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中国医科大学 93期 9班 077953 井領英雄
1.はじめに

今日、医療分野において、医用画像処理の情報処理技術
が多く用いられている。
医用画像処理(Medical imaging)とは、臨床(病気の診
断および検査)や医学(解剖学的研究)のために人体
(およびその部分)の画像を生成する技法およびプロセ
スを指す。人間に限らない「生体画像処理」の一部であ
り、放射線医学、内視鏡検査、サーモグラフィー、医用
写真撮影、顕微鏡検査などとも密接に関連する。本来、
画像を生成するよう設計されていなかった測定手法や記
録手法(脳波や脳磁図)も一種の地図のように表せる
データを生成することから、医用画像処理の一形態と見
ることもできる。

画像診断学(放射線診断学)において扱う医用画像には、
単純X線画像、CT、MRI、超音波断層画像(US)、血管
造影(血管撮影)、赤外線トポグラフィ装置画像、PET、
SPECTなどがある。画像を医学的に解釈する医師を放射
線診断医あるいは画像診断医と呼び、医師の専門分野の
ひとつである。

医用画像処理は人体に傷をつけずに人体内部の画像を生
成する技法であるため、電磁波、音波、磁場などを用い
て、生体内の内部の情報を画像化する方法である。
電磁波のうち、医用画像処理に用いられるものは、γ線、
X線、赤外線、電波が多く、音波においては、超音波
(振動数が毎秒2万ヘルツ以上で定常音として耳に感じな
い音)が多く用いられている。磁場を用いるものとして
は、MRIが有名である。






γ線:波長が1Å(オングストロー
ム)の電磁波。電磁波スペクトル
の中で,もっともエネルギーの高
い領域を, ガンマ線(γ線)と呼
ぶ.
ガンマ線はガン治療や品種改良な
どにも使われる.
X線:波長が0.01~100Å(オング
ストローム)の電磁波。
原子核の軌道上にある電子の遷移
により放出された電磁波。
X線管で発生させる。
X線は,医療用その他,いろいろ
な利用がされています.
紫外線: 400nmぐらいから10nmぐらいまでの波長の電磁波を紫外線(UV)と呼ぶ. また,紫外線
は,波長によって, 400nmから320nmぐらいまでのUVA, 320nmから290nmぐらいまでのUVB
, 290nmから190nmぐらいまでのUVC にわけられる. 紫外線は目には見えない. 化学作用を起
こすので化学線と呼ばれることもある.
殺菌灯その他,いろいろな用途に利用されている.
可視光線: 電磁波の中で,目に見える光を,可視光とか可視光線と呼ぶ.
赤外線: 波長が1mm以下でだいたい0.77μm以上の電磁波を赤外線(IR)と呼ぶ. 赤外線は目には見
えない. 熱い物体から放射されるので,熱線と呼ばれることもある.
農業,工業,医療,家庭,通信,資源探査,気象観測など, 赤外線はさまざまな分野で利用され
ている.
電波: 波長が10m以上の電波をラジオ波, 波長が1mから10mのものを超短波,1mmから1mの波
長の電磁波をマイクロ波と呼ぶ.
レーダーや衛星通信などでもマイクロ波が使われる.
2.X線
最初に医療用に実用化されたのは、X線(X-ray)で、X線
は物理学では波長が1pm~10nm程度の電磁波のことをさ
す。また、放射線の一種でもある。
 レントゲンが1895年末に発見した。最も一般的に知られ
ているX線写真では、X線照射装置とフィルムの間に体を
置き、焼き付けて画像化する。X線は感光板を黒く変色さ
せるため、体がX線を通過させた部分では黒く写り、体が
X線を阻止した場合には、その部分が白く写る。通常の診
療では、前者の黒く写った部分を「明るい」、後者の白
い部分を「暗い」と表現するが、これはすなわち、肺炎
や腫瘍などでは、X線透過度が低くなってフィルムに白い
影を落とすところからきた表現である。X線の透過度が高
い組織としては皮膚や空気(肺)、筋肉などがある。逆
にX線の透過度が低いものとしては骨や、組織をより明瞭
に描き出すために入れる造影剤がある。


