訳表」
30%
26
昨年前半までの「交易条件悪化に伴う景気減速」から
秋口のリーマンショック以降は「世界経済減速に伴う景気
悪化」へと局面が大きく変わった
6.0
(前年比、寄与度、%)
4.0
2.0
0.0
海外からの所得(純受取)
交易利得
実質国内総生産(GDP)
実質国内総所得(GDI)
実質国民総所得(GNI)
-2.0
-4.0
-6.0
0 0 年
0 1
0 2
0 3
0 4
0 5
0 6
0 7
0 8
(注)内訳は実質国民総所得(GNI)に対する寄与度。
交易利得は以下のとおり定義される。交易利得=名目純輸出/輸出・輸入デフレーターの加重平均-実質純輸出 27
(資料)内閣府「国民経済計算」
長期間の不均衡蓄積に起因した世界経済の減速と
国際金融資本市場の動揺が日本経済を直撃した
新興国の
資源需要が
著しく増大
長期間
不均衡が
蓄積
国際商品市況
高騰
非資源国
の購買力
減少
国際商品市況
下落
内外需要
の減少
物価の
落ち着き
経済活動
の低下
日
本
経
済
世界経済の減速が明確化
信用バブル
不確実性
大
国際金融資本市場の強い緊張状態
28
4.日本経済の現状
輸出は大幅減少となっている(新興国経済への依存度が
高い兵庫・神戸の落ち込みはこれから本格化する惧れ)
【全国】
20
【神戸港】
(前年同期比、寄与度、%)
20
15
15
10
10
5
5
0
0
-5
-5
-10
-10
-15
-20
中国
NIEs・ASEAN
米国
EU
その他
全体
(前年同期比、寄与度、%)
-15
-20
-25
中国
NIEs・ASEAN
米国
EU
その他
全体
-25
∟ 03年 ∟
04
∟
05
∟
06
∟
07
∟
08
∟ 03年 ∟
(注)ASEANは、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア。
(資料)財務省、神戸税関「外国貿易概況」
04
∟
05
∟
06
∟
07
∟
08
29
生産活動をみると、昨秋以降、輸出関連業種(輸送・電
気・一般機械)を中心に前例のない急激かつ大幅な減産
が行われているが、在庫調整の目途は立っていない
140
(季調済、2005年=100)
【賃金決定要因(複数回答)】
生産
130
出荷
在庫
120
在庫率
110
100
90
予測指数
80
70
00 年
01
02
(資料)経済産業省「鉱工業指数統計」
03
04
05
06
0 7
0 8
09
30
設備投資(短観)は08年度から減少に転じており、
09年度は大幅減少が不可避の情勢となっている
【設備投資計画】
【設備投資計画の修正状況】
<全規模・全産業>
(前年度比、%)
04年度 05年度 06年度 07年度
全 産 業
5.5
8.9
9.4
3.6
08年度
(計画)
12.0
(前年度比、%)
10.0
-2.8
8.0
製 造 業
17.7
14.0
13.4
2.9
0.0
大 企 業
18.1
13.9
11.7
4.6
2.4
中堅企業
10.3
21.0
9.2
1.4
-3.7
中小企業
24.2
8.0
25.9
-3.5
-7.6
2.0
0.7
6.5
7.2
4.0
-4.3
0.0
大 企 業
-1.2
3.8
9.1
5.0
-1.7
-2.0
中堅企業
2.3
10.9
6.2
-1.1
-5.3
中小企業
6.4
11.7
1.4
5.1
-13.5
非 製 造 業
6.0
4.0
04年度
06年度
08年度
-4.0
-6.0
3月
6月
9月
05年度
07年度
12月
(3月)
(6月)
実績見込み 実績
(注)06年12月調査については、07年3月調査における調査
対象企業見直し後の新ベースによる再集計結果を併記。
(資料)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
31
生産・受注の減少に企業は対応し切れておらず、
雇用および賃金(賞与中心)の調整はこれからが本番
【新規求人と新規求職】
90
【名目賃金】
(季調済、後方3か月移動平均、万人/月、万件/月)
2
85
(前年比、寄与度、%)
1
80
新規求人数
0
75
-1
70
65
-2
60
-3
55
新規求職申込件数
-4
50
45
00 年 01
02
03
