「エアゾール缶等の収集処理時の事故発生状況と今後の課題」第32回

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エアゾール缶等の収集処理時の
事故発生状況と今後の課題
富士常葉大学 杉山涼子
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研究の背景
• 生産量 エアゾール缶
5.3億本
コンロ用カセットボンベ 1.4億本
• エアゾール缶等による収集・処理時の火災事故の
発生
• 平成18年2月エアゾール製品処理対策協議会と
(社)全国都市清掃会議及び中央適正処理困難指
定廃棄物対策協議会との覚書
 エアゾール缶の中身排出機構の装着
 カセットコンロのヒートパネル化
 市区町村への廃エアゾール製品簡易処理機を譲与
 消費者への相談窓口の整備と中身排出機構の使用方法
を周知
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既存研究からの知見
• 収集時において圧縮車で火災事故が発生し
やすい
• 事故防止のためには、消費者は中身を使い
切って排出することが重要
• 実際には中身の残った缶がごみとして排出さ
れている
→火災事故件数等の事故発生状況と、分別排
出方法や収集車両、穴あけ指導等の自治体
の施策と関連づける研究は行われていない
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研究の目的
• 全国の自治体におけるエアゾール缶等によ
る火災事故の現状を把握し、事故発生要因
を明らかにする
• より安全な収集・処理を行うための方策を検
討する
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調査方法(アンケート調査)
• 対象:全国の10万人以上の市及び東京23区
の287自治体
• 調査票の送付及び回収は郵送
• 平成22年4月27日~6月15日
• 調査票の回収状況:
発送数
287票
有効回答数 206票
有効回収率 71.8%
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車両火災 事故件数1
• 最近5年間に事故発生 84.5%
• 平成21年度に限ると 64.1%
• 5年間すべてのデータを回答した158自治体
1,013、1,045、983、860、884
• 平成21年度 197自治体 合計1,008件
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車両火災 事故件数2
• 平成21年度の人口10万人当たりの事故発生
件数:
平均 1.5件(うち不燃ごみ1.4件)
事故件数ゼロ~最大19.1件
• 平成21年度の1,008件のうち
不燃ごみが93.9%
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車両火災発生品目
エアゾール缶
30.7%
エアゾール缶
またはコンロ
用カセット
5.6%
コンロ用
ライター
カセット
11.1%
16.3%
その他
6.4%
原因不明
30.0%
52.5%
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破砕施設 火災事故件数1
単独で施設を保有している149自治体
• 最近5年間に事故発生 45.6%
• 平成21年度に限ると
29.1%
• 5年間すべてのデータを回答した135自治体
216、257、245、263、217
• 平成21年度 146自治体 合計275件
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破砕施設 火災事故件数2
• 平成21年度の人口10万人当たりの事故発生
件数:
平均 0.7件
事故件数ゼロ~最大18.6件
• 人口10万人当たりの車両火災事故件数との
単相関係数 -0.07
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エアゾール缶等の分別収集方法
可燃ごみ・
普通ごみ
1.0%
使い切った缶
缶・金属等の
資源
40.8%
有害ごみ・
別収集
36.4%
その他
2.9%
不燃ごみ
18.9%
缶・金属等
の資源
不燃ごみ
3.4%
1.0%
中身の残った缶
収集して
いない
73.3%
有害ごみ・
別収集
22.3%
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不適正な排出時の対応
その他
1.0%
特に対応は
していない
10.2%
ステッカーを
貼るなどして
収集しない
37.9%
ごみから
分けて収集
38.8%
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不明
12.1%
12
穴あけPR指導
• 以前から指導している
64.1%
• 以前は指導していたが現在は指導して
いない
20.9%
• 以前から指導していない 12.1%
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分別の変更
• 最近5年間でのエアゾール缶等の分別変更
変更した
21.8%
変更していない 77.2%
エアゾール缶等を別に出す 16自治体
資源として出す
10自治体
有害ごみに出す
4自治体
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分別方法別の人口10万人当たりの
不燃ごみの車両火災事故件数
全体
缶・金属等の資源
有 害 ごみ ・ 別 収 集
不 燃 ご み (圧 縮 車 )
不 燃 ご み (非 圧 縮 車 )
件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値
197
1.4
6.3
2.5
18.6
0.0
80
1.5 10.9
3.3
18.6
0.0
71
1.2
2.5
1.6
8.3
0.0
30
1.9
3.3
1.8
7.4
0.0
8
0.4
0.3
0.6
1.6
0.0
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分別方法別の母平均の差の
検定結果
不 燃 ご み ( 非 圧 縮 車 ) との 比 較
自 由 度 P値
有 害 ごみ ・ 別 収 集
22 0.0081
缶・金属等の資源
64 0.0079
不 燃 ご み (圧 縮 車 )
34 0.0004
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不適正な排出時の対応別の人口10万人
当たりの不燃ごみの車両火災事故件数
特 に 対 応 は してい な い
ご み か ら分 け て収 集
ス テッカー を 貼 る な ど
して収 集 しな い
件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値
20
2.2 18.1
4.3
18.6
0.0
78
1.4
4.0
2.0
9.9
0.0
73
1.2
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6.1
2.5
18.2
0.0
17
穴あけ指導の有無と人口10万人当たりの
不燃ごみの車両火災事故件数
• 以前から指導している
1.5件
• 以前は指導していたが現在は指導して
いない
1.5件
• 以前から指導していない 1.1件
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分別変更の有無による人口10万人当たり
の不燃ごみの車両火災事故件数
変更
あり
変更
なし
有 害 ごみ ・ 別 収 集 へ 変 更
資源へ変更
以 前 か ら有 害 ご み ・ 別 収 集
以 前 か ら資 源
件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値
31 1.1 1.2
1.1
3.9
0.0
7 5.4 46.7
6.8
18.2
0.0
39 1.2 3.7
1.9
8.3
0.0
72 1.2 6.6
2.6
18.6
0.0
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車両火災事故の発生しにくい
排出収集方法(ベストプラクティス)
• ①~③すべてを満たす方法をベストプラク
ティスとする
①有害ごみなどの別収集や資源で分別収集
②不適正に排出された缶は他のごみと分けて
収集したり取り残したりする
③過去5年以内に分別変更していない
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ベストプラクティスとそれ以外の人口10万
人当たりの不燃ごみの車両火災事故件数
ベ ストプラクティス
ベ ストプラクティス以 外
件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値
86 0.9 1.9
1.4
6.8
0.0
111 1.8 9.4
3.1
18.6
0.0
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考察1
(1)エアゾール缶の分別方法
→不燃ごみ収集は避ける
(2)不適正排出された缶への対応
→特に不燃ごみへの混入を防ぐように収集作業員
の現場での対応が効果的
(3)市民へのPR啓発
→中身を使い切るというルールや分別方法を守る
ようPR啓発が必要
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考察2
(4)穴あけ指導の効果
→穴あけ指導の是非について再検討する必要あり
(5)収集車両
→非圧縮車で収集すれば事故は削減できるが
積載効率は低下
(6)中身の残った缶への対応
→新たな回収ルートの整備が必要ではないか
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