Transcript Document

課
題
<6> 政治で儲ける
~<A4> エタノール狂騒曲~
A4 「政治経済学」の核心  <N2章 pp.31-6>
1 <2章>エタノール狂騒曲
2 政策論の基礎
3 要点確認: 経済分析の基礎
Microeconomics 競争市場と公共政策
[email protected]
Q 読解力チェック PP.31-6
Slide 2
第2章 (pp.31-6) の主旨・用語を理解した?
1.
2.
3.
4.
5.
フォードの1896年の第1号車の燃料は? p.31
米国の最近のエタノールブームの理由は? p.32
この連邦による使用義務化と補助金を正当化す
る「お決まりの3つの理由」とは? p.32-3
「政治経済学」とは? P.33-4
「合理的無知」とは? P.34
1 <2章> エタノール狂騒曲
Slide 3
エタノール添加義務化・補助金の根拠 p.32
1.
2.
3.
環境改善: 添加・混合による大気汚染の減少
資源保全: エタノールは再生可能資源
外交政策: 輸入原油量(特に中東)の削減
But N (p.32-3) はすべて疑問視

エタノールへの全面代替: 農地の半分が必要
お決まりの3理由への疑問
Slide 4
1.
環境上の利点なし
 環境保護庁:最新の製造法では利点なし
2.
資源の浪費
 22世紀も原油は枯渇しない
3.
 機会費用
外交の利点もわずか
∵
3大輸入先: 中東・カナダ・メキシコ
なのに「WHY義務化・補助金」?
Slide 5
政治経済学(民主主義の経済学) p.33
 政治的な意思決定の原因と結果の経済分析
政府は国民全体のパイを増加すべき
 But
<A1>
現実の公共政策は,「パイの再分配」に集中
∵政府(政治家・官僚)のインセンティブは?
1.
2.
特権的な利害が大きい少数の利益集団
合理的無知な利害の小さい多数の消費者・納税者
政治で儲ける
Slide 6
少数の利益集団: エタノール生産者・農家
1.
2.
需要↑+補助金($30億) ADMが20%
 中西部のトウモロコシ農家
多数の消費者・納税者: 合理的無知
 微々たる補助金(¢51)・費用増加(¢8)
∴政治: 多数の懐から広く集め,少数集団へ
Q1 政治経済学の核心
Slide 7
N(2章)の政治の経済分析によれば,
1.
1.
2.
2.
民主主義下では常に国民の多数派の余剰(純便
益)を増す政策・規制が採用される?
Or むしろ多数派から少数の利益集団に所得の
再分配・移転が行われる?
理由を合理的無知・モニタリングコスト(監
視費用p.34)を使って説明すると?
Q演習問題(P.36)1&4
Slide 8
1.
4.
ブラジルからのエタノール輸入に関税(¢51)を課
すことは,上記の連邦エネルギー政策法の理由
と矛盾しないか? なぜ関税を課すのか?
なぜ補助金は$5ではなく,その10分の1のわず
かな額なのだろうか?(合理的無知仮説の見地
から説明)
A演習問題(P.36)1&4
Slide 9
1.
4.
ブラジルからのエタノール輸入への関税(¢51)
1. 全面矛盾(再生可能資源で環境改善でき,中東からの原油輸
入も削減できるハズだから) Why環境派は反対しない?
2. ゆえに輸入関税を課す理由も合理的無知仮説によって,より
良く説明・予測  米企業の現地生産が増えると?
政治への批判の可能性↑(合理的無知が妥当し難くなる + 非
効率性の更なる増加)  日本の輸入関税は?
2 政策論の基礎
Slide 10
公共政策・経済政策の設計に必要な要素
1.
2.
3.
実証経済学: 事実判断・かくあること
規範経済学: 価値判断・かくあるべきこと
政策技術: 「1  2」 + 副作用の配慮
(現代)経済学の特徴  S1&5: 情報・費用・私益
1.
2.
実証経済学の科学的検討が中心  予測妥当性
自由な価値判断を許容  余剰最大化(効率性)
なぜ実証経済学が中心か?
Slide 11
「思いて学ばざれば則ち殆し」
1.
1.
2.
事実判断は,科学的手続きによって改善可能
価値判断は,事実判断によって改善可能
But 「学びて思わざれば則ち罔し」
2.
1.
2.
しかし,現実の改善(政策)こそ最終目標
そのためには,価値判断・政策技術の練磨
参考: 多様な価値判断
Slide 12
主な正義の理念・原理  S3:
サンデル (10)
幸福の最大化: 功利主義(ベンサム)
自由の尊重  S4: ミル『自由論』
1.
2.
1.
2.
リバタリアニズム(ノージック,ハイエク,S4: フリードマン)
リベラリズム(カント,ロールズ)
美徳の促進  多種多様
 古代(アリストテレス),共同体主義(サンデル)
Q2 アナタは何主義?
Slide 13
サンデル (10, pp.32-5)のブレーキの壊れた列車
1.
2.
放置すれば作業員5人が死亡,アナタが待避
線に切り替えれば死亡は2人のみ,どうする?
その時,小柄なアナタの前で線路を見下ろす
大男を突き落せば死者は1人ですむことに気
付いた,どうする?
 さらに詳細な分類: 橋本努(08) 『経済倫理=あなたは,なに主義?』
A2 原理を現実に適用する難しさ
Slide 14
簡単な仮説例でも,正当化・合意は難しい