04
05
06
07
08
所定内給与
所定外給与
特別給与
名目賃金
-5
00 年 01
02
(注)名目賃金については、第1四半期:3~5月、第2:6~8月、第3:9~11月、第4:12~2月。
2008/4Qは、12月の前年同月比。
(資料)厚生労働省「職業安定業務統計」「毎月勤労統計」
03
04
05
06
07
08
32
消費者物価の前年比は国際商品市況の高騰を映じて
2%を超え実質的には16年振りの高い上昇を示した後
急速に低下、春頃には前年比マイナスに転化する見通し
2.5
(前年比、寄与度、%)
(前年比、寄与度、%)
公共料金
農水畜産物(除く生鮮食品)
一般サービス
財(除く農水畜産物)
2005年基準
総合(除く生鮮食品)
総合(除く生鮮食品、2000年基準)
総合(除く食料およびエネルギー)
2.0
1.5
1.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.5
0.0
0.0
-0.5
-0.5
-1.0
-1.0
┗
02 年 ┗
03
┗
04
┗
(資料)総務省「消費者物価指数」
05
┗
06
┗
07
┗
08 ┗09 08/1
3
5
7
9
11
09/1
33
個人消費は百貨店売上や乗用車販売等の不振に
象徴されるとおり消費者マインドの大幅後退から
足もと弱い動きとなっている
3.5
3.0
(前年比、寄与度、%)
耐久財
半耐久財
国内家計最終消費支出
120
サービス
非耐久財
(季調済、2005年=100)
(季調済、2005年=100)
85
改善
改善
110
90
100
95
90
100
80
105
70
110
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
消費者態度指数(左目盛)
-0.5
日経消費予測指数(左目盛)
60
-1.0
生活不安度指数(右目盛、逆目盛)
悪化
50
-1.5
0 2 年 0 3
0 4
0 5
0 6
0 7
0 8
115
悪化
120
02 年
03
04
05
06
07
08 09
(注)消費者態度指数(調査客体:全国一般 5,000世帯弱)、日経消費予測
指数(同:首都圏 600人)、生活不安度指数(同:全国 1,200人)はいずれも
消費者意識を尋ねたアンケート調査。
(資料)内閣府「国民経済計算」
(資料)内閣府「消費動向調査」、日本経済新聞社「日経消費予測指数」、
34
日本リサーチ総合研究所「消費者心理調査」
消費者マインドは歴史的にも第1次オイルショック
を下回る未曾有の冷え込みとなっている
【消費者態度指数の長期時系列】
115
(2005年=100)
110
105
100
地
域
振
興
券
消
費
税
導
入
95
90
定
額
給
付
金
改善
85
消
費
税
率
引
上
げ
80
75
70
65
悪化
60
72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
暦年半期
(資料)内閣府「消費動向調査」
35
分譲マンション販売は、地価・建築コスト上昇から雇用・
所得環境の悪化へと背景を変えつつ急速な冷え込み
【新設住宅着工戸数】
140
【マンション販売動向】
(季調済年率換算、万戸)
25
(季調済年率換算、万戸)
(季調済、万戸)
近畿圏(左目盛)
首都圏(左目盛)
期末在庫(首都圏・近畿圏合計、右目盛)
130
2.0
1.8
20
1.6
120
1.4
110
15
1.2
100
1.0
10
90
0.8
0.6
80
5
70
0.4
08
60
0.2
0
0 2年
0 3
0 4
0 5
0 6
0 7
0 8
0 2年
(資料)国土交通省「建築着工統計」、不動産経済研究所「不動産経済調査月報」
0 3
0 4
0 5
0 6
0 7
0 8
0.0
09/1月
36
企業からみた金融機関の貸出態度は、金融市場の混乱
や自己資本の毀損等から厳しい方向に変化している
【日本銀行・短観】
40
【日本政策金融公庫調査】
(「緩い」-「厳しい」、D.I.、%ポイント)
60
(D.I.、%ポイント)
中小企業
50
30
小企業
40
20
30
10
20
10
0
0
-10
-10
-20
-20
全産業・大企業
-30
全産業・中小企業