レントゲンが1896年1月23日に撮影した手の透視画像。
骨と指輪の部分が黒く写っている。

レントゲンによるX線の発見で、医療用レントゲン装置
が開発され、胸部撮影に使用されるようになって医療技
術が飛躍的に進歩した。
X線は、現在では、以下のような装置に利用されている。

歯科的診断
歯も骨の一種であり、歯科診療の領域では頻繁に利用される。
 胸部X線
Chest X-ray(CXR)と呼ばれ、肺癌、肺炎、結核、胸水、気胸をはじ
めとし、非常に多くの肺病変の診断に利用されている。

腹部X線
Abdominal X-ray(AXR)(臥位ではflat plate)は、腸閉塞や腹水、腹腔
内、胆石、尿路結石の空気の様子を診断するのに利用される。
 造影X線写真
X線を通さない造影剤(バリウムなど)を経口・経静脈的に投与した
のちに撮影することで、普通は描出されない消化管や血管の様子をも
描出できる。造影剤を使わないX線写真は、造影X線写真に対して単純
X線写真と呼ぶ。
 透視
X線を連続的に照射し、テレビモニタを通じて映像を観察する。被曝
量は多くなるが、病変によっては診断や治療に必要となる。
現在最新の技術として注目されているのは以下のような装置である。
Dyna Direct Ultimax80 FPD Version

動画対応の直接変換方式平面検出器(FPD)DynaDirectを採
用。歪みのない広範囲な視野で、透視・撮影画像を提供
できる。
VERSiFLEX Apla
日立独自の自動画像最適化エンジン(FAiCE)により、“
高画質& 低被曝”を実現。
 大視野FPDはで40×30cm の視野の視野を確保。

AXIOM Luminos dRF

X線透視撮影装置で行われる非血管系や消化管造影のよう
な従来の手技だけでなく,血管造影を含む幅広い透視撮
影や,一般X線検査まで実現する。オーバー チューブ式
アームと連動して稼働する検査テーブルに加え,新規開
発された43cm×43cmの大視野FDを搭載。
BRANSIST safire

X線を光に変換せず直接電気信号化する直接変換方式FPD
を搭載していることから,極めて鮮鋭度に優れた画像が
得られる。また,直接変換方式FPDのピクセルサイズが
超高精細150μmを実現しており,微細血管やデバイス
(ステント,ガイドワイヤ)などの視認性を飛躍的に高
めている。

X線撮影に比べMRI、CTのほうが画像の有用性が高い場
合もあるが、X線撮影は簡便性や経済性に優れており、現
在でも検診など大部分の診療施設で用いられている。救
急では、CTは従来、撮影時間が長かったが、ヘリカルス
キャン、MDCTの登場で撮影時間が減り、単純X線写真の
割合は減ってきている。また、放射光X線を用いたCTで
は非常に細かい部分まで分かるので顕微鏡的な画像が期
待されている。
3.CT

最初の商業的なX線CTはThorn EMI中央研究所で英国人の
ゴッドフリー・ハウンズフィールドによって発明された。
ハウンズフィールドは1967年に考案し、1972年に発表し
た。X線CTの発明によって人間の体を輪切り状態の画像
で診断できるようになった。
コンピュータ断層撮影(Computed Tomography, CT, )は放射
線などを利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理する
ことで、物体の内部画像を構成する技術・機器のことである。
 広義のCTは、ポジトロン断層法 (PET)や単一光子放射断層撮影
(SPECT)、や核磁気共鳴画像法 (MRI) などの、コンピュータを
用いて断面像を得る各種検査法の総称である。
 「断層撮影」の名前のとおり、本来は物体の断面画像を得る技
術であるが、これらの検査技術は単に断面画像として用いられ
るのみでなく、画像処理技術向上によって3次元グラフィック
スとして表示されることも多く、必ずしも「断面」に限定して
用いる検査方法ではなくなってきている。
 これら広義のCTのうち最初に実用化されたのはX線CTであり、
単にCTと言った場合にはほぼX線を利用したCTのことを指す。
以下、X線CTのことを単にCTという。

