静電型イオントラップの開発

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静電型イオントラップの開発
三谷雅輝
目的
分子イオンを振動基底状態にそろえるた
めに、イオントラップを開発する
イオントラップの性能
数ミリ秒、イオンをトラップできる

原理が単純で小型である

HeH+の振動励起状態の寿命1
  , 1 
τ : 寿命 [s]
1
A , 1
A : アインシュタイン係数 [J・s]
8 E , 1  e 
2
2
A , 1 
e : 素電荷 [C]
3  h    c  10
2
h : プランク定数 [J・s]
7
c : 光速 [m/s]
ΔEν,ν-1 : ν番目とν-1番目の振動状態のエネルギー差 [J]
HeH+の振動励起状態の寿命2
電子雲のポテンシャルの中での2つの原子
state
τ(ms)
核の調和振動
Ek
1
k : 定数

μ: 換算質量
1-0
2-1
3-2
4-3
5-4
1.7
1.0
0.7
0.7
0.6
振動励起状態の寿命
第5振動励起状態にあるイオンが振動基底状態に脱
励起するまでにかかる時間
  4.6 ms
イオンの寿命
1
1

k
  N  p  v
p
τ : イオンの寿命
σ : 衝突断面積
p
: トラップ内の真空度
N(p) : 単位体積あたりの残留ガス粒子の個数
v
k
: イオンの速度
: 定数
イオンをトラップしている時間と
冷却されたイオンの割合
Ratio (arbs. unit)
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
真空度 [Torr]
-7
5×10
-7
2×10
-7
1×10
-8
8×10
-8
5×10
-8
2×10
-8
1×10
-9
5×10
-9
1×10
0.0
0.1
2
4 6
2
1
4 6
2
10
Time [ms]
4 6
100
イオントラップの概要
VM
VM
入口
出口
VL
L= 5 0 0 m m
VL
出口側電極付近のイオンの軌道(VL=1600 V)
イオン種 : Ar+
0V
エネルギー : 2 keV
1600 V 800 V
0V
2400 V
1600 V
3200 V
出口側電極付近のイオンの軌道(VL=1940 V)
イオン種 : Ar+
エネルギー : 2 keV
1940 V
イオントラップ内で安定軌道を飛行するための
イオンの入射条件 (VL=1600 V)
100
0
x
角度θ (mrad)
50
-50
+θ
-100
-1.0
-0.5
0.0
位置 x (mm)
0.5
1.0
製作したイオントラップの写真
イ
オ
ン
の
進
行
方
向
製作したイオントラップの写真
入り口側
出口側
真空度の測定
イオントラップを真空ダクトに取り付け、真空
ポンプでイオントラップの周辺を排気した
イオントラップ内の真空度は8.8×10-8 Torr
見積もりよりも多少悪いが、原因はイオントラ
ップから真空ポンプまでの距離が伸びたため
イオンをトラップしている時間と
冷却されたイオンの割合
Ratio (arbs. unit)
1.0
0.8
真空度 [Torr]
-8
8.8×10
-8
5.0×10
0.6
0.4
0.2
0.0
0.1
2
3
4 5 6
2
1
3
4 5 6
2
10
Time [ms]
3
4 5 6
100
イオンの寿命の測定
トラップされているイオンが残留ガスと衝突
して中性化する
中性化した粒子はイオントラップを抜け出
てくる
出てきた粒子数をカウントすることでイオン
トラップ内のイオンの寿命が測定できる
イオンの寿命の見積もり
Ratio (arbs. unit)
1
0.1
0.01
0.001
0
20
40
Time [ms]
60
80
実験装置の概略図
ウィーンフィルター
イオントラップ
ー出器
X,Y-デフレクター
スリット
イオン源
レンズ
バルブ
バルブ
ベローズ
液体窒素トラップ
バルブ
ターボ分子ポンプ
油ー散ポンプ
500mm
イオン源、レンズ、ウィーンフィルターの写真
計測系の概略図
検出器
プリアンプ
シングル
チャンネル
アナライザー
PC
メインアンプ
マルチ
チャンネル
スケーラー
ディスプレイ
計測
イオンが検出器に到達していることを確認した
出口側の電極に電圧をかける
検出器に到達する中性粒子が全体の5 %
も存在した。
これではトラップ中で中性化した粒子をカウントで
きない
中性粒子の発生源の特定
Count (cps)
10
2
5
4
10
2
4
4
10
2
3
0
100
200
300
400
500
Channel
ウィーンフィルター
イオントラップ
ー出器
X,Y-デフレクター
スリット
イオン源
レンズ
バルブ
ベローズ
見積もり1
この中性粒子のほとんどがイオン源付近で発生
している
トラップの直前に中性粒子を除去する装置を付け
れば中性粒子は取り除ける
イオン源から発生させることのできるイオンは最
大3×1011個程度
1回でトラップできるイオンは3×106個程度
見積もり2
寿命を測定するためには1 msの間にイオントラッ
プから発生する中性粒子の数がバックグラウンド
よりも多くなくてはならない
イオンの寿命は13 ms程度
13 msから14 msの間にトラップから出てくる中性
粒子の数は9×104個程度
中性粒子除去装置からイオントラップまでの間で
1msの間に発生する中性粒子の数は9×104個程
度
イオンの寿命の測定はできる
まとめ
静電型のイオントラップを製作し、正
常に動作することを確認
イオン源付近で発生している中性粒
子は取り除くことができる
イオントラップ中でのイオンの寿命を
測定することが出来る
おしまい
目的
冷却グラフ
HeH+の振動励起状態の寿命1
寿命測定
HeH+の振動励起状態の寿命2
寿命見積もり
イオンの寿命
装置概略図
冷却グラフ
I.S. to W.F. Photo
トラップ概要
計測系概略図
軌道 1600
計測
軌道 1940
発生源の特定
入射条件
中性粒子の見積もり1
写真
中性粒子の見積もり2
拡大写真
まとめ
真空度の測定
ポテンシャルカーブ
冷却グラフ(τ3)