平成19年度 訪問型生活訓練モデル事業 報告書

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訪問型生活訓練モデル事業報告
正式事業名:生活訓練(とりわけ訪問型モデル)のモデル
事業実施とそのアウトカムの検討。他サービス(ディケア、
ホームヘルプ、訪問看護など)との比較検討
特定非営利活動法人 ほっとハート
この事業の実施にあたっては
精神保健研究所にご指導いただき、
NPO法人ACTIPS、社会福祉法人サンワーク、
NPO法人千葉精神保健福祉ネット、NPO法人NECST
の皆様に協働いただいております。
事業の背景①

精神障害者の質の高い地域生活安定のために、
訪問型サービスの提供が有効であることは、
Intensive Case Management や Assertive Community
Treatment(ACT)等の研究からも明らか。
◦ その人の暮らす場、地域生活の中で必要なニーズを
把握し、それに即したサービスを展開することが可
能。

現行の障害者施策の中では、障害者自立支援法
における生活訓練(訪問型)が、訪問型サービ
スとして利用可能である。
◦ ※ホームヘルプでは日常生活支援の枠を超えず、加
重負担となる。
◦ ※医療的対応を多く要しない対象者層も存在する
(=訪問看護ではなくても対応可能)。
事業の背景②

しかし、精神障害領域では訪問型生活
訓練のサービスの提供は未だ萌芽期に
ある。
◦ サービスの実践例が少なく、どのような
サービス展開の在り方が有効・可能なの
か不明瞭
◦ サービス提供に必要な人員・経費上のコ
ストが不明。
◦ 現在、通所型生活訓練の提供が主流←通
所サービスへのつながりにくさを特徴と
する精神障害者に適応しにくい。
目的

訪問型生活訓練をモデル事業として行
い、
◦ 訪問型生活訓練のサービス提供の在り方
を提示
 サービス提供のために必要な支援体制
 必要かつ有効なサービスの在り方を提示
 訪問看護・ACT・ホームヘルプ等他の訪問型
サービスとの異同の整理
 サービスに必要なコストを分析
本年度の本事業の概要
支援体制の構築・準備
 ①訪問型生活訓練事業の実施

◦ 訪問型生活訓練提供体制の整備
◦ サービス記録・分析用ツールキットの開
発

②相談支援の有機的な連携体制の構
築
◦ 相談支援事業(ケアマネジメント)の提
供体制の構築

③訪問型精神保健福祉サービスの視
察
支援体制の構築・検討
◦ 12月14日付の内示を受け、本格スタート。
◦ 検討委員会の発足
 各福祉事業者の代表、国立精神保健研究所
◦ 協働団体への依頼
 市内にある3か所の事業所への協働依頼・受諾
◦ 実施計画作成
◦ 実績/開催会議等の準備





検討委員会1回
運営委員会 毎週1回
ケース検討会、
訪問従事者勉強会、
コーディネーター連絡会
①訪問型生活訓練事業-1

目的:

対象:
◦ 障害者が、その人らしく地域で暮らし続ける
ために、必要なスキルを身につけ、サポート
を受けながら地域生活を送れるようにする。
◦ 退院予定者で、複数のニーズがあり、当面の
生活の維持に困難を生じている者
◦ 障害福祉サービスを利用・登録しているもの
の、利用中断あるいは利用が不安定な状態と
なっている者
◦ 複数のニーズを持っているが、サービスにつ
ながっておらず引きこもり状態にある方
①訪問型生活訓練事業-2

サービス提供体制の整備
◦ 共同参画する法人3か所でサービス提供体
制を整備。
◦ 医療機関、市役所、各種福祉事業所へ
サービス内容と趣旨を報知。サービスへ
のアクセシビリティを高める。
◦ 20名のスタッフによる提供体制を確立
◦
(5人 1チーム、計4チーム)
①訪問型生活訓練事業-3
サービス内容:関係作り、日常生活相談、


地域の情報提供
食に関する支援(買い物、調理、メニュー決め)
洗濯、清掃、入浴の促し、整容、服薬確認
 金銭管理、交通利用や社会資源利用などHHでは対応できな
かった部分も
◦ 地域生活(移行)の為の環境調整
 日常生活に必要な物品購入
 各種制度・サービス・契約等の支援・調整
 居住地の確保の支援
◦ 通院・通所等の同行支援
◦ 危機対応

現在の提供事例数
◦ 契約済みの事例:15事例
◦ コンタクト開始事例:5事例
◦ 述べ訪問回数:約200コンタクト
訪問型生活訓練のサービス
提供事例
①訪問型生活訓練事業-4

サービス記録・評価用のツールキットの
開発
◦ 相談システムの稼働と効果・実証的検討
 サービス内容の分析
 Assertive Community Treatmentや訪問看護とのサービスの
種類、intensityの異同
 サービスによる効果の評価
 サービスに要するコスト分析
 サービスにつながりにくい精神障害者がケアマネジメン
ト・生活訓練の過程につながるまでのサービス量・コス
トの試算
 一件あたり訪問支援に要する時間・コストの分析
 妥当な時間あたりの報酬単価の試算
例)サービスコードの記録