-30
-40
-40
90
92
94
96
98
00
02
04
06
08
90
92
94
96
98
(資料)日本銀行「企業短期経済観測調査」、
日本政策金融公庫「中小企業景況調査」「全国中小企業動向調査結果(小企業編)」
00
02
04
06
08
37
日本経済の現状を時系列的にまとめると
1.やや過熱していた不動産関連市場の調整
2.交易条件の悪化による海外への所得流出
3.賃金の伸び悩みと個人消費における弱めの動き
4.設備投資の減少
ここに昨年秋口以降は下記の要因が加わる
5.海外経済減速や円高進展による輸出の大幅減少
6.世界の金融資本市場における緊張感の高まり
7.金融と実体経済の負の相乗作用の進行
38
当面の金融政策運営
(政策金利の引き下げ)
政策金利を昨年の10月31日(0.5%→0.3%)、12月19日
(0.3%→0.1%)と2回に亘って引き下げ
(金融市場安定化措置)
米ドル資金供給オペ、補完当座預金制度の導入、
長期国債買入額の増額等
(企業金融円滑化のための措置)
民間企業債務の適格担保範囲の拡大、民間企業
債務を活用した新オペの導入、CP買入、社債買入
39
5.ベンチャービジネスを巡る環境
2008年の国内IPO企業は49社と激減し、市場から調達
した金額は168億円(前年比△70%)に止まる見通し
【IPO社数の推移】
【IPO企業の市場調達金額】
(資料)ベンチャーエンタープライズセンター「2008年ベンチャービジネスの回顧と展望」
40
ベンチャー企業への重要な資金供給者であるベンチャー
キャピタルの投融資額は、VC自身の業況悪化から漸減
しておりその対応にも変化が窺われはじめている
【ベンチャーキャピタル年間投融資額】
【ベンチャーキャピタルの対応変化】
(資料)ベンチャーエンタープライズセンター「2008年ベンチャービジネスの回顧と展望」
41
上場バイオベンチャーの経営状況をみると、研究開発
負担の大きい創薬関連企業を中心に総じて厳しい
バイオベンチャーの特質
①多大な研究開発費用
②製品化まで長い期間
が必要
③VCへの依存度の高さ
現在の厳しい経済環境
を乗り越える早急かつ柔
軟な対応を迫られている
(資料)ベンチャーエンタープライズセンター「2008年ベンチャービジネスの回顧と展望」
42
バイオベンチャーには大学発ベンチャーが多いが、これ
まで失敗した事例の共通点を整理すると以下の通り
• 研究が十分具現化しない段階で起業した
• 収益モデル、販路・生産体制、資金計画、人材計画
などの事業計画が不十分なまま起業した
• 開発が終結する段階になってはじめて販売できる分
野を探し始めた
• 販売チャネルの開拓が十分に詰められていなかった
• 組織管理、人材育成、財務経理、営業等の会社経
営に関する適任者がいなかった
(資料)ベンチャーエンタープライズセンター「2008年ベンチャービジネスの回顧と展望」
43
バイオベンチャーの特質、失敗事例を踏まえ、最近の
厳しい経済情勢のもとで取組むべき課題は以下の通り
• IPOのタイミングの変更・調整や、IPOに拘泥せ
ず内外の大企業と連携することも重要な選択肢
となるなど、従来以上に慎重な成長戦略の構築
や事業環境の変化などを踏まえた柔軟な対応が
必要となってきている。
• 中長期的な事業戦略を策定・評価・見直しができ
る専門的人材の確保やその登用ができる体制の
構築が重要となってきている。
(資料)ベンチャーエンタープライズセンター「2008年ベンチャービジネスの回顧と展望」
44
実際に、厳しい環境のもと、バイオベンチャーの中には
国内外の大手製薬企業との業務提携に乗り出し大きな
成果を挙げるなど、IPOに拘泥せずアライアンスに活路
を見出そうとする動きがみられる
【バイオベンチャーの業務提携の目的】
(資料)ベンチャーエンタープライズセンター「2008年ベンチャービジネスの回顧と展望」
45
以上ご説明してきた通り、現在のような厳しい経
済環境のもとでベンチャーが成功するためには、
これまでにも増して組織管理、人材育成などの
「経営の視点」が極めて重要になってきています。
第2部では、「日本銀行を支える人づくり」と
いった観点も踏まえ、組織の経営に当って日頃
私共が心掛けたいと思っていることをお話したい
と思います。
ご静聴有難うございました
46