放射線診療従事者に関係する法令

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Transcript 放射線診療従事者に関係する法令

長崎大学病院
平成23年度 研修医オリエンテーション
放射線診療従事者に
関係する法令・規則
先導生命科学研究支援センター
松田
尚樹
放射線診療を行うとき
あなたには次の法令が適用されます
 医療法(厚生労働省)
 医療を提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の
保持に寄与する。
 労働安全衛生法(厚生労働省)
 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、
快適な職場環境の形成を促進する。
 放射線障害防止法(文部科学省)
 放射線障害を防止し、公共の安全を確保する。
放射線診療で用いるものは
法令では次のように定義されます(1)
 エックス線装置
 管電圧10kV以上、エネルギー1MeV未満
 一般撮影、CT、血管造影、透視
 診療用高エネルギー放射線発生装置
 1MeV以上のエネルギーを有する電子線またはエック
ス線の発生装置
 放射線治療(ライナック、RALS)
人工的に
放射線を
発生する
放射線診療で用いるものは
法令では次のように定義されます(2)
 診療用放射線照射装置
 3.7GBqを超える密封放射性同位元素を装備した放射
線照射機器
 血液照射装置
 診療用放射線照射器具
 3.7MBqを超え3.7GBq以下の密封放射性同位元素を
装備した放射線照射機器
 密封小線源
放射性
 診療用放射性同位元素
同位元素
 密封されていない放射性医薬品
を用いる
 核医学診断、治療室
放射線診療に用いるものによって
適用法令は異なります
医療法
エックス線装置
診療用高エネルギー放射線発生装置
診療用放射線照射装置
診療用放射線照射器具
診療用放射性同位元素
労働安全
衛生法
放射線障害
防止法
長崎大学病院で放射線診療を行うとき
次の学内規則が適用されます
 長崎大学



安全衛生管理規則
放射性同位元素等安全管理規則
診療用エックス線装置放射線障害防止管理規則
 長崎大学病院

放射線障害予防規程
法令・規則で重要なポイント
 管理区域
 放射線業務従事者
 教育訓練
 健康診断
 被ばくモニタリング
管理区域
管理区域
医療法
労働安全衛生法
放射線障害防止法
管理区域
 外部放射線の線量が1.3mSv/3月間を超えるお
それがある

外部被ばくの可能性
 空気中の放射性同位元素の濃度が規定値以上に
なるおそれがある

内部被ばくの可能性
 放射性同位元素によって汚染されるものの表面
の放射性同位元素の密度が規定値を超えるおそ
れがある

外部被ばく、内部被ばくの可能性
長崎大学病院内の管理区域
 放射線部







RI検査室
RI病室
ライナック、RALS室
一般撮影室
CT室
血管造影室、透視室
PET-CT室
 排気設備、排水設備
 光学診療部

X線使用(透視)室
 輸血部

血液照射室
 手術部


放射線照射器具使用室
X線使用室
 病棟

一時的管理区域
放射線業務従事者
放射線業務従事者
 放射性同位元素または放射線発生装置の取扱い、
管理またはこれに付随する業務に従事するもので
あって、管理区域に立ち入るもの

放射線障害防止法施行規則第1条
 管理区域内において放射線業務に従事する労働者
 電離放射線障害防止規則第4条
 【放射線診療従事者】
エックス線装置等の取扱
い、管理またはこれに付随する業務に従事するも
のであって、管理区域に立ち入るもの

