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解剖生理学 12月16日(木) 炭水化物の消化・吸収 食環境デザインコース 3年 09210211~09210220 炭水化物とは‥‥ 三大栄養素の一つ (炭水化物、たんぱく質、脂質) 人体の主なエネルギー源 多く含まれる食品 米、パン、そば、うどん、パスタ じゃがいも、さつまいも、砂糖など 炭水化物は食事組成の約60% 体組成としては1%程度 毎日多く摂取しているが、 日々消費されている。 炭水化物の分類 糖質 炭水化物 食物繊維 単糖類 二糖類 オリゴ糖 多糖類 単糖類 それ以上加水分解されない基本的な糖類 そのまま小腸で吸収を受ける ・グルコース(ブドウ糖) ・ガラクトース ・フルクトース(果糖) ・マンノース 二糖類・オリゴ糖 二糖類・・・2つの単糖が結合した糖類 ・マルトース(麦芽糖):グルコース+グルコース α-1,4結合 ・スクロース(ショ糖):グルコース+フルクトース α,β-1,2結合 ・ラクトース(乳糖):グルコース+ガラクトース β-1,4結合 オリゴ糖・・・2~10個の単糖が結合した糖類 多糖類 10個以上の単糖が結合した糖類 1種類の単糖が結合したホモ多糖 ・グリコーゲン‥‥動物組織に存在 グルコースがα-1,4結合、 α-1,6結合で連なり、枝分かれ構造 ・セルロース‥‥野菜や木材に含まれる グルコースがβ-1,4結合で直鎖状に連なったもの ・キチン‥‥甲殻類の外骨格や藻類の細胞壁に存在 N-アセチルグルコサミンがβ-1,4結合により直鎖状に連なったもの ・デンプン‥‥小麦粉、米、イモ類 アミロースとアミロペクチンからなる 消化とは‥‥ 食物中の栄養素を分解して吸収されやすい形 にする過程のこと 物理的消化 機械的な運動によるもの。食物を次の部位に送る移動作用。 (歯による咀嚼、胃と小腸での蠕動運動) 化学的消化 消化液中の消化酵素による分解作用。酸による分解、アル カリによる中和、胆汁との結合・乳化などの作用も含まれる。 生物学的消化 大腸内に存在する腸内細菌による消化。腸内細菌のもつ消化酵素の 働きによって、未消化物や未吸収成分などが発酵または腐敗を受ける。 口腔内での消化 唾液に含まれる唾液アミラーゼによ る化学的消化 唾液アミラーゼは、多糖類をデキス トリンと一部はマルトースまで分解 口腔内での食物の停滞時間は短い 唾液アミラーゼの作用はむしろ胃内 での作用時間が長い 小腸での消化 ① 膵液中の酵素による消化 ② 小腸粘膜細胞にある酵素による 膜消化 →栄養素が分解されながら 吸収される ① 膵液による消化 膵臓から分泌される 膵液に含まれる糖質分解酵素で ある膵液アミラーゼ 多糖を消化する酵素だが、唾液 アミラーゼよりも強力 デンプンをデキストリンとマルトー スまで分解 ② 膜消化 二糖類は、小腸では消化されず膜消化を受ける マルターゼ、スクラーゼなどの二糖類分解酵素(膜 消化酵素)により、単糖になるまでの最終的な消化 を受ける 膜を通過して吸収 (消化の最終段階と吸収の開始に明確な区切りがない) 吸収とは‥‥ 消化された栄養素を消化管の粘膜から体内に取り 入れること 能動輸送 ・エネルギー(ATP)を使う ・濃度差に依存しないため吸収速度が速い 受動輸送 ・エネルギーを必要としない ・濃度勾配に依存するため、膜の内外で 濃度が同じになると吸収できない 単糖の吸収 腸管腔→小腸粘膜細胞 ①ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)により Na+と共に取り込まれる ⇒能動輸送 ②ナトリウム非依存性グルコース輸送体(GLUT5)に より濃度勾配にしたがって取り込まれる ⇒受動輸送(促進拡散) ※フルクトースは②のみ 小腸粘膜上皮細胞 ナトリウム非依存性グルコース輸送体(GLUT2) により放出 ↓ 毛細血管 ↓ 門脈 ↓ 肝臓 ② ① 代謝 吸収された糖質は、主としてエネル ギー産生のために消費される グルコースは、解糖系、クエン酸回路、 および電子伝達系で代謝→ATP産生 解糖系 グルコースからピルビン酸、または乳酸ま での過程 細胞質基質で行われるリン酸化反応 嫌気性状態では、乳酸が産生される 生成された乳酸は、肝臓へ送られてグル ジヒドロキシアセトンリン酸 コースに変換 グルコース C ↓←ATP グルコース6-リン酸 ↓ フルクトース6-リン酸 C ↓←ATP フルクトース1,6-リン酸 グリセルアルデヒド3-リン酸 ↓ 1,3-ビスホスホグリセリン酸 →・NADH2分子 乳酸生成or電子伝達系へ ・ATP2分子 ↓→2×NADH 3-ホスホグリセリン酸 C ↓→2×ATP 2-ホスホグリセリン酸 ↓ ホスホエノールピルビン酸 C ↓→2×ATP (ATP4-ATP2=ATP2) ピルビン酸 クエン酸回路 解糖系で生成したピル ビン酸は、ミトコンドリア 内のクエン酸回路で代 謝される ピルビン酸1分子から・・・ ・NADH 4分子 電子伝達系へ ・FADH2 1分子 ・GTP 1分子 →ATP1分子に変換 電子伝達系 連続的な酸化還元反応によって電 子の移動が生じて酸化的リン酸化 が行われる経路のこと ミトコンドリア内膜の電子伝達の複 合体などからなる。 NADHとFADH2は電子の運び屋 →電子+H++酸素=水 →ATP産生 (NADH→ATP3分子、 FADH2→ATP2分子) ATPの生成 グルコースの酸化分解過程 解糖系 C6H12O6 →2C3H4O3+4[H]+2ATP……(1) クエン酸回路 2C3H 4O3+6H2O →6CO2 +20[H]+2ATP……(2) 電子伝達系 24[H]+6O2 →12H2O+34ATP …… (3) (1)+(2)+(3) C6H12O6 +6O2+6H2O → 6CO2 + 12H2O + 38ATP →グルコース1分子からは、36分子ないし38分子のATP産生 まとめ 糖質は消化酵素によって単糖に消化される SGLTやGLUTの輸送体によって血液中に取り込ま れる 解糖系、クエン酸回路、および電子伝達系で代謝 →ATP産生 糖質は消化・吸収・代謝が早い →エネルギーとしてすぐに利用される