ランキング症候群 - 田嶋 規雄 ゼミナール

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Transcript ランキング症候群 - 田嶋 規雄 ゼミナール

ランキング症候群
拓殖大学田嶋ゼミナール
姜
倉田 捧
井上 鈴木 吉田
研究発表の流れ
chapter1 問題認識
chapter2 消費者行動の理解
chapter3 ランキングとは?
chapter4 仮説の導出
chapter5 仮説の検証
chapter6 考察・提案
らんキング3世
2
現状認識
自分で選べず上位に走る『ランキング症候群』
大量生産・大量消費の現代文明。どこに自分がほしいものがあるのか。
人はさまよう。本来は参考指標にすぎないランキングに身をゆだね、
『決めてもらう人』も増えている。
2007年4月16日日経新聞朝刊
ランキングはなぜ情報として重視されるのでしょうか?
3
4
研究発表の流れ
chapter1 問題認識
chapter2 消費者行動の理解
chapter3 ランキングとは?
chapter4 仮説の導出
chapter5 仮説の検証
chapter6 考察・提案
5
購買行動
プロセスモデル
現代?
過去のランキング
①問題認識
②情報収集
③評価・絞込み
④意思決定
⑤使用・再評価
▼きっかけ
気づき
▼候補の抽出
選択観点の把握
▼比較評価
絞込み
▼最終選定
購買意思決定
▼実際の使用
満足度の評価
(平久保. 2005 )
6
購買時におけるリスクと関与
7
購買行動に変化を与える要因
要素
①関与度(買おうとしているものへの興味)
②購買リスク(購入の際どのようなリスクがあるか)
③その他(物理的障害・余裕度・性格)
①関与度②購買リスクが消
費者購買行動の要であり他
の要素に与える根源的なも
のである。
加速要素(+)
関与度
買おうとしているモノへ
の関心や興味の大きさ
購入意思
購買リスク
購入の際どのような
リスクがあるか
(池上・鈴木.2005)
減速要素(-)
8
消費者が物を買う際に考えるリスク
リスクの種類
意味
1
金銭的リスク 商品価格、サーチコスト、維持費、トレーニングコスト
2
機能的リスク
3
物理的リスク 使用上の危険性(刃物、電気、燃焼物、動力を持つ)
4
時間的リスク
配達、設置、立ち上げ、トレーニング、
使用にかかる時間
5
心理的リスク
選択ミスによる心理的苦痛、他人の目を気にする
6
社会的リスク
酒やタバコなど社会的にイメージの悪い商品、服や
靴 などの露出度の高い商品
品質、性能、使用難度、修理のしやすさ
(平久保. 2005 )
9
リスク知覚要因
・商品の種類・特性など
・商品の流行性
・商品の購買形態
・消費者の個人的特性
(神山.1997)
10
購入躊躇の原因
購入者がある製品がほしいが、購買を躊躇する
ことがあるのは、あるタイプの損失を被るという
リスクを冒すということをはらんでいるからである。
( Ted Roselius.1971)
11
リスク低減11の方法
1保証宣伝・・・広告の有名人や、製品の専門家が支持をするブランドを購入する。
2ブランドロイヤリティー・・・過去に使用経験があり、
この経験に満足したものを購入する。
3ブランドイメージ・・・有名ブランドの商品を購入する。
4プライベートテスト・・・民間のテスト会社の承認を得たブランドを購入する。
5店舗イメージ・・・自分自身が好んでいる店舗の商品を購入する。
6フリーサンプル・・・試供品で試してから購入をする。
7返金保障・・・購入後の返金保障が設定してある。
8ガバメントテスト・・・政府がテストし、承認を得たブランドを購入する。
9ショッピング・・・いくつかの店で製品をみたり、ブランドの製品特集記事を
自身で比較し購入する。
10高額製品・・・その製品の中でもっとも高い物を購入する。
11口コミ・・・友達や家族に製品アドバイスをもらい購入する。
( Ted Roselius.1971)
12
研究発表の流れ
chapter1 問題認識
chapter2 消費者行動の理解
chapter3 ランキングとは?