訪問看護・ACTなど
のサービス内容分析
を元に作成
◦ →サービス異同の比
較が可能

一回のコンタクト毎
に記録
◦ サービスの対象
◦ サービスに要した時
間
◦ 行ったサービス内容
 サービスの領域
 直接的・間接的サー
ビスの弁別
②相談支援事業との有機的な連
携体制の構築-1

背景と目的:
◦ 複数のニーズをもつ者の場合、訪問型生活訓
練単一のサービスでは対応が不可能
 就労支援、日中活動の場等
 →ケアマネジメント機能が必要
◦ 訪問型生活訓練に適した対象者のリファーを
行うためのゲートキーピングも重要。
◦ →訪問型生活訓練を有効に機能せしめるには、
合わせて必要なサービスを本人につなげるケ
アマネジメント機能の整備が必要=相談支援
事業機能の強化
②相談支援事業との有機的な連
携体制の構築-2

相談支援事業の強化
◦ 専従の相談支援専門員(コー
ディネーター)を2名配置
◦ 医療機関、市窓口、各福祉機
関から各種相談がリファーさ
れる体制を整備
◦ インテーク後、必要なサービ
スとの連携
医療
福祉
コーディネーター
インテーク
ケアマネ
 各戸や病院などへアウトリーチに
よる相談も行う。(退院事例やひ
きこもり事例など)
 必要時には訪問型生活訓練にリ
ファーする。
◦ 現在のリファー数は10名。
市
他サービス
訪問型
生活訓練
他サービス
他サービス
構築された相談体制-1
医療機関
各福祉事業所
市民
市役所
ネットワーク
日常生活支援・
訓練のための訪問
相談支援事業
インテーク・
ケアマネジメント
連携もあり
各種サービス
と連携
訪問型生活訓練
構築された相談体制-2


サービス内容を
決めるケアマネ
ジメント
継続的なサービ
スモニタリン
グ・ダイレクト
サービス
相談支援事業の強化
生活訓練モデル事業
障害の状態像が不安定な精神障害者のリカバリーのプロセスを、柔軟
かつ継続的に「伴奏者」として支えられるような支援体制を整える。
③訪問型精神保健福祉サービス
の各地の視察-1

目的:
◦ 現在訪問型の精神保健福祉サービスを展開して
いる地域を視察・訪問し、その事業の実態を整
理する。また、そのサービスの効果的な点を参
考にし、事業計画に反映する。

訪問地域
◦ ・福島県:財団法人 竹田総合病院
◦ ・茨城県:いなしき(稲敷)ハートフルセン
ター
:社会福祉法人町にくらす会
障がい者支援施設KUINA
◦ ・岡山県:ACT岡山
◦ ・大阪府:特定非営利活動法人
◦
精神障害者支援の会 HIT
◦ ・京都府:ACT-Kを訪問予定
③訪問型精神保健福祉サービス
の各地の視察-2

現在までに整理されてきたポイント
◦ いずれの事業体においても、本人との関係性形
成にかなりの時間・経費上のコストが必要であ
ることが示唆されている。
◦ 住環境整備や社会資源利用などの支援が必要な
場合も少なくなく、単なる日常生活支援の枠を
超えているため、ホームヘルプでは行いえない。
◦ 有事の際に本人からの援助要請がない場合があ
り、直接支援は行われなくても、見守りが必要
である。
◦ 精神障害においては入院中に事業体側から医療
機関に出向いて行う継続支援も重要である。
◦ 本人のエンパワメント次第でステップダウンは
十分可能である。
成果-1

訪問型生活訓練の事業体制を整備し、
実施することができた
◦ 検討委員会や実施相談員の配備
◦ 記録・評価用ツールキットの作成
◦ 視察による訪問支援の方向性のポイント
の整理

今後、訪問型生活訓練を行っていく事
業体のモデル体となりうる。
成果-2

ケアマネジメント体制の強化
◦ 市川市地域での精神保健総合相談窓口と
しての相談支援事業を改めて設定し、ケ
アマネジメント機能をもたせることによ
り、地域全体の精神保健相談に関する能
力を強化することができた
◦ 訪問型生活訓練を行う際にも、地域全体
の体制整備が重要であることを再確認。
来年度以降の計画

事例の蓄積による以下の項目の分析
◦
◦
◦
◦
サービス内容
サービス効果
経済的コストの検証
実際に今年度のモデル事業の有効性を引き続き
検証していく必要がある。
各地域のサービスの実施調査の詳細な分析
 事業体として運用可能な訪問型生活訓練の在
り方に関するモデルの提示。

◦ 必要な単価、人員
◦ エンゲージに必要な時間的コストの勘案

区域全体でのケアマネジメント体制の構築に
関するモデルの提示。