Transcript 熟語の翻訳?
熟語の翻訳 中日翻訳ーー2.2.2.9 熟語は言語の歴史的発展の過程において、徐々に 形成されてきたものであり、一定の固定した形式 を備えている。これは任意に変えることはできな い固まった言い方である。 こうした熟語には成語、諺語(ことわざ)、格言 (金言)、掛け言葉、洒落言葉(歇后語)等が含まれる。 こうした中国語の熟語の翻訳には大体以下の4種 の形がある。 語の一部は日本語に借用され、そのままの形か、一部 を変えて用いられる。 たとえば: 隔靴搔痒/隔靴搔痒(かっかそうよう) 日新月異 /日進月歩 (にっしんげっぽ) 翻訳上の指導: 中国語と同じものであるとき、そのまま訳せばいい。 1. 一部変わっているものはその違いを見つけ、それを覚え、 翻訳するとき、間違いのないように気をつける。 2 文訓読式をもちいるか、あるいはそのまま直訳する。 例えば、 远亲不如近邻/遠くの親戚より近隣(ちかどなり)/~ より近くの他人 挂羊头卖狗肉/羊頭を掲げて狗肉を売る/看板に偽りあ り 翻訳上の指導: できるだけ、漢語の学習をすること。 ③日本語の中から意味がこれにあたる熟語を探して当てる。 例えば、 自吹自擂/手前味噌を并べる 三个臭皮匠,顶个诸葛亮/三人よれば文殊の知惠 翻訳上の指導: たくさん覚えること。 ④適当な日本語の熟語が見当らず、しかも直訳できない時 は意訳する。 牵肠挂肚/後ろ髪を牽かれる思い 洋洋得意/意气揚揚として/得意满面/大きな顔をして 固执己见/我を張り通す 一筹莫展/手も足も出ない 翻訳上の指導: 文脈から熟語の用いられる意味を判明し、意訳する。 第一節 四字成語 A日本語でもそのまま用いられるもの 异曲同工/同工異曲(どうこういきょく) ~の妙を尽くす/どれもこれも~でつまらない。 意马心猿/意馬心猿(いばしんえん) ~の妄想に駆けられて、どうにも心が治まらない。 鸡鸣狗盗/鶏鳴狗盗(けいめいくとう) あんな~の輩で も使いようだよ。 温故知新/温故知新(おんこちしん) など。 B一部の文字を変えて用いるもの。中には2字に短縮して用い るものもあるので注意が必要 虎头蛇尾/竜頭蛇尾(りゅうとうだび) 异想天开/奇想天外(きそうてんがい) 胸有成竹/成竹(せいちく) これは~有っての事だ。 杞人忧天 /杞憂(きゆう) それは君の~に過ぎないよ。 画蛇添足/蛇足(だそく) それは君、~というもんだよ。 など。 C日本語の成語が当てられるもの 一帆风顺/順風満帆(じゅんぷうまんぱん) 作茧自缚/自縄自縛(じじょうじばく) 自相矛盾/自家撞着(じかどうちゃく) 挥霍无度/贅沢三昧(ぜいたくさんまい)/湯 水のように金を使う。 など。 D漢文訓読式に直訳するもの 骑虎难下/骑虎の势い(きこのいきおい) 乌合之众/烏合の众(うごうのしゅう) 青天霹雳/青天の霹(せいてんのへき)れき など。 E解釈的に意訳するもの。 排山倒海/大地も摇るがんばかりの势い 轰动一时/一時大いに世間を骚がせる など。 第二節 格言、金言、諺語、俗諺の 類 翻訳上の指導: 多くがそのまま日本語に取り入れられていたり、 或いは漢文訓読式に直訳して用いられる。とりわけ 格言の出典はその多くが古典にあるので、漢文訓読 式に直訳して用いることが多い。また中には言語形 式は違うが、意味がぴったりあう日本語の諺もある ので、それを借りて訳すこともできる。 A漢文訓読に直訳する <金言·格言> 有备无患/備え有れば憂い無し 国以民为本,民以食为天/国は民を以て本と為し、 民は食を以て天と為す 知之为知之,不知为不知,是知也/これを知るをこれ を知ると為し、知らざるを知らざるとなす、是れ知 るなり など。 <諺語·俗語> 一叶知秋/一葉落ちて天下の秋を知る 覆水难收/覆水盆に帰らず 唇亡齿寒/唇亡(ほろ)びて歯寒し など。 Bこれに相当する日本語の諺を用い て訳す 头多乱/船頭多くして船山に登る 无风不起浪/火のないところに煙は立たず 穿冬衣戴夏帽/土用布子(ぬのこ)に寒帷子(か たびら) など。 C解釈的な翻訳をするもの 人怕出名猪怕壮/人は名が出るのが恐い、豚は太 るのが恐い/出る杭は打たれる 做一天和尚撞一天钟/明日は明日の風が吹く、そ の日まかせでやっていく 姜还是老的辣,老将出马,一个顶俩/生姜はやはり古 いのが旨い、亀の甲より年の功。 など。 第三節歇后語(洒落·掛け言葉の類) 前の句と後の句に分かれ、前の句は言わば謎掛け、後 の句がその謎解きで、「その心は~」と解くものであ る。従って後の句は省略して言わないのが普通である。 日本語にもこれに類した「洒落言葉」というのがある。 例えば「彼奴は全くそば屋の釜であてにはならん」な どという「そば屋の釜」は?「湯ばかり」で「言うばか り」に引っ掛けた「洒落」である。つまり口先だけで 何もしないという意味を表している」。 翻訳上の指導 歇后語も中国語特有の比喩的表現をするのと、同音の 文字を引っ掛けた洒落が多いので、これに相当する日 本語の俗語を当てるのはなかなか難しい。その多くは、 まず前の句を解釈的な翻訳をしておいて、後で「その 心は~」と谜解き式に説明せざるを得ない。 铁公鸡—— 一毛不拔/鉄でできた雄鶏——羽一本拔 かせない/けちん坊のしわん坊 狗拿耗子——多管闲事/犬が鼠を捕まえる——余計こ とをする