医療法施行規則第30条の18
How to be a 放射線業務従事者?
 教育訓練
 健康診断
教育訓練
教育訓練
適用法
教育訓練の内容
教育時期
医療法
規定なし
労働安全衛
生法
透過写真撮影業務特別教育 エックス線装置またはガンマ
線照射装置を用いる透過写真
(4科目、4時間30分)
撮影業務に労働者を就かせる
とき
放射線障害
防止法
初心者教育(4項目、6時
間)
初めて管理区域に立ち入る前
再教育(4項目)
管理区域に立ち入ったあと1年
を超えない期間ごと
長崎大学病院における教育訓練
 労働安全衛生法に準拠するもの
 長崎大学診療用エックス線装置放射線障害防止管理
規則第11条
放射線の人体に与える影響
放射線の危害防止に関すること
エックス線装置の取扱に関すること
電離則等の関係法令およびこの規則の周知
長崎大学病院における教育訓練
 放射線障害防止法に準拠するもの
 長崎大学病院放射線障害予防規程第34条
放射線の人体に与える影響
30分
放射性同位元素または放射線発生装置の安全取扱い
4時間
放射性同位元素及び放射線発生装置による放射線障
害の防止に関する法令
1時間
放射線障害予防規程
30分
この教育を受けたあなたは
 労働安全衛生法に適合します。
 X線透過撮影業務に必要な教育を受けたことになります。
 放射線障害防止法には内容と時間数が不足する
ため適合しません。


放射線障害防止法の規制対象となる診療業務を行なう
場合には、追加講習が必要です。
長崎大学先導生命科学研究支援センターや他大学の放
射線施設で、研究用に放射線発生装置や放射性同位元
素を用いる場合には、再度、すべての内容を受講して
ください。
健康診断
健康診断
適用法
時期
医療法
規定なし
労働安全衛生法
雇入れ又は当該業務に配置替えの際
その後6月以内ごとに1回
放射線障害防止法
初めて管理区域に立ち入る前
管理区域に立ち入った後は1年を越えな
い期間ごと
健康診断
適用法
問診内容
労働安全衛生法
1. 被ばく歴の有無
2. 自覚症状の有無
3. 被ばく歴を有するものについては、作業の場所、
内容及び期間、放射線障害の有無その他放射線
による被ばくに関する事項
放射線障害防止法
1. 放射線の被ばく歴の有無
2. 被ばく歴を有するものについては、作業の場所、
内容、期間、線量、放射線障害の有無その他放
射線による被ばくの状況
健康診断
適用法
検査または検診内容
管理区域立入前
労働安全 1.
衛生法
2.
3.
4.
放射線障 1.
害防止法
2.
3.
管理区域立入後
白血球数及び白血球百分率
赤血球数及び血色素量又はヘマト
クリット値
白内障(使用する線源の種類等に
応じて省略可)
皮膚
医師が必要と認める場合、左記項目
末しょう血液中の血色素量又はヘ
マトクリット値、赤血球数、白血
球数及び白血球百分率
皮膚
眼(医師が必要と認める場合)
前年1年間に受けた実効線量が5mSv
を超えず、かつ、当該健康診断後の1
年間にうける実効線量が5mSvを超え
るおそれのないものに対して、医師が
必要と認めないときは左記検査は要し
ない。
長崎大学病院における健康診断
 6月に1回実施します
 長崎大学医学部・歯学部付属病院放射線障害予防規
程第3条
 問診票を必ず提出してください
 血液検査を必ず受けてください
放射線業務従事者が守るべきこと
 教育訓練の受講
 1年に1回
 再教育として毎年1月~2月に実施
 健康診断の受診
 6月に1回
 血液検査
 被ばくモニタリング
 放射線業務従事者として登録されたのち配布さ
れる個人被ばく線量計を用いる
被ばくモニタリング
被ばくモニタリング(1)
 放射線診療業務を行うときは、必ず個人被ばく
線量計を装着する。

ガラスバッジ

ガラスリング
被ばくモニタリング(2)
被ばくモニタリング(3)
 個人報告書により被ばく線量が線量限度を
超えていないことを毎月確認する
実効線量限度(放射線業務従事者)
 100mSv/5年
 ただし50mSv/年を越えないこと
 妊娠可能な女子の場合の特例