単純CT
造影剤を使用せずに撮影を行うものを単純CT (plain CT) と呼ぶ。脳内
出血、組織の浮腫、骨の形態異常、肺の形態などは、造影剤を用いな
くても充分に観察できる。
 造影CT
単純CTに対して、X線吸収率の高いヨード造影剤を血管内に注射して
から撮影を行うものを造影CT (contrast enhanced CT; CECT) と呼ぶ。
 ヘリカルCT
寝台を一定速度で動かしながら線源を回転させ続ける撮影方式が実用
化されヘリカルCT(らせんCT・スパイラルCT)と呼ばれる。
 多列検出器CT (MDCT)
X線を扇状にやや広い角度に照射し、同時に検出器自体を対軸方向に、
例えば0.5mm刻みで分割したものである。マルチスライスCT(MSCT)
とも呼ぶ。
CTは現在でも絶え間ない技術革新が続けられている領域であり、工学や
情報科学の発達の恩恵を最も受けている医学領域のひとつである。

利点
 検査が短時間
 空間分解能が高い
 磁気を使用しないので金属(心臓ペースメーカー等)使
用者にも施行可能
 アーティファクトが少なく、広範囲の撮影が可能
 出血巣、骨、肺の内部構造などが明確に描出される
 騒音や閉塞感が少ない
 普及率が高く、安価である
欠点
 放射線被曝がある
 軟部組織の組織学的変化があまり反映されない
 脳底、下顎などの骨に囲まれた部位でアーティファクト
がでやすい
 造影剤副作用の頻度はCTにおいて高い
 非常に大まかには、骨疾患や肺疾患、あるいは出血など
の救急疾患の場合には、MRIよりもCTが有用なことが多
い。一方で、脳腫瘍や子宮・卵巣・筋肉の疾患において
は、MRIの軟部組織分解能が威力を発揮する場面が多い。
Aquilion 64
撮影中のX線管電流をxy平面上の2方向から調整する
「VolumeEC」を搭載し,高分解能・高速スキャンと低被曝を
実現。
 フルスキャン0.40秒の高速撮影技術,従来の装置で培われた
「Coronary Imaging Technology」,さらには独自の「フェーズ
ナビ」機能を搭載し,心臓CT撮影から冠動脈描出までを容易に
行える。また,現在世界7か国9か所の著名な大学や医療施設が
参加して展開している「64列MSCTを使用した心臓CT検査に関
する国際マルチケーススタディ」“CORE64(コア64)”で使用
している構成で市販リリースするもので,心臓CTの世界標準を
臨床現場へ反映している。

SOMATOM Definition AS
新技術Adaptiveテクノロジーを搭載した128スライスCT装置。
 「Adaptive 4D Spiral」により,臓器全体の血流動態など臓器の
機能情報を広範囲に,かつ経時的に収集することができる。こ
の「Adaptive 4D Spiral」は最大27センチメートルの範囲の4次
元データ(体積データ+時間データ)を収集することができる
ため,たとえば全脳や肝臓など臓器全体の灌流情報はもちろん
のことながら,心拍動,嚥下運動,呼吸運動など様々な機能観
察にも大きな威力を発揮する。

Brilliance iCT
256sliceヘリカルスキャン

フィリップスの新技術「Essence™ Technology(エッセンステ
クノロジー)」をベースに開発されたBrilliance™ iCTは,256
スライスの面検出器を搭載,世界初の0.3秒を大幅に切った,エ
アベアリングによる1回転0.27秒という高速での撮影を実現し
た。スピードだけではなく,高画質・低被ばく・高出力エック
ス線管「iMRC」を搭載し,患者の負担を減らすと同時に,診
断フローの改善・効率化などの実現を目指す。
Brilliance iCT
256sliceヘリカルスキャン
CT750 HD

