企業評価論 - nifty

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企業評価論
10月21日 将来性分析:業績の予測
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経営分析の4つの重要なステップ
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経営戦略分析
会計分析
財務分析
将来性分析
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企業評価のステップ
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戦略・会計・財務分析によって得られた理解を基
に、企業の価値を推定する
1.企業の将来業績の予測
2.企業評価モデルによる評価
3.感応度分析
3
なぜ業績予測を行うか
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内部目的
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主要仕入先の分析
主要顧客の分析
競争相手の分析
資金繰り予測
合併、買収
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外部目的
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投資銀行業務
合併、買収
証券分析
継続性
キャッシュ・フロー予測
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他の分析との関係
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経営戦略分析
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会計分析
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産業の見通しはどうか?
産業の見通しに対する企業の対応は?
会計数値は実体の傾向を示しているか?
財務分析
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改善すべき点は?
競争相手や規制による圧力がどこにかかっているか?
経営者は何を変えようとしているか?
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全体構成
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全体予測 vs. 個別予測
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B/S,P/L,C/Fの全体を予測することで、不整合な予測
をさけることができる
不整合な予測の例
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生産設備や運転資本の増加を伴わない売上の増加
利息の支払いを伴わない新規の借入
利息の収入を伴わない新規の証券投資や預金
決定要因に連動した予測を行うことによって、全
体予測は面倒な作業ではなくなる
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決定要因
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売上高
粗利益率
売上利益率
資産回転率
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企業におけるキャッシュ(カネ)の流れ
土地・建物・工場
原材料
証券投資
仕掛品
現金
完成品
銀行借入
株主
売上債権
営業活動
投資活動(資金投下)
財務活動(資本調達)
出発点
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企業や業界の履歴の収集
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何か安定した関係が見られるか?
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過去は将来の良き予測値である
経営戦略分析は今後どのような変化が起きるかの予
測に役立つ
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何が昨年までと違うべきか?
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一時的事象? 戦略の変更? 環境の変化?
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予測
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企業についての過去と、トレンド(傾向)を知るこ
とにより我々は予測に目を向けることができる
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注意:完全な分析のためには、経営者による分析と
議論、それに財務諸表の脚注を読むことが必須であ
る
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主要な決定要因:売上高
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統計的に、売上高はドリフト付ランダムウオーク
の動きをする
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2012年予想売上高 = 2011年実績売上高+ドリフト
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ドリフト(一定の成長率)は過去の傾向と、ここまでの各種
分析の結果から推定する
四半期の傾向から何を学ぶか?
売上高成長率に変化は見られるか?
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主要な決定要因:売上高
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売上高成長率の動き(図10-1)
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極端に高いor低い売上高の成長は長続きしにくい
数年のうちに、「正常な」成長率に収束する傾向があ
る
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もちろん、産業または企業の特殊な事情により、高いor低
い成長率が相当期間続くこともありうる
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予測: Step 1-売上高
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どのようにして小売業の売上高を予測するか?
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店舗の検討
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既存店舗の成長見通しは?
新規の出店のペースは?新店舗の売上の動きは?
直営店か、フランチャイズ展開か
国内店舗と海外店舗で見通しに違いがあるか
一店舗あたり売上に影響を与えそうな要因の例
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新製品・キャンペーン
競争相手の行動
マクロ経済指標と売上高の関係
地域別の傾向
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売上高予測の精緻化
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セグメント毎の売上高予測が有効な企業もある
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地域毎の傾向
部門または製品毎の傾向
新製品・合併などの特殊要因が見込まれるか?
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または過去の(大きな)変化が特殊要因によるもので
はないか
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主要な決定要因:ROE
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ROEがいつまでも「平均」から乖離することは無
いことに注意(図10-2)
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高いROEは新規参入を促す
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ただし参入障壁が高い場合は例外
低いROEは改善されるか、企業そのものが淘汰され
る
米国では10-13%が ROEの平均値といわれる
近年の日本はROEの変動が激しく、一概に平均値を
示せないが、6%程度といわれることもある
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主要な決定要因:ROE
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会計基準がROEを歪めているだろうか?
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ハイテク産業、医薬品製造業では資産が過小評価さ
れている(R&D)
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利益の動き
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これこそが我々が予測しようとしているものであ
る
利益もドリフト付ランダムウオークの動きをする
傾向がある
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2012予想純利益 = 2011実績純利益+ドリフト
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特に長期予想を行う際にこれがよく当てはまる
このことは利益予測を行った後で、予測の実現
可能性のチェックに使える
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予測: Step 2-費用
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費用は費目毎に予測されるべきである
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多くの費用は売上高と連動している
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売上原価—粗利益の分析、経営戦略との関連
販管費—効率性
研究開発費 (長期的に売上と連動)—経営戦略
利子費用は負債水準と利子率によって決まる
減価償却費用は償却設備に対して安定した割合
当期税額は税引前利益と特殊要因(例:海外の税率)
連動する度合い(対売上高比率)の時間による
変化に注意
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費用予測-精緻化
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粗利益率
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販管費
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製品毎
地域毎
固定費と変動費
税費用
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税効果に関する脚注の分析
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予測: Step 3-バランスシート
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費用と同じく、科目毎に予測
流動資産
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現金・有価証券: キャッシュ・フローの予測から?定額
?
売掛金・棚卸資産: 回転期間と売上の予測から
その他: 売上に対する比率?定額?
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予測: Step 3-バランスシート
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固定資産
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営業資産:売上高と回転率
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設備投資の予測と償却方法に基づく予測でもOK、でも困
難
負債
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流動負債
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営業負債:売上高と回転率
その他:回転率?定額?
固定負債: 資本構成の予測、または株主資本の不足
額
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予測: Step 3-バランスシート
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株主資本
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期末株主資本 = 期首株主資本 + 当期純利益 - 配当
± その他の資本取引(増資・減資)
その他の純資産項目 (外貨関連,有価証券関連
等)
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予測は困難、変化なしを仮定するのが無難
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予測: Step 4
-キャッシュ・フロー
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P/LとB/Sの予測から、キャッシュ・フロー計算書
をほぼ作成することが出来る
キャッシュ・フローを直接予測するのではなく、
P/LとB/Sの予測に基づいて予想するのが一般
的、かつ合理的
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会計利益の方が、CFよりも予測しやすい
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予測数値による比率分析
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なぜ行うのか?
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予測のもっともらしさを確認する
比率は、ここまでの分析の結果と矛盾しないはずであ
る
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特に、経営戦略分析における見通しと矛盾しないか確認
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感応度分析
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少なくとも3つのシナリオについてチェック
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もっともらしい vs. 楽観的 vs. 悲観的
もし …
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競争が激しくなったら? 粗利益率が低下したら?
製品が市場で受け入れられなかったら?
合併が不成功に終わったら?
きりは無いけれど…
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予測:まとめ
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予測は、ここまでの分析の全てに依存する
全体予測を行い、それぞれの数値を連動させる
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一般に、売上高予測->費用予測の順
バランスシートに大きい変化が起きるか?
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例:設備投資?資本構成の変化?
P/L と B/S の予測に基づいて CFを予測する
予測終了後、常に比率分析と感応度分析を行う
こと
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