5mSv/3月
等価線量限度(放射線業務従事者)
 皮膚
500mSv/年
 水晶体
150mSv/年
 妊娠中の女子の腹部
2mSv/妊娠期間
放射線の人体影響
放射線防護の観点からの区分
頻度 100
(%)
 確定的影響
 しきい値を越えて被ばくした場合に
現れる
 確率的影響
 しきい値が存在せず、線量の増加と
ともに影響の発生確率が増加する
 がん
 遺伝的影響
しきい値
50
0
発生
確率
(%)
線量
10
5
0
線量
原爆被爆者にみられる発がん
潜伏期は白血病が2~5年、その他のがんは10年以上
原爆被爆者の被ばく線量域と発がんリスクの関係
PNAS 100, 13761-137661, 2003
被爆二世群における100mGyあたりのがんリスク
Age
がんによる死
がんの発生
母親が被爆
父親が被爆
母親が被爆
父親が被爆
1.38
0.04
1.02
1.03
(0.4 - 2.9)
(0 - 1.4)
(0.9 - 1.1)
(0.8 - 1.1)
0.92
0.64
1.01
0.96
(0.6 - 1.4)
(0.3 - 1.2)
(0.98 - 1.04)
(0.92 - 1.00)
1 - 19
20 +
被爆二世群における100mGyあたりのがん以外の原因による致死リスク
Age
母親が被爆
父親が被爆
1 - 19
0.77 (0.6 - 1.0)
1.16 (0.9 - 1.5)
20 +
1.15 (0.8 - 1.6)
1.01 (0.7 - 1.4)
Izumi et al. Int J Cancer 2003, ibid. Br J Cancer 2003
名目発がんリスク係数(放射線業務従事者)
ICRP1990
ICRP2007
4.8 x 10-2 / Sv
4.1 x 10-2 / Sv
4.8 x 10-5 / mSv
4.1 x 10-5 / mSv
年平均線量限度(20mSv)を40年間浴び続けたとすると
4.1 x 10-5 x 20 x 40 = 0.0328
3.2人 / 100人
リスクの比較
(人口10万人あたりの年間死亡者概数)
全死因
848.5
放射線発がん
(放射線業務従事者)
4.1
がん
255.1
水難事故
0.70
心疾患
135.4
インフルエンザ
0.55
脳血管疾患
103.9
他殺
0.52
喫煙発がん(現状)
80.0
自然災害
0.10
喫煙発がん(1000円)
30.0
HIV
0.04
自殺
23.9
食中毒
0.004
交通事故
9.1
落雷
0.002
5.5
BSE感染牛による
クロイツフェルトヤコブ病
0.0009
放射線発がん
(一般公衆)
いろいろな事項についての10万人あたりの年間死亡数、体質研究会、http://www.taishitsu.or.jp/risk/risk2006.html
リスクのモノサシ、中谷内一也、NHKブックス
日本の放射線業務従事者はどのくらい被ばくしているか?
個人線量測定機関協議会
日本の放射線業務従事者はどのくらい被ばくしているか?
個人線量測定機関協議会
長崎大学の放射線業務従事者はどのくらい被ばくしているか?
部局
X
(検出せず)
医学
58
(96.67)
2
(3.33)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
60
(100.00)
歯学
15
(100.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
15
(100.00)
薬学
106
(100.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
106
(100.00)
病院
469
(85.90)
28
(5.13)
44
(8.06)
5
(0.92)
0
(0.00)
546
(100.00)
44
(100.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
0
(0.00)
44
(100.00)
692
(89.75)
30
(3.89)
44
(5.71)
5
(0.65)
0
(0.00)
771
(100.00)
その他
合計
-0.10
0.111.00
1.015.00
5.01-
合計人数
平成21年4月~12月累計
放射線防護体系
(国際放射線防護委員会による)
 行為の正当化
 Justification of practice
 防護の最適化
 Optimization of protection
 As low as reasonably achievable: ALARA
 個人の線量限度
 Dose limitation
 管理区域
 放射線業務従事者
 教育訓練
 健康診断
 被ばくモニタリング
実習
 日時
 4月6日(本日)13:00 グループAB

15:25 グループCD
 場所
 先導生命科学研究支援センター
アイソトープ実験施設(医学部キャンパス)
 持参物
 演習問題回答、アンケート回答
 電卓