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平成26年度 「『想定読者』を意識した説明法・自己教育法」第11回授業
11. 研究報告書,論文などの書き方
大学院工学研究科 物理工学専攻
葛生 伸
平成25年12月15日 情報処理演習室
はじめに
前回
パワーポイントの使い方
今回
研究報告書,論文の書き方
論文と研究報告書
論文
ある事柄,特に学術研究,結果などを筋道立てて
述べた文章
→ ここでは,学術論文について説明する
研究報告書
社内で行った研究,補助金を受けて行った研究
などを報告する文章
・社内での簡単な報告は技術報告書と同じ
・その他は,冊子にして報告。学術論文に
比べて背景を詳しく書くことが多い
学術論文の種類
卒業(学士)論文 (Bachelor thesis)
学位論文
(Thesis)
修士論文(Master thesis)
博士論文(Doctoral thesis)
論文
論文(Regular article)
速報論文(Letter)
学術雑誌掲載論文
簡易論文(Short note)
(Papers)
総説(Review article)
研究報告書
社内での報告書
通常は技術報告書に準ずる
特に長い報告書の場合は以下のようなものがある
補助金などを受けた場合の報告書
研究機関が定期的に発行する報告書
冊子形態で印刷公表し,背景も含めて詳しく書く
学位論文
主に大学に提出する
→ 審査をうける
比較的長い
・・・ 数10ページ~数100ページ
博士論文
・・・ 審査付学術論文に掲載が条件の場合が多い
→ それらの論文をまとめて学位論文とすることが多い
卒業論文
提出しないで卒業できるところもある
理工系でも,卒業研究だけで卒論課さないところも
指導教員の指導のもと執筆
→ 内容だけでなく,文章の細かい添削もうける
・・・ 多くの人にとって生まれてはじめての経験
印刷したものをファイル
→ 通常は非公開
発表会で口頭発表もすることが多い
修士論文
修士課程(博士前期課程)の研究の集大成
複数の教員からなる審査委員会が審査
← 指導教員以外からも審査をうける
― 指導教員が審査委員長(主査)になれない大学も
公聴会(公開の口頭発表会)で審査
← 原則公開なので,特許が絡む場合には注意必要
― 公聴会後に特許出願ができないか,制限される
博士の学位と博士論文
博士
課程博士 ・・・ 大学院博士(後期)課程修了者
論文博士 ・・・ 学位論文を大学に提出して取得
― 学歴に関係なく取得可能
博士課程も一定の条件を満たせば学歴に無関係に入学可
博士論文
通常は査読付学術論文数編出していることが必要
審査委員会で審査(予備審査会含む)
→ 公聴会を経て,決定
博士論文の公開
印刷公開すること(論文誌での論文掲載でも可)
大学図書館,国会図書館で閲覧可能
学術論文誌(Academic Journal)に掲載する論文
通常は査読(peer review)付
同分野の研究者による審査(1~複数名)
論文(paper)の種類
・論文(Regular article)
研究として完結した内容の論文
・速報論文(Letter)
新しい事実,考えなど速報する価値がある内容のもの
・簡易論文(Short note, communicationなど)
論文としては,不十分だがデータなどに価値があるもの
・総説(Review article)
その分野の世界中の研究成果をまとめて解説したもの
多くの場合英文で論文執筆
学術論文の査読
査読(peer review)
研究者仲間(peer)が論文を掲載価値があるかどうか審査
掲載可の場合も書き直し要求される場合が多い
査読者は投稿者に対して明かされない
査読の無い論文
大学,研究所などで発行する雑誌(紀要,研究報告など)
査読無い場合は「研究業績」として認められないことが多い
大学教員,研究職
・・・ 就職,昇格などに「研究業績」が必要
学術論文と特許出願
特許は公知の事実は出願できない
論文が出る前に特許出願が必要
できれば,投稿前に特許出願することが好ましい
うっかり学術論文・学会発表などで公表した場合
6ヶ月以内ならば,発明者が公表した場合に限り
出願できる例外規定あり(特許法30条)
但し,論文に書かれたもの以外内容を広げられない
学会発表は予稿集の原稿がもとになるので注意
← さらに内容が制限される
学術論文の構成
題名,著者名,所属・連絡先住所
最初につける。各学術雑誌指定の書式で書く
和文の論文では,英文でも書く
要旨,キーワード
英文200~500語程度で要旨を書く
本文
図,表を含み形式に従って書く
謝辞
補助金を受けた場合,測定・助言など援助を受けた場合
物品・情報の提供を受けた場合などに必要に応じて書く
参考文献
参考文献は,全て書く
題名,著者名,所属・連絡先
題名
読むかどうかを判断するため極めて重量
和文の論文では,英文でも書く
著者名
通常は研究に対する寄与度の順番に書く
姓のアルファベット順に書く
著者が極めて多い場合(素粒子実験など100名を超す場合)
研究に対する寄与が対等な場合(数学など)
所属・連絡先
研究場所を書く。所属が移った場合などは研究時点の所属を書き,
注に現在の連絡先を書く場合もある
その他,責任著者(corresponding author)のE-mail addressを書く場合も
要旨,キーワード
要旨(abstract)
・数100語程度の英文要旨を書く
・そのまま,抄録誌などに掲載される
・有料の電子ジャーナルでも,アブストラクトは無料で
見られる場合も多い
・和文の論文でも英文で書く学術雑誌が多い
キーワード(key words)
・抄録誌の検索などに使われる
・掲載しない学術誌もあるが,その場合でも投稿時は
キーワードの登録が求められる
本文
形式は大体決まっている
・序論,本論,結論の流れで書く 「起承転結」ではない!!