功利主義と自由主義の間でも対立?
1.
そのままでは5人 but 2人にできる 功利主義
さらに1人にできる but 殺人は嫌? 自由主義
2.
But 線切り替えと突き落としの違いは?

If 同じ  自由主義:5人,功利主義:1人
アダム・スミスの公平な観察者
Slide 15
人間の本性 = 利己性 + α
1.
2.
 S5: 堂目(08, p. 27)
α = スミスの同感(共感)  他人への関心
= 他人の行為・感情への適切性の是認
胸中の中立的な「公平な観察者」
1.
2.
3.
他人から是認されたい・否認されたくない
But あらゆる人からの是認は不可能
賢明さ:徳への道 (弱さ:財産への道)
Q3 実証経済学「学習」の重要性
Slide 16
直観的な規範的判断と学習後の判断
1.
2.
3.
環境改善のためにガソリンへのエタノール添加を義
務化すべき? S6<A4>
新薬認可や航空機の安全性は生死にかかわるので,
更に厳格に規制強化すべき? S4&5<A4&5>
バブル以降バイトの時給は低迷しているので,倍増
すべき?  S13<B5>
A3 最低賃金を引き上げるべきか?
Slide 17
3の時給(最低賃金)の引き上げ <B5>
1.
費用を考えないなら,直観的には善意?の政策
 生活保護費・最低年金・各種助成金等も同様
2.
But それなら時給1万円を想定すれば?
 <Q演習4>エタノールに10倍の補助金
3.
∴実証経済学の学習が重要  <B5>
 政策で何が起きる?
 賃金はどのように決まる?
Q4 政治家・官僚は特殊な悪人?
Slide 18
上記の米国の立法や前記の日本の省令等
による「パイの再分配」に励む政治家・官僚
は特殊なタイプの悪人なのか?
1.
2.
3.
政治家・官僚と企業・家計の目的は違うか?
どうして少数の利益集団優遇を阻止できない?
本来の国民全体のパイ増加に専念させるには?
3 要点: <A>経済分析の基礎
Slide 19
「すべて」の人間行動の基本原理  ロビンス
 最大の余剰S(≡便益B-費用C)
 例 企業:利潤,家計:効用,政治家:得票,官僚:予算
 仮定:合理的
分析方法: (相互に独立の)主体均衡モデル
単峰山型の余剰S  便益B・費用Cの形状
 ∴限界原理: 限界便益B’ = 限界費用C’
 仮定:
∴1つの単純なモデル  多くの複雑な現実
効率的な思考道具としてのモデル
Slide 20
良いモデル ≒ 良く見える便利なメガネ
1.
2.
 科学
効率的: 単純&少数  複雑&多様な現実を予測
体系的: 単純なモデル  複雑なモデルの部品
効率的な学習法の要点と 本授業の特色
1.
2.
3.
「標準的な教科書」に沿って体系的に学習
×
丸暗記ではなく,問題練習&操作を重ねて習得 △
学習したモデルを現実に適用してみる
●
学習した主体均衡モデルの含意
Slide 21
個人の効率的な選択
1.
1.
2.
 相互独立・完全情報
<A2> 自由な選択  最大の余剰
∴個人の選択の自由と自己責任が重要
社会の画一的規制 + 政治家・官僚の誘因
2.

<A2&3>個人の余剰↓
+
<A4>政治による再分配
∴ <A1>法・政治(規制)制度の設計が重要
要点
本日のポイント
Slide 22
政府(公共政策・規制)の理想と現実
1.
2.
3.
国民全体のパイの増加に専念すべきハズが,
少数の利益集団へのパイの再分配に重点
∵ 多数派の合理的無知 + 裁量的な法・政治制度
次回は前半用のReview-1 for Exam-1
初回推奨の日常学習  80%  自信
 定期試験形式(時間厳守・学生証・黒ペン・黒鉛筆)
 目的: