膝痛や股関節痛でお悩みの方へ

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Transcript 膝痛や股関節痛でお悩みの方へ

山形徳洲会病院 整形外科
大 沼
寧
スポーツは体に良い!?
「 オリンピック競技のような激しいスポーツは、
健康のために有害である 」
医学の父 ヒポクラテス
● スポーツにケガはつきもの
● 過剰なトレーニングは様々な
障害を引き起こす
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免疫能の低下
関節の障害、成長への障害
ホルモンバランス異常、鉄欠乏性貧血
バーンアウトシンドローム
スポーツ中の突然死
スポーツは両刃の剣!
外 傷
スポーツ傷害
急性。1回の外力が加わって急に生じるもの。
打撲、捻挫、骨折、靭帯損傷、肉離れ など
障 害
慢性。スポーツによって繰り返される過度
の負担が積み重なって,痛みを主とした
慢性症状が生じた状態。
腱鞘炎、腰痛、疲労骨折 など
スポーツ外傷
キズの処置
キズの処置で大切なこと
1.キズに芝や土などの異物が付着している
場合には、水道水でしっかりと洗い流すこと。
2.出血があれば、ガーゼなどで軽く圧迫する。
3.キズがきれいになれば、消毒の必要性は
低い。
消毒液はバイ菌だけでなく、
正常な組織を傷めてしまう
キズが治るには
“うるおい”(湿潤環境)が必要!
擦り傷や切り傷に対しては、
シールなどで覆う閉鎖療法が治癒を促進させる
4日後
止
・直接圧迫法
血
法
(指や手でガーゼの上から傷口を
直接圧迫する)
・間接的圧迫止血(傷より心臓に近い動脈を
押さえる)
感染症に注意 !
B型肝炎、C型肝炎
AIDSの感染
捻挫や打撲の処置は?
R I C E 処置とは?
R: rest (安静)
I: icing (冷却)
C: compression (圧迫)
E: elevation (挙上)
ケガを早くなおすために重要 !
Rest (安静)
ケガを悪化させないように運動を中止し、
患部を安静に保つ.
運動を続けると内出血が進み、ケガの範囲
が広がってしまいます。
全身の安静と局所の安静(固定)が必要
Icing (冷却)
血腫形成の抑制,浮腫の防止
2次的組織障害の防止
炎症反応の抑制
疼痛の緩和
患部を冷凍保存状態に!
1回15-20分,症状に合わせて繰り返し行う。
24~48時間断続的に行うのが理想的。
シップやコールドスプレーはアイシングの代わりにはなりません!
凍傷に注意!
Compression
(圧迫)
患部に流れこむ血液やリンパ液を抑え、
内出血や腫れの広がりを防ぐ
腫れはケガが起きてから5~6時間たった頃が
最も激しくなります。
血行障害に注意
Elevation (挙上)
患部の血液,リンパ液の流入を減少させ、
逆に出て行く量を増やし、腫れを早く引か
せる効果がある。
患部を心臓より高く保つ。
15歳 女性
直後 RICEなし
受傷後5日目
両松葉杖歩行。
荷重できず。
16歳 女性
直後 RICE 施行
受傷後4日目
荷重歩行可能
腫脹の拡大
足関節捻挫 = 靭帯損傷
捻挫を甘くみてはいけない!
多くのスポーツ選手が捻挫の
後遺症(捻挫ぐせ、慢性の痛み)に
悩まされている。
捻挫を繰り返す、、、、、
慢性足関節不安定性
痛みが持続する、、、、、
骨棘(トゲ)
骨片
骨棘障害
足関節捻挫のリハビリ
可動域!
バランス!
足底の感覚!
筋力!
突き指?
ケガから2週間。
痛みが引かず来院
(術後)
膝のケガ
前十字靭帯
半月板
軟骨
後十字靭帯
半月板損傷
膝靭帯損傷
• 前十字靭帯損傷
女子に多い、非接触損傷、手術治療
• 内側側副靭帯損傷
頻度が多い、 痛い、
• 後十字靭帯損傷
• 外側側副靭帯損傷
膝のケガ 予防エクササイズ
■ ステップドリル
様々なステップ動作を習得
■ ターン
ジグザグ走
■ バランストレーニング
■ ジャンプ
ー ターン : コンビネーション
基本動作
応用動作
競技力向上へ
体の軸を意識しコントロール
スポーツ障害
スポーツ障害率
=
練習量 ×
練習強度
スポーツ障害
• 筋・腱炎
•
•
•
•
•
• 疲労骨折
肩: 野球肩
腰: 筋膜性腰痛、 腰椎分離症
膝: 膝蓋靭帯炎
下腿: シンスプリント、 疲労骨折
足部: 中足骨疲労骨折
スポーツ障害の原因
・ オーバートレーニング
・ 筋力のアンバランス
・ 筋・腱の柔軟性
・ 構造上の問題、アライメント異常
・ 不適切な道具(靴など)
・ 不適切な環境(グランド、路面など)
2 ヶ月間、下腿の痛みが持続、、、
脛骨疲労骨折
MRI
15歳 バスケ女子選手
膝蓋骨疲労骨折
腰痛が治らない、、、、、
骨折
正常
骨折
腰椎分離症(疲労骨折)
コア(体幹)トレーニング
腰痛予防・治療のストレッチ
成長期と成人の骨構造の違い
骨端線
成長期
成人
成長期のスポーツ障害
成長期のスポーツ障害は骨の成長に影響を
及ぼし、時に骨の変形が生じることがあります。
成長のピーク:
女子では10歳前後、男子では12歳前後
この2~3歳前後が要注意の時期
変形をおこしやすい部位は、膝と肘。
代表的な疾患に オスグッド 病、野球肘
オスグッド病
分離骨片
体の発達時期
「強くなるためのサッカーフィジカルトレーニング―Q&A100」 菅野 淳、星川 佳広 (著)
小学生
中学生
高校生
小学生
パワー、スタミナよりも技術を磨く時期
身のこなしがどんどん良くなる時期
ステップワーク、さまざまなフォームの習得
中学生
スタミナがつく時期
高校生
筋力・パワーがつく時期
スポーツ障害の予防法
・ スポーツ前のケア
ウオーミングアップ・ストレッチ
・ スポーツ後のケア
ストレッチ・アイシング
・ ウイークポイントの修正
筋力・柔軟性・バランス・フォームの改善
・ トレーニング強度に応じたケア
ウオーミングアップ
15分から20分が目安
•体温が上がり、筋肉の出すパワーが増大する
•肺や心臓の、運動への適応性を高める
•神経系の反応が速くなる
•体の各部の柔軟性が高まる
•筋肉の傷害を予防する
•心臓の事故を防ぐ
受動的(体温上昇をはかる)、一般的(ストレッチ、全身体操)、
専門的(リハーサル)ウオームアップ
個人ウオーミングアップ、大会を想定したもの、天候に配慮
クールダウン
ジョギング
ウォーキング
ストレッチ
• 運動後の疲労回復を促す。
• 疲労物資を取り除く
• 筋肉痛を予防する
練習前後のストレッチング
• ケガや障害の発生と筋肉の柔軟性には深い
関係がある。
• 伸ばされる感覚が大切。痛すぎるストレッチは
逆効果
• 20~30秒が目安。
• 呼吸は止めないこと。
• 個人差に応じたやり方を。
健康作りのためのスポーツ
健康作りのためのスポーツは頑張ってはいけません。
「無理せず楽しく体を動かすこと」が秘訣です。
健康作りためのスポーツは、良い食生活と同様に、
良い運動習慣を持ち続けること。
この継続性こそが重要です。