検出器の列数を増やすことなく,500スライス相当の広範囲の
撮像を可能にする技術が,「ボリュームヘリカルシャトル」。
従来のCTは,撮影時の撮影テーブルの加速・減速中にデータを
収集できないため,撮影の前後に無駄な空白時間が発生し,撮
影範囲に制限があった。「ボリュームヘリカルシャトル」では,
撮影テーブルの加速・減速時にもデータ収集を可能とし,この
空白時間を最大限削減することで,最大312.5 mmの広範囲に
おいて500スライスの撮影を可能としている。また,撮影した
画像から時間軸をもった4D画像(リアルタイムの3次元画像)
を作成することが可能である。
4.US

超音波検査(エコー検査)は、超音波を対象物に当てて
その反響を映像化することで、対象物の内部の状態を非
破壊的に調査することのできる画像検査法の一種である。
超音波技術の発展によって内蔵の動きを外部の画像で診
断できるようになった。

超音波検査装置は、大きく分けて、超音波を発生させ反
射した超音波(エコー)を受信する仕組みを持つプロー
ブ(探触子)と、受信したデータを処理する部分と、画
像を表示するディスプレイからなる。 プローブを検査の
対象物に当て超音波を発生させると、ごく短い時間のう
ちに、その音は対象物の中を進んでいき、固いものに当
たると反射する。プローブでその反射音波を測定し、反
射音が返ってくるまでの時間から距離を計算、内部の様
子を可視化する。




Aモード
受信したエコーを表現するための方法はいくつかあるが、A(amplitude:振幅)モード
とB(brightness:輝度)モードが基本となっている。 超音波は直進性に優れており、
音響インピーダンスの異なった物質間の境界面で反射がおこる。 受信するまでの時間
を元に物質までの位置を計算することが出来る。 物質までの距離を横軸にとり、反射
したエコーの振幅を縦軸にとったグラフがAモード像である。
Bモード
Aモードではエコーの振幅と位置を表示していたが、この振幅を点の明るさ(輝度)と
して表示したものがBモードである。
ドップラーエコー
ドップラー効果によって、反射した音波の周波数が変化することを利用して、物体が
プローブに近づいているのか遠ざかっているのかを判定できる。
ドップラーエコーには、特定位置の超音波ビームの周波数変化を流速に変換しグラフ
化するドップラーモードと、Bモード画像上に指定した領域での流速変化を色で表現
するカラードップラーモードがある。
特に心エコーで、心臓の血流を評価する際に有用である。
Mモード
断面上のさらにある一直線上に注目し、そこでの音波反射の経時変化を画像化する検
査である。ドップラーエコーと同様、心機能評価での有用性が高い。
利点
非常に安全でこれといった副作用もない
 欠点
気体を介すると描出の性能が極端に落ちため、含気の多い肺の描
出には向かない。
腸管のなかのガスのため、胃や小腸・大腸も常時描出できるわけ
ではない。しかしイレウスや虫垂炎、胃癌の壁肥厚例など一部
の疾患では有用である。
骨を貫通できない。

Artida™

Artidaは,新たに開発した小型・軽量のマトリックスアレ
イプローブにより電子的に超音波ビームの三次元走査を
行い,心臓の立体画像や任意の多断面像をリアルタイム
に表示するCardiac4D機能を搭載している。さらに,パ
ターンマッチング法により心筋の動きを追跡し,解析・
表示する機能を三次元画像上で実現している。
IMAGYNE
20 年以上にわたり超音波診断装置を専門とするフランス
のメーカー, ECM 社は,新しい高性能超音波診断装置
「IMAGYNE」を開発した。医学分野に適用された最新技
術で設計された「IMAGYNE(イマジーヌ)」を用いるこ
とにより,医師は信頼性が高く,迅速な診断が可能とな
る。
 ユーザーインターフェースがシンプルで直観的なため,
ユーザーはIMAGYNE が持つ様々な機能を短時間のうち
にマスターできる。 使い易く高性能なIMAGYNE 超音波
診断装置は優れた画質を提供する。

