専題研究作成上の注意事項

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Transcript 専題研究作成上の注意事項

専題研究作成上の注意事項
【注意】
専題研究は感想文ではない!
感想文と論文の違い

感想文…自分の思ったこと、感じたことを書く。それに対し
て他人がどう考えるかということは、基本的に考える必要が
ない。
(例)テレビは日本語の習得に役立つと思う。
↑
これが正しい意見かどうかは関係ない

論文…自分の考えたことを、他人に納得させるために書く。
つねに他人の意見とどう違うのかを考えなければならない。
「テレビは日本語の習得に役立つ」という見解の妥当性を調査する。
→言語習得においてテレビが果たす効果を実験する。
→「役立たない」という立場の根拠について調査する。
→結論として、「役立つ」と主張する。
≪論文の基本的構成≫
タイトル
目次
序論
論文全体の目的を述べる。
(例)「本論文の目的は、~を明らかにすることである」
一 研究背景
二 研究目的
三 研究方法
第一章
一 はじめに
二
三
四
五 おわりに
第二章
第三章
第四章
結論
参考文献
どのようにしてその目的を達成するかを説明する
≪論文の流れ≫
疑問点を
提示する
調査する
疑問を
解決する
【注意】
論文は、紹介文ではない!
例えば、「日本の祭り」というテーマに対し
て、日本の各地の祭りの実態・歴史などを紹
介する、というのは論文ではない。
【練習】

各自の専題研究のテーマに関して疑問点を提示し
なさい。
(例)○テーマ「日本の祭り」
〈疑問点〉
 御輿(みこし)にはどのような意味があるのだろう
か。
 なぜ日本の祭りは夏に行われることが多いのだろ
うか。
 日本の祭りは、どのような組織によってどのよう
に運営されているのだろうか。
→これらの疑問点を調査する。
≪文章構成≫

書き始める前に、まず文章構成をしっかり考
えなさい!
【基本構成】 序論→本論→結論
序論は、問題提起と本論の要約。結論は、最
後のまとめとして全体を要約し、主張を強調
する。
≪文章構成≫

問題提起:議論の出発点。何が問題なのか?

Aは本当にBなのだろうか?
ex.)女は本当に抑圧されているのだろうか?
AはなぜBなのだろうか?
ex.)彼はなぜ死んだのだろうか?
Aは、X(Yes)か、それともY(No)か? ex.)人間の本質は善か悪か?

主張:それに対する自分の意見。賛成or反対。

根拠:その根拠・理由と具体的事例。なぜならば~だからだ。


→ここが最も重要!したがって、十分な分量を割いて説明する。
自分の主観的な意見ではなく、多くの人が納得するような客観的な意見を述
べてください!
主観的:彼は背が高い。←人によって「背が高い」という基準が違う。
客観的:彼は身長が185cmだ。←「185cm」は誰にとっても同じ。
≪問題意識について≫




当然だと思われていることは、本当に当然な
のか。
人間の思考は自由なのか。ある程度、文化に
制約されているのではないか。
わたしたちの持っている情報は、既に編集さ
れたものではないか。
客観的な見方は存在するのか。



書く前に必ず調査しなければならない!
今までに同じ問題について考えていた人が必
ずいるので、まずはその人がどのように結論
を出したのかを調べる。
→先行研究(せんこうけんきゅう)の整理
先行研究の整理
○先行研究の欠点、あるいは不足している点を明確にす
る。
↓
○調査・実験
↓
○論文の執筆
先行研究と自分が行う研究の違いを明確にする。
→今までの人と同じ意見では研究の意義がない。
※論文を書く前に、必ず論文を読まなければならない。
≪論文を書くときに絶対に守らなければならないルール≫
○引用(いんよう)
○注(ちゅう)
≪引用について≫

自分の意見と他人の意見は、
区別して書かなければいけま
せん。つまり、他人の書いた文章をそのま
ま使ってはいけません。使う場合には、引用
のルールに従わなければいけません。
引用方法
直接的引用
 引用文が短い場合(2行以内)→本文中に
「
」の中に入れて書く。
 引用文が長い場合、2~4字分のインデントを用
いて書く。「
」は不要。
引用文が短い場合(2行以内)
引用
引用文が長い場合
インデント
(2段下げる)
引用
間接的引用