chapter4 仮説の導出
chapter5 仮説の検証
chapter6 考察・提案
13
ランキングの定義
あるカテゴリーに関して単一もしくは複数の項
目からある基準で個人の意見を統合し順位を
つけたもの。
イミダス一部引用
14
ランキングのメリット
・定期的に更新され、順位が変化していく。
・大衆による集合意見情報。
15
ランキングの特徴①
定期的に更新され、順位が変化していく
製品の流行性を捉えられる
リスク知覚を抑えられる
16
ランキングの特徴②
大衆による集合意見情報
客観的な基準が存在しないような消費者の意思決定条件
において集団基準にさらされると消費者はそれに同調する傾向を
示す。
すなわち、たいていの消費者は、仲間集団、友人、知人などが
主要な影響源であり他人の意見に依存している。
Venkatesan,m(1966)
客観的な基準が存在しない時ランキングは有用な影響源になりうる
17
同調効果
情報的影響・・・人は客観的判断の難しい状況「正しくありたい」
という理由により他者の影響を受ける。
規範的影響・・・人は他人に好かれたい、自分が間違っている
と思われたくない、人からネガティブに思われ
たくないという理由により他者の影響を受ける。
(原田.1999)
18
ランキングの効果①
情報的影響+規範的影響
心理的リスクを低減している
19
客観的な判断ができない場合に
リスク低減の役割を果たしている。
20
ランキング効果の続き・・・
21
情報探索
情報探索
情報取得
探索費用
雑
誌
を
買
お
う
服
が
欲
し
い
か
ら
・
・
・
部分効用
取得費用
何
が
い
い
か
な
?
評価費用
こ
の
こ
れ
な
ら
い
い
か
な
?
こ
の
服
こ
こ
は
い
や
だ
な
・
・
情報統合
統合費用
こ
の
服
の
中
か
ら
選
ぼ
う
選択
(阿部.2001)
決定
22
情報探索
探索費用
ラ
ン
キ
ン
グ
見
よ
う
!
何
か
欲
し
い
な
ぁ
。
こ
れ
と
こ
れ
い
い
な
ぁ
。
統合費用
こ
れ
に
し
よ
う
!
ランキング症候群
〔ランキング〕
情報探索
情報取得
部分効用
情報統合
選択
複数の評価軸を一次元に集約する役割がある。
23
ヒューリスティックス
最適解を得ることに必ずしもこだわらないかわりに、
現実的に受け入れ可能な解をできるだけ簡便な方法で
見いだそうとするものである。
(中西,1984)
内部情報探索
ヒューリスティックス
外部情報探索
24
内部情報探索とは
「消費者が自らの経験や受動的な学習により
形成される記憶の中から関連情報を再生すること」
(新倉 2005)
シャンプー欲しいなぁ
でもどれにしようかな
よし、買った!!
以前に使ったシャンプー
25
外部情報探索とは
「自分以外の様々な情報源から情報を探索すること」
(新倉 2005)
シャンプー欲しいなぁ
でもどれにしようかな
よし、買った!!
テレビコマーシャル
26
情報探索
ヒューリスティックス
探索費用
情報探索
取得費用
情報取得
評価費用
部分効用
統合費用
情報統合
選択
経験、信念
27
ランキングの効果②
複数の評価軸を一次元に集約+情報として重視
ヒューリスティックス
28
研究発表の流れ
chapter1 問題認識
chapter2 消費者行動の理解
chapter3 ランキングとは?
chapter4 仮説の導出
chapter5 仮説の検証
chapter6 考察・提案
29
ランキングのまとめ
リスク低減+ヒューリスティックス!
30
リスク低減+ヒューリスティックス
•
•
•
•
•
•
保証宣伝
ブランドロイヤリティー
ブランドイメージ
店舗イメージ
口コミ
ランキング
31
ランキングの性質
情報探索
製
品
属
性
内部
外部
重
視
ブランドロイヤリティー
ブランドイメージ
口コミ
保証宣伝
非
重
視
店舗イメージ
ランキング
32
製品属性とは
「製品の性能、デザイン、スタイル、色、値段など」
(井上 1996)
製品属性を考慮する
赤い靴下欲しいなぁ
製品属性を考慮しない
何色の靴下でもいいや
33
属性重視する=高関与
情報
精緻化の動機
精緻化の能力
認知的処理
態度
属性を重視しない=低関与
情報
精緻化の動機
精緻化の能力
周辺的処理
態度
※精緻化とは積極的に考えようとすることである。
(R.E.Petty,Cacioppo 1986)
34
内部情報探索
シャンプー欲しいなぁ
でもどれにしようかな
前にも使ったから
きっといいだろう!
成果がわかる
以前に使ったシャンプー
外部情報探索
シャンプー欲しいなぁ
でもどれにしようかな
テレビコマーシャル
初めて使うけど
どうだろう?
成果が
わからない
35
ランキングの性質
購入前に成果が
わかる
高
関
与
ブランドロイヤリティー
ブランドイメージ
低
関
与
店舗イメージ
わかりにくい
口コミ
保証宣伝
関
与
ランキング
36
仮説
低関与で成果が購入前に
わかりにくいときにランキングは
情報源として重視される。
37
研究発表の流れ
chapter1 問題認識
chapter2 消費者行動の理解
chapter3 ランキングとは?
chapter4 仮説の導出
chapter5 仮説の検証
chapter6 考察・提案
38
調査概要
• 調査対象:学生中心
(13歳~52歳)
• アンケート調査
:サンプルサイズ351
(有効回答数349)
男性157、女性192
• 調査期間:12月中旬
年齢
度数
パーセント
13-17
10.0
2.8
18-22
239.0
68.1
23-29
74.0
21.1
30-39
20.0
5.7
40以上
4.0
1.1
347.0
98.8
合計
欠損値
1.1
• 分析方法:回帰分析
39
消費者分類の軸
例えば・・・
成果
高
関
与
わかる
わかりにくい
デジタルカメラ
香水
フレグランスボディスプレー
ペットボトル飲料
レンタルDVD
関
与
低
関
与
40
アンケート(五段階尺度)
質問3:あなたが以下の商品を購入後、期待はずれ(期待以上または期待以下)
になることがあると思いますか。
成果のわかりにくさを計る尺度
質問4:あなたが以下の商品を購入する場合、どの程度失敗したくないと思いますか。
関与を計る尺度
質問5~8:『製品』について、下記の情報についてどの程度重視しますか。
保証宣伝
ブランドロイヤリティー
ブランドイメージ
どの情報を重視するのかを計る尺度
店舗イメージ
口コミ
ランキング
41
仮説の検証
係数a
モデル
1
非標準化係数
B
標準誤差
3.521
.060
(定数)
低関与×成果
のわかりにくさ 2.368E-03
標準化係
数
ベータ
.007
.009
t
58.395
有意確率
.000
.323
.746
a. 従属変数: ランキング
有意ではない
低関与と成果のわかりにくさでは
ランキングの重視に関係は見られなかった。
42
別々に検証
係数a
非標準化係数
モデル
B
標準誤差
1
(定数)
3.373
.110
成果のわかりにくさ
.122
.030
低関与
-7.999E-02
.027
a. 従属変数: ランキング
標準化係
数
ベータ
.107
-.078
t
30.554
4.035
-2.934
有意確率
.000
.000
.003
1%水準で有意
※関与度を一定とした場合、成果のわかりにくさとランキングには
関係がある。
有意ではない
※関与度を一定とした場合、高関与のときランキングに関係がある。
43
支持されなかった理由
• 成果に関してはランキングに対する影響は確
認できたが、関与に関して高い低いに関係なく
使用される。
• アンケートで的確に質問ができていなかった。
影響の度合いの区別ができていなかった。
(参考程度に使うのかダイレクトに重視される
のか?)