プロサウンド2

アロカ(株)のプロサウンド2は,ポータブル機でも良い
画質で診たいというユーザーの声に答えるため,小型で
も妥協せず画質性能を優先に設計し開発された。
LOGIQ 9

Hybrid Contrast Imaging(ハイブリッド・コントラス
ト・イメージング)」。日本初の超音波診断用低音圧造
影剤「ソナゾイド® 注射用」に対応したフルデジタル超
音波診断装置「LOGIQ 9(ロジック・セブン)」に搭載
した技術。ソナゾイドから得られた超音波信号を,血流
由来のものと,組織還流由来のものとに分別し,それら
の信号を着色してBモードに重ねて表示できるようにした。
これにより,造影像と通常の断層像とを同時に観察可能
となり,診断時の利便性向上に大きく貢献する。
5.MRI

核磁気共鳴画像法(かくじききょうめいがぞうほう、
magnetic resonance imaging, MRI)とは、核磁気共鳴
(nuclear magnetic resonance, NMR) 現象を利用して生体
内の内部の情報を画像化する方法である。MRIの出現
により診断技術が進歩して癌等の腫瘍部分が正確に把握
でき早期治療が可能となった。

断層画像という点ではX線CTと一見よく似た画像が得ら
れるが、CTとは全く異なる物質の物理的性質に着目した
撮影法であるゆえに、CTで得られない情報が多く得られ
る。
利点
 X線などの電離性放射線を使用しないため、放射線
被曝がないと考えられている。
 生体を構成する組織の種類による、画像のコントラ
ストが、CTよりも高い。
 造影剤を用いなくとも血管画像が撮影できる
(MRA)。
 骨によるアーティファクトが少ない。そのため骨で
囲まれたトルコ鞍や脳底の病変はCTよりもMRIが描
出に優れる。
 軟骨や筋肉、靭帯などの軟部組織は一般的にX線で
評価できないため、腰椎椎間板ヘルニアや靱帯損傷、
肉離れ、骨軟部腫瘍など、骨以外の運動器の異常の
評価に有用である。
欠点
 MRI用の造影剤によるアレルギー反応や嘔気の副作
用がある。
 一般的にCTと比較して検査時間が長い。
 一般的にCTと比較して検査費用が高価である。
 装置が狭く、閉所恐怖症患者や小児に強い恐怖心を
抱かせる。
 装置の発する騒音が大きい。
 生体が高磁場にさらされるゆえの副作用や欠点があ
る。
Signa EXCITE 3.0T (全身用)

従来よりも高い分解能での撮影や多断面の検査が実用時
間内で可能となった。これにより,詳細なデータ収集や
検査の多様化,高度な精密検査が行え,特に,頭部領域
では痴呆の原因とも言われる海馬の精査や微小動脈瘤の
発見,また,検診では,脳ドックだけでなく,乳房,子
宮,前立腺などの体幹部における微小病変の発見に期待
が寄せられる。
1.5T装置の最大で約半分の撮像時間で,同レベルの高
画質画像が得られる。
EXCELART Vantage™
Powered by Atlas

厳しい競争市場である米国において急激に販売が広がっ
ており,過去のどの機種にもない立ち上がりの速さを
持っている。同装置は,造影剤を使 用しなくても血管
を描出できる撮像法「FBI(Fresh Blood Imaging)」が
臨床現場で高い評価を得ているほか,躯幹部の拡散強調
像や,血行動態を非造影で描出できる最新技術「TimeSLIP法」を応用したアプリケーションの導入など,患者
にやさしい無侵襲で安全な最先端検査を充実させている。
Achieva 3.0T