引用する内容を適度に要約する。「 」は不
要。
≪注について≫

他の資料を引用する場合

他人の書いた文、或いは見解を、本文中に
用いた場合、参照した論文(などの文章)に
ついて、その出所を記さなければならない。
→もし他人の文章を注を付けずに使うと、そ
れは「盗作」になる!
自分の意見を補足する場合
本文中に書いた自分の意見に対して、注を
つけて、もう少し詳細に解説しておく。
★なぜ情報の出所を明記
しなければならないの
か?
→読者が、書かれている内容に対して、そこに
嘘もしくは誤った情報が含まれていないかを
確認するため(もしこのようなルールがなけ
れば、うわさや、根拠のない主張、感情論が
正しい情報として社会に広がることになる)
例えば…
2004年現在、日本における65歳以上の高齢者比率は、約20%である。
※これだけでは、この数字が本当に正確なものか確認することができない。
(訂正)
2004年現在、日本における65歳以上の高齢者比率は、約20%である(「○○統計白書」)。
≪自分の意見を述べる≫





~に違いない。

(「故郷」に込めた思い
だったに違いない。)
~はずである。

(いずれ、この見方が正し
いことが証明されるはずであ
る。)

~と思われる。
(彼の消極性がその原因で
あったと思われる。)

~と考えられる。
(今後、日本経済の発展は、
より緩やかなものになるので 
はないかと考えられる。)
~だろう。=~であろう。
(以後、減少していくだろ
う。)
~(の)ではないだろうか。
(そういう意見も必要なの
ではないだろうか。)
~と言えるだろう。
(民間業者の方が効率的だ
と言えるだろう。)
~(の)かもしれない。
(彼の言葉が歴史を動かし
たのかもしれない。)
~と言えるかもしれない。
(重要になると言えるかも
しれない。)
~(について)はよくわから
ない。
(その必要性についてはよ
くわからない)
≪世間一般の意見、常識、定説などを述べる
≫




~と言われている。
(日本は歴史のある国と言わ
れている。)
~と言われる。
(日本は緑の豊かな国と言わ
れる。)
~とされる。
(彼は、日本で最も有名な人
物の一人とされる。)
~と考えられている。
(そう遠くない将来、石油資
源は枯渇すると考えられてい
る。)
≪注意≫「~と考えられる」
は、自分の意見。


(近い将来、東京で地震が発
生する可能性は高いと考えられ
る。)
~と見られている。=~と考え
られている。
(この研究は、人類にとって
貴重なものになると見られてい
る。)
≪注意≫「~と見られる」は、
自分の意見。
(それは、その形状から恐竜
の化石と見られる。)
《他人の意見(先行研究)を引用す
る》





~によれば…ということである/ということになる。
(A氏によれば、「日本は単一民族国家ではない」という
ことである/ということになる。)
…と述べられている。
(この点について、「人間には自由意志は存在しない」と
述べられている。)
~は…と述べる/と述べている/と言う/と言っている。
(Bは「神は死んだ」と述べている。)
~は…と主張している/主張する。
(Cは「言語には差異しかない」と主張している。)
…というのが~の意見である。
(「自由のための戦争だ」というのがDの意見である。)
《書誌情報の書き方》



2つのパターンがあります。
書き方は、研究分野によって違います。
パターンA…文学など
パターンB…日本語学
日本語教育学
社会学など
①単行本の場合(一人の著者が書いた本)
A 著者名『書名』(出版社名、発行年月)
(例)鈴木孝夫『日本語と外国語』(岩波書店、
1990年1月)
B 著者名(発行年)『書名』出版社名
(例)鈴木孝夫(1990)『日本語と外国語』岩
波書店
②論文集(複数の著者が書いた本)の論文の場合
A 著者名「論文名」(編者名『書名』出版社名、
発行年月)
(例)吉野文「文法的ストラテジー」(宮崎里司・
J.V.ネウストプニー編『日本語教育と日本語学習―
学習ストラテジー論にむけて―』くろしお出版、
1990年10月)
B 著者名(発行年)「論文名」編者名『書名』出
版社名
(例)吉野文(1990)「文法的ストラテジー」宮崎
里司・J.V.ネウストプニー編『日本語教育と日本語
学習―学習ストラテジー論にむけて―』くろしお
出版
③雑誌(定期的に発行される論文集)の論文の場
合
A 著者名「論文名」(『雑誌名』号数、発行
年月)
(例)井上泰至「純情と演技の間―人情本とい
う鏡―」(『日本文学』56、2007年10月)
B 著者名(発行年)「論文名」『雑誌名』号
数
(例)井上泰至(2007)「純情と演技の間―人
情本という鏡―」『日本文学』56