・図表は,ページの上か下に寄せる
・和文の場合も図表およびキャプションは英文が原則
序論
・研究の背景,これまで研究されてきたことをまとめる
本論
・研究方法・結果・考察などについて書く
結論
・要するに何がわかったのが,何が今後の課題かを書く
謝辞
必要な場合は謝辞を書く
・外部からの補助金などで研究した場合
国の補助金などの場合は必ず書く
企業などの共同研究資金の場合,連名にしたら書かない
・公開されている計算プログラムを使用した場合
・サンプルの提供,装置の利用などをした場合
場合によっては,連名で発表する場合も
・実験補助をしてもらった場合
内容によっては連名で発表することが好ましい場合も
・有益な助言を受けた場合
非常に重要な示唆の場合はむしろ連名にすべき
参考文献
最後に文献リストをつける
・文献リストの書き方
1) 本文で引用した順番に番号をつけて書く
2) 著者の姓のアルファベット順,同じ著者の場合は
公開順にならべる。
・本文での引用の仕方
1) 上記1)の場合
「・・・がわかった.2,3)」「 ・・・がわかった [2,3] .」のように引用
2) 上記2)の場合
「 ・・・がわかった (Thomas 2005, Fukuda2007a).」のように引用
参考文献 (続き)
文献リストの内容
・学術雑誌の場合
1) R. A. Thomas and H. Fukuda, J. Non-Cryst. Solids, 125,
1280 (1993).
「著者名,雑誌名(略称),巻,ページ,発行年」の順に記す
物理,化学以外では,著者名の後に題名を書く場合が多い
・単行本の場合
1) N. Kuzuu, “Sekiei Garasu no Sekai”, Kogyo Chosa Kai,
Tokyo (1995).
「著者名,書名(題名),出版社,出版都市,出版年」の順に記す
本文の書き方(その1)
序論 (「はじめに」「緒言」「Introduction」など)
・次のような流れで書く
研究の背景,対象とする物質,現象,事柄について
→ これまでの研究(先行研究)の概要と結論,課題など
→ それを受けて,本研究で何を明らかにしたいのか
・専門外の人,卒業研究生でもわかるように書く
新たに研究を始めたい人,研究を始める学生が読んでわかるように書く。
わからない場合は,参考文献をたよりによめるようにする。
本文の書き方(その2)
本論 (通常複数の節に分かれる)
主に実験系の場合の流れ
1) 実験方法 (Experimental procedure)
これを見て専門の基礎を学んだ人が実験できるように
2) 結果 (Results)
データに基づき結果を分かりやすくまとめる
3) 考察 (Discussion)
データに基づき何が言えるのが,何が課題として残るのか
について考察を加える
本文の書き方(その3)
結論 (「おわりに」「結言」「Conclusion(s)」「Summary and conclision(s)」など)
ここでは,内容を簡潔にまとめた上で,
・研究の結果要するに何が言えるのか。
・課題として何が残されているのか。
について要領よくまとめる
論文の読み方(読み方を考えた書き方)
新しい論文を読む場合の順序
① 先ず題を見て読むかどうかを判断する
② アブストラクトを読んで,図表をながめてみる
③ 興味があれば,結論の部分を読んでみる
④ さらに興味があれば,全体を読む
以上の意識して,書く
・題名については,全体ができてから見直す
・アブストラクトは最後に書く
論文を書く前に揃えておくこと
書く前に,データなどほぼ揃っているか
・大雑把にストーリーができているか
・そのためのデータはほぼ揃っているか
書き始める前に図,表,式は揃えておく
・結果を述べるに必要な図表は予め作っておく
・計算中心の理論系論文は計算が終わっていること
論文を書く
・図,表などをもとに箇条書きのノートをつくる
・序論については,後から書いてもよい
・ノートでは,あまりこなれた文章にするよりも,短い文で
箇条書きにする。
・ノートをもとに書く
・ノートで,骨子ができてから本文を書いていく。
・考察については,書いていく過程で追加したり,深まったり
することも多い。
・英語で書く場合は,あまりこなれた日本語の下書きをつくると
英語になおしにくくなる。
論文の投稿
・十分推敲,間違いが無いか確かめてから投稿
・英文についてはネイティブスピーカーのチェックを受ける
・データ,計算などに誤りがあると取り消して再投稿することも
・投稿方法
・現在では,WEBで投稿することが一般的
・著作権
・論文の場合は著作権を発行団体に移譲
・投稿料・別刷り代
・投稿する場合,多くは投稿料が必要
・論文の別刷り(有料)を一定部数注文する場合も
論文の査読
・学術雑誌は査読者によって審査の上掲載
・査読者は同分野の研究者(通常は複数)
研究者仲間(peer)が審査するだpeer reviewと呼ばれる
・査読者の意見にしたがって採否を編集者が判断
・査読の結果掲載されない場合もある
・掲載される場合も,修正を求められることが多い
・投稿誌に分野が適さないという理由で拒否される場合も
・掲載が決まったらその旨通知がくる
まとめ
・学術論文を中心に論文について説明
・論文の種類
・論文の構成と書き方
・査読について
・次回からの予定
第12回 報告書への図の記載方法 12/22
第13回 イラストの書き方(最終レポート提出) 1/5
第14回 特別演習(プレゼン資料の作成) 1/19
第15回 最終レポート,特別演習の講評,まとめ 1/26
第16回 期末テスト 2/2