Achieva 3.0Tは自社開発の超電導磁石で,コンパクト
(1.5Tの磁石と同一の大きさ)で計量(他社の半分以下
の重量)でアクティブシールドで漏洩磁場も小さく抑え,
尚且つ液体ヘリウムの消費量も実質ゼロと言う画期的な
技術革新をもたらしている。その上,3T MRI装置で特有
のSAR(体内への電波比吸収率)の上昇を低く抑え,磁
化率の影響も低減させた特殊なRF送信用コイルを開発し,
1.5T MRI装置と遜色ない使い勝手にしており,これらの
特徴を評価され,昨年,一昨年と納入実績ベースで46%
と言う驚異的なマーケットシェアを得ている。
MAGNETOM Verio 3T

TrueFormデザインとは,MRに必要な静磁場・傾斜磁
場・電磁波のハードウェア,撮影ソフトウェア,画像処
理を最適化することによって,3Tシステムにおける画像
の均一性をこれまでにないレベルで実現する。
TrueForm magnet and gradient:静磁場の均一性と傾斜
磁場の線形性を,より人体の形態に近い円筒形で最適化
している。円筒の体積は球の1.5倍。
6.PET

ポジトロン断層法(ポジトロンだんそうほう、positron
emission tomography;PET)とは陽電子検出を利用した
コンピュータ断層撮影技術である。CTやMRIが主に組織
の形態を観察するための検査法であるのに対し、PETは
SPECTなど他の核医学検査と同様に、生体の機能を観察
することに特化した検査法である。主に中枢神経系の代
謝レベルを観察するのに用いられてきたが、近年、腫瘍
組織における糖代謝レベルの上昇を検出することにより
癌の診断に利用されるようになった。患者への被曝量は
CTに比べて少ないが、医療スタッフの被曝量に注意が必
要である。

CTとPETを比較すると、CTでは外部からX線を照射して
全体像を観察しているのに対して、PETなどの核医学検
査では生体内部の放射性トレーサーを観察しているとい
う違いがある。ここで、CT像は解剖学的な情報にすぐれ
ているので形態画像と呼ばれ、PET像は生理学的な情報
に勝れているので機能画像(functional image)と呼ばれる。
なお、両者の利点を総合的に利用するために、PETとCT
を一体化した装置PET/CTも開発されており、診断には両
画像をソフト的に重ね合わせた融合画像が主流となりつ
つある。
利点
 生理学的な情報に勝れている
欠点
 検出感度の良くない悪性腫瘍もある。(胃癌の一部
(signet-ring-cell cancer)、細気管支肺胞上皮癌、肝細
胞癌、脳のような生理的にブドウ糖代謝の旺盛な組織に
おける悪性腫瘍、腎細胞癌を含めた腎尿路系(FDGは腎
から排泄されるため)などである。
 腸管や炎症巣への生理的蓄積、良性腫瘍などが偽陽性と
なることがある。
Discovery VCT Elite

同社のマルチスライスCTの最上位機種「LightSpeed
VCT」の技術を搭載し,高スピードかつ低被曝で高精
細な心臓撮像を可能にした。臨床的には,PET/CTで
は初めて,心臓をはじめとする循環器領域での診断に
高い有用性を誇る。
Infinia8 Hawkeye4

既に全世界で高い評価を獲得しているSPECT機
能に,高精細画像の撮影と患者の負担軽減を実
現するPET機能を組み合わせたSPECT-PET複合
機。最新のPET-CTに比べ撮像時間や画質はやや
劣るものの,SPECTとPET検査が一台の装置で
できるため,比較的少額な投資で,PET検査を
行うことが可能になった。
GEMINI TF PET/CT
Time Of Flight法(以降TOF法)を搭載したX線CT組合せ
型ポジトロンCT装置。
 γ線の同時計数線を検出する2つのシンチレーターに到達
する時間(飛行時間)を測定することで,γ線の発生点,
すなわち集積部位を絞り込む。その為,描出能が大きく
向上し,特に,微小病変でその効果が大きく発揮される。