44
製品別の関与と成果
デジタルカメラ
香水・フレグランス
ボディースプレー
4.60
3.73
2.66
2.90
3.02
3.36
2.73
3.14
ペットボトル飲料
レンタルDVD
45
製品別平均値
香水・フレグランス
ボディースプレー
デジタルカメラ
平均値
ブランド知名度
ランキング
口コミ
ブランドロイヤリティー
店舗イメ ージ
保証宣伝
3.83
3.67
3.48
3.33
2.79
2.29
平均値
ブランド知名度
ブランドロイヤリティー
ランキング
口コミ
店舗イメ ージ
保証宣伝
平均値
ブランドロイヤリティー
口コミ
ランキング
ブランド知名度
保証宣伝
店舗イメ ージ
ペットボトル飲料
3.84
3.33
3.30
3.00
2.41
2.38
3.55
3.49
3.39
3.25
2.80
2.44
平均値
ランキング
口コミ
ブランドロイヤリティー
ブランド知名度
保証宣伝
店舗イメ ージ
3.78
3.63
2.97
2.74
2.63
2.59
レンタルDVD
46
研究発表の流れ
chapter1 問題認識
chapter2 消費者行動の理解
chapter3 ランキングとは?
chapter4 仮説の導出
chapter5 仮説の検証
chapter6 考察・提案
47
学術的貢献
今までランキングが主になっている研究分野は
少なく、ランキングといっても漠然としていてなぜ
情報源として重視するのか、実態が良くわからな
かったが、それをリスク低減とヒューリスティックス
により理論的に説明できた。
48
実務的貢献(ランキング化の提案)
ランキングには客観的な基準が存在しない時
意思決定の手助けをする機能がある
例えば・・・
ファミリーレストランのメニュー・BEST5を掲載
・メニューが安価で気軽に利用できる=低関与
・味やボリュームがわからない=成果がわかりにくい
49
今後の展望
• どの人がランキング症候群か区別するため
の検証をして、もう少し具体的に重視される
場面を導き出す必要がある。
• ランキングの特徴に関しては説明したが、
なぜランキング症候群になってしまったのか
を検証する必要がある。
50
研究の整理
Chapter1~問題認識
ランキング症候群と問題提起
Chapter2~消費者の購買行動理解
リスクの知覚と低減方法
Chapter3~ランキングとは?
ランキングの定義と特徴と効果(ヒューリスティックス+リスク低減)
Chapter4~仮説の導出
ランキングを性質からみたリスク低減との分別と仮説
Chapter5~仮説の検証
調査概要と検証。仮説の支持されなかった。
Chapter6~考察と提案
貢献と課題
51
参考文献
・日経新聞朝刊 2007年4月16日
・平久保仲人(2005)
『消費者行動論 : なぜ、消費者はAではなくBを選ぶのか? 』ダイヤモンド社
・神山進(1997 )消費者の心理と行動 : リスク知覚とマーケティング対応 中央経済社
・ 池上孝一, 鈴木敏彰(2005)『顧客理解の技術 : 変化を先取りし、価値を創造する』
ファーストプレス
・『イミダス : 情報・知識 』(2007)集英社
・原田純治 (1999) 『社会心理学 : 対人行動の理解』ブレーン出版
・阿部周造(2001)『消費者行動研究のニュー・ディレクションズ 』関西学院大学出版会
・中西正雄(1984) 『消費者行動分析のニュー・フロンティア』誠文堂新光社
・Ted Roselius(1971) 『Consumer Rankings of Risk Reduction Methods 』Journal of Marketing,
Vol. 35, pp. 56-61
・井上崇通 (2001)『マーケティング戦略と診断 』同友館
・新倉貴士 (2005)『消費者の認知世界 : ブランドマーケティング・パースペクティブ 』
千倉書房
・Venkatesan,m.(1966)『Experimental study of Consumer Behavior Conformity and
Independence.』 Journal of Marketing Research,3,384-387
・R.E.Petty,Cacioppo(1986)『Communication and Persuasion : Central and Peripheral Routes
to Attitude Change Springer』
52
バ
イ
バ
イ
53