Transcript 受精卵への導入 体細胞
遺伝子導入とクローン技術 動物細胞を利用した有用物質の生産 1.有用物質生産のストラテジー ヒト遺伝子の動物細胞あるいは組織への導入 Which gene ? Which animal ? How? 遺伝子の発現・遺伝子産物の大量生産 回収・精製 受精卵への導入 トランスジェニックアニマル (Transgenic animals) 子孫に伝達される 体細胞(乳腺細胞)への導入 一代限り クローン技術とは? クローン(Clone)の定義 遺伝情報が(=遺伝子型, genotype)が 同一の生物(個体群) 伝統的クローン技術 遺伝子操作は 不可能 植物の挿し木 植物のクローン技術 植物のカルス培養 この段階で 遺伝子操作が可能 細胞の 脱分化 細胞の 再分化 植物ホルモン処理 動物のクローン技術 動物の受精卵分割と移植 受精 発生 受精7-8日後 受精卵の分割 100細胞 二分割以上 うまく いかない 仮親1 仮親2 遺伝子操作は 不可能 妊娠・分娩 妊娠・分娩 = 受精卵 核移植 遺伝子操作が 可能 受精 ドナー細胞の調整 卵子 除核 ドナー細胞の注入 レシピエント細胞の調整 培養・移植準備 細胞融合と発生の開始 仮親 移植 幹細胞に類似した細胞の利用による クローン動物の作製 1996年3月 Campbellら 細胞に全能性がある段階 あるいはG 0 期に合わせた細胞 細胞分裂した受精卵 細胞に全能性がある時 16 cells ED細胞 胚性幹細胞細胞様細胞 9日目胚 別の羊の卵子 細胞の注入 核の取り出し 培養 有糸分裂中期の卵細胞 仮親に移植 妊娠 分娩 仮親の数だけ クローン子羊 ! 分化した体細胞からのクローン動物の作製 1997年2月 Campbell ら 分化細胞の脱分化: 飢餓培養による細胞周期のG0化 乳腺組織より細胞を採取 細胞周期のG0化 = 核移植 =細胞注入 核の取り出し 卵子の採取 核の注入 培養 核 仮親に移植 妊娠 分娩 Dolly 脱分化 1-7-11 細胞周期 G2期 間期 分裂準備 2h S期 DNA合成 12h M期 細胞分裂 2h G1期 間期 DNA合成準備期 タンパク合成と 細胞の成長 8h G0期 静止期 M G1 S G2 動物細胞・組織へ遺伝子を導入する技術 形質転換(transformation) 生細胞からの単離DNAを他の細胞に取り込ませること 形質導入(transduction) ファージによる遺伝物質(DNA・RNA)の細胞への導入 トランスフェクション (transfection) 動物細胞へ遺伝子を導入すること 遺伝子ターゲティング (gene targetting) 特定の遺伝子(座)を対象に破壊したり(ノックアウト) 別の遺伝子を組み込んだり(ノックイン)する. 動物細胞への遺伝子導入 ①物理化学的方法 DNA分子 自然に取り込ませる:エンドサイトーシスの利用 強制的に導入:パーティクルガン マイクロインジェクション リン酸カルシウム DNA 共沈物 エンドサイトーシス 細胞膜:リン脂質二重膜 リポフェクション リポソーム 脂質人工膜の小球 エレクトロポレーション 高電圧のパルス パーティクルガン タングステン or 金粒子 受精卵採取 前核へ遺伝子導入 ② ③ ① 導入効率 低い 導入されるコピー数が制御できない 導入される場所がランダム(非相同的) ② 導入遺伝子の発現率低い 入った場所のプロモーターエンハンサー の支配を受けてしまう 制御が困難 ③ 子孫へ伝わる率が低い ②生物学的方法 まず目的遺伝子のクローニング ウィルスへの パッケージング 感染による遺伝子導入 染色体遺伝子と相同組み替え このほか精子の遺伝子をいじり人工受精させる. 動物への遺伝子導入 右:ひと成長ホルモン遺伝子を 導入したラット 左:対照ラット Science 222巻11/18号(1983) 単純に遺伝子を染色体に挿入してもうまくいかない。 RNAポリメラーゼが結合 Poly-A付加 部位 プロモーター 5‘ TATA 遺伝子調節領域 転写開始点 遺伝子調節領域 mRNA 遺伝子転写調節 タンパクが結合 G-ppp- アクチベーター リプレッサー エンハンサー UAA リボゾーム AUG 結合部位 翻訳開始点 終止コドン -AAAAA フュージョン遺伝子の利用 ヒト成長ホルモン遺伝子 3’ 5’ 5’ d 3’ メタロチオネイン遺伝子 及び、それの調節領域 血液中での重金属の運搬タンパク質 5’ d 3’ 食餌に過剰量の銅(Cu)をくわえて、メタロチオネイン遺伝子 を発現誘導すると、下流につないだヒト成長ホルモン遺伝子 も発現させることができる。 遺伝子導入のストラテジー c DNAライブラリーから 遺伝子を選択 遺伝子 情報 ベクターへ組み込み 生殖細胞 受精卵 遺伝子導入 胚性幹細胞(ES) 体細胞 増殖 トランスジェニック 動物 受精卵へ導入 キメラ動物 物質生産 卵子へ導入 病態モデル クローン化 遺伝子機能確認 クローン技術(核移植)と遺伝子操作技術の融合 これまでの手法 兄妹(姉弟)同士の掛け合わせ 20世代以上の交配 99%以上の遺伝子組成が一致するようになる =純系(かぎりなくクローンに近い) 成熟の遅い動物では適用は非現実的 遺伝子操作が不可能 核移植に基づくクローン技術のインパクト たとえば,Dolly法では,乳腺組織の細胞が10 億あるので,原理的には10億のコピー動物が作 成可能 ドナー細胞に遺伝子操作をする事が可能 トランスジェニック動物の作成が可能 (= transgenic animal ) 体細胞クローン技術の産業的展開 同じ遺伝子型の動物のコピーを大量に作れる 可能性がある 遺伝子導入したタンパク質生産用動物の複製 遺伝子導入した臓器移植用動物の複製 体細胞クローン技術のポイント どの細胞でもうまくいくとは限らない 分裂増殖の盛んな上皮細胞系の成功率が高い 遺伝子型が完全に一致するとは限らない: 同じ遺伝子が一個であるとは限らない。 複数コピーある遺伝子は、よく変異している。 細胞質遺伝:ミトコンドリアの遺伝物質が レシピエント細胞に由来する ゲノムインプリンティングの問題 精子・卵子のもつ遺伝子のメチル化の状況と G0化した体細胞の遺伝子のメチル化の状況 不一致 異常の発生原因:細胞分裂の紡錘体の形成不全