Eminence STARGATE
(株)島津製作所は,高分解能で高い検査効率を有する
同社製のPET に,国内外のCT 市場で実績があり,高速
で広い全身視野を撮影できる東芝メディカルシステムズ
(株)製の16 列MSCT を組み合わせた新型の高性能
PET/CT 「Eminence STARGATE(エミネンス・スター
ゲイト)」を発売した。
 PET は,高分解能(世界最高の3.5mmFWHM と
4.5FWHM の2 種類)を実現しつつ,高感度で高い検査効
率を実現するための三次元データ収集を採用。

Aquiduo™

東芝メディカルシステムズ(株)は,世界初となる固定
寝台のガントリ移動スキャン方式を採用した「Aquiduo」
の販売を開始した。同方式により,PETとCT両画像のズ
レをなくし,正確な位置情報の収集が可能となった。ガ
ントリ開口部はCT部が72cm,PET部が70cmと大口径を
実現し,患者の心理的不安も解消している。

CT部分に0.5秒スキャン,0.5mmスライスが可能な16列
マルチスライスCTを搭載することで,高精細な形態画像
を得ることができる。また,低線量撮影用画像フィルタ
である量子フィルタを搭載しているため低線量撮影でも
画質を維持できるほか,撮影中の管電流を細かく調整す
れば,最大で50%の被ばく低減が図れる。
7.赤外線トポグラフィ
光トポグラフィ(ひかり -)は近赤外光を用いた脳計測分
野における日立製作所の登録商標である。
 「光トポグラフィ」は、近赤外光を頭部に照射し、その
反射光によって人の認知や行動を司る大脳皮質の働きを
探る技術。近赤外光は骨や筋肉、水などを透過しやすく、
血液中のヘモグロビン酸素化状況によって吸収される量
が異なる特徴をもっている。「光トポグラフィ」はこの
特徴を利用して脳内の血液の動きを測定し、画像化する。
「トポグラフィー」とは「地形」という意味。近赤外光
を使って、リアルタイムで大脳皮質の血液の動きを地図
にする。それが「光トポグラフィ」の技術である。


臨床応用上の利点は、安全な低エネルギーの近赤外光を
用いるため、長時間計測や繰り返し計測も可能で、患者
の経過観察にも応用できる。
ETG-4000

(株)日立製作所基礎研究所と(株)
日立メディコは,イタリア国際先端研
究所などと共同で,世界で初めて光ト
ポグラフィによる新生児の脳機能の画
像計測に成功した。研究では,新生児
向けに小型軽量のキャップを開発し,
脳の24か所を同時に計測。生後2~5日
の新生児に母国語を聞かせるなどして
脳血流の状態を調べた。計測の結果,
言語の音とそのほかの音を区別して認
識していることがわかったという。研
究グループは,人の成長に伴う脳機能
の発達を明らかにしていくための重要
な成果だとしており,その内容は「米
国科学アカデミー紀要」に掲載される
予定になっている。
OMM-3000
近赤外光として「高精度な3波長」を、
また、計測法として「時分割測定方
式」を採用。測定ポイント間のクロ
ストークがなく、精度の高いデータ
収集が可能
 現在、主に販売されている多チャン
ネル近赤外光脳機能計測装置の主な
ものには、「光トポグラフィ装置」
(日立メディコ)と「NIRStation」
(島津製作所)がある。両社の装置
は、近赤外光受発光の方式、プロー
ブの形状・組み合わせ及び装着方法
をはじめとして相違点があり、研究
者の使い方などに応じて選択される
ことが多い。

これまでの内容を表にまとめると以下のとおりである。
類別
X線診断 CTスキャナ
装置
装置
用途分
類
一般X線 X線CT
マンモグラフ ヘリカルCT
ANGIOシ MDCT
ステム
外科用X
線
撮影原
理
X線の吸
収
X線の吸
収
超音波
の反射
磁気+
ラジオ
波の共
鳴
投与γ線
の吸収
近赤外
線の反
射
放射線
被爆
あり
あり
なし
なし
あり
なし
超音波
診断装
置
MRI装置 核医学
装置
赤外線ト
ポグラフィ
装置
PET
SPECT
類別
超音波
診断装
置
MRI装置 核医学
装置
単純CT
造影CT
ダイナミック
造影CT
CT血管
造影
IVR-CT
Aモード
Bモード
ドップラー
エコー
Mモード
T1強調 PET
SPECT
画像
T2強調
画像
プロトン密
度強調
画像
フレアー法
拡散強
調画像
造影MRI
MRA
X線診断 CTスキャナ
装置
装置
撮影方
法
赤外線ト
ポグラフィ
装置
分解能
○
空間分
解能◎
△
コントラスト
分解能
◎
△
△
放射線
被爆
あり
あり
なし
なし
あり
なし
類別
X線診断 CTスキャナ
装置
装置
超音波
診断装
置
MRI装置 核医学
装置
赤外線ト
ポグラフィ
装置
画像の
特徴
形態画
像
形態画
像
断層動
態画像
形態画
像
機能画
像
形態画
像
長所
X線撮影
は簡便
性や経
済性に
優れて
いる。
撮影時
間が比
較的短
い。容
易に断
層像が
得られ
る。
頭部救
急病変
への適
応が高
い。
骨の情
報が得
られる。
放射線
被曝が
無い。
組織間コ
ントラストに
優れる。
任意の
断層像
が得ら
れる。
造影剤
なしで
血管の
画像が
得られ
る。
非常に
安全で
これと
いった
副作用
もない
一回の
検査で
ほぼ全
身を調
べるこ
とがで
きる。
生理学
的に癌
を発見
できる。
近赤外
光を用
いるた
め、長
時間計
測や繰
り返し
計測も
可能で、
患者の
経過観
察にも
応用で
きる。
類別
X線診断 CTスキャナ
装置
装置
超音波
診断装
置
MRI装置 核医学
装置
短所
放射線
被曝が
ある。
気体を
介する
と描出
の性能
が極端
に落ち
るため、
肺の描
出には
向かな
い。
骨を貫
通でき
ない。
体内に
金属が
入って
いる人
は、検
査でき
ない。
撮影時
間がい。
検査中、
騒音が
大。
強磁場
による
副作用
は、未
解明で
ある。
放射線
被曝が
ある。
胃癌の
一部、
細気管
支肺胞
上皮癌、
肝細胞
癌、脳
のよう
な組織
の悪性
腫瘍、
腎細胞
癌を含
めた腎
尿路系
は検出
感度が
低。
赤外線ト
ポグラフィ
装置
8.まとめ
今日の科学の発展は、私たち人類に多大なる利益をもた
らす反面、環境破壊という問題も引き起こしてきた。そ
こで、私は、医用画像処理(Medical imaging)の医療分
野への応用に関して、
 利点だけを考えるのではなく、欠点の限りなく少ないも
のこそ、私たちが今後、最も研究すべき分野であると考
える。
 この観点からみると、X線診断装置・CT・PETは放射線
被爆を避けることができない。また、MRIにおいても、X
線に比べ無害と言われているが、近年、有害電磁波によ
る健康被害も問題になってきている。残るは、超音波と
赤外線だが、私は、近赤外線光トポグラフィ装置を開発
した、日立メディコの光トポグラフィ装置「ETG-4000」
の今後の発展に大きく期待を寄せている。
 医療にとって最も大切なこと、それは、健康であること
ではないだろうか。

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ありがとうございました。
中国医科大学 93期 9班 077953 井領英雄